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な…なんだってぇっ!?
しおりを挟む………不満である。
何が、と言えば『食事』なのだが…。
別邸にいた頃は別邸に追いやられてる感があったので我慢していたのだが、本邸に来てからは食材は良くなっても『質』の変化は無かったのである。
これは別に食事を作ってくれている家の料理人への文句ではない。今のこの世界が悪いのか、この国が悪いのかは分からないが…。
俺の中の日本人の魂が、食に妥協は許さんっ!!…と轟き叫んだ、とだけ言っておこう。
………というワケで…
「てこ入れをおこなうっ!!」
ゼハールト家の厨房には似合わない幼く甲高い声が響く。…俺である。
もちろん俺の後ろにシーバスを従えて…。
「いやいや、お前デカイから邪魔なんだけど…」
あとその鍛えられた身体が暑苦しいし…。
「…では自室にて待機しております」
俺の言葉にしょぼーんとして、とぼとぼと厨房から出ていくシーバス。…ちょっと可哀想だったかな。
「…え~っと………で、ユーリウス坊っちゃん、てこ入れってのは?」
この男はエルディア。ゼハールト家の厨房を預かっている男だ。
こいつもシーバス並みに身体が大きく、若干厳つい顔をしているが、まあ気のいい男である。
「エルディア…お前の調理には全く問題無いんだ。問題なのはこの国にある調理方法。その種類が少な過ぎるのが問題なんだっ!」
「な…なんだってぇっ!?………って、坊っちゃんが他の調理法を知っているんですかい?」
ノリが良いなエルディア。何でそのネタ知ってるんだよ?…但し、質問には「本当に出来るのか?」の意が含まれている。
だが俺は…
「任せろ!一撃でお前を納得させてやろう…」
クックックッ…と俺は悪そうな笑みを浮かべ言いきった。
「一撃って………何だ?俺は殺されるのか?」
何でだよっ!?…まあ、良い。
今から作るのは知識チートの定番…マヨネーズである。ある意味、万能調味料と言っても良いであろうマヨ!厳密には調理法とは違うけれど、納得させるには強烈な一撃ではなかろうか?
「エルディアくん」
「………………」
「エルディアくんっ!」
「………………はい」
「今から言う材料の準備をっ!」
「お…おう…」
「生卵、植物油、酢、塩を用意してくださいっ!」
「?………………塩しか無ねえな。卵なんて腹こわすから使わねえし、油って牛脂とかじゃ駄目なのか?あと酢って?」
「そっからかぁぁぁ…」
もれなく俺が膝からガクーン…と崩れ落ちたのは言うまでもない…。
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