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王妃

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国王セツナ=フォン=エクシアとの舌戦が続き、国王が切り札『セイ兄を人質に』が俺に炸裂。俺は今世において最大のピンチを迎えていた。

「兄…としか言っていないはずだが…」
「セイリウス様だとは言っていないんですがね…」

そんな外野の声も届かないほどに俺は追い詰められ「ぐぬぬ…」と苦い顔を国王に向ける。そして…

そして、その最大のピンチの時に乱入してきたのは『マリナ=フォン=エクシア』。
このエクシア王国の第一王妃にして、リリアーナ第三王女の実母である。

「あなた………ちょっといいかしら?」

『ゾクリ…』

怖っわ!?何、今の?超怖かったんですけどっ!?
一見笑顔だし、その容姿は女神を連想させるような神々しさを持つまである。が今のは…。

………あっ、昨日のリリアーナ王女もこんな感じだったわ。つまりアレは…。

『遺伝』

何ソレ怖い。

「ま、ままま、マリナ………今は大」「ちょっといいかしら?」「どうぞっ!」

セイ兄を人質に取ってからノリノリだった国王陛下がビビり散らしている。
ふっ…ざまぁ。

「フェルト、入っていいわよ」

その言葉にドアからもう一人、スッ…入ってくる。
明るい桃色の髪を後ろで纏めて、物静かそうな表情…綺麗より可愛い、感じの女性…

『フェルト=フォン=エクシア』

エクシア王国の第二王妃である。

「セツナ…リリアーナが怒ってる。何かしたのは分かっているから、ちゃんと謝って」
「フェルト…しか」「謝って」「はいっ!」

弱っわ!?国王弱っわ!?

「それから、あなた…」
「はいっ!」

「さっきから聞いていたのだけれど…」
「ギクリ」

ギクリって言っちゃうのかよっ!?とはツッコまないが…

「国王が十三歳の子供を相手にアレは無いんじゃないかしら?」
「うぐっ!?し、しか」「そう思わない?」「はい、思いますっ!」

さすが第一王妃。いいぞ、もっとやれ!

「そう…そう思うのなら分かっているわよね?」
『ニッコリ』

そう言いながら見せる笑顔が超怖いです。ごめんなさい。と心の中で俺が謝ってしまうほどである。
そんな笑顔をがっつり向けられている本人はというと…

『ススス…』と目を逸らし「すいませんでした…」と小さく呟いていた。
子供かっ!?

「セツナ」
「フェルト…」

「ちゃんと謝らないと」
「はい」

第二王妃の呼びかけに味方を得た!と一瞬思ったのだろうが、すぐに覆される。いや、それはそうだろうよ…。
そしてついに…。

「ユーリウス=フォン=ゼハールト…すまなかった。兄への話はしない。安心してくれていい…」

ついに国王が俺に頭を下げる。が…

「『兄への話は』…ではないでしょう?言葉を選んで上手く誤魔化そうとするのは止めなさい」

第一王妃の攻撃は終わらない…。
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