なあ、西川。

吉田利都

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自己紹介

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始業式がもうじき始まるので僕は混雑に巻き込まれないよう

早めに体育館へと向かうことにした。

席を立ち教室を出るとポンッと肩をたたかれる。

振り返るとそこにいたのは西川だった

「どうしたの?西川君」

「教室いてもつまんねーから早めに体育館行こうぜ」

僕と考えが同じである。


始業式中、僕はボーっとただボーっと終わるのを待っていた。

校長のあいさつに耳を傾ける奴なんて一人もいないだろう。

それを校長自身もわかっているのか、形だけのあいさつは春の空気と共に流れていった。

続いて就任式だ。

これは一年間の学校生活を大きく左右する大事な瞬間だ。

みんながそわそわする中 教師の紹介が為されていく。

歓喜するクラスもあれば新任の教師にあたり いまいちなリアクションのクラスもあった。

僕たち2年2組の担任は女性。

新任の教師で年も若く、男子たちは密かに喜んでいた。

顔もまあまあ悪くない。

2000年代初期の正統派アイドルといったところだろうか。

あとは、どういう教育方針かにかかっているわけだが。。。



始業式も終わり、教室に戻ると先生は既にいた。

「お、みんなはやくはやく!!」

そう呼びかけるとそれぞれ先頭の机にプリントを配り始めた。

「前の人は席に着いたら後ろに回してねー」


「はりきってるな、あの先生」

西川は若干苦い顔をしている。


僕も席に着きプリントが手元に回るころには皆教室に戻ってきていた。

進級してから初めてのホームルームが始まる。


「ではさっそく定番の自己紹介でもしますか!」

出た。一番苦手なやつ。

部活にも入っていないし趣味も特にこれといって無い俺には苦痛な最初のイベント。

「先ほど配ったプリントにいくつか項目があるので書き込んでいってください」

「皆が書いている間先生が最初に自己紹介するので書きながら聞いててね」

そういうと先生は元気よく話し始めた。

東 結子(あずま ゆうこ)

年齢は23歳

明るくハキハキと喋るがよく空回りするらしい。

好きな食べ物は苺でこのクラスを担任するにあたって髪を切ったらしい。

(随分気合入ってるし行事とか力入れるタイプなんだろうな)

先を考えると気が重くなってきた。

「とまあ、こんな感じです もう皆書けたかな?

良かったら前の方から順番にお願いします!」

こうして始まった自己紹介はどれも個性が強かった。

笑いをとろうとする人や変な自慢をする人

挙句の果ては恋人募集までする人もいた。

「前原 深月(まえはら みつき)です
部活は陸上部で趣味は音楽鑑賞です 一年間よろしくお願いします」

彼女が話すと場の雰囲気が変わるのが分かる。
息をのむのをためらうほどにか細い声で話すからだ。

部活で走っているときはそれを感じさせないほど凛々しい。
そのギャップがそそられるのかもしれない。

「関 明(せき あかり)です!
部活はバドミントンやってまーす!最近料理の勉強してますよろしく!」

関さんは前原さんとはうって変わり

その持ち前の明るさから誰にでも優しいので
主に俺のような女子に対する免疫がない男から人気だった。

(それにしてもずぼらな関さんが作る料理はやばそうだな)

続く。
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