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鼠小僧次郎吉は異世界のカフェで河内山宗春と再会を果たす
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次郎吉はアサカの案内により、異世界を散策することにした。そこには次郎吉の目から見れば、
「もののけ」
そうとしか思えない人種もいれば、そうでない人種もいた。
するとそうと察したアサカが次郎吉に対して、
「異世界には現地人もいれば、そうではない…、次郎吉さんのように転生者もいるのさ…」
そう耳打ちしたのであった。
「人種が混在してる、ってことか?」
「そうさね…」
「ってことは、転生者は…、俺の目から見て、もののけのようには見えないやつらは皆、非業の死を遂げて、ここに…、異世界に転生してきた、ってわけか?」
「そういうことさね…」
アサカはそれから一軒の茶店に次郎吉をいざなった。
「ここはカフェ、というのさ…」
「かふぇ?」
「茶店のことさね…」
「へぇ…、異世界じゃあ、茶店のことをその、何だ…」
「カフェ」
「そうそう、そのかふぇ…、そんな面妖な呼び名がついてるのか…」
「そうさね…」
アサカと次郎吉がその茶店、もといカフェの暖簾をくぐるや、「いらっしゃいまし」という男の声に出迎えられた。
その男の声に次郎吉は聞き覚えがあり、思わず声の主である店員を凝視した。するとその男の店員も次郎吉を凝視し、やがて男の店員の方から次郎吉に声をかけてきた。
「おめぇ、次郎吉じゃねぇか…」
「こりゃ、河内山の旦那じゃねぇっすか…」
次郎吉は男の店員、もとい河内山の旦那なる者にそう返答するや、条件反射的に頭を下げていた。
「おいおい、ここじゃ、俺が頭を下げるところだぜ…」
「お知り合いかえ?」
アサカが割って入った。
「ああ…、河内山の旦那…、河内山宗春様と言って、俺がかつて江戸でお世話になっていた御仁さ…」
次郎吉が男の店員、もとい河内山宗春をアサカに紹介した。
するとアサカは意外にも河内山宗春のことを知っていた。いや、アサカ自身、この異世界に転生する前までは次郎吉が、それに河内山宗春もいた江戸において岡場所の女郎としていたわけだから、河内山宗春のことを知っていてもおかしくはなかった。
あるいはやはりアサカが次郎吉よりも先にこの異世界に転生してきた河内山宗春の「案内人」を勤めたためか…、正解は後者であった。
「あたい、河内山の旦那の案内人も務めたんでさ…、その際、次郎吉さんの名前も聞いてね…、江戸にいた時分には随分と世話になったと…」
アサカのその説明を聞いて、次郎吉はなるほどと、合点がいくと同時に、
「もしかして…、それで俺をこの茶店…、かふぇ、とやらに俺を案内したってわけか?河内山の旦那が働いてる…」
そんな疑問が浮かび、アサカにぶつけてみたところ、アサカは頷いたので、そういうことかと、次郎吉はやはり合点がいった。
「まぁ、立ち話もなんだ。適当なところに…、いや、窓辺が良いな…」
河内山宗春はそう言って、次郎吉とアサカを店内でも一番見晴らしの良い席へと案内してくれた。
「もののけ」
そうとしか思えない人種もいれば、そうでない人種もいた。
するとそうと察したアサカが次郎吉に対して、
「異世界には現地人もいれば、そうではない…、次郎吉さんのように転生者もいるのさ…」
そう耳打ちしたのであった。
「人種が混在してる、ってことか?」
「そうさね…」
「ってことは、転生者は…、俺の目から見て、もののけのようには見えないやつらは皆、非業の死を遂げて、ここに…、異世界に転生してきた、ってわけか?」
「そういうことさね…」
アサカはそれから一軒の茶店に次郎吉をいざなった。
「ここはカフェ、というのさ…」
「かふぇ?」
「茶店のことさね…」
「へぇ…、異世界じゃあ、茶店のことをその、何だ…」
「カフェ」
「そうそう、そのかふぇ…、そんな面妖な呼び名がついてるのか…」
「そうさね…」
アサカと次郎吉がその茶店、もといカフェの暖簾をくぐるや、「いらっしゃいまし」という男の声に出迎えられた。
その男の声に次郎吉は聞き覚えがあり、思わず声の主である店員を凝視した。するとその男の店員も次郎吉を凝視し、やがて男の店員の方から次郎吉に声をかけてきた。
「おめぇ、次郎吉じゃねぇか…」
「こりゃ、河内山の旦那じゃねぇっすか…」
次郎吉は男の店員、もとい河内山の旦那なる者にそう返答するや、条件反射的に頭を下げていた。
「おいおい、ここじゃ、俺が頭を下げるところだぜ…」
「お知り合いかえ?」
アサカが割って入った。
「ああ…、河内山の旦那…、河内山宗春様と言って、俺がかつて江戸でお世話になっていた御仁さ…」
次郎吉が男の店員、もとい河内山宗春をアサカに紹介した。
するとアサカは意外にも河内山宗春のことを知っていた。いや、アサカ自身、この異世界に転生する前までは次郎吉が、それに河内山宗春もいた江戸において岡場所の女郎としていたわけだから、河内山宗春のことを知っていてもおかしくはなかった。
あるいはやはりアサカが次郎吉よりも先にこの異世界に転生してきた河内山宗春の「案内人」を勤めたためか…、正解は後者であった。
「あたい、河内山の旦那の案内人も務めたんでさ…、その際、次郎吉さんの名前も聞いてね…、江戸にいた時分には随分と世話になったと…」
アサカのその説明を聞いて、次郎吉はなるほどと、合点がいくと同時に、
「もしかして…、それで俺をこの茶店…、かふぇ、とやらに俺を案内したってわけか?河内山の旦那が働いてる…」
そんな疑問が浮かび、アサカにぶつけてみたところ、アサカは頷いたので、そういうことかと、次郎吉はやはり合点がいった。
「まぁ、立ち話もなんだ。適当なところに…、いや、窓辺が良いな…」
河内山宗春はそう言って、次郎吉とアサカを店内でも一番見晴らしの良い席へと案内してくれた。
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