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魔王国アディス 首都サタニア
首都到着
しおりを挟む魔王国アディス
魔王城執務室
カリカリカリカリ…。
ペッタンペッタン…。
本日も大量の書類仕事に忙殺される魔王って………はぁ、魔王辞めたい。
と無駄な事を考えつつも右手はペッタンペッタンと動かす。
チラッと横を見ると宰相も大臣も書類をカリカリと進めている………鬼の様な形相で。
怒ってんのかな?と思ったら忙し過ぎて顔が険しくなってしまっただけらしい。
えっ?私もたまになってる?
そうか…まあしょうがない、頑張ろう。
そうして今日も今日とて、未だ大量にある書類の処理に取り掛かっていると…
「………………っ!?」
「………………?」
「………………どうされました魔王様?」
このプレッシャー…。
「………………従姉さんが帰ってくる」
「………………っ!?」
「………………直ぐ城内に通達しますっ!」
「うむ。騎士団と軍の方にも頼む」
「はっ!」
「宰相は城下に通達を。特に冒険者ギルドには確実に頼む」
「はっ!」
私は直ぐに通達を頼む。
そう………ソウシ・ベルウッドへの手出し禁止令を。
「………………多分、無駄だろうな…」ハァ
いつもの事である。
~~~~~~~~~~~~~~~~
ルセリア帝国ベルセ
ベルウッド商会本店
「………………あれえ~、無えなぁ」
「お父さん、何探してるの?」
「おう、リサ。いや、昔使ってた装備を探してんだけどな…確かこの辺に…」
「ん~………………あぁ、それなら実家の物置に移したかも。黒の大剣と黒の胸当てでしょ?」
「おお、ソレだ。そっか、実家か…。じゃあ今日帰ってからで良いかな…」
「何で必要なの?」
「いや、ちょっと必要かな?と思って…」
「………………ふ~ん。何でもいいけど無理しないでね」プイ
「………………リサぁ~」ウル
リサは嫁には出さんっ!!
改めてそう思ったそうな…。
~~~~~~~~~~~~~~~~
ポークレア王国
王城団長室
「………………見たか?」
「………………ああ」
「あの二人、勇者が召喚したらしいんだが…魔法師団長から見てどうだ?召喚ってそんな簡単に出来んのか?」
「馬鹿を言うな。そんな簡単に出来るのであれば我々が勇者召喚にあんなに苦労する理由が無いだろう」
「だよなぁ」
「あの勇者…恐らくだが召喚に関するスキルでも持っているのだろう。そうでなくては説明がつかん」
「ふむ………やはり『隷属の首輪』、着けておいた方が良かったんじゃないか?」
「………………そうだな。だが今さらだ」
「だなぁ」
「それに…」
「それに?」
「首輪を着ける隙なんぞ無かったしな」
「ああ。ありゃステータスを偽装しているだろうな…間違いなく」
「………であの二人だ」
「少年兵の方………アイツは相当ヤるな。そっちの魔法使いは?」
「………底が見えん」
「………となるとショウが辞めたのは痛かったなあ」
「………………はっ!?」
「ん?」
「ショウって………あの聖戦士がか?」
「ああ、そのショウだ」
「聞いていないぞっ」
「だろうな。俺も昨日聞いた」
「お前が許可したんじゃないのか?」
「兵団の大隊長から聞いた。大隊長も魔王国からの手紙で知ったみたいだったぜ…」
「………はぁ。………辞めた理由は?」
「一身上の都合だと」
「そんな上部の理由じゃなく」
「………直接聞いたワケじゃないから知らんけどな、多分最後の任務でいろいろ限界を超えたんだと思う」
「………任務?」
「魔王国の特級ダンジョン『試練の洞窟』の踏破、そのダンジョンでのアイテム等の入手だとさ」
「………そりゃ辞めてもおかしくないな…そんな命令どこから…」アイター
「………………王」
「………………」ヤレヤレ
「………俺も『ガシィッ』………さて、訓練するかあ」カタツカマレ
「………頼むぞ、騎士団長」マッタク
~~~~~~~~~~~~~~~~
魔王国アディス
首都サタニア
ヴィーネFC本部の軍勢を先輩たちが吹き飛ばした(俺は突き立てた)後、しばらくして俺たちは首都アディスに到着した。
「「ヴィーネ様、お帰りなさいませっ」」
と城門から入るのは速やかに入れたのだが…
「「………………チッ」」ギラ
と先輩への怨嗟の籠った視線が多いのには、ちょっとビビった。
もちろん先輩は…
「………………あ?んだコラ、やんのかコラ?あ?」
とメンチを切り返し…
「………止めなさい」
『ゴスッ』
とヴィーネさんに拳骨を落とされるまでがワンセットだった。
しかし先輩、絡み方が昭和のヤンキーのままじゃないですか、ヤダー。
「俺らは城に行くけどお前はどうする?あ、泊まるトコなら城に用意してもらえるぞ」
「………」キラーン
良い質問です先輩。
もちろん俺はこう応える。
「城って柄じゃないし俺は宿探します。首都もゆっくり回りたいですし」
「そっか。んじゃ何かあったら連絡するは」
「それじゃあねトーイチくん」ヒラヒラ
こうして俺はソロの時間を取り戻した。
さて、リサーチを開始しますか。
そして魔王国首都での初戦。
ランカーの吸血鬼さんに敗北した…。
ありがとうございました。
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓
魔王=ニュータイプではない
お父さん=お義父さんと呼ばれる筋合いはない
隷属の首輪=着ける隙がありませんでした
辞表=受理されました
ランカーの吸血鬼さん=紅い瞳が素敵です
ランカー=何のランカーかは秘密です
ようやく首都に到着。
しかし初戦に敗北を喫した主人公。
果たして勝機はあるのか?
次回もよろしくお願いします。
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