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第六話 白と黒の衝突
白と黒の衝突 06
しおりを挟む決着はついたと言わんばかりの台詞にダメージを受けた腹の痛みを我慢して内心の怒りを爆発させながら両翼に光を溜め込んでいく
「舐めないでください!」
そうして両翼から放たれた大きなレーザーは、互いに擦り寄るように纏って一本の巨大なレーザーとなって、地面を抉り、レーザーに沿うような竜巻を発生させながらアーシェリに向かって飛来する
そのレーザーを避けようと回避行動に移るアーシェリだったが、一瞬だけ動きを止めていた
直径四メートルを超える巨大なレーザーが向かう先は、建物の数に遮られていたが人通りの多い大通りだった
建物を貫通して人々に被害を出させない為にアーシェリはバイオレットラブを両手で握りしめ、霊気を纏いながらフルスイングの要領で、巨大レーザーに剣の腹を全力でぶつけていく
「ぐっ…ぬぬぬぬぬぬ…!」
顔に血管が浮き出るほどの力をぶつけていくアーシェリだが今一歩力及ばず、徐々に後ろに押し出されている
これだけの威力と大きさ、もし、自分が押し負けたら確実に被害者が出てしまう
このままではいけないと、そう身に染みて感じたアーシェリは自身の中から爆発的な霊気を発生させていた
「うううおらあああああっ!!!」
「うそ…!」
舞い始めた砂埃と煙に包まれながらアーシェリは全力の雄叫びとともに、円盤状の霊核ーーー『神器霊核』を発生させて押し寄せるレーザーを受けていたバイオレットラブを一気に上へと振り切って、レーザーを上空へと跳ね返していた
全力で撃ち出した最大級のレーザーを止められる筈がないとたかを括っていたマーリアは驚愕のあまり、声を震わせてアーシェリを見る
最早その時だけ、自身が戦闘中だということも忘れるくらい
視界の悪さでどのような『神器霊核』を発生させていたのかは不明だったが、その消耗は激しく、息を切らせ始めていた
「てめえ…いい加減にしやがれ、関係ない人たちを巻き込むつもりか!!」
「っ…!」
怒声を響かせるアーシェリの声に一瞬だけ戸惑いをみせるマーリアだったが、直ぐに表情を持ち直して体制を整える
「くだらねー抵抗はやめて投降しろよ!そうすれば多少の罪は軽くなるし私だって悪いよーにはしねーよ!」
先程からそう呼びかけ続けるアーシェリは、何とかして戦いを終わらせたかった
言葉の中に相手に対する同情や優しさなどはなく、先の攻撃を受け止めた事といい、加減のできない『神器霊核』を土壇場でしか使わなかった事といい、彼女は実力が拮抗しうる相手と全力で戦う事で周りへの被害に対する懸念を抱いていた
それに、音を聞きつけてやってくる人間もいないとは限らない以上、周辺に対しても気を使わないといけない
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