141 / 250
勝てる画が浮かばない
しおりを挟む
耐性系スキルの中で魅了耐性だけ持っていない俺は、恐らくアイアリーゼさんの魅了に掛かってしまっているのだろう…。このままでは、この後アイアリーゼさんに何を言われても頷いてしまう。………ヤられてしまうっ!
「用件はゴブリン迷宮でのことよ。本当は分かっていたのでしょう?」
「あ、はい」
全然そんなことは無かった………残念っ!
「俺は迷宮の外にいたから現場を見ていないが…二階層での夜営時に相当やらかしたみたいだな。報告…上がってるぞ」
あぁ、そりゃまあそうか。特に口止めもしてないし、安全のために付いていたとはいえ冒険者たちは監視役でもあるワケだからな。監督役のアラド君に報告するのは当たり前だ。
…で、ソレをギルドマスターであるアイアリーゼさんに報告するのも当然…か。
「………それで?囲い込みにでも来たのか?」
「………いや」
………?違うのか?………じゃあ、一体何しに…?
「確認………をしに来たのよ。冒険者たちの報告が本当かどうか…ね」
「まあ、報告してきたのが全員だったからな…嘘…ってことは無いと思ってる。ただ………この人がな…」
アイアリーゼさんが?
「ああ、ギルマスが『そんな面白…重要なこと、確認しないでどうするの?………呼び出しは?………来ない?無視された?………じゃあ行くわよ』ってな」
「ウフフ…今の………私の真似のつもりかしら?」
「すんませんしたぁっ!!」
アラド君の真似が似てるかどうかはともかく、アイアリーゼさんがそんなことを…?
俺がアイアリーゼさんに視線を移すとバチッと目が合う。………美しい…じゃなくて。
「ウフフ…だいたい本当のことよ。面白そうなのも本当だし、確認しなきゃいけないってこともね」
人差し指を立てて、バチコーンッとウインクするアイアリーゼさん。胸がドキドキする………本当に魅了とか使ってませんよね?
「…で確認………………させてくれる?」
何でそこでちょっともじもじしながら上目遣いなんですかね?
あざとい………あざといよアイアリーゼさん。
「頼めると助かるんだがな…」
「………………」
「無視しないでくれるっ!?」
ん?ああ、すまんすまん。無視するつもりは有ったり無かったり?
「ちくしょうっ!こいつやっぱり嫌いだっ!」
「ウフフ…落ち着きなさいアラド。まったく………A級冒険者がユーリウス君にいいようにされているじゃない」
「そういうギルマスもこいつを手玉にとってる感じですけどねっ!?」
「フフ…そう"見える"だけよ」
「っ!?ソレはどういう…」
「あとは自分で感じて、考えなさい。それでユーリウス君………返答は?」
正直、面倒だけど…使っているのは本当に土魔法だけだからな。バレてもまったく問題は無い。
そしてアイアリーゼさん………ギルドマスターだけあって底が知れない。
単純な戦闘力だけなら俺の方が上だろうけど………魅了されたらと考えると勝てる画が浮かばない。ま、戦闘になることなんて無いだろうけどな。
「しょうがないですね。庭じゃ狭いのでギルドの訓練場、貸してもらえます?」
こうして俺の振替休日が潰されるのは、やはり間違っている。
「用件はゴブリン迷宮でのことよ。本当は分かっていたのでしょう?」
「あ、はい」
全然そんなことは無かった………残念っ!
「俺は迷宮の外にいたから現場を見ていないが…二階層での夜営時に相当やらかしたみたいだな。報告…上がってるぞ」
あぁ、そりゃまあそうか。特に口止めもしてないし、安全のために付いていたとはいえ冒険者たちは監視役でもあるワケだからな。監督役のアラド君に報告するのは当たり前だ。
…で、ソレをギルドマスターであるアイアリーゼさんに報告するのも当然…か。
「………それで?囲い込みにでも来たのか?」
「………いや」
………?違うのか?………じゃあ、一体何しに…?
「確認………をしに来たのよ。冒険者たちの報告が本当かどうか…ね」
「まあ、報告してきたのが全員だったからな…嘘…ってことは無いと思ってる。ただ………この人がな…」
アイアリーゼさんが?
「ああ、ギルマスが『そんな面白…重要なこと、確認しないでどうするの?………呼び出しは?………来ない?無視された?………じゃあ行くわよ』ってな」
「ウフフ…今の………私の真似のつもりかしら?」
「すんませんしたぁっ!!」
アラド君の真似が似てるかどうかはともかく、アイアリーゼさんがそんなことを…?
俺がアイアリーゼさんに視線を移すとバチッと目が合う。………美しい…じゃなくて。
「ウフフ…だいたい本当のことよ。面白そうなのも本当だし、確認しなきゃいけないってこともね」
人差し指を立てて、バチコーンッとウインクするアイアリーゼさん。胸がドキドキする………本当に魅了とか使ってませんよね?
「…で確認………………させてくれる?」
何でそこでちょっともじもじしながら上目遣いなんですかね?
あざとい………あざといよアイアリーゼさん。
「頼めると助かるんだがな…」
「………………」
「無視しないでくれるっ!?」
ん?ああ、すまんすまん。無視するつもりは有ったり無かったり?
「ちくしょうっ!こいつやっぱり嫌いだっ!」
「ウフフ…落ち着きなさいアラド。まったく………A級冒険者がユーリウス君にいいようにされているじゃない」
「そういうギルマスもこいつを手玉にとってる感じですけどねっ!?」
「フフ…そう"見える"だけよ」
「っ!?ソレはどういう…」
「あとは自分で感じて、考えなさい。それでユーリウス君………返答は?」
正直、面倒だけど…使っているのは本当に土魔法だけだからな。バレてもまったく問題は無い。
そしてアイアリーゼさん………ギルドマスターだけあって底が知れない。
単純な戦闘力だけなら俺の方が上だろうけど………魅了されたらと考えると勝てる画が浮かばない。ま、戦闘になることなんて無いだろうけどな。
「しょうがないですね。庭じゃ狭いのでギルドの訓練場、貸してもらえます?」
こうして俺の振替休日が潰されるのは、やはり間違っている。
1
お気に入りに追加
1,695
あなたにおすすめの小説

