異世界召喚されました……断る!

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魔王国アディス~アライズ連合国

準備期間六日目①

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 魔王国アディス
 魔王城 客間(トーイチ)


 ベッドの中でフッと目を覚ます。
『ゴロ………ゴロゴロゴロ………』
 まだまだ完全に眠りから覚めていないような状態の中、外から聞こえる雷の音…。

「(………ふむ…今日は雷雨………かな…珍しい…)」

「ふあぁ…」と欠伸をして、よしっ二度寝だな…と布団を被り目を瞑った次の瞬間…

『ズガガァーーーンッ!!』

「うおぅっ!?」

 近い………というか城に落ちたか?
 俺は落雷に飛び上がり寝間着にしている甚平のまま、魔王城の廊下に出ると…。

「落ちたぞっ!」
「何処にだっ!?」
「リーベラさんの部屋らしい…」

 ………リーベラの部屋だと?大丈夫なのか?
 そう思いステータス画面から召喚リストを確認するも、リーベラに特に変わった様子はない。

「(………一応確認しに行くか…)」

 俺は裸足で廊下に出たのに気付き安いスリッパを購入、パタパタとリーベラの部屋に向かった。



 魔王城 リーベラの部屋

 リーベラの部屋の前に到着。
 ドアの前には魔王城のメイドさんや兵士達が集まっていたが入っても良いものかどうか、と立ち往生していた。

 見た感じ雷が落ちたようには見えないので余計に入りづらいのだろう。
 俺もそう思う。

「(………雷落ちて、部屋の外から見て何の変化もない………なんてことあるか?)」

 勘違いか…?と思いつつ、ドアの前の人達をかき分けて…

『コンコン』
「リーベラ?大丈夫か?」

「………………」

 返事がない。ただのしかばねの………リッチだったなそういえば…。
 いやいや、じゃなくて…

 俺はもう一度ノックし…

『コンコン』
「リーベラ?………入るぞ?」

「………………」

 やはり返事がない。
 俺はノブに手を掛け、一気にドアを開けた…。

 中からは夥しい光が溢れ、室内はよく見えない。
 俺は目を細め手で庇を作るようにして、なんとか見ようとする。

 目が少し慣れた時、俺の視界には…

 神々しい何かに…

 土下座しているリーベラ…

 そして…

「………むー………うむーっ!」

 リーベラの横で簀巻きにされている女神様の姿だった…。


 
 その光景を見た俺は少し硬直するも直ぐに動き出す。
 室内に素早く体を入れ、後ろ手にドアを閉め施錠。追加で『結界』を展開し、音漏れを防止した。

 ………そういえば最初にドアを開けた時、施錠されてなかったな…。
 まあ、ソレはいいか…。

 いい加減光にも慣れ、神々しい何かの姿も見えてきた。
 そこには長い白髪に威厳がありそうな白髭、かつて超絶イケメンだったであろう優しそうなお爺さんが、光輝く杖を持って立っていた。

 ………光ってんの杖かよっ!?

 それでもこのお爺さんは神々しい…。
 
 そう…

 そこで簀巻きにされて転がっている女神様より…

「………うむぅーっ」

 で………

「………………」ドゲザー

 その神々しさに当てられてリーベラはそうなっちゃっているのか…。
 そうだね、君………元聖女で現リッチだもんね。そうなっちゃうよね。

 女神様とリーベラの二人から視線をお爺さんに戻す。

 もう…

 なんとなく…

 正体は分かっているが…

「………えぇ………っと………貴方は一体…?」

「初めましてじゃなトーイチ君。ワシは創造神カグン。ソコの簀巻きになっている女神からは主神と呼ばれている者じゃ…」

 ………うん。


 ………上位の神様だとは思ったけれど…


 ………創造神来ちゃったかぁ。


 ………………。


 ………………。


 ………助けて先輩っ!?




〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓


雷雲と共に降臨した創造神カグン。
再び簀巻きにされた女神ヘルベティア。
再び土下座するリーベラ。
心の中でソウシに助けを求めるトーイチ。
次回【カグン、大地に立つ】

次回もよろしくお願いします。
 
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