天明繚乱 ~次期将軍の座~

ご隠居

文字の大きさ
上 下
75 / 197

徳川家基殺人事件特別捜査本部開設

しおりを挟む
 さて、こうして中奥なかおくにある御三卿ごさんきょう家老の詰所つめしょより一橋ひとつばし家老の田沼たぬま意致おきむねと清水家老の本多ほんだ昌忠まさただの姿が消えたところで、代わって意知おきともと平蔵、そして益五郎ますごろう玄通げんつうがその御三卿ごさんきょう詰所つめしょに入った。

 これから意知おきともたち4人には家基いえもと殺し、さらにはそこから派生はせいした奥医師おくいし池原いけはら良誠よしのぶ斬殺ざんさつ事件を探索たんさく捜査そうさしてもらうことになるわけで、将軍・家治はそのための「捜査本部」を4人に与えるべく、そこで中奥なかおくにある御三卿ごさんきょう詰所つめしょを「捜査本部」とし、4人に与えたのであった。

 幸い、一橋ひとつばし、清水の両家老は事件が解決するまでの間、江戸城への登城とじょうは許されず、そうであれば当然、この中奥なかおくにある御三卿ごさんきょう家老の詰所つめしょに姿を見せることはない。

 また御三卿ごさんきょう一橋ひとつばし家、清水家の他にもう一家、それも御三卿ごさんきょう筆頭ひっとう格である田安たやす家があるが、現在、田安たやす家は当主不在であった。

 いや、御三卿ごさんきょうは御三家を始めとする大名、あるいは旗本や御家人の御家おいえとは違い、

つぶれない家」

 であった。すなわち、当主が欠ければ例え、御三家であっても御家おいえは取りつぶされるのが大原則であったが、こと御三卿ごさんきょうに限ってはこの大原則が適用されず、例え今のように当主が不在ふざいであったとしても、取りつぶされることはなく、それゆえ当主不在の今でも御三卿ごさんきょう家老…、田安たやす家老がそんしており、当主不在ふざい田安たやす邸、所謂いわゆる

あき屋形やかた

 を守っていたのだ。もっとも、当主不在であるので家老…、田安たやす家老にしても、当主がそんする一橋ひとつばし家老や清水家老のように毎日、登城とじょうすることはなく、ゆえにその田安たやす家老とは対照的に、ほぼ毎日、登城とじょうしていた一橋ひとつばし家老と清水家老の登城とじょうが事件解決まで禁じられた以上、事件解決までの間は中奥なかおくにあるその御三卿ごさんきょう家老の詰所つめしょは、

無人むじん…」

 になるわけで、「捜査本部」とするのに正にうってつけであり、そこで家治は中奥なかおくにあるその御三卿ごさんきょう家老の詰所つめしょ意知おきともたちのために「捜査本部」として与えたのであった。

 ちなみに御三卿ごさんきょ家老の詰所つめしょ中奥なかおくの他にももう一つ、表向おもてむきにある菊之間きくのま一角いっかくにも設けられており、その菊之間きくのま一角いっかくに設けられた御三卿ごさんきょう家老の詰所つめしょも当然、無人むじんになるものの、しかし、そこではあまりにも、

「人の目がある…」

 というもので、それでは「捜査本部」には適さず、それゆえ中奥なかおくにある御三卿ごさんきょう家老の詰所つめしょを「捜査本部」と定め、意知おきともたちに与えたのであった。

 さて、意知おきともたち4人は辰ノ口たつのぐち評定所ひょうじょうしょからここ中奥なかおくにある御三卿ごさんきょう詰所つめしょに移動すると、そこでまず、改めて自己じこ紹介しょうかいすることにした。

「私は田沼たぬま意知おきともだ。ここにいる平さん、いや、平蔵殿には色々いろいろと世話になっている…」

 意知おきとも益五郎ますごろう玄通げんつうに対して、平蔵をそう紹介しょうかいした。すると平蔵も益五郎ますごろう玄通げんつう会釈えしゃくした。

 益五郎ますごろうもそれを受けて自己じこ紹介しょうかいすることにした。

「俺は鷲巣わしのす益五郎ますごろう、で、こいつは博打ばくち仲間の玄通げんつう…、長谷川はせがわ玄通げんつう…」

 益五郎ますごろうがそう告げると、さしもの意知おきともも平蔵も苦笑させられたものである。益五郎ますごろうがはっきりと博打ばくち仲間だと告げたことに、意知おきともも平蔵も苦笑を禁じ得なかったのだ。博打ばくち仲間だとバラされた格好の玄通げんつうにしてもそうであった。

「まぁ、俺も若い時分じぶんには博打ばくちもしてのけたものよ…」

 平蔵はそう言って、特に問題視しなかった。意知おきとももそうであり、益五郎ますごろう意知おきともも平蔵も中々なかなかに懐が深いと感じた。

「ああ、でも俺が何の取りもないのに対して、こいつは…、長谷川はせがわ玄通げんつうは一応、医者だから…、ってもまだ見習いだが、それでも俺よりは役に立つと思うぜ」

 益五郎ますごろう玄通げんつう名誉めいよのために一応、そう補足ほそくした。

「左様か…、それにしても長谷川とは…」

 意知おきともがついそんな感想をらしたので、平蔵と玄通げんつうが同じ苗字みょうじであることを思い出させた。

「まぁ、無関係ではござろうが、なれどもしかしたらどこかでつながっているやも知れませんな…」

 玄通げんつうは苦笑まじりにそう答えると、平蔵もそれを受けて苦笑しながらうなずいたものだ。確かに平蔵も若い時分じぶんには博打ばくちきょうじたとの話だから、その血が玄通げんつうにも入っていたとしても不思議ではなかった。

 さて、それから意知おきともが、「今後の探索たんさく方針ほうしんだが…」と口火くちびを切った。すると平蔵が、「その前によろしいでしょうか…」と口をはさんだ。

「ええ、勿論もちろん。で、何です?」

 意知おきともは興味深げな様子で平蔵に尋ねた。

「いきなり…、先入せんにゅうかんを与えるようなことは…、そのような発言はげんつつしむのが探索たんさく鉄則てっそくなんですが…」

 平蔵はそう前置きした。

宣雄のぶお様の言葉ですか?」

 意知おきとも微笑ほほえみをたたえながらそう尋ねると、平蔵もれくさそうに、うなずいた。宣雄のぶおとは勿論もちろん、平蔵の父にして京都西町奉行を務めた長谷川はせがわ備中守びっちゅうのかみ宣雄のぶおのことであり、益五郎ますごろう玄通げんつうもすぐにそうと察した。

 ともあれ平蔵はそれからすぐに表情を引きめると、成程なるほど、皆に先入せんにゅうかんを植えつけるような驚くべきことを口にした。

大納言だいなごん様を殺し、そして奥医師おくいし池原いけはら良誠よしのぶを殺したのは…、その黒幕くろまく一橋ひとつばし治済はるさだ卿ではないかと…」

 平蔵のその大胆だいたん推量すいりょうにしかし、意知おきともとがめることなく、

「何ゆえにそのように思われる?」

 あくまで冷静に尋ねた。

「まぁ、根拠はあるのかと、そう問われれば俺のかんばたらきと、そう答えるしかないんですが…」

「それでも何か…、平蔵殿にそう思わせた何があるのでしょう?」

 意知おきともにそう問われた平蔵は「ええ」と答えると、その「何か」について語り出した。

治済はるさだ卿の表情の変化ですよ…」

治済はるさだ卿の表情の変化、と?」

 意知おきともが聞き返すと平蔵はうなずいた。

「具体的にはどういうことです?」

 意知おきともが平蔵にくわしい説明を求めた。

「俺が高橋たかはし又四郎またしろうが…、一橋ひとつばし邸より例の、益五郎ますごろうが…、って益五郎ますごろうと呼んでもかまわぬか?」

 平蔵からいきなりそう問われた益五郎ますごろうは、「好きに呼んでくれ」と答えた。

「それでは…、益五郎ますごろうが拾い上げた…、池原いけはら良誠よしのぶった下手人げしゅにんが落とした紫の袱紗ふくさ、そいつを一橋ひとつばし邸より持ち出した高橋たかはし又四郎またしろうが生存しているかも知れないと、俺がそう触れた時のことを覚えていますか?」

 平蔵がそう問いかけると、意知おきともっ先に反応はんのうした。

「ああ…、確かそれぞれのやしきより…、一橋ひとつばし御門内、あるいは|清水御門内、それぞれの邸内ていないのそれも土中より高橋たかはし又四郎またしろう遺骸いがいが見つからぬ場合には高橋たかはし又四郎またしろうは生きているやも知れぬ、と…」

 意知おきともが記憶をせながら尋ねると、平蔵はやはりうなずいた。意知おきとものその記憶力の良さに感心しているようでもあった。

「その時、治済はるさだ卿は誰よりも驚いた表情をしてみせたんですよ…」

「つまりそれは…、治済はるさだ卿は高橋たかはし又四郎またしろうが生きていることを知っているから…、つまりは平蔵殿が申される通り、黒幕くろまくゆえに、そのことを…、高橋たかはし又四郎またしろうが生きていると、平蔵殿に正確に指摘してきされたたえに、治済はるさだ卿は誰よりも、それこそ人一倍驚かれたと?」

「そうです。それからもう一点、仮に治済はるさだ卿が黒幕くろまくだとして、その場合には重好しげよし卿にぎぬを着せたことになるわけで…、つまりは池原いけはら良誠よしのぶ殺しがさも、一橋ひとつばし治済はるさだ卿の犯行である、ひいては家基いえもと様を殺したのも一橋ひとつばし治済はるさだ卿であると、重好しげよし卿はそう見せかけるべく、一橋ひとつばし邸にてつかえし高橋たかはし又四郎またしろうを使い、一橋ひとつばし邸よりそのための小道具こどうぐとも言うべき、例の紫の袱紗ふくさを持ち出させた…、治済はるさだ卿が黒幕くろまくの場合、そのように重好しげよし卿にぎぬを着せようと図ったことになるわけで、その場合には高橋たかはし又四郎またしろう相役あいやくである納戸なんどがしら堀内ほりうち平左衛門へいざえもんの証言…、高橋たかはし又四郎またしろうはわざわざ、堀内ほりうち平左衛門へいざえもんに対して治済はるさだ卿の意向いこうによりなどと断りを入れてから紫の袱紗ふくさを持ち出したとする、その堀内ほりうち平左衛門へいざえもんの証言も嘘ということになる…、その可能性にれた時にも…」

「やはり治済はるさだ卿は驚かれた…、それも人一倍、驚かれたと?」

 意知おきともが確かめるように尋ねると、平蔵はうなずき、「さらにもう一点」と付け加えた。

高橋たかはし又四郎またしろうが生存している可能性はきわめて低いのではないか…、俺がそんな推量すいりょうを口にした時、治済はるさだ卿は今度は一転、ホッとした様子を浮かべたんですよ…」

「それはつまり…、実際には高橋たかはし又四郎またしろうは生きており、にもかかわらず平蔵殿が誤った推量すいりょう披露ひろうせしことで、治済はるさだ卿はホッとされた、と?」

「その通りです。そしてそんなことは…、俺が間違った推量すいりょうを展開したことでホッとするのは黒幕くろまく以外にはあり得ませんから…」

 平蔵はそう断言した。成程なるほど、平蔵自身が認める通り、確かにかくたる根拠こんきょには欠けていたものの、しかし、治済はるさだ卿が黒幕くろまくに違いないと、そう思わせるには十分であった。

「だが問題は、俺が家基いえもと様が最期さいごのご放鷹ほうよう、それに同行どうこうした者たちの名簿めいぼを求めた時のことです…」

 平蔵がそう言いかけると、それには益五郎ますごろう反応はんのうした。

「そういや、治済はるさだの野郎、ニヤリと笑みを浮かべたよな…」

 益五郎ますごろうがそう答えると、平蔵は心底、驚いた表情を浮かべた。

「気付いていたのか?」

 平蔵は驚いた表情のまま、益五郎ますごろうに尋ねた。

「ああ。何だか妙にきになって…、いや、仮に黒幕くろまく治済はるさだだとしたら、当然、家基いえもと様の最期さいごのご放鷹ほうよう…、たかりに手前てめぇの息のかかった奴等やつら同行どうこうさせて、家基いえもと様のお命を頂戴ちょうだいしようとしたはずだから…、って現に家基いえもと様は品川の東海寺でしたっけ?江戸城に帰る途中にそこに立ち寄って、でそこで発病して、結果、死んだわけだから、その…、家基いえもと様殺害の黒幕くろまくとも言うべき立場の治済はるさだとしては、その同行者の名簿めいぼなんて作られた日には、そして探索たんさくに当たる俺たちに知られた日には大いにまずいと思うんだが、なのに治済はるさだはニヤリと笑みを浮かべやがった…、それが俺にはどうにも気になっちまって…」

 益五郎ますごろうがそう告げると、平蔵は目を丸くした。

「大した観察かんさつがんだな…、いや、まさしくその通りだよ…」

 平蔵は益五郎ますごろう観察かんさつりょく心底しんそこ感嘆かんたんした。

「だが、虚勢きょせいということは考えられないか?」

 意知おきともはあくまで冷静れいせいであった。それは益五郎ますごろうへの対抗心と言うよりは、あらゆる可能性をつぶしておきたいとの思惑おもわくからであった。

「いや、それは俺も考えましたけど、でも、どうにも俺には…」

虚勢きょせいとは考えられない…、つまり治済はるさだ卿は心底、ニヤリと笑みを浮かべた、と?」

「ええ…」

「だとしたら、治済はるさだ卿は品川の東海寺にての家基いえもと様のご発病については、己は潔白けっぱくであるとの絶対の自信があるからこそ、そのようにニヤリと笑みを浮かべられたのでは?」

