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魔王国アディス~アライズ連合国

準備期間六日目③

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 魔王国アディス
 魔王城 大食堂


 応接室でのやり取りを終えたのだが思ったより時間が経過しており、すっかりお昼になってしまった。
 
 ルシファスは午前中に終わらせるはずの仕事があるようで、昼食も摂らずに仕事に戻っていった。
 また過労やらなんやら言われるとアレなので某バー状の栄養食品を購入して渡しておいた。

 ルシファス以外の俺、先輩、女神様、そして…何故か創造神様を含めた四人は魔王城の大食堂で昼食を摂ることになった。

「ワシもこの世界のモノが食べたい」

 正に鶴の一声である。

 そして…

「美味いのう美味いのうっ!」

 最近の魔王城では料理の技術………というより知識や材料が革命的に変化し、料理法や香辛料の使い方などは現代日本に近付いてきている。
 もちろん俺と先輩のせいである。………が、魔王ルシファスを含め幹部連中もその味の虜となり、ソレは魔王城の中に留まらず国中へと広がりをみせた。

 農作物の変更や拡大、料理教室の開催(これはいずれ料理学校に変わるだろう)、香辛料の拡充など、本気になった魔王城の連中の動きは早かった。
 
 香辛料はこの世界では大抵シンジケートが独占しているのだが即時解体。流通を見直し安価で一般に出回るようにしていた。
 コレには異世界モノのテンプレなら反対する組織や繋がりのある貴族が邪魔をしそうなものだが、今回の貴族連中は違った。
 貴族派と呼ばれるルシファスに敵対するような貴族達もやはり美味い料理が良いのだろう、積極的に協力し反対する組織を潰して回り、自領の香辛料の充実などに動いていた。

 やはり美味い飯は正義か…。

 俺と先輩がそう思ったのは言うまでもない。

 ちなみにこの件で魔王国の犯罪件数が二割近く減ったらしい。
 スパイスシンジケートろくでもねえな…。

「ごちそうさま」

 そう言いお茶を啜る創造神様。
 いや食ったなしかしっ!
 優しそうなお爺さんの見た目からは想像できない食いっぷりでしたけどっ!

 ………で、隣で未だにケーキ食ってる女神様はもう食べるの止めなさい。何個目だソレッ!?
 もきゅもきゅ頬張っているのは可愛いけれども…。


~~~~~~~~~~~~~~~~



 魔王城 応接室

 
 夕方になりルシファスが仕事を終わらせ、朝いたメンバーにヴィーネさん、リディアを加え再び応接室に集まる。

 今度こそ神界?に還るらしい。

「ほっほっほっ、では世話になったのう。もう会うことはないだろうが、いつも見守っているよ」

 うんうん、神様らしい言葉だ。
 その優しい言葉に、声に、皆笑顔になった。

「………うぅ、あとちょっとでランキングトップ10に入れたのに…」

「おいちょっと待て。また課金しやがったな」
「ティア………おぬしはいつからそんな残念な感じに…」

 台無しである。
 もちろん俺と創造神様で拳骨を落としておいた。

「トーイチ君、最後までティアがすまんかったのう…」

「あぁ………いえ、騒がしくて楽しかったのも事実ですから…」

 俺がそう話すと優しい目で見られた…。

 悪い気はしない…。

 でも周りの人達の生温い目は止めてねっ!?
 悪い気しかしないよっ!?

 そして…

 杖が輝き始め、創造神様を中心に黄金の魔法陣が描かれていく。

「では帰るとするのかの。あ、トーイチ君、お礼はしておいたからの。ではな」

 その言葉で魔法陣は一際激しく輝き、創造神様と女神様の姿が光に飲まれていった。

「トーイチさん、私のアカウント残し」『シュン』

「………………」

 女神様が何か言おうとしている途中で転移完了。黄金の魔法陣も消えていた。

 周りには…

「………トーイチ」

 分かってるな、というような視線の先輩。

「………………」

 何か困ったような苦笑を浮かべるルシファス。

「トーイチ」
「トーイチ君」

 分かってるわよね、というようなリディアにヴィーネさん。

「………ふっ」
 
 俺はコクリと頷き、そっとアプリをアンインストールした…。

「「分かってないじゃないっ!?」」

「えぇっ!?」

 リディアとヴィーネさんからはツッコミが入るも先輩はウンウンと頷いているし、ルシファスは明後日の方を見ている。

 どうしろって言うんですかね?



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女神様帰還。
準備期間②の引きから飛ばしたのはワザとです。

次回もよろしくお願いします。
 
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