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VS王国+勇者
マウモノタチ
しおりを挟むルセリア帝国~ポークレア王国
国境付近 ベルセ側
冒険者ギルド・ベルセ支部長ステルクはCランク以上の冒険者を集め、国境付近に展開して野営していた。
その中にはリュウジ・ベルウッド、クラウ・ベルウッド両名の顔も見える。
そしてその両名は当然というか、国境に一番近い場所でステルク支部長と共に野営をしていた。
「いやぁ、お前ら二人がいるなら俺は楽させてもらえそうだな」
「支部長………俺達は枠で言えば一般人なんですけど?」
「支部長………わたしのタレ、勝手に使わないで」
どうやらベルウッド夫妻は既に『冒険者』ではないようだ。
そしてクラウ・ベルウッドの用意したタレを自分の焼いた肉に勝手に使い舌鼓を打つステルク支部長。
タレはもちろんトーイチから買ったアレである。
「………美味いなコレ」
「………当然」
「話を聞け支部長。………あとクラウ、ドヤ顔止めような…」
ヤレヤレ…と首を振るリュウジ・ベルウッドを他所に二人は肉を食べる為にトングでの剣戟を繰り広げ始めた。
『カンカン………カカカンッ!』
「ふっ………隙ありっ!」
「あっ?俺の育てた肉っ!?」
「………………はぁ」
今度はガックリと肩を落とし嘆息するリュウジ・ベルウッド。
トングによる剣戟の音を聞きながら、国境に視線を移す。
「(来るなら早く来てくんねぇかなぁ…)」
『カンカン………カカカンッ!』
「………あっ?」
「………ん?」
「隙あり」
「ああっ!?また俺の肉っ!?」
「(………マジで早く来てくんねぇかなぁ)」
リュウジ・ベルウッドは気付いていなかった…。
このトングの剣戟の原因がタレにあることは分かっていたが、トーイチが持ち込んだことが大元の原因であることに…。
そして、ソレと同じことが父であるソウシ・ベルウッドが出来るようになったことを…。
翌日
朝食を済ませ、少しまったりした空気になっていた冒険者達。
その最前線にいるステルク支部長とベルウッド夫妻も警戒はしつつも少し緩い空気に力を抜いていた。
いや、力は最初から入れてはいなかったかもしれないが…。
ちなみに国境は被害がでないよう、警備兵達は退避済み。門も閉めてはいるものの閂や鍵といったものは掛けていない。
「壊されても後が面倒…」とはステルク支部長の弁である。
そして…
「リュウジ、コーヒー飲む?」
「ん?ああ、飲む…」
「………俺のは?」
「………ふぅ。さすがクラウ、ちょうど良い苦味と香りのコーヒーだ…」
「ふっ………リュウジの好みは万全。例え野営地でも当たり前の味で出すのは妻の務め」
「無視しないでくれるっ!?」
「「支部長、うるさい」」
少し緩い………いや、ゆるっっっゆるな空気の中、国境に異変が起こる。
いや、正確には国境の王国側に…。
『ズドオォォォンッ!!』
大きな爆音と共に…
『ズドオォォォンッ!!』
王国騎士団と思われる…
『ズドオォォォンッ!!』
多数の人間が…
『ズドオォォォンッ!!』
国境の壁よりも高く…
『ズドオォォォンッ!!』
舞っていた…。
爆音が止み、新たに打ち上げられる騎士団の姿も見えなくなってから少し経つと、国境の門が開き始めた。
ベルウッド夫妻は警戒を強め、ステルク支部長は両手を腰に当て余裕を見せる。
「「………………?」」
ベルウッド夫妻はそんなステルク支部長を見て…
「「(何ニヤけてんだ、このオッサン…)」」
と思ったそうな…。
「ゴメンねっ!オッサンがニヤけててっ!」
「「おっと…」」
どうやらベルウッド夫妻の心の声は漏れ出ていたらしい。
そして国境の門は開き、人影が増えていく。
その人影を確認し、ステルク支部長は剣も抜かずに近付こうと歩き始めた。
「ん?………支部長?」
「大丈夫………味方だ」
リュウジ・ベルウッドの声に振り返り、そう応えるステルク支部長。
「「………味方?」」
二人して首を傾げるベルウッド夫妻を置いて、テクテクと門に近付き、ステルク支部長は声を掛ける。
「ようっ、ショウ!無事で何よりだ………が、ソレは?」
元王国軍最強の兵士・聖戦士ショウ・ザ・マインに挨拶をすると共にショウが引きずってきた者を指差し問いかける。
「ようっ、支部長!コレは…」
第二・第三騎士団の団長と副団長、それと王国貴族の時期当主予定の奴らだけ連れてきた…と説明するショウ。
そして、その騎士団長含む騎士達全員が足首を持たれ引きずられていた…。
「「「(後頭部がヤバそうだな…)」」」
三人がそう思ったのは言うまでもない…。
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
ベルウッド夫妻(若)=冒険者引退済
トング戦=クラウ>ステルク
焼き肉のタレ=最強
VS王国騎士団はバトル全カット。と、なりました。書くのが面倒とかは思っていません。ホント
サブタイの【マウモノタチ】だけだと格好良さそうなのに中身は…。
次回もよろしくお願いします。
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