異世界召喚されました……断る!

K1-M

文字の大きさ
上 下
114 / 225
教国残党狩り特殊精鋭部隊

JOU-SHOU

しおりを挟む
 
 魔王国アディス
 魔王城 客間


 ロボット好きの転移者とマッドサイエンティストが『グランZxーTd RⅡ』………通称『グランゼクサード・リツヴァイ』を完成させ「………フッフッフッ」「………クックックッ」とほくそ笑んでいる頃…

 トーイチの間借りした客間で女神ヘルベティアとトーイチの従魔でリッチのリーベラがテーブルにスナック菓子を広げていた…。

「………しかし」ポリポリ
「………本当に」パリパリ

「………日本の」ポリポリポリポリ
「………美味しいですね」パリパリパリパリ

 本来なら女神とリッチとはいえ元聖女であるリーベラの二人である。
 神々しいお茶会のような感じになっても良いはずなのだが、スナック菓子を広げたこの状況は何故かギャルギャルしい…。

「………次は…」ポリポリ
「あっ、コレも美味しそうですよ?」パリパリ

「そうですね。ではコレと…」ポリポリポリポリ
「コレはどんな味でしょう?」パリパリパリパリ

 謎の女神パワーにより何故かトーイチのタブレットを使いこなし、身を寄せながらお菓子のリストを閲覧している女神とリッチ…。

 もちろんレートは十倍のままで追加するのだが、支払いは当然トーイチなワケで…。
 説教確定である。

 そんな事はまったく気付かずに二人………いや、一柱と一体………二人でいいか。二人はテーブルに追加したお菓子を広げていった…。

 そして…

 そんな二人が…

 閲覧していたリスト内のある物に目をやる。

「………プリン?」ポリポリ
「………アイス?」パリパリ

「「………………」」ポリポリパリパリ

 二人は視線を合わせ頷く。

「「買いましょう!!」」チャリーン

 そして一瞬の躊躇いも無く購入。
 プリンは底の爪を折るとプルンとカップから出るお安めの物だったが、アイスは普通のカップの三倍くらいお高いアイスだった。
 レート換算で一つ3,000円である。

 二人はスプーンを装備し、いざ………と一すくいし口の中へ…

「………んんっ?」
「………美味しい」

 一つを直ぐに完食し追加購入。

「ふわぁ、コレも冷たくて美味しいです」
「こちらも変わった食感で甘くて美味しい」

 プリンとアイス…

 両方を食べ、その美味しさにヤられた二人は…

 当然…

 バリエーションを求めた…

 そして…

 説教レベルが上がっているのに気付かず…

 追加購入を繰り返した…

~~~~~~~~~~~~~~~~

 ふとリーベラが言葉を漏らす…。

「美味しいですけど買いだめしても保存出来ませんねぇ」

 保存出来ればトーイチに大量買いしてもらう手もあるのだが…と。
 コレに女神ヘルベティアは…

「フフフ………日本には『冷蔵庫』という物が在るんですよ。………って、こちらの世界にも保存の魔導具、在りませんでしたっけ?」

 比較的、というか過去の勇者など日本からの転移者達のおかげで食が豊かな方なこの世界である。
 それなりに保存方法なども発達しているはずだが?と…。

「そうですね『冷蔵』はあるのでプリンは平気そうなんですけどね…」

「なるほど………アイスは『冷凍』じゃないと…」

「『冷凍』の魔導具は魔法技術も錬金技術も結構難しいんですよね…」

 真面目な口調で話すリーベラだが、中身はアイスが保存出来ないと困る、という内容である。
 そして…

 女神ヘルベティアは…

「………大丈夫ですよ」

 ぐっ、と力強い眼差しでリーベラに視線を合わせる。

「このリストにある日本の冷蔵庫は『冷凍』も完備です」

 ニコリ、と今度は柔らかい笑顔に変わる。
 それは、さすが女神様!と言わんばかりの笑顔なのだが………その冷蔵庫代は誰が負担するのか分かっているのか、いないのか…。

 そしてリストを閲覧する二人。
 日本の家電………それもピンきりの幅がかなりある物である。
 しかし、そんな事は気にしていない………というより知らない二人は…

「こっちの方が容量が大きいですね…」ポリポリ
「こっちは色んな機能が付いてますね」パリパリ

 高い方へ高い方へとリストが進んでいった…。

 そして気付くリーベラ…。

「そういえばコレ…」

「………どうしました?」

「………魔石とか動力はどうなっているんですか?」

 ………値段じゃなかった。

「それはもちろん『電気』で………あっ」

「………『電気』?」

「そうでした………『電気』が無いと動きませんね。どうしましょう…」ポリポリ

 悩みながらもスナック菓子に手を伸ばす女神ヘルベティア。

「『電気』………魔法や魔石じゃない動力…。………あっ」パリパリ

 考えながらもスナック菓子に手を伸ばすリーベラ。
 何かに気付いたのか、女神の持っているタブレットを指指す。

「………コレ…ですか?」ポリポリポリポリ

 片手でタブレットを軽く持ち上げつつ、もう片方の手はスナック菓子を口に運ぶ。

 コクンと頷き、スナック菓子を運ぶ手を止めるリーベラ。

「ソレは動いているんですか?」

「それはもちろん、トーイチさんの………魔力…で…」

 はっ!?と気付いた顔を見せる女神ヘルベティア。口元にはスナック菓子の粉やらが付いているが。

「………という事は、この『冷蔵庫』も可能でしょうか?」

 神妙な面持ちで女神に尋ねるリーベラ。
 話の要はアイスが保存出来るかどうかである。

 そして、この問いに女神は…

「(この『タブレットPC』というスキルを改変。家電を魔力充填式にして購入可能に………)」

 ニヤリ………と女神がしてはいけない様な笑みを見せ答える。

「フッフッフッ………可能です」

「やった!」



~~~~~~~~~~~~~~~~


 こうしてトーイチの知らないところでスキル『タブレットPC』は『タブレットPC:EX』とアップグレードされた。

 もちろんトーイチが客間に帰ってきた時に部屋にそこそこ良い冷蔵庫が鎮座していた事は言うまでもない。

 そして女神ヘルベティアとリーベラが簀巻きにされ、客間の窓から一昼夜吊るされていたのは誰もが見なかった事にした。

 さらに…

「購入レートが十倍のままなんですけどっ!?」

 レートをそのままに、そこそこ良い冷蔵庫を購入していた事がバレてO・SHI・O・KIが一日延長した事も言うまでもない。



〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓


トーイチのスキル、アップグレード回?
ストーリー関係ない話がなぜかいつもより長め。
サブタイは説教レベルの事。
今回の関連話はまた次回で。

次回もよろしくお願いします。
 
しおりを挟む
感想 1,255

あなたにおすすめの小説

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

超越者となったおっさんはマイペースに異世界を散策する

神尾優
ファンタジー
山田博(やまだひろし)42歳、独身は年齢制限十代の筈の勇者召喚に何故か選出され、そこで神様曰く大当たりのチートスキル【超越者】を引き当てる。他の勇者を大きく上回る力を手に入れた山田博は勇者の使命そっちのけで異世界の散策を始める。 他の作品の合間にノープランで書いている作品なのでストックが無くなった後は不規則投稿となります。1話の文字数はプロローグを除いて1000文字程です。

うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました

akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」 帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。 謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。 しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。 勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!? 転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。 ※9月16日  タイトル変更致しました。 前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。 仲間を強くして無双していく話です。 『小説家になろう』様でも公開しています。

人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)

葵セナ
ファンタジー
 主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?  管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…  不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。   曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!  ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。  初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)  ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。