6 / 56
第1話 始まりの事件
始まりの事件 05
しおりを挟む
やがて小さな町を抜けて田舎道に差しかかると、その奥に数多くのビルが立ち並ぶ都会の姿が見えてくるとゼオンは前のめりの姿勢でフロントガラス越しに街並みの姿を眺める
「あともうちょいか…会社についたら司令に任務のことを報告してしっかりレポートを書かなきゃな!」
「意気込むのはいいですが、さっき気づきましたが、シートベルトを席に刺さないで先端をお尻で踏んでいますよ」
ゼオン浮いたお尻の下にシートベルトの金具を横目で目敏く見つけたキルバレンはすかさず指摘すると、アーシェリとシェリエールは興味を秘めた眼差しで後ろからゼオンを見つめる
「おっ!?」
やや呆れ態度のキルバレンに指摘を受けてシートベルトをしっかりと座席に固定していなかったことに今更気づいたゼオンは慌てながらすぐさま座席にシートベルトを固定するも、その様子を後部座席でバッチリ見ていた妹二人が揃ってため息をついた為、バツが悪くなりながら、とりあえず苦笑いを返しておいた
「またシートベルトか…」
「流石に『おっ』じゃねーだろ…」
「はっはっは…ちょっと考え事していてうっかりしてた」
「頼むぜ『長女』…」
そのまま車を都会の中へと走らせていくと、数あるビルを押し除けて立っているかのような『industry』と書かれたロゴを屋上近くに大きく蚊陰り一際大きな建物、カンパニー産業国『Company industrial country』略称CIC・本社の前に着くと、キルバレンを除く三人は車の中から足を下ろす
「私はこのまま駐車場で待っていますので、遅くなりそうならケータイ電話に連絡入れてくださいね」
「わかった」
キルバレンとの小さなやりとりを済ませた後、三人はそのまま歩いて建物の中へと入り、大きなホールの中で守衛そして受付嬢に軽い挨拶をし、突き当たりのエレベーターまで三人横に並びながら足を運ばせる
そのまま歩き続けると、向かいのエレベーターから出てきた四十代と思わせる風貌の男性とすれ違い様に挨拶を受けた
「こんばんはお嬢ちゃんたち!任務の帰りかい?」
「あっハイ!お疲れ様です!えーっと…」
いち早く丁寧に挨拶を返したのはアーシェリだが、相手の名前がわからず会話を吃らせてしまう
そこにゼオンが大きな声で助け船を出ように挨拶をする
「第五支部のライマルカ部長!お疲れ様です!」
内心助け舟を出してくれたゼオンに感謝する余裕もなく、喋っている相手が部長と聞いたアーシェリは一瞬にして緊張して落ち着かない態度なりに背筋を伸ばす
「あっ!すいません部長、ええ任務がただいま終わりましたです!」
緊張しながら脈絡のない言葉を並べたてるアーシェリ傍らで、何時も遠目で人を睨んでいるようなシェリエールも相手の役職を聞いた途端に身体を強張らせてアーシェリの影に隠れるように彼女の後ろに張り付いていた
国の名前を背負うこのカンパニー産業国という名の超巨大企業における社会的立場を知りながらも16歳と13歳の少女にとって部長という役職名は物凄い圧力のかかるものだったらしい
「キミがアーシェリちゃんでそっちの子がシェリエールちゃんだね。
ゼオンちゃんとは何度か面識があるけど、キミ達と話をするのは初めてだったね」
「ハイッ!」
「は…はい…」
ライマルカ部長は緊張しまくった二人に対し緊張を解す為に、大胆に自らの胸にてを当てて自己紹介する
「そう、私はライマルカ・エスクワード!キミたちが戦っている裏で助けられながら仕事をしている者さ!
