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O・HU・RO・①

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お風呂…日本人であるならば、その魂に刻まれているであろう心地好さには抗えないのではなかろうか?…と言いながら前々世、日本人で一人暮らしだった頃はシャワーで済ませてしまうことも多かったですが何か?

前世、勇者の頃はお風呂に入りたいと思いつつも日々の戦闘で気持ちに余裕がなく、生活魔法『洗浄』の便利さに負けてしまっていた。
途中で温泉でも見つけていたら、違っていただろうか?

「そんなワケでお風呂を作ろうと思います」

「どんなワケじゃ…」
「お風呂…?」
「また、なんか…」
「ユーリウスが…」
「言い始めたわね…」

ゴブリンの集落を消滅させた翌日の朝食後に俺はそう告げた。
朝食後なので学校や仕事に行く前の父さんやセイ兄を含む義兄義姉もいたりする。
長兄長姉は首都の大学の寮住まいなので未だに会ったことはない。
話を聞く限りではろくでもなさそうな感じではあるが…。

セイ兄もレベルアップ酔いは収まっており、今朝は元気に朝食を食べていた。
一安心である。

母さんたちは食後のティータイム。気まずさも段々と薄れ、今では姦しくお喋り中である。
同じテーブルなのに俺の話をガン無視してるあたり、興味が無い…という体ていだろう。
女性が風呂に興味が無い…なんてあり得ない、と思うのは俺の偏見だろうか?

とりあえず父さんが仕事に行く前に風呂を作る許可を得る。

「庭になら良いよ」

と許可こそ貰えたが邸内への許可を出さない辺り、俺の言葉は信じてないようである。
フッ…父さん、そんな感じなのは今のうちだけだよ。ジャパニーズ風呂の威力…存分に味合わせてあげよう。
作るのはこれからだが…。

父さん、義兄義姉を見送り、俺は庭に立つ。
見物人は義祖父さん、シーバス、セイ兄、エルディアの四人。
………シーバスとエルディアは仕事に戻れ。

まあ、いい…。

俺は庭を見渡し、さてどうするかな?と考える。
ウチの庭は広くない。いや、狭いと言って言いだろう。
貴族としては下から数えた方が早い準男爵位だ。ヴァーチェの貴族区の中で一番外側に位置し、一番数が多い下級貴族家が乱立しているのだから仕方がないのだが…。

そんな狭いウチの庭だが許可は貰ったので気兼ねなく手をつけることが出来る。
あとで父さんに何か言われるかもしれないが、許可を出したのは父さんなので気にしなくて良いだろう。

さて…

何から始めようかな?
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