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慕って

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俺がミリアリーゼに耳を責めらげふんげふん…耳打ちされて、公爵はソレを見て笑い転げ、シーバスが呆れていると、ノックと共にゼバスさんが応接室に入ってきた。

「………………」
「………………あっ」
「………何をしているんですか、まったく…」

ゼバスさんはカートを押していたので、どうやらお茶とお茶請けを持ってきてくれたようだが、この若干カオスな惨状に頭を振り、呆れを見せる。

…いや、あの、どうもすみません。

俺が心の中でゼバスさんに謝っていると、サササッと席に戻るミリアリーゼさんと公爵。
ゼバスさんは公爵にジト目をお見舞いしているが鳴らない口笛を吹いて、視線は明後日の方…。誤魔化しているつもりらしいが、もうあからさまである。

ソレが分かっているのか、ゼバスさんは何も言わず、カートで持ってきた茶器をカチャカチャと準備し、コーヒーと紅茶を淹れ始めた。室内にコーヒーの香りが漂い、続いて紅茶が香る。
紅茶はミリアリーゼさんのか…俺と公爵はさっきコーヒーを頼んだからな。

コトリ…とテーブルにコーヒーと紅茶、お茶請けが置かれたのを見て…

「………で、さっきの続きといこうか…」

公爵がシレッ…と言う。無かったことにするつもりか…。しかし、ゼバスさんのジト目は公爵に注がれる。ちなみに俺にはさっきからシーバスのジト目が刺さり続けているのだが、俺はギャン無視を決め込んでいる。そもそも俺は悪くない。悪いのはミリアリーゼさんである。

そしてミリアリーゼさんはというと…

「………あら、この紅茶、美味しいわね」

…と我関せずである。
いやいや、さっきのは完全に貴女のせいですよ?ミリアリーゼさん。心の中でツッコミを入れていると、バチッとミリアリーゼさんと目が合う。

『バチコーンッ』とハートが付いていそうなウインクに俺は…『トゥンク』………いや、トゥンクちゃうわ。あざとい、あざと過ぎるよっ!

「それで、続き…だったわね。私が同席している、ということは私も聞いて良い…ということかしら?」

おふっ!?貴女も何も無かったかのようにするか。いや、もういいけれどさぁ…。

「あの…私も聞いてしまっても良いのでしょうか?」

とはゼバスさん。

「ゼバスは人の秘密を話すような者じゃない。安心してくれていい…」

と公爵。

「ニール様…」
「フッ…」

さっきまでのジト目は何処へやら。
公爵はゼバスさんを信じているし、ゼバスさんも公爵を慕っているだな…。…で隙を見て、お茶請けをパクっとするのは止めてくれません?ミリアリーゼさん…。

そんなこんながありながら俺は、ポツポツと話を始める…。
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