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VS王国+勇者

キョウトウスルモノ

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 魔王国アディス
 魔王城 正門前


「………この力は…。………良くないな…」

 項垂れるシュウヤから溢れる力を感じ、マサシは自身の『能力制限《リミッター》』を一つずつ外していく。

 今の状態のシュウヤを倒せば良さそうなものだが、ソレはソレで行き場を失った『力』は容れモノを求めて動くだろう。
 そう予測し、攻撃を控える。

 実際にそうなっていれば、マサシの予測通りに『力』はこの場を離れ、この世界の誰かに…もしくは何かに取り憑いていただろう。
 ソレはシュウヤに憑くよりも厄介なことになりかねない為、マサシの判断はある意味で正しかったかもしれない。

 しかしこのままにするという事は『勇者』の力を使われるという事であり、本来なら避けるべき事態である事に変わりはない。

 そう………本来ならば、の話しである。
 しかし…








「おうおうおう………厄介そうな事になってんなぁ」

 しかし今ならば、この場に『ソウシ・ベルウッド』がいる。
 ソレは…

 この世界で最強の一角が二人もいるからこそできる選択であった…。



~~~~~~~~~~~~~~~~



 魔王城 正門前



「おうおうおう………厄介そうな事になってんなぁ」

 俺はそう言い、マサシの隣に立つ。

「そう言う台詞は缶ビールを持たないで言ってもらえませんかね?」

 おっと…。
 トーイチがいないから缶ゴミとかビニールとかむやみに棄てられないんだよな…。

 取り敢えず今のマサシの言葉は無視して…

「お前がリミッター外すくらいだ…ヤバそうか?」

「無視ですか…まあ良いけど…。そうですね…直感的にはそれなりにヤバいかな?と…。まあリミッターも全部は外しませんし…」

 それなり………か。
 なら… 

「今ならソウシさんもいますしね。手伝ってくれるから、こっちにきたんでしょ?」

 何だ………分かっているじゃないか…。

「ああ………そのつもりだ!」

 俺は『ガシィッ』と左右の拳をぶつけ、勇者に視線を移した…。




~~~~~~~~~~~~~~~~



 魔王城 正門前


「ああ………そのつもりだ!」

 ソウシさんの協力が確定して一安心。
 俺とソウシさんは勇者シュウヤ・アーク・ルティマに視線は移す。

「さすがにルシファスに戦わせるワケにはイカンしなぁ…」

「俺もですけど『魔王特攻』持ちにはぶつけれないですもんね…」

「………だなぁ。厄介だな、『勇者』」

「………ですね」

 なんてことなく会話をするが、俺もソウシさんも戦闘準備を進める。

「そういえばヴィーネさんは?」

「あ?多分もう一人敵がいたから、そいつ追ったんだろ?お前なら感知できるだろ?」

「………あ、本当だ。裏門にいますね………ってルシファスも一緒にいるな…」

 ………で敵の奴だけど…。
 コイツだけ、何か………違う?………感じがするな。
 何だ………?

「もう一人の敵って………何か変な感じがするんですけど…大丈夫ですか?」

「………まあ、大丈夫だろ?ルシファスがいるなら尚更…な」

 まあ、そうだろうけど…。
 


 そして、戦闘準備を終わらせ勇者シュウヤ・アーク・ルティマの変化を待つ…。

「おっ?ソウシさんの『ソレ』………久しぶりに見ましたね」

「だろ?俺も久しぶりだからな」

 と言い、拳を打ち合わせる。
『ガキンッ』と音を鳴らす『ソレ』はソウシさんの拳を覆い、手首まで包んでいるグローブタイプの武器。


『破拳』
 拳部分はオリハルコン製、甲部分はアダマンタイト製の金属を、手袋部は龍革を使用した専用装備である。
 ちなみに指ぬきタイプの為、若干厨二臭がする。


「お前もその『聖剣』………なんつったっけ?」

「『クラルシュヴェルト』です…」

「それそれ………相変わらず覚えにくいな」

「………………まあ、否定はできませんね」

「だろ?まあいいや。その『聖剣』も久しぶりに見たなって…」

「ですね。俺も久しぶりに使いますから…」




 そして…




『黒い光』と『力の奔流』が終息していき、勇者シュウヤ・アーク・ルティマに集束していく…。









「………ああ、コレは面倒そうだな」

「………ですね………コレは面倒そうだ」

 取り敢えず様子見で、話しをしてみようか…。
 


 
 会話になるかな?






 無理そうだな…。

 




 ソウシさんもいるし…。




 

「………マサシ、お前…今何か…」

「何も考えてませんよ、ええ何もっ!」

「………………」

「………………」

「………後で説教だな」

「何でっ!?」





~~~~~~~~~~~~~~~~



 魔王国アディス
 ?????
 
 
 その頃…。
 北の衛生都市を目指し、街道を歩くトーイチは…。

「………はっ?先輩が厨二臭い武器を装備している気がするっ!?」

 そして…





 ………どうしよう、ちょっと気になる。
 見に行こうかな?どうしようかな?

「………………」

 いや、止めておこう。
 きっと何かやらされる…。



 ………と対先輩専用の直感が働き思い留まり、移動を再開した…。



〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓



『能力制限《リミッター》』=チャクラとか八門◯甲的な
先輩=シュウがいなくなっているのに気付いてた
破拳=拳部分のオリハルコンは一つずつ四つ付いてるタイプ。繋がってないし尖ってない
対先輩専用の直感=スキルではない


マサシの『能力制限《リミッター》』やら先輩の『破拳』などが新登場。
主人公にも出番が…。

次回もよろしくお願いします。
 
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