短編エロ

黒弧 追兎

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.かわいいね【女装受け 結腸責め】

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「やば、俺ほんと可愛いな?」

 硝子に映るロングのゆるふわ系で可愛い女の子から男の声が出る。視覚と聴覚がバグりそうな光景に、満足げに頷いてウィッグを指先で弄ぶ。
 いつしか女装する背徳感にハマってしまった俺は今日、女装のまま外出してしまった。
 鏡や窓硝子が見えるたびに姿を確認してにやけてしまう。何度も女装するうちに俺の平凡な一重も、上達したメイク技術でぱっちりとした二重にして、瞬きするたびに影ができるほどの睫毛で可愛く仕上げられている。

「えー、カフェでも行こうかな」

 女装によって可愛い店内で浮かずに気になっていた小物も買えたが、そのまま帰るのは勿体無い気がする。手に入れたデフォルメの熊の小さなキーホルダーを眺めて、高揚した気持ちになった俺はカフェへの道のりを進めた。

 -----------

 昼を過ぎても人気なカフェは混んでいた。一時間はかかりそうな行列に、少しだけ悩んだ俺は女性だらけのカフェに入るのに今度は難しいと考えて、女装して違和感がない今日しかチャンスがないと最後尾に並んだ。

「ねえ、君一人?」
「えっ……」

 後ろから聞き覚えのある声が耳に届いて、驚きのあまり女装していることも忘れて、地声で声を漏らす。そんなはずはないと後ろを振り向けばそこには俺の親友である悠真が立っていた。
 その事実に更に、頭が真っ白になって悠真を見たまま硬直してしまう。

「あれ、どうしたの」
「ぁ、はい」

 ひらひらと目の前で揺れた手に今の状況を思い出した。何の用があって話しかけてきたのかは知らないけど、イケメンと言われる悠真は行列でも注目を集めている。このまま無視したら周りの女性の反感を買いそうで、精一杯の高い声で言葉を返す。
 そうすれば、悠真は端麗な顔を破顔させた。普段見せる顔ではない甘い笑顔に俺だと気づいていないことを確信して安心する。
 この人混みの中で、女装をバラされたら俺その場で死ねる自信さえある。というか、親友が女装しているなんてバレたら、悠真も幻滅するだろうし、広められて俺の大学生活は終わりである。

「じゃあさ、俺と一緒に座って食べない?君、可愛いから仲良くなりたいな?」

 まさか、悠真がナンパするなんて。
 驚き過ぎて見開いた目を戻すことができない。というか、普段とは違う甘い笑顔と声色にイケメンの破壊力が凄まじい。サークルの女の子が悠真との会話を俺越しにしてきた理由が分かった。こんなの間近で浴びたら耐えられない。
 けれど、それと同時に初めてみる悠真の姿に興味が湧いてきた。

「だめ?」
「い、いいですよ」

 そして、俺はバレるかもしれないリスクよりも甘々な悠真に好奇心が上回った。掠れた高い声も緊張の所為だと思ってるのか、疑いはもたれなかった。

 -----------

「んー、これおいしい!なんてやつぅ?」
「それは、アレキサンダーだよ」
「、へー、あれきさんらぁくらさい!」

 気分が高揚して楽しい。隣には悠真がいるし、悠真が飲んでるカクテルを飲んでみたら甘くて、ふわふわしておいしかった。
 何杯目かもわからないカクテルを頼んで、悠真にもたれかかる。悠真の甘い香水に安心して眠気に襲われた瞬間、脳内に疑問が浮かび上がる。
 あれ、なんでおれ悠真とバーにいるんだっけ。

「ほら、つばさちゃん。新しいの来たよ」

 悠真の声と視界の端に映る長い茶髪に女装していることを思い出す。名前を聞かれて普通に椿だと答えてしまいそうになったから慌てて翼って誤魔化したんだった。

「あ、はい」

 とりあえず、渡されたグラスを口に傾ける。甘い香りが鼻に抜けて、ミルキーな口当たりが口内に溶けていく。甘くて飲みやすいカクテルに夢中になってすぐに一杯を飲み終えた。