キミ達のような存在が助けてくれるから、こちらも安心して仕事をしていられるからいつも感謝しているよ!」
「いやいや、オレ達なんてまだまだ…」
「い…いえ…」
「……」
部長という国の幹部に感謝の言葉を受けて、口では謙遜するもののゼオンは喜びながら照れていたが、アーシェリとシェリエールは相手にどのような対応返すのが正解なのか分からず、反応に困っていた
「それじゃ、今日は急ぎの用事があるからね、早いうちに私はお先に帰らせてもらうよ」
そう言ってライマルカは最後に軽く手を振ってその場を後にする
「お疲れ様でした!」
やがて彼の姿がホールの玄関口の奥に消えると、ゼオンは嘲笑するかのようにアーシェリとシェリエールの顔を覗き込む
「あともうちょいか…会社についたら司令に任務のことを報告してしっかりレポートを書かなきゃな!」
「意気込むのはいいですが、さっき気づきましたが、シートベルトを席に刺さないで先端をお尻で踏んでいますよ」
ゼオン浮いたお尻の下にシートベルトの金具を横目で目敏く見つけたキルバレンはすかさず指摘すると、アーシェリとシェリエールは興味を秘めた眼差しで後ろからゼオンを見つめる
「おっ!?」
やや呆れ態度のキルバレンに指摘を受けてシートベルトをしっかりと座席に固定していなかったことに今更気づいたゼオンは慌てながらすぐさま座席にシートベルトを固定するも、その様子を後部座席でバッチリ見ていた妹二人が揃ってため息をついた為、バツが悪くなりながら、とりあえず苦笑いを返しておいた
「またシートベルトか…」
「流石に『おっ』じゃねーだろ…」
「はっはっは…ちょっと考え事していてうっかりしてた」
「頼むぜ『長女』…」
そのまま車を都会の中へと走らせていくと、数あるビルを押し除けて立っているかのような『industry』と書かれたロゴを屋上近くに大きく蚊陰り一際大きな建物、カンパニー産業国『Company industrial country』略称CIC・本社の前に着くと、キルバレンを除く三人は車の中から足を下ろす
「私はこのまま駐車場で待っていますので、遅くなりそうならケータイ電話に連絡入れてくださいね」
「わかった」
キルバレンとの小さなやりとりを済ませた後、三人はそのまま歩いて建物の中へと入り、大きなホールの中で守衛そして受付嬢に軽い挨拶をし、突き当たりのエレベーターまで三人横に並びながら足を運ばせる
そのまま歩き続けると、向かいのエレベーターから出てきた四十代と思わせる風貌の男性とすれ違い様に挨拶を受けた
「こんばんはお嬢ちゃんたち!任務の帰りかい?」
「あっハイ!お疲れ様です!えーっと…」
いち早く丁寧に挨拶を返したのはアーシェリだが、相手の名前がわからず会話を吃らせてしまう
そこにゼオンが大きな声で助け船を出ように挨拶をする
「第五支部のライマルカ部長!お疲れ様です!」
内心助け舟を出してくれたゼオンに感謝する余裕もなく、喋っている相手が部長と聞いたアーシェリは一瞬にして緊張して落ち着かない態度なりに背筋を伸ばす
「あっ!すいません部長、ええ任務がただいま終わりましたです!」
緊張しながら脈絡のない言葉を並べたてるアーシェリ傍らで、何時も遠目で人を睨んでいるようなシェリエールも相手の役職を聞いた途端に身体を強張らせてアーシェリの影に隠れるように彼女の後ろに張り付いていた
国の名前を背負うこのカンパニー産業国という名の超巨大企業における社会的立場を知りながらも16歳と13歳の少女にとって部長という役職名は物凄い圧力のかかるものだったらしい
「キミがアーシェリちゃんでそっちの子がシェリエールちゃんだね。
ゼオンちゃんとは何度か面識があるけど、キミ達と話をするのは初めてだったね」
「ハイッ!」
「は…はい…」
ライマルカ部長は緊張しまくった二人に対し緊張を解す為に、大胆に自らの胸にてを当てて自己紹介する
「そう、私はライマルカ・エスクワード!キミたちが戦っている裏で助けられながら仕事をしている者さ!