 意知おきともがそう尋ねると、その時、初めて平蔵はしぶい表情を浮かべた。意知おきともの言う通りだからだ。

 だがそうなると…、品川の東海寺での家基いえもとの発病について治済はるさだ潔白けっぱくだとすると、家基いえもと発病、いや、家基いえもと殺害から派生はせいする奥医師おくいし池原いけはら良誠よしのぶ斬殺ざんさつ事件についても治済はるさだ潔白けっぱくということになるからだ。

 だがそれでは治済はるさだ黒幕くろまくだとする平蔵のそのかんばたらきがくるっていることになる。そのことが平蔵をなやませていた。

「まぁ、とりあえず名簿めいぼだ…、果たして家基いえもと様のたかりに誰が同行どうこうしたのか、そいつが分からないことには悩んでも仕方しかたねぇだろ…」

 益五郎ますごろうは平蔵をはげますようにそう言った。すると平蔵も、

「年下からはげまされるとは、本所ほんじょてつちたものよ…」

 苦笑まじりにそう答えた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

「楊貴妃」を最初に妻にした皇太子 ~父である皇帝にNTRされ、モブ王子に転落!~

城 作也
歴史・時代
楊貴妃は、唐の玄宗皇帝の妻として中国史に登場するが、最初は別の人物の妻となった。 これは、その人物を中心にした、恋と友情と反逆の物語。

和ませ屋仇討ち始末

志波 連
歴史・時代
山名藩家老家次男の三沢新之助が学問所から戻ると、屋敷が異様な雰囲気に包まれていた。 門の近くにいた新之助をいち早く見つけ出した安藤久秀に手を引かれ、納戸の裏を通り台所から屋内へ入っる。 久秀に手を引かれ庭の見える納戸に入った新之助の目に飛び込んだのは、今まさに切腹しようとしている父長政の姿だった。 父が正座している筵の横には変わり果てた長兄の姿がある。 「目に焼き付けてください」 久秀の声に頷いた新之助だったが、介錯の刀が振り下ろされると同時に気を失ってしまった。 新之助が意識を取り戻したのは、城下から二番目の宿場町にある旅籠だった。 「江戸に向かいます」 同行するのは三沢家剣術指南役だった安藤久秀と、新之助付き侍女咲良のみ。 父と兄の死の真相を探り、その無念を晴らす旅が始まった。 他サイトでも掲載しています 表紙は写真ACより引用しています R15は保険です

GAME CHANGER 日本帝国1945からの逆襲

俊也
歴史・時代
時は1945年3月、敗色濃厚の日本軍。 今まさに沖縄に侵攻せんとする圧倒的戦力のアメリカ陸海軍を前に、日本の指導者達は若者達による航空機の自爆攻撃…特攻 で事態を打開しようとしていた。 「バカかお前ら、本当に戦争に勝つ気があるのか!?」 その男はただの学徒兵にも関わらず、平然とそう言い放ち特攻出撃を拒否した。 当初は困惑し怒り狂う日本海軍上層部であったが…!? 姉妹作「新訳 零戦戦記」共々宜しくお願い致します。 共に 第8回歴史時代小説参加しました!

信濃の大空

ypaaaaaaa
歴史・時代
空母信濃、それは大和型3番艦として建造されたものの戦術の変化により空母に改装され、一度も戦わず沈んだ巨艦である。 そんな信濃がもし、マリアナ沖海戦に間に合っていたらその後はどうなっていただろう。 この小説はそんな妄想を書き綴ったものです! 前作同じく、こんなことがあったらいいなと思いながら読んでいただけると幸いです!

[恥辱]りみの強制おむつ生活

rei
大衆娯楽
中学三年生になる主人公倉持りみが集会中にお漏らしをしてしまい、おむつを当てられる。 保健室の先生におむつを当ててもらうようにお願い、クラスメイトの前でおむつ着用宣言、お漏らしで小学一年生へ落第など恥辱にあふれた作品です。

裏長屋の若殿、限られた自由を満喫する

克全
歴史・時代
貧乏人が肩を寄せ合って暮らす聖天長屋に徳田新之丞と名乗る人品卑しからぬ若侍がいた。月のうち数日しか長屋にいないのだが、いる時には自ら竈で米を炊き七輪で魚を焼く小まめな男だった。

皇国の栄光

ypaaaaaaa
歴史・時代
1929年に起こった世界恐慌。 日本はこの影響で不況に陥るが、大々的な植民地の開発や産業の重工業化によっていち早く不況から抜け出した。この功績を受け犬養毅首相は国民から熱烈に支持されていた。そして彼は社会改革と並行して秘密裏に軍備の拡張を開始していた。 激動の昭和時代。 皇国の行く末は旭日が輝く朝だろうか? それとも47の星が照らす夜だろうか? 趣味の範囲で書いているので違うところもあると思います。 こんなことがあったらいいな程度で見ていただくと幸いです

寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい

白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。 私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。 「あの人、私が

処理中です...