二度目の転生は傍若無人に~元勇者ですが二度目『も』クズ貴族に囲まれていてイラッとしたのでチート無双します~

K1-M

文字の大きさ
上 下
200 / 250

変化

しおりを挟む
俺は元日本人の転生者として、ソレを止めなくてはいけない義務感に駆られていたので、国王セツナ=フォン=エクシアの『トランなにがし』を止め、伯爵級魔人の相手は俺がすることになった。
正直なところ、国王の持つ『GMソード』もどうかと思うので、コレで良かったとは思っている。

シーバスは引き続き、魔人の攻撃で周りに被害が出ないように警戒してくれな。

「かしこまりました。…しかし、私では護りきれるか…」

ん?大丈夫大丈夫。さっき言ったろ?アイツ…お前より弱いぞ。

「…そうは見えませんが」

どうもシーバスのモノクル型魔導具『能力査定スカウター』では伯爵級魔人の能力は看えていないらしい。…が安心していいぞ、俺がしっかりと証明してやる。

「ガキが…随分と好き勝手に言ってくれるな…。お前がこの俺に勝てるとでも?」

「…ん?そうだな…余裕だな」

「…ほう?」

ニヤリ…と口角を上げる伯爵級魔人。煽りに弱そうな顔のくせにあまりは効果が無いようだ。…あぁ、顔はアレか…魔人に乗っ取られた伯爵の顔だからか…。中の悪魔は煽りに強いんだな…。とさりげなく元の伯爵を心の中でディスっておく。

「ガキがどこまで出来るのか…キッチリと本気で相手をしてやろう。後悔しても遅いぞ?」

「ふん…お前にはさっき待ってもらっていたみたいだからな。本気を出すならさっさとしろ。その姿じゃあ本気は出せないだろ?」

「はっ!分かっているじゃないか…。では遠慮なくそうさせてもらおうか」

その言葉のあと、魔人の魔力が爆発的に跳ね上がり、紫色のオーラを吹き出す。ベキベキ…パキパキ…と気味の悪い音を出しながら、人間の姿だった伯爵の身体が変化していく。

かろうじて伯爵の…人の姿を保ちつつも、その姿はまさに魔人。悪魔の羽と尻尾、角を生やし、少しだらしのない体型だった伯爵の身体は筋骨隆々な姿へと変化する。伯爵の着ていた貴族服はその変化に所々破けてはいるが、どうやらモザイクは必要無いようだ。…いや何の話だ。

「ふむ…元の姿は久しぶりだな」

顔も変化し、既に伯爵の面影は微塵も無い。肌は薄褐色…というより黒い紫色に近いか。魔人は両の拳をグッ、グッと確認するように握りなおしている。

その魔人の姿を初めて目の当たりにしたのか…周りの貴族や近衛騎士たちすら驚きの表情を見せる。国王と宰相らしきオッサンは見たことがあるのだろう、その表情に変化は無い。話からするとシーバスも見たことは無さそうだったけれど、シーバスの表情は分からんな。

「俺の準備はこれで良いぞ。ガキ、お前も準備が必要ならすると良い。そのくらいは待ってやる」

強者感増し増しで言葉を発する魔人。周りの人間にはその言葉にも強い魔力が乗っているように感じるのかもしれない。

まあ、そう言ってくれるのならお言葉に甘えておこうか。俺が本気を出す必要は全く無いが…あとで少しは言い訳が出来るようにはしておこう。

そして俺は、何年か振りに『天使化』を発動する。
しおりを挟む
感想 107

あなたにおすすめの小説

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~

緋色優希
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

俺が死んでから始まる物語

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。 だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。 余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。 そこからこの話は始まる。 セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕

スライムと異世界冒険〜追い出されたが実は強かった

Miiya
ファンタジー
学校に一人で残ってた時、突然光りだし、目を開けたら、王宮にいた。どうやら異世界召喚されたらしい。けど鑑定結果で俺は『成長』 『テイム』しかなく、弱いと追い出されたが、実はこれが神クラスだった。そんな彼、多田真司が森で出会ったスライムと旅するお話。 *ちょっとネタばれ 水が大好きなスライム、シンジの世話好きなスライム、建築もしてしまうスライム、小さいけど鉱石仕分けたり探索もするスライム、寝るのが大好きな白いスライム等多種多様で個性的なスライム達も登場!! *11月にHOTランキング一位獲得しました。 *なるべく毎日投稿ですが日によって変わってきますのでご了承ください。一話2000~2500で投稿しています。 *パソコンからの投稿をメインに切り替えました。ですので字体が違ったり点が変わったりしてますがご了承ください。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる

十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

異世界でタロと一緒に冒険者生活を始めました

ももがぶ
ファンタジー
俺「佐々木光太」二十六歳はある日気付けばタロに導かれ異世界へ来てしまった。 会社から帰宅してタロと一緒に散歩していたハズが気が付けば異世界で魔法をぶっ放していた。 タロは喋るし、俺は十二歳になりましたと言われるし、これからどうなるんだろう。

【完結】初級魔法しか使えない低ランク冒険者の少年は、今日も依頼を達成して家に帰る。

アノマロカリス
ファンタジー
少年テッドには、両親がいない。 両親は低ランク冒険者で、依頼の途中で魔物に殺されたのだ。 両親の少ない保険でやり繰りしていたが、もう金が尽きかけようとしていた。 テッドには、妹が3人いる。 両親から「妹達を頼む!」…と出掛ける前からいつも約束していた。 このままでは家族が離れ離れになると思ったテッドは、冒険者になって金を稼ぐ道を選んだ。 そんな少年テッドだが、パーティーには加入せずにソロ活動していた。 その理由は、パーティーに参加するとその日に家に帰れなくなるからだ。 両親は、小さいながらも持ち家を持っていてそこに住んでいる。 両親が生きている頃は、父親の部屋と母親の部屋、子供部屋には兄妹4人で暮らしていたが…   両親が死んでからは、父親の部屋はテッドが… 母親の部屋は、長女のリットが、子供部屋には、次女のルットと三女のロットになっている。 今日も依頼をこなして、家に帰るんだ! この少年テッドは…いや、この先は本編で語ろう。 お楽しみくださいね! HOTランキング20位になりました。 皆さん、有り難う御座います。

外れスキル『収納』がSSS級スキル『亜空間』に成長しました~剣撃も魔法もモンスターも収納できます~

春小麦
ファンタジー
——『収納』という、ただバッグに物をたくさん入れられるだけの外れスキル。 冒険者になることを夢見ていたカイル・ファルグレッドは落胆し、冒険者になることを諦めた。 しかし、ある日ゴブリンに襲われたカイルは、無意識に自身の『収納』スキルを覚醒させる。 パンチや蹴りの衝撃、剣撃や魔法、はたまたドラゴンなど、この世のありとあらゆるものを【アイテムボックス】へ『収納』することができるようになる。 そこから郵便屋を辞めて冒険者へと転向し、もはや外れスキルどころかブッ壊れスキルとなった『収納(亜空間)』を駆使して、仲間と共に最強冒険者を目指していく。

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

処理中です...