「もう一杯飲む?」
「、おねがいします」

 グラスが空になって今の状況の打開策を考えなきゃいけないことに気づいた。このまま悠真にお持ち帰りされるなんて考えられないし、どうにかしないと。

「、んぐ……んっ、んー、ぁー……」

 しかし、酔った頭は状況を把握する以上には回らない。現実逃避にグラスのカクテルを流し込んでいると、方向感覚の麻痺と眠気が襲ってくる。ねむいし、ゆれるし、もうなんもわかんなくなってきた。
 ぐわんぐわん、揺れる身体と酒気で飽和した瞳がとろんと輪郭を失っていく。けれど、この状況を脱さなければならないのは酔いの中でも分かっていて、会計を急ぐことにした。

「ぁ、お、おかいけぃ、おねがぃ……ッ、わ」

 グラスの中を飲み干して立ち上がった瞬間、バランスを取れなかった身体は大きく傾いた。酔いで鈍くなった動きは受け身をとることもできず、重力に抗えない。

「、あっぶないな……大丈夫?」

 そのまま倒れる先の角に頭をぶつけるのを回避したのは腰に回った悠真の腕だった。腰を抱いた悠真が引き寄せてくれて、やっと立てることができた。

「ぁ、ありがと……じゃ、かえるぅからっ」
「だめ。そんな状態で帰せない、それにここは俺が払うし」
「やだ、じぶんではらえる」

 俺が財布を探している間に、長い指が札を何枚か青いやつに置いて空いた指先で鞄を探る手を絡めとる。振り払うのに苦戦する俺を横目に指を一本ずつ絡み合わせて恋人繋ぎが完成してしまった。全然離してくれない。
 やっと手を離してくれたのは会計後で、取り出せた札を押し付けるのに全然受け取ってくれない。むくれた俺をよそにタクシーを呼んでくれた悠真は「お願いだから俺に払わせて」なんて甘い言葉をさらりと吐いて、俺をタクシーに押し込んだ。
 もうそこまでいうならいっか、なんて浮かんだ頭に従順に従うことにした。それに今は平凡な椿じゃなくて女の子の翼ちゃんだし。
 謎に楽しくて高揚した気分とは反対に身体は熱を篭らせて眠気が襲う。揺れる頭がぐわぐわして、瞼が重たくて、意識がふわふわした中に混濁していく。


「家まで送るから、寝ていいよ」
「ほんと、?」

 曖昧に頷いた悠真に甘えて目を瞑ることにした。馴染んだミルクのような甘い香水が安心する。
 教えていない家に向かうタクシーは繁華街の方へと進んでいく。

 -----------


 ぐちゅ、ぐちゅッ、グチュンッ!

「ん、あ……ッ~~ッぇ、んぉ、!?」
「あ~、おはようつばき?」
「……へ、ぇ??、なに、?ッ~んぁあっ!!」

 ぐちゃぐちゃと音がして、身体中が熱くて、弾けたように気持ちいい。
 混乱に頭が働かない。なんで、おれ、はだけて、なんでゆうまがいる、?
 半開きに疑問を溢した口は注がれる快楽に身悶えて呂律が回らないままに喘ぎを発する。

「ぁ、ぁああっ~、??ゆうま、なにぃっこれぇ?、あ、え!、~~ッ、ひあぁ!?」
「にげちゃだめだよ、可愛いつばきちゃん」
「~ッ、ちがう!わ、わたしは、つばさだッからぁっん、ひ、んぁあッ!?」

 目の前が白く瞬いて、遅れた快楽が身体を襲う。深く打ち付けた腰に貫かれて、ビクンッ跳ねた身体はされるがまま快楽を流し込まれる。
 下半身は見事にはだけて、塗り重ねたメイクはどろどろで、翼ちゃんの面影など一切ないのに、咄嗟に吐いた虚勢は凄まじい快楽となり返ってきて、腑抜けた喘ぎが溢れた。
 けど、身体を揺らされる感覚に段々と酔いが覚めてきて、状況が把握できてきた。瞬間、あの甘い顔で家に送るといった悠真が俺を騙したことに気づく。

「ん、んむんぅっ、だっだましらぁッ!ゆうま、いえっおくるっていったぁ!っ」
「そんなの嘘に決まってるでしょ。信じてたつばきは可愛かったけど」
「な、なんれ、おれだってわかったのに、挿れてるの、?」

