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親切な店員
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「僕は、君の事が好きなんだ!」
「私も、あなたの事が好きなの!」
ジャジャーン!
と壮大な音楽が鳴って、スタッフロールが始まった。
「ふう・・・」
僕はPCで恋愛映画を観てたんだけど、やっと一つ見終わった。
意味が解らなくて、何度も何度も動画を止めて、時間を戻してまた再生をして、90分の映画を3時間もかけて観る事になった。
どうして主人公のヒロシって男は、他の女の人を彼女にしてたんだろう。
どうしてヒロインのミチコって女は、他の男と結婚してたんだろう。
ヒロシは映画の最後でヒロインのミチコって女と愛し合うって内容だったけど、何度見返しても、それまで付き合ってた彼女と付き合っていた理由が分からなかった。
好きじゃないのに付き合ってたの?
彼女が幸せになって欲しいと思ってなかったの?
付き合うって何なんだろう。
お互いに幸せになろうねって事じゃないの?
ヒロインのミチコって女は、結婚までして旦那さんは一生懸命お仕事をしていて、なかなか家にも帰れない日が続いてた。
家族の為に一生懸命働いて、家族が幸せになるようにって思ってたのに、どうして離婚しなくちゃならなかったの?
どうして結婚したの?
そんなヒロシとミチコが愛し合って、幸せになれるの?
「・・・なんだか、よく解らなかったな・・・」
と僕は、次の動画を見ようか迷ったけど、お腹が空いたからご飯を食べようと思った。
と言っても、冷蔵庫の中には飲み物しか入ってないから、何かを買ってくるか、どこかに食べに行かないといけない。
時計を見ると14時半を回っていた。
「ああ、あそこのお店、今日は開いてるのかな」
と僕は、アパートから歩いて10分くらいの所にできたお総菜屋さんに行こうと思った。
小さな商店街にあるお惣菜屋さんで、色々なおかずと、おにぎりが売ってるお店だ。
僕は冷蔵庫の横に吊り下げてるエコバッグを持って、アパートを出て階段を降りた。
なんだか空が曇ってるな。
天気予報は「曇り」なので、きっと雨は降らないだろう。
往復30分くらいだし、大丈夫だよね。
そう思って傘は持たずにお惣菜屋さんに向かったら、歩いて5分くらいの所ですごい雨が降って来た。
ここからじゃ、傘を取りに家に帰っても、商店街まで歩いてもあまり変わらないと思って、そのまま商店街まで濡れて行く事にした。
商店街に着く頃には服は雨を吸って重たくなってて、靴は歩く度にビシャッビシャッて水が噴き出すくらいにグチョグチョになってたけど、もう5月だから、雨は冷たいけど我慢できると思う。
商店街の中を歩いてお惣菜屋さんの前まで来たけど、シャッターが閉まってて「臨時休業」って書いた張り紙が雨に濡れて剥がれかけてた。
「お、お休みかぁ・・・」
僕は少し残念な気分になったけど、仕方が無いから、商店街のコンビニに行く事にした。
自動ドアが開いて、店の中に入ったら、店の人達が僕をじっと見てる。
僕が店のお弁当が売ってる冷蔵棚まで行こうと思ったら、お店の人がカウンターから飛び出してきて
「お客さん!ちょっと待ってください!困ります!」
って言って、僕が店の奥に行くのを止めた。
「あの、お弁当を買いたくて・・・」
と僕が言うと、レジの奥に居た若い女子店員が出てきて
「私が代わりにお弁当を取ってきますよ! 何がいいですか?」
と訊いて来た。
「あ、じゃあ、のり弁当が買いたいです」
と僕が言うと、
「はい!取ってきます!」
と言って、すぐにのり弁当を持ってきてくれた。
「あ、ありがとうございます。 おいくらですか?」
って僕が聞くと、お弁当を一旦レジまで持っていって、レジで「ピッ」と音がして
「428円です」
と教えてくれた。
僕は
「スイカで」
と言って、JR東日本の交通マネーカードのスイカを渡した。
店員さんがそれを受け取って、レジで精算をしてスイカを返してくれる。
「ありがとうございました!」
と店員さんが言って、「あの、ついでに傘は要りませんか?」
と訊いて来た。
「あ、あの、ありがとうございます」
と僕は言って「いただきます」
と言うと、店員さんが新しい傘を持ってきてくれた。
そして僕の手からスイカを抜き取って、もう一度レジで「ピッ」として、僕にスイカを返してくれた。
「ありがとうございました!」
と女子店員が元気な声で言って、僕を店の外まで案内してくれた。
「あ、あの、今日はご親切にどうも」
と僕がお辞儀をすると、女子店員もお辞儀をして、すぐにお店に戻って行った。
あんなに忙しいのに、すごく親切にしてもらって・・・
「なんだか、花頼さんみたいな人だな・・・」
と僕は言いながら、傘をさしてアパートの方向に歩き出した。
そして2分くらい歩いた頃に、雨が止んだ。
今日は親切にしてもらえて、何だか嬉しい気分だな。
雨は止んだけど、僕は傘をさしたまま歩いた。
雨に濡れた服は重たかったけど、僕の足取りは少し軽かった。
あのコンビニの女子店員みたいないい子には、幸せになって欲しいなぁ。
僕はそう空に願いながら、歩いて帰ったのです。
「私も、あなたの事が好きなの!」
ジャジャーン!
