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VS王国+勇者

動き出す転移者たち

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 魔王国アディス
 魔王城 城門前


 魔王国の北にはまだ良い温泉がある、と聞き俺は進路を北に決めた。
 大陸の最北端ということでかなり寒いらしいが雪景色の中で入る温泉は最高、との事で「行くしかないでしょう!」と俺は思ったワケだ。

 当然先輩は…

「北の露天かぁ………行くし」「そろそろ戻らないとリサに怒られるわよ」「トーイチくん、土産を頼むっ!」

 着いてこようとしていたが、速攻で意見を変えた………いや、変えさせられていた。
 弱いなぁ(笑)

 そして新たに俺の従魔になったリーベラは…

「もちろん御主人様が行くならわた」『ガシィ…メキメキ…ミシ…』「お前は、魔王城に、就職した、だろっ!」「痛い痛い痛いっ…メキメキいってる…ミシミシいってるっ!?」

 先輩直伝のアイアンクローで黙らせた。

 魔王様は人事の件で緊急の会議の為、見送りに来れなかったとはヴィーネさんの弁。
 いや、魔王が一般人の見送りに来ちゃ駄目でしょ…。
 
 こうして俺は首都サタニアを離れ、北へ進路を取り歩き始めた。





 城門の傍らでリーベラは倒れ、頭から『シュ~』っと煙を出しているが…

「リーベラ、大丈夫かしら?」
「『シュ~』って煙出してんだから『再生』してんだろ?」
「トーイチくん、容赦ないわね…」
「だな(笑)」

 と会話するベルウッド夫妻は、特に介抱したりはしない。
 俺が聞いていれば間違いなく、こう言うだろう…。

「あんたらに言われたくない」と…。




~~~~~~~~~~~~~~~~


 ポークレア王国
 王城 謁見の間


 ベルセ襲撃に失敗したものの、諦めない王国側は勇者シュウヤを謁見の間へ呼び、今後の展開についての話をしていた。
 王国側にもベルセにベルウッドがいたとの情報が入っている為、シュウヤを責める事はないものの、次はどうするのか?というところである。

 王国側にしてみればベルセを攻めて失敗。ベルウッドに短期間で二度も敗北しているのだが、次は攻めてこられるのではないか?とベルウッドの報復に戦々恐々としているワケだ。

 ソレを見てシュウヤは思う。

「(国の重鎮達がアタフタしちゃって…だらしないなぁ)」ヤレヤレ

 そんな中、国王ポークレア十三世が口を開く。

「…してシュウヤ殿。この後の動きは…」

「そうですね………細かいところは詰めてないのですが…」

 と前置き、作戦を提案する。

「ベルウッドが戻っていた、という事は情報が間違っていたと言うより、何らかの方法…例えば『転移』…を使ったとすれば辻褄が合うでしょう。ならば、また戻せば良い…。」

 シュウヤは一呼吸置き…

「次はボクが『転移』で魔王城に出向きます。そうすればベルウッドは魔王城に戻る事になり、ベルセが空きます。ソコに王国軍で攻め込めば間違いないでしょう?」

『ニヤリ』と笑みを浮かべるシュウヤ。
「おぉ、それならば…」と王国の重鎮達。

 しかしシュウヤは話さない…。

 襲撃時にスタンピードが起きていた事。
 そしてそれを撃退する戦力がベルセにあった事。
 それも東西のスタンピードを同時に対応できる程だという事を…。

「(ま、王国がどうなろうとボクには関係ないしね…。ボクが楽しめればソレで良い…)」

 こうして、大まかな王国側の作戦が決まった。
 勇者の持つ悪意に誰も気付かないまま…。


 

~~~~~~~~~~~~~~~~


 ルセリア帝国
 ベルセの街 ベルウッド商会


「………そういえばお父さん」

「ん?」

「………ミスリルの剣、どうしたの?」

「………え"っ」

「ミ・ス・リ・ル・の・け・ん、どうしたのっ!?」

「………いや、あの、その…」アセダラダラ

「答えないと今日の晩ごはん抜」「敵に折られちゃいました、ごめんなさいっ!」

「………もう、それならそうと早く言ってよね…新しい剣、必要でしょ?」

「………リサ」ウルウル

「剣の代金はお小遣いから天引きするからね」

「リサぁっ!?」ナミダブワワァ



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トーイチ=何故か北へ
リーベラ=初アイアンクロー
シュウヤ=魔王国へ
リュウジ=お小遣い減額(期間限定)


主人公、雪見露天風呂を目指し動き出す。
サブタイの転移者たちはトーイチとシュウヤです。
主人公は何処に動いているんだ?

次回もよろしくお願いします。
 
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