 翼ちゃんを送り狼したかったのはわかったけど、なんで俺だって分かったのにセックスしてるのかがわからない。俺なら絶対そんなの萎えるし、親友だったら尚のことで女装癖なんて見てないことにして去るのに。

「俺が抱きたかったのは、つばさちゃんなんかじゃなくて、バレてるとも知らないで女の子のフリしてるバカでかわいいつばきの方だっ、よ!」
「~ッんぉああっ!?やっはげしぃ、んぅうっ!らめッあぁ!!~~ーっッひ、ぁああ、!?」

 悠真の言ったことを理解する前に快楽で真っ白に頭が塗り替えられる。
 深く入った熱が媚肉を抉り、押し込まれた痼が痺れるような快感を背筋に走らせた。快楽を逃がしたくて仰け反る身体は荒い注挿に押さえつけられて、ガクガクと震えるままに喘ぐことしかできない。
 ナカで粘液が攪拌される水音は激しく、音を増していく。

「ねえ、奥はいっていい?」
「あっ、ぁああッ!?そこ、ぁッだめ、!や、」

 より深く、最奥へと挿れられた熱は、コツンッと奥の襞に触れる。悠真が腰を回すたびに強請るようにチュパチュパと音を響かせる奥からどろりとした甘美な疼きが身体を呑んでいく。
 けど、触れてるだけでこんなに気持ちいいのにその奥に挿れられて、突かれたら、俺おかしくなって……こわれちゃう。


「ッ~、あぁ!!はいっちゃだ、めっ」
「え~、だめなの、?」
「だめなの、!むり、おれおかひくなっひゃうから、っ~~ぉッ!?」


 グチュッぐちゅッ、ドチュんッ!!

「おぁッ、!~~ー~ー~ッひ、!?!ああぁあッ!?」
「~っは、ははっ、はいっちゃったッ!、んっつばき、ごめんね、?」
「こぇ、ッ!らめらめっ、だッッめぇ、ッぁあ~~、!!っ~ー~、ひぅ……やッだめぇッ、!、~~ーッんぁあ!!」

 目の前が白く瞬いて、逃げ場のない快楽を容赦なく叩きつけられる。度を越した受け止めきれない快楽をとにかく逃がしたくて、脚をピンッと張って身体を痙攣させる。

「ひゃ、ぁぅうッ~~、!ぁああッ!?ひッあっああッ!、んぅ!~ー~、ひ!、~ッっ、!!」
「は、ぁっ、つばき、だすよっ……は、かわいいね、ッ~ー、」
「、ぁあッ、~~ッお、!イ、くッ、ぁあッ~~ー~っ!!!」

 腰を回して奥を掻き混ぜられる度に快楽が身体中を駆け巡って、仰け反り悶える。一突きされる度に過ぎた快楽で壊れたように陰茎から零れた精液が肌を白く染めていく。降りられない絶頂が何度も上り詰めて、深く甘く蹂躙していく。

「、んっちゅ、つばきッつばき……っ」
「ッ、んぅうッ……ッゆうまぁ、ッひ、ぁん!あぁんんッ!!も、らめっ、~~ぁあああッ!!」

 暴力的なほどの快感と自分が溶けていくような感覚に嫌々と首を振れば、悠真の唇が降りそそいだ。逃げる舌を捕まえられて舌先で擽り唾液を攪拌させる激しい口付けに溢れる喘ぎは喉の奥に消えていく。

「んっ、んぅッ!っ、ふはッんン~ぅう!……ッ~~!」
「ん、はッ……は、ぁ、はっつばき、かわいい、っ!、今度は、俺以外にその可愛い姿見せないでね、?」
「、ひっぅ、んッぁああっ、~~ッみせにゃぃっ、みせにゃいからっ、あぁんんっ!っ~ー~~ッひ、ぁあ!!」

 情欲に染まった悠真の目に狩られて、逃げられない。折角買った可愛い服も脱がされてメイクもぐちゃぐちゃで可愛さなんてないのに。
 譫言に呟かれる可愛いに包まれて、快楽に呑まれる夜は、喘ぎが枯れて快楽に痙攣しかできなくなってやっと終わった。
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