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兄姉!②

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『あ?何見てんだコラァ、ぶっ◯すぞ!』

自分たちのいる部屋の隣、応接室から幼い子供の声でそんな言葉が聞こえた。

「「お…おおぅ」」
「「…………………」」

ユーリウスのまだ見ぬ義兄は唸り、まだ見ぬ義姉は絶句する。

「とんでもないこと言いやがったぞ、あいつ…」
「セイリウスもビックリしてるじゃない…」
「…ということは普段は言わないんだろうけど…」
「あれ…自分も声に出してたことに驚いてないかしら?」

「「………ということは…」」
「考えてはいたみたいね」
「セイリウスに似て、そんなこと言わなそうなのに…」

ビックリはしたものの、ユーリウスの言葉にドン引かないあたり、この四人も良いメンタルをしている。

「…でもあんなこと言ったら」

『バキンッ』

「怒ったな」
「怒ったね」
「怒ったわね」
「そうなるわよねぇ」

自分たちの母(義母)が怒るのは予想済み、というか当たり前のようである。
次に四人は持っていた扇子をへし折った母(義母)がどう行動するかを予測。

「躾が~、云々言うんじゃないか?」
「躾がどうのこうの言うんじゃない?」
「躾を先に~、とか言うんじゃないかしら?」
「………みんな一緒だね」

血の繋がり…と言うべきか、母親の行動予測はバッチリのようである。…いや、それだけ母親の行動、思考が単純なのだろうか…。
おそらく後者だと思われる。
そしてその予測通り…

『フ…フフフ…一先ず食事を、と思っていましたが…良いでしょう。貴方には躾の方が先に必要のようですね…』

実に単純である。

そして、この時点で四人はユーリウスの雰囲気が変わったのを察する。あの三歳になったばかりの弟が何かやらかすだろう、と…。

『お、お義母様、ぼ、僕が謝りますのでどう』『黙りなさい、セイリウス』『っ!?』

『セイリウス、貴方は先に食事に向かいなさい。ユーリウスは別室に連れて行きます』

『………っ!!お義母様、どうかユー』『黙りなさいと言いました』『…うぅ!?』

『ふぅ………なら貴方も一緒に躾られますかセイリウス?』
『っ!?』

四人は感じていた。会話が進むごとに応接室内の空気が変化していくことに。
その変化をもたらしているのがユーリウスだということに。

このセイリウスとのやり取りを目の前にし、怯えるどころかどんどんと敵意を持ち始める三歳児がいるのである。恐怖すら覚えてもいいのかもしれないが、しかし自分たちの新しい家族、可愛い弟である。恐怖よりも守る気持ちが、ソコは勝まさった。

「義母さんたちは俺と義姉さんで止める。お前たちはセイリウスとユーリウスを頼む」
「任された」
「任せて」

四人共がコクリと頷き、出ていくタイミングを計りはじめた。
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