短編エロ

黒弧 追兎

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.いって【媚薬 おねだり 乳首責め】

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「ノアちゃん、もうそんなにごろごろしちゃって」
「うるさい」

 机に布団を挟んだだけなのにこんなにあったかいなんて、人間はすごいと思う。伸ばした足先に当たった奴の冷たい指先がコツコツとちょっかいを出してくる。
 うるさい声は無視して、心地よさを堪能する。ポカポカする身体は眠気に襲われて、うとうとと欠伸をすれば、瞼は閉じていく。眠気のままにごろんと寝転がってそのまま寝てしまおうかなんて考えているとヤツが狭いのに、近寄ってくる。

「こたつ、そんなに好き?俺にも構って」
「……、ぅひっ、!?やめろ、っ」

 突然、腹を這ったくすぐったさに声が跳ねた。ふざけたように笑うヤツに苛ついて肘で突けば、呻いたヤツに苛立ちは収まった。
 年末とやらで、家にいたヤツに一日中抱かれた所為で満足だから、ヤツを構う必要もない。このままあったかいまま眠りたいのに。

「ねえねえ、姫始めしようよ」
「ひめ、はじめ?」

 ひめはじめってなんだ。ヤツの思うままになるのは嫌だけど、気になって振り返った瞬間、眼前に映るヤツの顔と唇が合わさる。

「んッんぅ!?んっ!んーぅ!!」

 驚いて開いた唇に舌が入り込んで、唾液を注がれる。聖職者の体液は媚薬になるのに企んだヤツは抵抗する舌を絡めて、溺れるほどの媚薬が俺の身体に馴染んでいく。

「んッはっ……そう、姫始め。エッチしよ?」
「しないっ、寝るんだよ!おれはっ!」
「えー?気持ちよくなってきたくせに」

 抵抗する意思とは別に、身体中が過敏になっていく。布の感触にすら震えた身体に危機感を覚えれば、逃さないというようにヤツの腕と脚が布の中でひっついてくる。
 ヤツの口ぶりからして、ひめはじめはどうせろくでもないものだ。聞く前に察した内容にすぐに逃げればよかったと後悔する。

「ほら、尻尾ピーンってなってるよ?」
「ッ~、!さわんなっ、あぁっッひ!、んっ~!、ぁんッ!?」

 疼く熱が暴れて快楽を求める。絶対思うままになんてなりたくないのに、反応した身体はスリスリ、と撫でられるだけで声が漏れる。

「ひ、ッん!っあ、ぁああ……っ~、やめッろ!っ」
「サキュバスらしく素直になりなよ」
「ぁああッ!?さきゅ、ばしゅやないってぇ、いってッ、~~っ!やだ、それっぇぁ!ッ、ー~、ぁひ!?」

 触れられるだけで敏感で悶える尾を捕まえては虐める手を振り払いたいのに、弛緩した身体は弱々しい抵抗しかできない。時間が経てば経つほど、媚薬は身体中に巡り、指先が触れるだけで脳が痺れる快感を齎す。
 何度言っても聞かないヤツはサキュバスだと俺を辱める。サキュバスとインキュバスには明確な違いがあるのに、理解する気がないらしい。

「あ、そうだ。おれの名前呼んで?」
「は、ぁ?……ばーかぁ!よぶわけ、ないだろッ、!」

 俺は断じてこんな性悪好きじゃない。だから、名前なんて呼ぶわけがないのだ。勝手に契約結ばせられただけだし、空腹を満たすのに都合がいいから留まってやってるだけだ。
 それなのにことあるごとに名前を呼べとか好きだとか、絶対言ってやらない。

「え~?じゃあ、“おあずけ”ね?」
「~、はッ!はぁっぁあ!?ッーー、ひ!おあずけやぁあッ、んんぅ、~ーっ!!」

 “おあずけ”と命令された瞬間、快楽が増幅して身体中を暴れ回る。今まで何度もされてきた悪魔のような発想のそれは聞くだけでビクンッと身体が跳ね上がる。
 “おあずけ”は最初に植え付けられたもので言われれば許可が出るまでイくことができない。唾液を飲まされた身体を愛撫されて絶頂を堰き止められるのはひどくツラいのに一言、命令されるだけで契約された身体は従順に従ってしまう。