と壮大な音楽が鳴って、スタッフロールが始まった。
「ふう・・・」
僕はPCで恋愛映画を観てたんだけど、やっと一つ見終わった。
意味が解らなくて、何度も何度も動画を止めて、時間を戻してまた再生をして、90分の映画を3時間もかけて観る事になった。
どうして主人公のヒロシって男は、他の女の人を彼女にしてたんだろう。
どうしてヒロインのミチコって女は、他の男と結婚してたんだろう。
ヒロシは映画の最後でヒロインのミチコって女と愛し合うって内容だったけど、何度見返しても、それまで付き合ってた彼女と付き合っていた理由が分からなかった。
好きじゃないのに付き合ってたの?
彼女が幸せになって欲しいと思ってなかったの?
付き合うって何なんだろう。
お互いに幸せになろうねって事じゃないの?
ヒロインのミチコって女は、結婚までして旦那さんは一生懸命お仕事をしていて、なかなか家にも帰れない日が続いてた。
家族の為に一生懸命働いて、家族が幸せになるようにって思ってたのに、どうして離婚しなくちゃならなかったの?
どうして結婚したの?
そんなヒロシとミチコが愛し合って、幸せになれるの?
「・・・なんだか、よく解らなかったな・・・」
と僕は、次の動画を見ようか迷ったけど、お腹が空いたからご飯を食べようと思った。
と言っても、冷蔵庫の中には飲み物しか入ってないから、何かを買ってくるか、どこかに食べに行かないといけない。
時計を見ると14時半を回っていた。
「ああ、あそこのお店、今日は開いてるのかな」
と僕は、アパートから歩いて10分くらいの所にできたお総菜屋さんに行こうと思った。
小さな商店街にあるお惣菜屋さんで、色々なおかずと、おにぎりが売ってるお店だ。
僕は冷蔵庫の横に吊り下げてるエコバッグを持って、アパートを出て階段を降りた。
なんだか空が曇ってるな。
天気予報は「曇り」なので、きっと雨は降らないだろう。
往復30分くらいだし、大丈夫だよね。
そう思って傘は持たずにお惣菜屋さんに向かったら、歩いて5分くらいの所ですごい雨が降って来た。
ここからじゃ、傘を取りに家に帰っても、商店街まで歩いてもあまり変わらないと思って、そのまま商店街まで濡れて行く事にした。
商店街に着く頃には服は雨を吸って重たくなってて、靴は歩く度にビシャッビシャッて水が噴き出すくらいにグチョグチョになってたけど、もう5月だから、雨は冷たいけど我慢できると思う。
商店街の中を歩いてお惣菜屋さんの前まで来たけど、シャッターが閉まってて「臨時休業」って書いた張り紙が雨に濡れて剥がれかけてた。
「お、お休みかぁ・・・」
僕は少し残念な気分になったけど、仕方が無いから、商店街のコンビニに行く事にした。
自動ドアが開いて、店の中に入ったら、店の人達が僕をじっと見てる。
僕が店のお弁当が売ってる冷蔵棚まで行こうと思ったら、お店の人がカウンターから飛び出してきて
「お客さん!ちょっと待ってください!困ります!」
って言って、僕が店の奥に行くのを止めた。
「あの、お弁当を買いたくて・・・」
と僕が言うと、レジの奥に居た若い女子店員が出てきて
「私が代わりにお弁当を取ってきますよ! 何がいいですか?」
と訊いて来た。
「あ、じゃあ、のり弁当が買いたいです」
と僕が言うと、
「はい!取ってきます!」
と言って、すぐにのり弁当を持ってきてくれた。
「あ、ありがとうございます。 おいくらですか?」
って僕が聞くと、お弁当を一旦レジまで持っていって、レジで「ピッ」と音がして
「428円です」
と教えてくれた。
僕は
「スイカで」
と言って、JR東日本の交通マネーカードのスイカを渡した。
店員さんがそれを受け取って、レジで精算をしてスイカを返してくれる。
「ありがとうございました!」
と店員さんが言って、「あの、ついでに傘は要りませんか?」
と訊いて来た。
「あ、あの、ありがとうございます」
と僕は言って「いただきます」
と言うと、店員さんが新しい傘を持ってきてくれた。
そして僕の手からスイカを抜き取って、もう一度レジで「ピッ」として、僕にスイカを返してくれた。
「ありがとうございました!」
と女子店員が元気な声で言って、僕を店の外まで案内してくれた。
「あ、あの、今日はご親切にどうも」
と僕がお辞儀をすると、女子店員もお辞儀をして、すぐにお店に戻って行った。
あんなに忙しいのに、すごく親切にしてもらって・・・
「なんだか、花頼さんみたいな人だな・・・」
と僕は言いながら、傘をさしてアパートの方向に歩き出した。
そして2分くらい歩いた頃に、雨が止んだ。
今日は親切にしてもらえて、何だか嬉しい気分だな。
雨は止んだけど、僕は傘をさしたまま歩いた。
雨に濡れた服は重たかったけど、僕の足取りは少し軽かった。
あのコンビニの女子店員みたいないい子には、幸せになって欲しいなぁ。
僕はそう空に願いながら、歩いて帰ったのです。
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