エンゼルローズ

RASHE

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第五話 復讐者の来訪

復讐者の来訪 09

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「能力ありのたたかいなら私がかっていた…」

「……」


落とした竹刀を拾って、シェリエールはマレーシャから視線を逸らしながらガックリと肩を下ろして負け惜しみを口にする

震えるようなその口調からは渋々と負けを認めながらも、その気持ちを表に出したくないというプライドが現れていた


「やっぱりまーちゃんは強いね!あうりんじゃ難しいかも」

「でも、シェリエールも強かったよ…」

「うっ…!」


アウリの表裏ない一言とルリアの微妙なフォローに同情されたと思ったシェリエールは心に刃物を突き立てられたようにプライドを傷つけられて身が硬くなりそうだった


「う、うるさい!それだからおまえはチキンなんだ!」


その気持ちを無理矢理振り払う為にルリアを凝視して、気持ちをぶつけるように言葉を吐く

ルリアは何がどうチキンに結びつくのかはわからなかったが、口にしたらシェリエールが更に不機嫌になりそうなので、あえて何も言わずに困り顔で静観する

シェリエールは入口の扉まで歩いていくと、急に振り返って指でマレーシャを指す


「今度はまけないからな!」


不機嫌な気持ちを隠すようにニヤケ面で宣言すると扉を開けてゆっくりと部屋を後にする

扉が閉まる音が広いトレーニングルームにこだまするとシェリエールを見送った三人は顔を見合わせた


「相変わらずの負けず嫌いだね…」

「…」

「しぇりちゃんもまーちゃんもやる気充分だね!
よーし!同じチビトリオとしてあうりんも負けないように明日も頑張らないと!」


夕食に備える為トレーニング用具を各々片付けを行う最中、アウリが包んだトレーニング用マットを両手にマレーシャに近づいていく


「ねぇねぇまーちゃん、明日あうりんとも模擬戦やらない?」

「…?」

「『チビトリオ 』最強決定戦だよ!それに、さっきの模擬戦見ててあうりんも戦いたくなってきたから」

「……いいよ…」


自分への挑戦を受けてもらえたアウリが徐にガッツポーズを取る横でマレーシャはいつもの仏頂面でマイペースに片付けを続けているものの、その手に力が込められていた

その心中には悠然と立ち塞がり、そして自分たちを返り討ちにしたあの悪魔の姿が去来する

いずれ強くなってあの悪魔を倒す為に、相手が誰であってもーーー


「負けない……」


と、心に強く刻み込んだ
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