179 / 250
あながち間違いではない…
しおりを挟む
ギルドマスターの部屋に大きな音を響かせたあと、俺とシーバスはミリアリーゼさんに促され、部屋の一角にあるソファーへと座る。ミリアリーゼさんは対面…ではなく上座にある一人描けのソファーへ。…ちっ、残念。
「それでミリアリーゼさん…お返事は」「ユーリウス様違います」「………………」
ヒリヒリと顔に痛みが残りながらも、ミリアリーゼさんに話し掛けたが、早々にシーバスにインターセプトされる。…ちっ、シーバスめ。
ジト目をシーバスに向けるが、シーバスもジト目で俺を見ていたので、ソッと目を逸らす。べ、別に負けたワケじゃないんだからね!と心の中でツンデレっておく。
………では本題。
「それでミリアリーゼさん…」
「ウフフ…何かしら?」
「………………」
「…ユーリウス様」
「っ!?あぁ…すまん」
アイアリーゼさんに似た容貌での笑みとちょっと冷たそうな視線に、危うくまた求婚するところだった。さすが冒険者ギルドのギルドマスター…油断出来ないぜ…。
「えぇっと…ごほん。俺に何か用がある…だからアイアリーゼさんを経由してシーバスに俺をここに訪れるように仕向けた。………で合ってますかね?」
「ウフフ…正解。よく分かったわね」
「それはまあ…手紙まで用意されていれば気付きます。シーバスもあからさまに誘導し過ぎだ」
「失礼しました…」
「…で、ミリアリーゼさんの用とは?クエスト…とかなら今は受けられませんよ?それに俺はまだ仮の冒険者ですし…」
思わず求婚してしまったが、俺は今、王命により王都に向かっている最中だ。その辺りを理由にすれば諦めてくれるだろう…。例えすぐに終わる依頼だったとしても面倒くさいのである。
「さっき言ったでしょう?姉から聞いているって…」
アイアリーゼさんから一体何を…?
「実は…」
………実は?な、何故そこで頬を赤らめるんだろうか…ま、まままま、まさか…アイアリーゼさんから俺と結婚す「違いますよ」………シーバス、俺のモノローグに入ってくるんじゃないよ…。台無しじゃないか…俺のドキドキを返せ。
「実は…この部屋にもお風呂を作って欲しくて…お願いできないかしら?」
「………………」
………O・HU・RO・だったかぁ…。そうですかそうですかそうですよねぇ…。心の中の俺はガックリと膝を折って四つん這いである。
くっ…アイアリーゼさんといい、ミリアリーゼさんも、俺のことを便利な魔法大工さんみたいな奴とか思ってない?「あながち間違いではないかと…」うるさいよ、シーバス。入ってくるんじゃないっ!
「あっ…ちゃんとお礼はするわよ。………チュ、ねっ」
人差し指を唇に付け、ウインクをしながら俺に視線を向ける。もちろん俺は…
「どの辺りに作りましょうか」
即答どころか作る気満々である。
…断る?そんな選択肢は何処にも存在しない。
「それでミリアリーゼさん…お返事は」「ユーリウス様違います」「………………」
ヒリヒリと顔に痛みが残りながらも、ミリアリーゼさんに話し掛けたが、早々にシーバスにインターセプトされる。…ちっ、シーバスめ。
ジト目をシーバスに向けるが、シーバスもジト目で俺を見ていたので、ソッと目を逸らす。べ、別に負けたワケじゃないんだからね!と心の中でツンデレっておく。
………では本題。
「それでミリアリーゼさん…」
「ウフフ…何かしら?」
「………………」
「…ユーリウス様」
「っ!?あぁ…すまん」
アイアリーゼさんに似た容貌での笑みとちょっと冷たそうな視線に、危うくまた求婚するところだった。さすが冒険者ギルドのギルドマスター…油断出来ないぜ…。
「えぇっと…ごほん。俺に何か用がある…だからアイアリーゼさんを経由してシーバスに俺をここに訪れるように仕向けた。………で合ってますかね?」
「ウフフ…正解。よく分かったわね」
「それはまあ…手紙まで用意されていれば気付きます。シーバスもあからさまに誘導し過ぎだ」
「失礼しました…」
「…で、ミリアリーゼさんの用とは?クエスト…とかなら今は受けられませんよ?それに俺はまだ仮の冒険者ですし…」
思わず求婚してしまったが、俺は今、王命により王都に向かっている最中だ。その辺りを理由にすれば諦めてくれるだろう…。例えすぐに終わる依頼だったとしても面倒くさいのである。
「さっき言ったでしょう?姉から聞いているって…」
アイアリーゼさんから一体何を…?
「実は…」
………実は?な、何故そこで頬を赤らめるんだろうか…ま、まままま、まさか…アイアリーゼさんから俺と結婚す「違いますよ」………シーバス、俺のモノローグに入ってくるんじゃないよ…。台無しじゃないか…俺のドキドキを返せ。
「実は…この部屋にもお風呂を作って欲しくて…お願いできないかしら?」
「………………」
………O・HU・RO・だったかぁ…。そうですかそうですかそうですよねぇ…。心の中の俺はガックリと膝を折って四つん這いである。
くっ…アイアリーゼさんといい、ミリアリーゼさんも、俺のことを便利な魔法大工さんみたいな奴とか思ってない?「あながち間違いではないかと…」うるさいよ、シーバス。入ってくるんじゃないっ!
「あっ…ちゃんとお礼はするわよ。………チュ、ねっ」
人差し指を唇に付け、ウインクをしながら俺に視線を向ける。もちろん俺は…
「どの辺りに作りましょうか」
即答どころか作る気満々である。
…断る?そんな選択肢は何処にも存在しない。
0
お気に入りに追加
1,696
あなたにおすすめの小説

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

外れスキル『収納』がSSS級スキル『亜空間』に成長しました~剣撃も魔法もモンスターも収納できます~
春小麦
ファンタジー
——『収納』という、ただバッグに物をたくさん入れられるだけの外れスキル。
冒険者になることを夢見ていたカイル・ファルグレッドは落胆し、冒険者になることを諦めた。
しかし、ある日ゴブリンに襲われたカイルは、無意識に自身の『収納』スキルを覚醒させる。
パンチや蹴りの衝撃、剣撃や魔法、はたまたドラゴンなど、この世のありとあらゆるものを【アイテムボックス】へ『収納』することができるようになる。
そこから郵便屋を辞めて冒険者へと転向し、もはや外れスキルどころかブッ壊れスキルとなった『収納(亜空間)』を駆使して、仲間と共に最強冒険者を目指していく。
見捨てられた万能者は、やがてどん底から成り上がる
グリゴリ
ファンタジー
『旧タイトル』万能者、Sランクパーティーを追放されて、職業が進化したので、新たな仲間と共に無双する。
『見捨てられた万能者は、やがてどん底から成り上がる』【書籍化決定!!】書籍版とWEB版では設定が少し異なっていますがどちらも楽しめる作品となっています。どうぞ書籍版とWEB版どちらもよろしくお願いします。
2023年7月18日『見捨てられた万能者は、やがてどん底から成り上がる2』発売しました。
主人公のクロードは、勇者パーティー候補のSランクパーティー『銀狼の牙』を器用貧乏な職業の万能者で弱く役に立たないという理由で、追放されてしまう。しかしその後、クロードの職業である万能者が進化して、強くなった。そして、新たな仲間や従魔と無双の旅を始める。クロードと仲間達は、様々な問題や苦難を乗り越えて、英雄へと成り上がって行く。※2021年12月25日HOTランキング1位、2021年12月26日ハイファンタジーランキング1位頂きました。お読み頂き有難う御座います。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。

異世界転生漫遊記
しょう
ファンタジー
ブラック企業で働いていた主人公は
体を壊し亡くなってしまった。
それを哀れんだ神の手によって
主人公は異世界に転生することに
前世の失敗を繰り返さないように
今度は自由に楽しく生きていこうと
決める
主人公が転生した世界は
魔物が闊歩する世界!
それを知った主人公は幼い頃から
努力し続け、剣と魔法を習得する!
初めての作品です!
よろしくお願いします!
感想よろしくお願いします!

転生した体のスペックがチート
モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。
目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい
このサイトでは10話まで投稿しています。
続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!

異世界で魔法が使えるなんて幻想だった!〜街を追われたので馬車を改造して車中泊します!〜え、魔力持ってるじゃんて?違います、電力です!
あるちゃいる
ファンタジー
山菜を採りに山へ入ると運悪く猪に遭遇し、慌てて逃げると崖から落ちて意識を失った。
気が付いたら山だった場所は平坦な森で、落ちたはずの崖も無かった。
不思議に思ったが、理由はすぐに判明した。
どうやら農作業中の外国人に助けられたようだ。
その外国人は背中に背負子と鍬を背負っていたからきっと近所の農家の人なのだろう。意外と流暢な日本語を話す。が、言葉の意味はあまり理解してないらしく、『県道は何処か?』と聞いても首を傾げていた。
『道は何処にありますか?』と言ったら、漸く理解したのか案内してくれるというので着いていく。
が、行けども行けどもどんどん森は深くなり、不審に思い始めた頃に少し開けた場所に出た。
そこは農具でも置いてる場所なのかボロ小屋が数軒建っていて、外国人さんが大声で叫ぶと、人が十数人ゾロゾロと小屋から出てきて、俺の周りを囲む。
そして何故か縄で手足を縛られて大八車に転がされ……。
⚠️超絶不定期更新⚠️

平民として生まれた男、努力でスキルと魔法が使える様になる。〜イージーな世界に生まれ変わった。
モンド
ファンタジー
1人の男が異世界に転生した。
日本に住んでいた頃の記憶を持ったまま、男は前世でサラリーマンとして長年働いてきた経験から。
今度生まれ変われるなら、自由に旅をしながら生きてみたいと思い描いていたのだ。
そんな彼が、15歳の成人の儀式の際に過去の記憶を思い出して旅立つことにした。
特に使命や野心のない男は、好きなように生きることにした。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる