【完結】精霊姫は魔王陛下のかごの中~実家から独立して生きてこうと思ったら就職先の王子様にとろとろに甘やかされています~

吉武 止少

文字の大きさ
上 下
40 / 53

第40話 精霊姫

しおりを挟む
 視線を逸らしながらもトトの言葉を否定しない竜。
 ソフィアは危機が去ったことを悟って胸を撫でおろす。

「えっと、じゃあ槍を、」

 消してとお願いしようとしたところで、トトが食い気味にことばを被せた。

『ソフィアが説得してるっぽいことテキトーに言ってくれれば槍は消すわ。できるだけ大げさにね』
「えっ。どういうこと?」
『せっかくだから難しい交渉をまとめた風にして、ハクをつけましょってことよ』
「いや、そう言われても」
『難しく考えなくていいのよ。アタシたちを説得できたって功績でソフィアは褒められる。この場に御子はソフィアだけだからバレる心配もなし! 最高でしょ?』
『……人の営みは面倒事が多いな。我はただ愛し子が幸福ならそれで良いのだが』
『我慢なさい。エルネストの幸せはソフィアが幸せになることよ! つまり二人がイチャつける環境をつくるの!』
「ちょっと、トト!?」

 あまりにも落差の激しい言動に、張り詰めていた空気が霧散する。それどころかソフィアの瞳に溜まっていた涙までが引っ込んでしまった。

『とりあえずビビらせましょうか。その方がソフィアに対する畏敬の念は強まるはずよ』
『ふむ。どうすればいい? 何人か殺すか?』
『それはダメ。周囲をビビらせるために吼えてちょうだい』

『GURAAAAAAAAAAA!』

「やめてくださいっ! 何してるんですか!?」
『良い調子よソフィア! 精霊と対等に交渉できるところをたくさん見せつけなさい!』
「トトもやめてったら! そんなこと言われても困るだけなんだから!」

 怒り始めたソフィアを見て、精霊たちは示し合わせて槍を消した。ぺたんとへたり込んだフィーネを、凍り付いたアルフレッドが支えた。

『その男は死を覚悟して我が氷槍を握った。その覚悟に免じて赦す、と伝えよ。ーーく切り落とさねば、腕から腐って死ぬこともな』

 最後の最後でそれらしいことを言ってまとめようとする竜に納得がいかないものを感じながらもソフィアが伝えれば、フィーネが泣き出した。
 彼女の瞳が映しているのはエルネストではなくアルフレッドだった。

「なんで!? 私はあなたに酷いことをたくさんしたのに! 興味ないって言ったのに! なんで私なんかのためにそこまでするのよ!?」
「決まっている。そなたを愛しているからだ。下級貴族でも、平民でも、何なら流民でも良い。そなたのためならば王位も、腕も、命でさえも要らぬ」
「その腕! どうするのよ!」
「どうもせぬ。感覚もない。使い物にはならんだろうな」
「ばかじゃないの!?」
「腕一本と引き換えにそなたを守れるなら、何本でも差し出すつもりだ。あと一本しかないから、一度しか救えないがな」
「……ばか」
「知らなかったのか?」

