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第六話 白と黒の衝突
白と黒の衝突 05
しおりを挟む「くっ!二本も剣を持っていながらチマチマと…!オメー正々堂々剣で勝負しやがれ!」
次々と撃たれるレーザーを辛うじて躱しながら
挑発にすらならない文句を挑発のつもりでマーリアに向けるも、今この状態で精一杯という事実を無意識に自白していた
本来なら更に間隔を短くし、なおかつ相手の攻撃射程外から追い詰めるのだが…
「いいのですか?この状況下で剣撃を許しても」
「?」
マーリアはアーシェリの返事を待つことなく、翼からレーザーを連続照射続けながら白薔薇とフラッシュブレードを構えて前進する
「おわっ!?」
武器を両手に近接戦を行えば、普通なら手から発動させるレーザーなどのブランチアクセルは使いづらくなる
「あたしは馬鹿かっ…!」
マーリアのレーザーを嫌っての挑発だったがレーザーをいなすのに夢中になっていて、相手が手からではなく翼から発生させていたことを一瞬とはいえ忘れており、アーシェリは自身を叱咤する
「お忙しいでしょうが、お望み通り剣も交えてあげましょう」
お陰でアーシェリは更なる窮地に追い込まれたが、マーリアが近づいてきたことはアーシェリにとっても好都合であり、アーシェリは僅かな隙を見つけて武器を大きく振りかぶる
二人の距離は剣を交えるのにまだかなりの間隔が空いており、何かしらの遠距離攻撃を警戒してマーリアはアーシェリの挙動を見逃さないように注視するが
「よし…」
アーシェリが何か呟くと、一瞬にして姿を消してしまった
直後にマーリアは驚きの顔を表しながら、攻撃の手と直進していた足を止めて、あたり一帯を見渡す
「あの攻撃の最中で一体どこに…?」
消えたのは姿だけでなく、まるでもうこの場に存在していなかったかのように、彼女の気配まで完全に消えて感じ取れなくなったことにマーリアは一転して驚きを隠せなくなっていた
アーシェリが姿を消して数秒間、静寂が辺りを包み込む中マーリアは奇襲の可能性を考慮して警戒しながら待ち構えていると
何の前触れもなく、剣を翳した状態のアーシェリが目前に現れた
奇襲を予測していたとはいえ、空間をワープしてきたかのように予備動作もなく突然現れた彼女を前にして驚きの余り、回避動作の初動が遅れたマーリアは振り下ろされる剣を咄嗟に両手の剣でガードする
「うぉらぁっ!!」
単純な力量差は歴然であり、アーシェリは雄叫びをあげると一気に剣を振り切ってマーリアのバランスを大きく崩す
ここに勝機を見たアーシェリは更に踏み込んで怒涛の攻撃を繰り返してマーリアを更に追い込んでいく
最早その様子は強者が弱者を追い詰めるような一方的な闘いになっており、マーリアは辛うじて転倒を間逃れているが、アーシェリの攻撃範囲から逃れることも叶わず、剣を打ち合う度により大きくバランスを崩していく
均衡が一切取れていない状況下で、翼からレーザーを発射すれば自身が被弾する可能性があり、そうなってしまっては敗北は決定的なものになってしまう
必死になりながら状況を脱却すべく思考を巡らせるが、その間にも体力を削れてしまい、ついにはアーシェリを前に大きく仰け反って隙を晒してしまいーーー
「いてーのいくぜ!全力で踏ん張りな!!」
バイオレットラブを手放して消失させたアーシェリは渾身の右ストレートをマーリアの腹に叩き込んだ
体を九の字に折り曲げたマーリアはそのまま廃墟の壁を突き破り、机や棚といった家具を当り散らしながら建物の反対側まで勢いよく吹き飛ばされる
吹き飛ばされながらも翼で自身を守るように囲い、激突時の負傷は避けられたものの、叩き込まれた拳のダメージは大きく、その口元からは血が流れ落ちていた
朦朧する意識と激痛に体の自由を奪われながらゆっくりと体制を立て直すマーリアの前にアーシェリが立ち塞がる
「大人しく捕まりな、オメーが抵抗しなければあたしはこれ以上何もするつもりはねーからよ」
優しくはないが冷たい態度でもなく、アーシェリは両手を腰にあてながら諭すような態度でマーリアに投降を呼びかける
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