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マヨネーズとクレープ
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「どうぞ。マグロと玉ねぎのマヨネーズ和え——ツナマヨでつくったクレープです。パンや麺を仕込むには時間が足りず、なかなか思うような料理が作れませんが。お米があれば一気に幅が広がるんですがね」
「すっごく美味しそう! お米はあとで調べてみるね!」
ヘルプに聞けば分かるだろうし、ノノがわざわざ欲しいって言うならきっと美味しいに違いない。特にやりたいこととか予定があるわけじゃないし、落ち着いたらお米探しの旅に出るのも悪くない。
レタスもツナマヨも出来上がっているので、生地と呼ばれる薄い皮さえ焼けば二つ目以降はささっと出来上がる。
あっという間に三人分作っていざご飯だ。
「んー! もちもち!」
「このコクと酸味……これがマヨネーズというものですか」
「はい。本来は瓶詰にして数日保存することで殺菌されるのですが、今回はお嬢様の浄化で時間短縮しました」
生地の黄色にレタスの緑、そしてツナマヨの白が綺麗。
薄いのにもちっとした生地を噛むと、玉ねぎのシャキシャキした歯ざわりとマヨネーズの爽やかな酸味が口に広がる。レイククロマグロは前に食べた時はあっさり系だと思っていたんだけれど、マヨネーズのコクですごくどっしりした味わいになっていた。
オイル煮に使ったハーブの香りも爽やかですごく美味しい。
「それではお茶を淹れますね。もう一つ召し上がりますか?」
「んー……食べたいけど入らない……」
「気に入っていただけたならば今度、別の味もお作りしますよ」
その言葉に反応したのは私ではなくロンドさんだ。
「別の味もあるのですか?」
「ええ。生地に包むものを変えればバリエーションはかなりたくさんありますし、生地そのものにはちみつや砂糖を混ぜ、フルーツやクリームを包めばデザートにもなります」
「……売ってください」
「いえ、お嬢様がお召し上がりにならないのに追加をつくるのは——」
「レシピです! このマヨネーズも! クレープも! 売っていただきたいです!」
マヨネーズとクレープのレシピを売る。
形のないものでも商品になるらしく、ロンドさんは大興奮だった。わざわざノノに新料理の開発をお願いしたのはそのためだったみたい。
クレープは真似されやすいことを考慮してレシピの買い切り、マヨネーズは簡単には真似できないと踏んで売上の五%を継続的に貰うことで決着がついた。
「ふふふ……うまく当たれば七席、いや六席すら見えてきますよ……!」
マヨネーズに将来性を感じたらしいけれど、ちょっと怖い笑みを浮かべながら書類を書きまくる姿は狂気そのものだった。
クレープのレシピもかなりのお値段だったけれど、マヨネーズの手付金が本当にすごかった。ノノは迷わず空間魔法が付与された腕輪とミスリルのインゴットに全額使っていたけれど。
私の空間魔法と違って容量に制限があるものの、自前の異空間が欲しかったらしい。
「調味料や器具の出し入れをするたびに毎回お嬢様に負担をお掛けするのは申し訳ないので」
「そのくらい別に良いのに」
「でしたら、お願いしたいものが」
滅多にないノノからのお願いだ。
張り切っちゃうよー!
「すっごく美味しそう! お米はあとで調べてみるね!」
ヘルプに聞けば分かるだろうし、ノノがわざわざ欲しいって言うならきっと美味しいに違いない。特にやりたいこととか予定があるわけじゃないし、落ち着いたらお米探しの旅に出るのも悪くない。
レタスもツナマヨも出来上がっているので、生地と呼ばれる薄い皮さえ焼けば二つ目以降はささっと出来上がる。
あっという間に三人分作っていざご飯だ。
「んー! もちもち!」
「このコクと酸味……これがマヨネーズというものですか」
「はい。本来は瓶詰にして数日保存することで殺菌されるのですが、今回はお嬢様の浄化で時間短縮しました」
生地の黄色にレタスの緑、そしてツナマヨの白が綺麗。
薄いのにもちっとした生地を噛むと、玉ねぎのシャキシャキした歯ざわりとマヨネーズの爽やかな酸味が口に広がる。レイククロマグロは前に食べた時はあっさり系だと思っていたんだけれど、マヨネーズのコクですごくどっしりした味わいになっていた。
オイル煮に使ったハーブの香りも爽やかですごく美味しい。
「それではお茶を淹れますね。もう一つ召し上がりますか?」
「んー……食べたいけど入らない……」
「気に入っていただけたならば今度、別の味もお作りしますよ」
その言葉に反応したのは私ではなくロンドさんだ。
「別の味もあるのですか?」
「ええ。生地に包むものを変えればバリエーションはかなりたくさんありますし、生地そのものにはちみつや砂糖を混ぜ、フルーツやクリームを包めばデザートにもなります」
「……売ってください」
「いえ、お嬢様がお召し上がりにならないのに追加をつくるのは——」
「レシピです! このマヨネーズも! クレープも! 売っていただきたいです!」
マヨネーズとクレープのレシピを売る。
形のないものでも商品になるらしく、ロンドさんは大興奮だった。わざわざノノに新料理の開発をお願いしたのはそのためだったみたい。
クレープは真似されやすいことを考慮してレシピの買い切り、マヨネーズは簡単には真似できないと踏んで売上の五%を継続的に貰うことで決着がついた。
「ふふふ……うまく当たれば七席、いや六席すら見えてきますよ……!」
マヨネーズに将来性を感じたらしいけれど、ちょっと怖い笑みを浮かべながら書類を書きまくる姿は狂気そのものだった。
クレープのレシピもかなりのお値段だったけれど、マヨネーズの手付金が本当にすごかった。ノノは迷わず空間魔法が付与された腕輪とミスリルのインゴットに全額使っていたけれど。
私の空間魔法と違って容量に制限があるものの、自前の異空間が欲しかったらしい。
「調味料や器具の出し入れをするたびに毎回お嬢様に負担をお掛けするのは申し訳ないので」
「そのくらい別に良いのに」
「でしたら、お願いしたいものが」
滅多にないノノからのお願いだ。
張り切っちゃうよー!
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本編URL(https://www.alphapolis.co.jp/novel/706173588/625075049)
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