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大剣
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「武器をお願いできませんか?」
ノノが欲しがったのは身の丈を超えるほどの大剣だった。
「見た目でお嬢様を舐めて掛かる馬鹿が出ないよう威嚇的なデザインにして、片刃にして切れない方を作っていただけると手加減もしやすいかと」
ノノの意見を聞きながら土魔法でモニョモニョと造形していく。普通の金属よりもずっと作りにくかったけれど、たくさん魔力を通したら何かバチバチ光り始めて、包丁とかと同じように造形できた。
本当はすごく硬いはずのミスリルが粘土みたいに動くのは面白い。
威嚇的な、というリクエストに従って峰には蔦の這った髑髏をあしらった大剣になった。本当はもっと可愛いデザインが良かったんだけど、ノノのお願いだから仕方ない。
『鑑定:
魔大剣”咎める者”。あらゆる魔を斬り、敵を葬るために生み出された魔大剣。構えるだけで敵を威嚇し、弱い魔物を退けることができる。強力な魔法で作り出したため魔法ですら切り裂く切れ味を誇る。マリアベル作』
……何か変な名前と効果がついた。
まぁ使うのには問題なさそうだし、名前は黙っておけば問題ないよね。
「ありがとうございます」
「他にも欲しいのあったら作るからね。防具とかは要らないの?」
「ええ。ナノマシンの影響でかなり頑丈になっていますし、万が一けがしたら治していただけると思いますので」
「治すけどけがはしないでよ!」
むっとして怒ったのに、何故かノノは微笑んでいた。
「頭撫でたってダメ! けがしたら怒るからね?」
「かしこまりました。必ずやお嬢様に仇なす者を屠り、無事にお嬢様の元へ戻ります」
とりあえず約束してくれたので話はここまでにする。
私にはすっごく優しいし普段は落ち着いてるのに、私のことになるとカッとしやすいし心配だなぁ。
「んー……今日はどうしよっか?」
「お嬢様は何か見たいものはございませんか?」
「本、とか? 必要なものは買っちゃったし、食べ物はノノが美味しいのを作ってくれるからなぁ」
食べ歩きもしたいところだけれど、そんなことをしてしまったらノノのご飯が入らなくなっちゃうからね。
珍しいものがあったらノノが食べて、それを再現してくれる約束にはなっているけれど、城塞都市ヴェントはそれほど珍しい食べ物があるわけではなかった。
「しばらくゆっくりして、別の街に向かうのも良いかもしれませんね」
「だね。本当はお米探しの旅に出る予定だったんだけどねぇ」
その必要はなくなった。
なぜならば、お米は普通に取り扱っていたから。
「まさか、家畜用の飼料になってるとは思いませんでしたが」
「あはは。美味しく食べれるって知らないんだね」
「買うと申し出たら驚いていましたね。今夜はお米を使って美味しいものを作りますので、楽しみにしていてくださいね」
ノノが欲しがったのは身の丈を超えるほどの大剣だった。
「見た目でお嬢様を舐めて掛かる馬鹿が出ないよう威嚇的なデザインにして、片刃にして切れない方を作っていただけると手加減もしやすいかと」
ノノの意見を聞きながら土魔法でモニョモニョと造形していく。普通の金属よりもずっと作りにくかったけれど、たくさん魔力を通したら何かバチバチ光り始めて、包丁とかと同じように造形できた。
本当はすごく硬いはずのミスリルが粘土みたいに動くのは面白い。
威嚇的な、というリクエストに従って峰には蔦の這った髑髏をあしらった大剣になった。本当はもっと可愛いデザインが良かったんだけど、ノノのお願いだから仕方ない。
『鑑定:
魔大剣”咎める者”。あらゆる魔を斬り、敵を葬るために生み出された魔大剣。構えるだけで敵を威嚇し、弱い魔物を退けることができる。強力な魔法で作り出したため魔法ですら切り裂く切れ味を誇る。マリアベル作』
……何か変な名前と効果がついた。
まぁ使うのには問題なさそうだし、名前は黙っておけば問題ないよね。
「ありがとうございます」
「他にも欲しいのあったら作るからね。防具とかは要らないの?」
「ええ。ナノマシンの影響でかなり頑丈になっていますし、万が一けがしたら治していただけると思いますので」
「治すけどけがはしないでよ!」
むっとして怒ったのに、何故かノノは微笑んでいた。
「頭撫でたってダメ! けがしたら怒るからね?」
「かしこまりました。必ずやお嬢様に仇なす者を屠り、無事にお嬢様の元へ戻ります」
とりあえず約束してくれたので話はここまでにする。
私にはすっごく優しいし普段は落ち着いてるのに、私のことになるとカッとしやすいし心配だなぁ。
「んー……今日はどうしよっか?」
「お嬢様は何か見たいものはございませんか?」
「本、とか? 必要なものは買っちゃったし、食べ物はノノが美味しいのを作ってくれるからなぁ」
食べ歩きもしたいところだけれど、そんなことをしてしまったらノノのご飯が入らなくなっちゃうからね。
珍しいものがあったらノノが食べて、それを再現してくれる約束にはなっているけれど、城塞都市ヴェントはそれほど珍しい食べ物があるわけではなかった。
「しばらくゆっくりして、別の街に向かうのも良いかもしれませんね」
「だね。本当はお米探しの旅に出る予定だったんだけどねぇ」
その必要はなくなった。
なぜならば、お米は普通に取り扱っていたから。
「まさか、家畜用の飼料になってるとは思いませんでしたが」
「あはは。美味しく食べれるって知らないんだね」
「買うと申し出たら驚いていましたね。今夜はお米を使って美味しいものを作りますので、楽しみにしていてくださいね」
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