「おねだりしなくていいの?」
「ん、ぅ~、!?ー、ぁああ……ッひゃッんんぅ!……っ~ーー、!!」

 先走りで濡れた陰茎を軽く弾かれる。お遊びのようなその刺激は俺を悶絶させるには十分で、声にならない喘ぎを繰り返す。けれど、許可されないとイけない身体は与えられる快楽が蓄積されるだけで解放されない。
 何をしても気持ちよくてそれがツラくて、イくことで頭が塗りつぶされていく。

「ぁひッ、やぁ!っ~ー、!!それぇッ、んんぅむりぃ、~ーっぁ!らめ、ぇッ~、」

 クチクチ、と止めどなく先走りを零す鈴口を擽られれば、堪らない快楽にガクガクと腰が震える。厭らしく笑うヤツは指の一本ずつで撫で這わせる。時折、陰茎をぐちゃぐちゃと擦り上げる掌の暴力的な快楽に肌が粟立って目の前が霞む。嫌々と首を振っても、粘着質な水音は止むことなく、善がり声が部屋に反響する。

「ほら、イかせては?」
「……っ、……ぃ、ッいかせ、て……ッ~!ぁひゃッイきたいぃ、いかッせて、ぇあッん、~ーッぁあっ!?!」

 性に奔放な淫魔が理性をそう長く働かせられるわけがなく、二度目の催促に口が緩んだ。言ってしまえば理性は砕けて触れられる指先からの快楽に縋りつく。
 “イって”がはやく聞きたくて、揺れた腰と想像した絶頂の快楽にとぷりと先走りが溢れた。

 はやく、はやく言って、おれをイかせて。

「ふふ、イかせてほしいの?」
「あ、ぁッは、はひ……っ~~、!、ッん、イかせて、ぇ……ぁあ、はっ~、」


「いいよ、“イって”?」


「ッ~ー、!?……~~~ッぁああっ!、イぅッイくッ、んぅうっ、~ー~~ーッぁあ!!はッんひっ、ぃいッっいっれる、ッ、~ーっ!!」

 発された言葉に許可された絶頂に堪らず背を反らして悶える。快楽の濁流が身体中を呑み込んで、深い絶頂感が襲う。
 視界が点滅するほどの快楽に喘いで、精液が陰茎を白く染める。押し潰されるほどの快感が駆け巡って朦朧とした頭に快感が刻み込まれる。
 はくはくと酸素を求めて開閉した口に指が添えられて唇が合わさる。苦しさと甘い感触に空っぽになった頭が塗り替えられて舌を求める。

「あ、ぁひ……っ~ー、!あんんぅ、ッ!、んんっんむ、んぅッ~ーっ」
「ん、ふ……ちゅっんん、はっ、いっぱいイって、?」
「んぉ、ッ~ー、!だめ、こぇだめぇッ、ーーっ!ぁああっ、~ぁふ、ッーー~んぃ、!」

 容易く潜り込んだ舌が口蓋を擽り、歯茎をなぞる。舌先に繋がった唾液の糸が途切れて、紡がれた言葉に絶頂を繰り返す。
 少し低い声は鼓膜を揺らして、刷り込まれた意識が絶頂の余韻に揺れる。

「ぁ、んッぅ、」

 首元にラグの毛が当たって後ろに倒れ込んだことを自覚した。陶酔状態でクラクラと揺れる視界がゆっくりと閉じて眠気を訴える。

「寝ちゃだぁめ」
「……、っ!?、」

 けれど俺より悪魔のようなヤツは瞳に欲情を灯して俺をあったかい布から引き摺り出す。力が抜けた身体は重いはずなのに二の腕を抱えられただけでされるがままになってしまった。
 力技で言いなりになることが多いから鍛えた方がいいかもしれない。そしたらこの生活から抜け出せる、