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~
緋色優希
ファンタジー
勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています

ダンジョン配信スタッフやります!〜ぼっちだった俺だけど、二次覚醒したのでカリスマ配信者を陰ながら支える黒子的な存在になろうと思います〜
KeyBow
ファンタジー
舞台は20xx年の日本。
突如として発生したダンジョンにより世界は混乱に陥る。ダンジョンに涌く魔物を倒して得られる素材や魔石、貴重な鉱物資源を回収する探索者が活躍するようになる。
主人公であるドボルは探索者になった。将来有望とされていたが、初めての探索で仲間のミスから勝てない相手と遭遇し囮にされる。なんとか他の者に助けられるも大怪我を負い、その後は強いられてぼっちでの探索を続けることになる。そんな彼がひょんなことからダンジョン配信のスタッフに採用される。
ドボルはカリスマ配信者を陰ながら支えようと決意するが、早々に陰謀に巻き込まれ危険な状況に陥る。絶体絶命のピンチの中で、ドボルは自分に眠る力を覚醒させる。この新たな力を得て、彼の生活は一変し、カリスマ配信者を陰から支え、奮闘する決意をする。果たして、ドボルはこの困難を乗り越え、配信を成功させることができるのか?

転生したらスキル転生って・・・!?
ノトア
ファンタジー
世界に危機が訪れて転生することに・・・。
〜あれ?ここは何処?〜
転生した場所は森の中・・・右も左も分からない状態ですが、天然?な女神にサポートされながらも何とか生きて行きます。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
初めて書くので、誤字脱字や違和感はご了承ください。


爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。
秋田ノ介
ファンタジー
88歳の爺さんが、異世界に転生して農業の知識を駆使して建国をする話。
異世界では、戦乱が絶えず、土地が荒廃し、人心は乱れ、国家が崩壊している。そんな世界を司る女神から、世界を救うように懇願される。爺は、耳が遠いせいで、村長になって村人が飢えないようにしてほしいと頼まれたと勘違いする。
その願いを叶えるために、農業で村人の飢えをなくすことを目標にして、生活していく。それが、次第に輪が広がり世界の人々に希望を与え始める。戦争で成人男性が極端に少ない世界で、13歳のロッシュという若者に転生した爺の周りには、ハーレムが出来上がっていく。徐々にその地に、流浪をしている者たちや様々な種族の者たちが様々な思惑で集まり、国家が出来上がっていく。
飢えを乗り越えた『村』は、王国から狙われることとなる。強大な軍事力を誇る王国に対して、ロッシュは知恵と知識、そして魔法や仲間たちと協力して、その脅威を乗り越えていくオリジナル戦記。
完結済み。全400話、150万字程度程度になります。元は他のサイトで掲載していたものを加筆修正して、掲載します。一日、少なくとも二話は更新します。

外れスキル『収納』がSSS級スキル『亜空間』に成長しました~剣撃も魔法もモンスターも収納できます~
春小麦
ファンタジー
——『収納』という、ただバッグに物をたくさん入れられるだけの外れスキル。
冒険者になることを夢見ていたカイル・ファルグレッドは落胆し、冒険者になることを諦めた。
しかし、ある日ゴブリンに襲われたカイルは、無意識に自身の『収納』スキルを覚醒させる。
パンチや蹴りの衝撃、剣撃や魔法、はたまたドラゴンなど、この世のありとあらゆるものを【アイテムボックス】へ『収納』することができるようになる。
そこから郵便屋を辞めて冒険者へと転向し、もはや外れスキルどころかブッ壊れスキルとなった『収納(亜空間)』を駆使して、仲間と共に最強冒険者を目指していく。
異世界で等価交換~文明の力で冒険者として生き抜く
りおまる
ファンタジー
交通事故で命を落とし、愛犬ルナと共に異世界に転生したタケル。神から授かった『等価交換』スキルで、現代のアイテムを異世界で取引し、商売人として成功を目指す。商業ギルドとの取引や店舗経営、そして冒険者としての活動を通じて仲間を増やしながら、タケルは異世界での新たな人生を切り開いていく。商売と冒険、二つの顔を持つ異世界ライフを描く、笑いあり、感動ありの成長ファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる