49 / 56
第五話 復讐者の来訪
復讐者の来訪 09
しおりを挟む「能力ありのたたかいなら私がかっていた…」
「……」
落とした竹刀を拾って、シェリエールはマレーシャから視線を逸らしながらガックリと肩を下ろして負け惜しみを口にする
震えるようなその口調からは渋々と負けを認めながらも、その気持ちを表に出したくないというプライドが現れていた
「やっぱりまーちゃんは強いね!あうりんじゃ難しいかも」
「でも、シェリエールも強かったよ…」
「うっ…!」
アウリの表裏ない一言とルリアの微妙なフォローに同情されたと思ったシェリエールは心に刃物を突き立てられたようにプライドを傷つけられて身が硬くなりそうだった
「う、うるさい!それだからおまえはチキンなんだ!」
その気持ちを無理矢理振り払う為にルリアを凝視して、気持ちをぶつけるように言葉を吐く
ルリアは何がどうチキンに結びつくのかはわからなかったが、口にしたらシェリエールが更に不機嫌になりそうなので、あえて何も言わずに困り顔で静観する
シェリエールは入口の扉まで歩いていくと、急に振り返って指でマレーシャを指す
「今度はまけないからな!」
不機嫌な気持ちを隠すようにニヤケ面で宣言すると扉を開けてゆっくりと部屋を後にする
扉が閉まる音が広いトレーニングルームにこだまするとシェリエールを見送った三人は顔を見合わせた
「相変わらずの負けず嫌いだね…」
「…」
「しぇりちゃんもまーちゃんもやる気充分だね!
よーし!同じチビトリオとしてあうりんも負けないように明日も頑張らないと!」
夕食に備える為トレーニング用具を各々片付けを行う最中、アウリが包んだトレーニング用マットを両手にマレーシャに近づいていく
「ねぇねぇまーちゃん、明日あうりんとも模擬戦やらない?」
「…?」
「『チビトリオ 』最強決定戦だよ!それに、さっきの模擬戦見ててあうりんも戦いたくなってきたから」
「……いいよ…」
自分への挑戦を受けてもらえたアウリが徐にガッツポーズを取る横でマレーシャはいつもの仏頂面でマイペースに片付けを続けているものの、その手に力が込められていた
その心中には悠然と立ち塞がり、そして自分たちを返り討ちにしたあの悪魔の姿が去来する
いずれ強くなってあの悪魔を倒す為に、相手が誰であってもーーー
「負けない……」
と、心に強く刻み込んだ
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】竜人が番と出会ったのに、誰も幸せにならなかった
凛蓮月
恋愛
【感想をお寄せ頂きありがとうございました(*^^*)】
竜人のスオウと、酒場の看板娘のリーゼは仲睦まじい恋人同士だった。
竜人には一生かけて出会えるか分からないとされる番がいるが、二人は番では無かった。
だがそんな事関係無いくらいに誰から見ても愛し合う二人だったのだ。
──ある日、スオウに番が現れるまでは。
全8話。
※他サイトで同時公開しています。
※カクヨム版より若干加筆修正し、ラストを変更しています。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
地獄の業火に焚べるのは……
緑谷めい
恋愛
伯爵家令嬢アネットは、17歳の時に2つ年上のボルテール侯爵家の長男ジェルマンに嫁いだ。親の決めた政略結婚ではあったが、小さい頃から婚約者だった二人は仲の良い幼馴染だった。表面上は何の問題もなく穏やかな結婚生活が始まる――けれど、ジェルマンには秘密の愛人がいた。学生時代からの平民の恋人サラとの関係が続いていたのである。
やがてアネットは男女の双子を出産した。「ディオン」と名付けられた男児はジェルマンそっくりで、「マドレーヌ」と名付けられた女児はアネットによく似ていた。
※ 全5話完結予定
よくできた"妻"でして
真鳥カノ
ライト文芸
ある日突然、妻が亡くなった。
単身赴任先で妻の訃報を聞いた主人公は、帰り着いた我が家で、妻の重大な秘密と遭遇する。
久しぶりに我が家に戻った主人公を待ち受けていたものとは……!?
※こちらの作品はエブリスタにも掲載しております。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/bl.png?id=5317a656ee4aa7159975)
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる