上 下
21 / 250

おやりなさい!

しおりを挟む
「ん~~~っ………ぷはっ!大丈夫…コイツ、ぶっ飛ばすから!」

俺は抱き付かれている義姉であろう女性の胸から顔を出し、そう言い放つ。
惜しい…とか思ってなんかないんだからねっ!と一人ツンデレを心の中で発動しながら。

そして、俺の言葉に応接室にいる全員が絶句する。
それもそうだ、たかが三歳児が明確に言葉に出しているのだ…この男、シーバスを倒す…と。
そして分かったのだ…決して三歳児の冗談ではないと、この子供は本気で言っている…と。

おっと、一人だけは絶句していないな…。執事の男、シーバス。
コイツだけは表情を変えず、冷静に、冷徹に俺を視ていやがる。

そして、シーバスが口を開く…。

「坊っちゃま方、お嬢様方…奥様のご命令ですのでお下がり下さい。…でなければ力ずく…となりますが?」
「「「「っ!?」」」」

元々俺のせいで場の空気が緊張していたのだが、シーバスの言葉でさらに空気が重くなる。
つーかこの野郎、庶子の俺とセイ兄だけでなく四人の兄姉にもそういう扱いなのか。

「さあ、お退きなさい貴方たち。シーバス」
「はっ!さあ、こちらへ来ていただきますよ」

空気を全く読まない義母の言葉にシーバスがゆっくりと動き出し、空気の重さに身体を動かせない四人の兄姉を無視してセイ兄と俺の方に近付いてこようとする。

だが、次は俺のターン。
空気を読まないことに定評…は別に無いが、前世での経験から空気を読むとろくでもないことになると学んでいる俺はやられたらやり返すし、何ならやられなくてもやる、という精神にアップデートされている。

俺は顔は胸から出したが、まだ抱かれていたのでソッと抜け出し、てくてくとシーバスの正面に立つ。

「ユーリッ!?」
「あれっ?いつの間にっ!?」

セイ兄と義姉の声が聞こえるが、とりあえず後回しだ。今は先にシーバスこいつをぶっ飛ばす。

「力ずく?やれるもんならやってみろ」

「………ふむ。どうやらユーリウス坊っちゃまには私には出来ない、もしくは自分がされる理由がない、とお思いのようですね。………奥様?」
「構いません、おやりなさい」

おおぅ、即答しやがったぞあのBBA。三歳児相手に何考えてんだ…。後で死ぬほど怖い目に会わせてやろう。

「奥様の許可も出ましたね…。抵抗しても構いませんが、その場合は少し痛い目を見ることになりますのでお覚悟ください」

一歩…前に出て言うシーバス。その言葉は俺に対して言っているのだろうが、その俺は三歳児である。故に舐めているのだろう、シーバスの視線は俺を視ているようで視ていない。

「ユ、ユーリ…」
「「「「………」」」」

セイ兄の心配そうな声と四人の兄姉の心配そうな視線を感じる。いくら大丈夫と俺が言っても子供の言うことである、心配に決まっている。

だからここで見せるのだ…。

「かくごするのはおまえだ。だれにケンカ売ってるのか思いしれ!」

俺の意志と『力』を。
しおりを挟む
感想 107

あなたにおすすめの小説

特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった

なるとし
ファンタジー
 鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。  特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。  武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。  だけど、その母と娘二人は、    とおおおおんでもないヤンデレだった…… 第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。

転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】

ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった 【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。 累計400万ポイント突破しました。 応援ありがとうございます。】 ツイッター始めました→ゼクト  @VEUu26CiB0OpjtL

性的に襲われそうだったので、男であることを隠していたのに、女性の本能か男であることがバレたんですが。

狼狼3
ファンタジー
男女比1:1000という男が極端に少ない魔物や魔法のある異世界に、彼は転生してしまう。 街中を歩くのは女性、女性、女性、女性。街中を歩く男は滅多に居ない。森へ冒険に行こうとしても、襲われるのは魔物ではなく女性。女性は男が居ないか、いつも目を光らせている。 彼はそんな世界な為、男であることを隠して女として生きる。(フラグ)

転生した体のスペックがチート

モカ・ナト
ファンタジー
とある高校生が不注意でトラックに轢かれ死んでしまう。 目覚めたら自称神様がいてどうやら異世界に転生させてくれるらしい このサイトでは10話まで投稿しています。 続きは小説投稿サイト「小説家になろう」で連載していますので、是非見に来てください!

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

豪華地下室チートで異世界救済!〜僕の地下室がみんなの憩いの場になるまで〜

自来也
ファンタジー
カクヨム、なろうで150万PV達成! 理想の家の完成を目前に異世界に転移してしまったごく普通のサラリーマンの翔(しょう)。転移先で手にしたスキルは、なんと「地下室作成」!? 戦闘スキルでも、魔法の才能でもないただの「地下室作り」 これが翔の望んだ力だった。 スキルが成長するにつれて移動可能、豪華な浴室、ナイトプール、釣り堀、ゴーカート、ゲーセンなどなどあらゆる物の配置が可能に!? ある時は瀕死の冒険者を助け、ある時は獣人を招待し、翔の理想の地下室はいつのまにか隠れた憩いの場になっていく。 ※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しております。

異世界でネットショッピングをして商いをしました。

ss
ファンタジー
異世界に飛ばされた主人公、アキラが使えたスキルは「ネットショッピング」だった。 それは、地球の物を買えるというスキルだった。アキラはこれを駆使して異世界で荒稼ぎする。 これはそんなアキラの爽快で時には苦難ありの異世界生活の一端である。(ハーレムはないよ) よければお気に入り、感想よろしくお願いしますm(_ _)m hotランキング23位(18日11時時点) 本当にありがとうございます 誤字指摘などありがとうございます!スキルの「作者の権限」で直していこうと思いますが、発動条件がたくさんあるので直すのに時間がかかりますので気長にお待ちください。

おっさんの神器はハズレではない

兎屋亀吉
ファンタジー
今日も元気に満員電車で通勤途中のおっさんは、突然異世界から召喚されてしまう。一緒に召喚された大勢の人々と共に、女神様から一人3つの神器をいただけることになったおっさん。はたしておっさんは何を選ぶのか。おっさんの選んだ神器の能力とは。

処理中です...