異世界召喚されました……断る!

K1-M

文字の大きさ
上 下
109 / 225
VS王国+勇者

アオルモノタチ

しおりを挟む
 
 本日、無事『異世界召喚されました………断る!』が発売されました。
 イラストレーターはふらすこ様です。
 今後もよろしくお願いします。

〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓

 ルセリア帝国 ベルセの街 
 冒険者ギルド訓練場


「もちろん俺は………聖槍も聖剣も使わない」

 それはもう、余裕たっぷりに………見下すかのように身体を反らせて、言う。

 王国騎士団のほぼ全員から「ぬぐぐっ」やら「平民が…」やら聞こえるが、誰もショウの提案した一対一タイマンを受けようとはしない。

 それも当然といえば当然の話である。
 ショウは聖戦士として王国最強の兵士である………いや、今はあった………事は周知の事実。
 武器を持たない………程度のハンデでは勝ち目が無い事は分かっていた。

 ショウが少し待つも、騎士団員は動かない…。

 そこへ救いの言葉………いや、悪魔の誘いが投げられる。

「駄目ですよ隊長」

「もう隊長じゃねえっ………てお前も治ってないじゃないか」

「彼らへのハンデが武器無しで一対一タイマンなんて危ないじゃないですか」

「無視っ!?」

 ショウを無視して話を進める元副隊長に王国騎士団は「いいぞ」やら「もっといってやれ」等と思っているが…

「その程度のハンデじゃ彼らがボロ負けするのは目に見えているでしょう?どうせなら武器無しで、私達二人対全員………このくらいにしないと」

「「「………………」」」

「………ぷっ。………言うねぇ、お前も」

 王国騎士団は沈黙しつつも怒りの感情が溢れだす。しかし…

「あっ、そうだ。刃を潰した武器も渡してあげたほうが彼らには安全ですね」

 元副隊長はさらに煽る………口元を歪め、薄い笑みを浮かべながら…。
 
「はっはっはっ………それは良い。そうだな、武器は渡してやった方が良いなっ」

 そしてソレに乗り、こちらもさらに煽るショウ。
 
 そして王国騎士団には平民にこれほど馬鹿にされキレない人間はいなかった…。
 貴族だ平民だと気にせずによく考えれば、こんな事にはなっていないと気付くこともなく、これから起こることも分からず…。

 一応………武器が渡されるまでは大人しくする。
 キレつつも怒りをコントロールし、有利な状況にしようとする。
 
「「「………………」」」

 眉は吊り上がり、顔は怒りで若干赤い。
 だがそれでも………まだだ。武器を受け取り、状況を良くし、全員でこの二人を………その思いで抑える。

 王国騎士団員の思いはほぼシンクロしていた。

 しかしショウと元副隊長の二人は…

「はっはっは………見ろよ、武器を渡されるまで我慢するつもりだぜ?アレ…」

「その程度の冷静さは持ち合わせているのですね。もっとアホな奴しかいないと思っていました………ぷっ」

「ぷふっ………そもそも全員でやれば俺達に勝てると思ってる時点で相当アホだろ」

「ですね………ぷっ」

 さらにさらに煽る。
 そしてこの場にいる騎士団員は…

「「「(絶対にコロスっ!!)」」」

 言葉にはしていないが完全にシンクロしていた…。


~~~~~~~~~~~~~~~~

 ギルド員から刃を潰した武器が届けられ、王国騎士団員に手渡る。
 全員が武器を持ったのを確認して第二・第三騎士団団長が声を発する。

「聖戦士ショウとその副隊長………国を裏切っておきながら我らをここまで愚弄したこと………後悔するがいいっ!!」
「我ら王国騎士団の誇りに掛けて………貴様らを討つ!覚悟するがいいっ!!」

 キレながらも溜めた怒りを発散するかのように、そして二人に思い知らせる為に、口上を述べる団長達…。
 対して二人は…

「………ブハッ………聞いた?あの口上?」
「笑っちゃ駄目ですよ隊長。全員に武器が渡ってちょっと調子に乗っちゃっただけなんですから………ぷっ」

「だよなぁ。言うんなら最初に言えってんだよな………ぷっ………あっ、武器持って無かったからビビってたのか」
「ぷふっ………隊長、そんな………ぷっ………分かりきったこと言ったら………ぶふっ」

「後悔するがいいっ!!キリッ」
「ぷっ………」

「覚悟するがいいっ!!キリッ」
「ブハッ………キリッて口で言わないで………ぷっ………ください」

 盛大に…

 それはもう盛大に煽っていた…。

 いや、もはやふざけていた。

 ………王国騎士団は全員が怒りで身体を震わせていた。
 そして…

「「………………殺せっ!!」」

 二人の団長の言葉に………叫びに反応し、震えが止まると同時に…

「「「………ウオオオオッ!!!」」」

 一斉に………

 攻撃に動き出した…



〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
 

シリアスさん再襲来と見せかけてシリアスさんに似た何かだった?

次回もよろしくお願いします。

※でえた編の下に番外編として書籍化記念SS同時投稿しました。よければご覧下さい。
 
しおりを挟む
感想 1,255

あなたにおすすめの小説

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

超越者となったおっさんはマイペースに異世界を散策する

神尾優
ファンタジー
山田博(やまだひろし)42歳、独身は年齢制限十代の筈の勇者召喚に何故か選出され、そこで神様曰く大当たりのチートスキル【超越者】を引き当てる。他の勇者を大きく上回る力を手に入れた山田博は勇者の使命そっちのけで異世界の散策を始める。 他の作品の合間にノープランで書いている作品なのでストックが無くなった後は不規則投稿となります。1話の文字数はプロローグを除いて1000文字程です。

うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました

akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」 帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。 謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。 しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。 勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!? 転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。 ※9月16日  タイトル変更致しました。 前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。 仲間を強くして無双していく話です。 『小説家になろう』様でも公開しています。

人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)

葵セナ
ファンタジー
 主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?  管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…  不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。   曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!  ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。  初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)  ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。