「……、ッやめ、ー~ッ、」

 俺が計画を立てている間に覆い被さったヤツが服を脱がしてくる。ボタンで止められたそれはぱち、ぱちという音で簡単に露わにされて、冷たい掌が皮膚を撫でる。
 脇腹に、お腹に、乳輪にと順番に迫った爪先が乳首の数センチ上で動きを止める。右はゆっくり円を描いて、左はカリカリと引っ掻くように、焦らす仕草に肌が粟立つ。
 今までこんなに感じることなんて無かったのにヤツが執拗にサキュバスだからと責める所為で、感度が高くなった乳首は触れられる感触を鮮明に覚えている。
 まだ、媚薬が抜けきってない、皮膚すらも性感帯となる身体を襲うであろう快楽を想像して腰がヒクついた。

「……だめっ、だめぇっ、ッ……」
「期待してこんなになってるのに、だめなの?ほら、」
「~~ッぇぉ!?らめ、らめらめッ!!~ーッ!」

 キュ、と突然摘まれた乳首が甘い痺れに包まれた。そのままクリックリッと指を動かされれば仰け反った背中が跳ね上がった。

 カリカリッキュッキュゥッ!
 コチョコチョッコリュコリュッ!

「ノアちゃんここ好きだよね」
「ぃ!ひゃッ!?、~ー、!!ッひ、!ん、っ~ーー!?」

 ばらついた刺激で勃ち上がった乳首が蹂躙される。
 乳頭を引っ掻いては紙撚をつくるように擦り合わせて、震えた乳輪ごと爪先で擽っては焦れた乳首を摘む。終わらない刺激は身体中を熱で苛んでいく。

「、イっ、ぅああッ、!、っ~ー!!、はっ、ぁ……や、ぁっう」

 絶頂寸前で離れた指が下衣を脱がせる。纏わりついた先走りと精液が視覚を犯して、インキュバスというプライドがグズグズに溶けていく。

「はは、ぐっちゃぐちゃじゃん」

 陰茎を拭って精液を塗り込まれた後孔は期待するように愛液を垂らしている。その姿はまるでサキュバスが性交する時のようにしとどに濡れて襞を擦られるたびにパチュパチュと音を立てる。

「ほら、欲しいは?」
「……ッ、は、ぁぇ?……ほしっ、」

 頭がおかしくなるほど漂う精気に喉を鳴らして躊躇なく頷いた。甘ったるくてどろどろの精気が染み込んで腹が空いてくる。
 精液の虜になって、とにかく気持ちよくなりたくて、順応した身体は頭よりも従順で快楽に弱い。どろどろに濃い精液を期待した奥が愛液を零して疼きが強くなる。

「ッんぅっほしぃ、イれて、ぇ?……ッひ、ん!、ッーー、!?」

 ッーーバチュンッ!

「お利口になったね?っほら!気持ちいいの好き?」
「ッぁああッひぁ!すき、しゅきッぃ!っ~~ー、ッ!!」

「っは、~かわいい!!ずっと、離さないからねっ?」
「~ーっんぉッ、ぁあひっ!っーー~しゅき、すきっ、タイトっひ、!?ッ~~~ぁあ!?」

 無我夢中で快楽を甘受して呂律の回らない喘ぎが溢れる。襞を押し広げ前立腺を抉る抽挿は激しく愛液を掻き混ぜて、婬猥な音を立て続ける。

「んッは、ノアちゃんッ俺の名前覚えてたのっ?」
「ッん、たいろれしょぉッ?ッぁあ、!?ぁんッ!んひぁあッ、イぅ、イくッぁああっ~ーー!?、」
「、ほんとお利口でかわいいねッ!ほらっいっぱい呼んで、?」

 イきっぱなしで蕩けた頭から溢れた言葉は理性を通さず、快楽のままに発される。

「ったいと、たいとぉッぉああッ!?ッ~ーーっ!きもちぃっ、すきすきッはっ、ぁんんぅッ~ー、!!!」
「俺もだいすきだよ、もっと好きにしてみせるから、ッは、」
「ぁああッ、っッ!!むりっもうイけないッのにぃいっ、!!ー~ーっ、んぁああッ!!!」

 繰り返された絶頂に溢れた精液は既に色を無くして、身体に注がれる快楽は加減を知らない。
 激しい絶頂感と耳まで犯す厭らしい音に包まれて、意識が霞んで意味を成さない言葉を喘げなくなるまで抱き潰されるまで夜は終わらなかった。
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