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VS王国+勇者

ベルセ襲撃①

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 ルセリア帝国
 ベルセの街


「………何か騒がしいな」

 今日は特に先輩に呼び出される事もなく、平和な一日だった。
 というワケで宿での夕食を早めに済ませ『転移』で異世界に来てから着いた初めての街『ベルセの街』に跳んだ。

 目的?
 言わせんな恥ずかしい。
 
 そんな感じで意気揚々と跳んで来たのだが、何やら街が騒がしい。
 気のせいか?
 と思っていると…

「………………あ」

 ん?
 と振り返ると、そこには冒険者ギルドベルセ支部の受付嬢ティリアさんがいた。

「………………」

「………………」

「………………トーイチさん?」

 違いますよ………さすがにそう答えるのはどうかと思い…

「………ご無沙汰してます?」






 話を聞くと、どうやら小規模なスタンピードが複数確認され、その全てがベルセに向かって来ているという、前例の無い事態が起こっているらしい。

 突然の発生に冒険者ギルドも対応が追い付かず、それでも何とかしようと奔走中に俺と会ったらしいのだが…

「何で疑問系だったんですか?」ジト

「………………」

 ソレは今はいいんじゃないかなあ、とトーイチは思うんだ、うん。

「………まあソレは今はいいです」

 ですよね。

「トーイチさん、人数も準備も間に合っていないんです。力を貸して貰えませんか?」

 最初に来た街だし、この街にはカーク達やリサさんもいる。
 オッサンとしては若い奴らに怪我とかしてほしくないし、最悪な事になるのなんかもっての他だ。

 それに眼鏡美人受付嬢に頼まれたら、こう言うしかあるまい?

「………任された」

 




 
 先輩、呼んで来ようかな?
 そう思ったが、そうすると遊びに来たのがバレるのでやっぱり止めたのは言うまでもない。



~~~~~~~~~~~~~~~~


 ルセリア帝国ベルセ
 ベルウッド商会本店


「………お父さん、気をつけてね」

「ああ。クラウ、リサと店の守りは頼んだぞ」

「了解。あなたも気をつけて」

「ああ。じゃ、行ってくる」

 突然のスタンピードの発生。
 このタイミングだと王国絡みか?とも思ったが、そんな事は正直どうでもいい。
 
 俺は娘を守る為に商会を出る。

 どうでもいい、と思いつつも俺はベルセの王国国境側の南門へと向かう。
 このタイミングでまさかな…と思わないでもないが、念のためだ。
 ソレに…

「マサシさんもそろそろ来るだろうしな」

 冒険者ギルドベルセ支部は対応に追われているだろうし、複数箇所の同時発生に冒険者の数も足りていないだろう。

「………何とかしないとなぁ」

 俺は体内の魔力を高め戦闘に備える。
 そして自分では気付かなかったが、口元は獰猛な笑みを浮かべていたらしい。



~~~~~~~~~~~~~~~~


 ルセリア帝国
 ベルセ近郊の街頭

 
 スタンピード発生の報を通信魔道具を通して聞き、ベルセの近隣各方面に応援を派遣する様に指示を出す。

「複数同時発生………」

 自然現象とは思えんな…。
 となると…魔王国の貴族派か。

「…チッ」

 舌打ちを一つ打つも現状は変わらない。
 俺は馬を近くの集落に置き、身体強化をして走り出す。

 このタイミングで王国が動くと厄介だが、貴族派とはいえ魔王国と手を結ぶとは考えられない。
 なら…

「………………誘導している?」

 何を?
 
 貴族派にとって厄介な事、者…

「………………ソウシさんか」

 しかしソウシさんは今、魔王国に行って…

「………………だからかっ!」

 だからベルセでスタンピードを起こした、ソウシさんを戻す為に。
 
 ちょっと無理矢理な推理だが辻褄は合っている、気がする。
 ただそれならば、今回の作戦は失敗だ。

 ベルセにはアイツがいるし、俺も向かっている。
 あと何故か…





「俺の感知だと、ベルセにトーイチさんがいるんだよなあ」

 


 何でいるんだろ?



~~~~~~~~~~~~~~~~


 魔王国アディス
 魔王城客間


 そして現在、絶賛蚊帳の外のソウシ・ベルウッドは…

『さようなら、天◯ん………どうか死なないで』
『ま…まさか………お…おまえ………』
『………………』
『やめろーっ!!!餃◯ーっ!!!!!』
『ドゥグォーンっ!!!』

「………………」グス
「………………」グス
「………………」グス 

 嫁と魔王と三人で泣いていた。




〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓


恥ずかしい=ホントに恥ずかしい
トーイチ=即見つかる
ティリアさん=久しぶりの出番
お父さん=名前…
ギルマス=感知済
先輩たち=『DBZ』視聴

新章に無事突入。
タブレットで三人で視聴って肩を寄せ合わないと無理ですね。

次回もよろしくお願いします。
 
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