キミ達のような存在が助けてくれるから、こちらも安心して仕事をしていられるからいつも感謝しているよ!」
「いやいや、オレ達なんてまだまだ…」
「い…いえ…」
「……」
部長という国の幹部に感謝の言葉を受けて、口では謙遜するもののゼオンは喜びながら照れていたが、アーシェリとシェリエールは相手にどのような対応返すのが正解なのか分からず、反応に困っていた
「それじゃ、今日は急ぎの用事があるからね、早いうちに私はお先に帰らせてもらうよ」
そう言ってライマルカは最後に軽く手を振ってその場を後にする
「お疲れ様でした!」
やがて彼の姿がホールの玄関口の奥に消えると、ゼオンは嘲笑するかのようにアーシェリとシェリエールの顔を覗き込む
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
【完結】捨てられ正妃は思い出す。
なか
恋愛
「お前に食指が動くことはない、後はしみったれた余生でも過ごしてくれ」
そんな言葉を最後に婚約者のランドルフ・ファルムンド王子はデイジー・ルドウィンを捨ててしまう。
人生の全てをかけて愛してくれていた彼女をあっさりと。
正妃教育のため幼き頃より人生を捧げて生きていた彼女に味方はおらず、学園ではいじめられ、再び愛した男性にも「遊びだった」と同じように捨てられてしまう。
人生に楽しみも、生きる気力も失った彼女は自分の意志で…自死を選んだ。
再び意識を取り戻すと見知った光景と聞き覚えのある言葉の数々。
デイジーは確信をした、これは二度目の人生なのだと。
確信したと同時に再びあの酷い日々を過ごす事になる事に絶望した、そんなデイジーを変えたのは他でもなく、前世での彼女自身の願いであった。
––次の人生は後悔もない、幸福な日々を––
他でもない、自分自身の願いを叶えるために彼女は二度目の人生を立ち上がる。
前のような弱気な生き方を捨てて、怒りに滾って奮い立つ彼女はこのくそったれな人生を生きていく事を決めた。
彼女に起きた心境の変化、それによって起こる小さな波紋はやがて波となり…この王国でさえ変える大きな波となる。
愚かな父にサヨナラと《完結》
アーエル
ファンタジー
「フラン。お前の方が年上なのだから、妹のために我慢しなさい」
父の言葉は最後の一線を越えてしまった。
その言葉が、続く悲劇を招く結果となったけど・・・
悲劇の本当の始まりはもっと昔から。
言えることはただひとつ
私の幸せに貴方はいりません
✈他社にも同時公開
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
そんなに妹が好きなら死んであげます。
克全
恋愛
「アルファポリス」「カクヨム」「小説家になろう」に同時投稿しています。
『思い詰めて毒を飲んだら周りが動き出しました』
フィアル公爵家の長女オードリーは、父や母、弟や妹に苛め抜かれていた。
それどころか婚約者であるはずのジェイムズ第一王子や国王王妃にも邪魔者扱いにされていた。
そもそもオードリーはフィアル公爵家の娘ではない。
イルフランド王国を救った大恩人、大賢者ルーパスの娘だ。
異世界に逃げた大魔王を追って勇者と共にこの世界を去った大賢者ルーパス。
何の音沙汰もない勇者達が死んだと思った王達は……
王が気づいたのはあれから十年後
基本二度寝
恋愛
王太子は妃の肩を抱き、反対の手には息子の手を握る。
妃はまだ小さい娘を抱えて、夫に寄り添っていた。
仲睦まじいその王族家族の姿は、国民にも評判がよかった。
側室を取ることもなく、子に恵まれた王家。
王太子は妃を優しく見つめ、妃も王太子を愛しく見つめ返す。
王太子は今日、父から王の座を譲り受けた。
新たな国王の誕生だった。
箸で地球はすくえない
ねこよう
ライト文芸
ネットハッカーのネズミ。情報屋のウサギ。詐欺師のオウム。仲介屋のキツネ。そして刑事の牛尾田。
この五人がある事件に遭遇します。
その事件に至るまでの前日譚。各々の犯罪者や刑事が、今までどういう人生を送ってきて、その事件と関わっていくのか、というストーリーです。
それぞれの話が短編で独立していますが、少しずつ絡み合っています。
順番に読んで頂いても良いですし、興味の沸いた人物の章から読んで頂いてもOKです。
ちなみにですが、刑事牛尾田の話は、「その一」でも「その四」でも一つずつ独立したショートショートです。
チェイサーキャットは夜に嗤う
ふらっぐ
ライト文芸
『ヴィクティム因子』と呼ばれる因子により荒廃した未来の地球。
そこで何でも屋として生きる少女、セトミ・フリーダムは、不思議な雰囲気を持った幼女を保護する。しかしそれは、果て無き戦いへとセトミを導く序曲に過ぎなかった。
司書ですが、何か?
みつまめ つぼみ
ファンタジー
16歳の小さな司書ヴィルマが、王侯貴族が通う王立魔導学院付属図書館で仲間と一緒に仕事を頑張るお話です。
ほのぼの日常系と思わせつつ、ちょこちょこドラマティックなことも起こります。ロマンスはふんわり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる