異世界召喚されました……断る!

K1-M

文字の大きさ
上 下
77 / 225
VS王国+勇者

ベルセ襲撃 戦闘終了後④

しおりを挟む
 
 魔王国アディス
 魔王城 応接室


「初めまして、トーイチ・ムラセと申します。いつも先輩がお世話になってます」

「ルシファス・ヴィ・サタニアです。魔王やらせてもらってます。いつも義兄さんがお世話になってます」
「何で俺がお世話されてる感じなんですかねっ!?いつもって何っ!?」
「………………プッ」

「………………ヴィーネ、今笑ったろ…」
「笑ってないわよ?」

 と魔王様との初邂逅も終え、先輩イジリもそこそこに本題に入る。

 



 本題………それは先輩に押し付けようと思ったリッチを、先輩は魔王に押し付けようとしていた。





 というワケで魔王様とリッチさんの御対面である。

「初めまして魔王様、リッチです」

「リッチです」って自己紹介もシュールだな…。

「………君が『リッチ』?」

 まあ見た目は金髪翠眼巨乳前スリット法衣だからな…どんだけ属性盛ってんだっ!?って話だけれど………えっ?違う?

「………あっ、私『魔力遮断』スキル持ってますんで、今も使ってます。リッチなんで禍々し過ぎるみたいなんですよね、私の魔力…」

「エヘヘ…」と笑うリッチさんはあざとい。

「………で魔王城で研究職的な形で働けないか、という事ですね?」

「ああ、実際は俺の従魔術で契約しての召喚獣扱いだから行動は縛れるし、安全だとは思います」

「………ふむ。それなら、まあ…。ちなみに何の研究を?」
「主に魔道具と魔法ですね。ここが魔王国なら、そうですね………私、元聖女なので『光・聖属性耐性』の物とか作れますよ」

「「「「リッチなのにっ!?」」」」



 何このビッ………リッチさん有能。
 連れて歩く気はないけれど…。






 魔王城 城門

 というワケでリッチさんの就職が決まった。
 脳筋の多い魔王国では魔道具の研究・開発があまり盛んではないようで、いきなり主任待遇という破格の条件である。

「じゃあ給料はお前の好きにしていいから」

「トーイチさん…」

「………何だ?」

「契約してください」ニッコリ

「………チッ、ばれたか」

 このまま帰ろうと思っていたのに、さすがにスルーしきれなかったか…。
 しかし契約となると名付けをしなくてはいけないのだが…。
 俺に?
 女子の名前を?
 つけろとっ?
 


 いやいや、無理だろう…。
 どうしよう…。
 いや、今この場には他にも人がいる!
 相談だなっ!

 俺は光の速さで振り向き話しかける…。

「先輩たち、よさそうな名前ないで………す……か…」

 と声を発した時には、さっきまでそこにいた三人は城内に入り、扉を閉めようとしているところだった…。




「ちょっと待ってえぇっ!!」







 俺が『縮地』で城内に滑り込んだのは言うまでもない…。



~~~~~~~~~~~~~~~~


 ルセリア帝国
 ベルセの街 冒険者ギルド


 ステルク支部長が王国兵をスカウトしたとの事で、事情を聞くため、俺はベルセ支部にきていた。

「では支部長、聖戦士ショウ達元王国兵は後日冒険者になると言うことで話がついたと…?」

「はい。あいつらは人族至上主義なんかどうでもいいみたいです。もちろん貴族至上主義も…」

「まあ支部長が認めているのなら構わないか…。でショウの戦闘力はどんなだったのかな?」

「強いですね。まだ本気ではなかった様ですし」

 元S級の支部長が言うのなら間違いはなさそうだな…。

「支部長より?」

「………なんとも言えません。ただ…」

「ただ?」

「本気で闘りあったらどちらかは…」

「………そうか」




「ま、あいつらは大丈夫ですよ」

 その支部長の言葉を聞き、大まかな指示を出し、俺はベルセ支部を後にした。
 
 さて、ベルウッド商会に行かないとな。


~~~~~~~~~~~~~~~~

 ルセリア帝国
 ベルセの街 ベルウッド商会


 戦闘終了後に家に帰りリサから「お帰り」の言葉をいただき、満足して休息を取った。

 翌日、マサシさんが本店に来たので応接室に通してもらう。

「悪いな戦闘の翌日に」

「いえ。で聞きたい事は?」

「話が早くて助かる」

 マサシさんは一呼吸空けて…

「昨日は細かい事は聞かなかったがお前が倒した奴は…」

「勇者シュウヤの剣………そう言っていました。恐らく…」

「ああ、勇者が別口で召喚した勇者直属の部下だろうな…。多分、姿を消した奴も…」

「でしょうね」

「………他に何か分かったことはあるか?」

「………特に無いですね。戦った奴は戦闘狂のきらいがあったので目的とかもあまり喋らなかったですし…」

「………そうか。いや、ありがとう」

「すみません、あまり重要な情報がなくて」

「構わないよ。それよりお前が無事で良かったよ」

 マサシさんは「じゃあ俺は皇都に帰るよ」とお茶を一杯飲んで帰っていった。
 ………走って。

 ギルドマスターって職は大変だなぁ…そう思いました。



〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓


トーイチ=何気に魔王様と初対面
先輩=問題児
リッチさん=有能&属性大盛
職業:ギルドマスター=ブラック

魔王様とは初対面だったんですねぇ。
ニアミスはありました。

次回もよろしくお願いします。
 
しおりを挟む
感想 1,255

あなたにおすすめの小説

5歳で前世の記憶が混入してきた  --スキルや知識を手に入れましたが、なんで中身入ってるんですか?--

ばふぉりん
ファンタジー
 「啞"?!@#&〆々☆¥$€%????」   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜  五歳の誕生日を迎えた男の子は家族から捨てられた。理由は 「お前は我が家の恥だ!占星の儀で訳の分からないスキルを貰って、しかも使い方がわからない?これ以上お前を育てる義務も義理もないわ!」    この世界では五歳の誕生日に教会で『占星の儀』というスキルを授かることができ、そのスキルによってその後の人生が決まるといっても過言では無い。  剣聖 聖女 影朧といった上位スキルから、剣士 闘士 弓手といった一般的なスキル、そして家事 農耕 牧畜といったもうそれスキルじゃないよね?といったものまで。  そんな中、この五歳児が得たスキルは  □□□□  もはや文字ですら無かった ~~~~~~~~~~~~~~~~~  本文中に顔文字を使用しますので、できれば横読み推奨します。  本作中のいかなる個人・団体名は実在するものとは一切関係ありません。  

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います

霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。 得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。 しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。 傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。 基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。 が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた

佐藤醤油
ファンタジー
 貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。  僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。  魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。  言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。  この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。  小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。 ------------------------------------------------------------------  お知らせ   「転生者はめぐりあう」 始めました。 ------------------------------------------------------------------ 注意  作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。  感想は受け付けていません。  誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。

超越者となったおっさんはマイペースに異世界を散策する

神尾優
ファンタジー
山田博(やまだひろし)42歳、独身は年齢制限十代の筈の勇者召喚に何故か選出され、そこで神様曰く大当たりのチートスキル【超越者】を引き当てる。他の勇者を大きく上回る力を手に入れた山田博は勇者の使命そっちのけで異世界の散策を始める。 他の作品の合間にノープランで書いている作品なのでストックが無くなった後は不規則投稿となります。1話の文字数はプロローグを除いて1000文字程です。

うっかり女神さまからもらった『レベル9999』は使い切れないので、『譲渡』スキルで仲間を強化して最強パーティーを作ることにしました

akairo
ファンタジー
「ごめんなさい!貴方が死んだのは私のクシャミのせいなんです!」 帰宅途中に工事現場の足台が直撃して死んだ、早良 悠月(さわら ゆずき)が目覚めた目の前には女神さまが土下座待機をして待っていた。 謝る女神さまの手によって『ユズキ』として転生することになったが、その直後またもや女神さまの手違いによって、『レベル9999』と職業『譲渡士』という謎の職業を付与されてしまう。 しかし、女神さまの世界の最大レベルは99。 勇者や魔王よりも強いレベルのまま転生することになったユズキの、使い切ることもできないレベルの使い道は仲間に譲渡することだった──!? 転生先で出会ったエルフと魔族の少女。スローライフを掲げるユズキだったが、二人と共に世界を回ることで国を巻き込む争いへと巻き込まれていく。 ※9月16日  タイトル変更致しました。 前タイトルは『レベル9999は転生した世界で使い切れないので、仲間にあげることにしました』になります。 仲間を強くして無双していく話です。 『小説家になろう』様でも公開しています。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。