 小さく呟いたフィーネに、微笑みを零す。

「馬鹿だよ私は。だから、そなたが望むなら全て叶えたくなるのだ。無辜むこの令嬢を陥れようという計画だろうと、自らが伴侶でなくなる計画だろうとな」

 諭すような言葉。
 フィーネが力なく、しかし確かにアルフレッドを抱きしめ返したところで事態を見守っていた女王が口を開いた。

「本当、ばかな息子です。アルフレッドとフィーネさんの処遇は後で決めます。エルネスト。王位を継ぐつもりがあるならば、王太子として事態の収束を宣言しなさい」

 エルネストは頷き、ソフィアを抱き寄せた。
 何を、と訊ねるまでもなく、力強く宣言した。

此度こたびの騒動は我が最愛が心を砕き、精霊を説得して収めた。これより私が王太子としてこの国の安寧あんねいのために全力を尽くす」

 誰もが固唾かたずを呑んで見守る中、エルネストはそして、と付け加えた。

「我が最愛を守るのは冷たく孤独な宮殿などではなく俺の加護とする。古き規則は、廃止する」

 水を打ったように静まり返るホールに、エルネストのことばだけが響いた。

「貴族憲章を変えるのは大変なことだろう。抜け道を作ろうとする不届き者がいるかもしれないし、見落としで不備が生まれるかもしれない」

 だが、と周囲に視線を向ける。

「先ほど我が姫が竜に伝えたように、誰かの愛する者を理不尽に奪われない世を作りたい。協力してほしい」

 何の拘束力もないお願いだ。
 理想といえば理想だが、夢物語と言えばその通りだし、現実が見えていないという者もいるだろう。貴族社会とは本音と建て前がゴチャゴチャに絡み合った伏魔殿なのだ。
 しかし、エルネストの言葉に誰もが惹かれた。
 あらゆる精霊をも惹きつける美しい魂の持ち主が語る理想に夢を見たのだ。
 
 エルネストの部下でもある騎士の一人が、エルネストの言葉に反応した。
 どれほど恐ろしい上司だとしても、命を預けられるほどに信頼した相手である。その言葉に偽りがないことを理解し、エルネストの理想に賛同していた。
 そして、日頃からエルネストに厳しい訓練を課されていた騎士はどれほどボロボロになろうと、声を張ることが癖となっていた。
 
「エルネスト様バンザイ!」

 思わず叫んでいた。
 損得そんとくも正解不正解もない。
 部下は、ただ己のこころが望むままにことばを発したのだ。

 部下の声に籠った熱は、波のように周囲へと伝播していく。
 騎士が。
 貴族が。
 令嬢が。
 給仕が。
 誰もが、自らのこころに従い、想いを口にした。

「ユークレース王国に栄光あれ!」
「エルネスト殿下万歳!」
「若き王に幸あれ!」

 夢物語と見紛うような出来事に浮かされた貴族たちは、ソフィアとエルネストを称えた。それは波のように広がり、うねり、声の大津波となった。
 ボロボロになったホールが壊れてしまうのでは、と心配になる程の歓声が溢れた。
 ソフィア以外の誰もが気付けないことだが、今まで遠巻きに様子を窺っていた力の弱い精霊たちが歓声に釣られてホールへと集まり始める。
 そしてまばゆい星幽アストラルを持つエルネストに惹かれて殺到した。

 歓声の中、ソフィアのまとっていた夜虹絹やこうぎぬが精霊の力を受けて色味を帯び始める。
 夜の虹などという大人しい色合いではなく、雨上がりの青空を彩る、鮮やかな色に。まぶしいほどの輝きがソフィアを包んだ。

「おおっ!?」
「いったい何が!?」
「精霊の祝福……!」

 虹をったかのようなドレスは、まさにこの世のものとは思えない幻想的な美しさだった。

「精霊の姫だ」

 誰かが呟いたその言葉は、すぐさま歓声の津波に混ざり、しかし潰されることなく返ってきた。

「精霊姫」
「精霊姫様だ!」
「精霊姫様ばんざいっ!」
「魔王陛下と精霊姫様に幸あらんことを!」
「精霊姫万歳! エルネスト殿下万歳っ!!」
「エルネスト様に栄光を! 精霊姫様に祝福をッ!」
「ユークレース王国に永久の栄光あれ!」

 事態を収束させるどころか、収拾がつかないほどの騒ぎになっているのを見て、女王は苦笑した。

「まったく。本当に、ばかな息子たちなんですから」

 歓声の中、エルネストとソフィアが見つめ合う。

「さて、改めて」

 慈愛に満ちた笑みが消え、はっとするほど真剣な眼差しを向けられた。

「ソフィア。面倒事に巻き込まれることもあるかもしれない。大変なこともあるかもしれない。それでも俺は君を諦められない」

 まっすぐな瞳。
 ソフィアを虜にして離さない、黒曜石の瞳が静かに輝く。
 頬を赤らめたソフィアの前で、エルネストはひざまずき、手を差し伸べた。水を打ったように静かになったホールの中、その言葉が響いた。

「結婚して欲しい」

 喜びが全身から溢れそうになるのを必死で堪えたソフィアは、必死に自らの体を支えた。


「私で、良いんですか……?」
「君じゃなきゃ駄目なんだ」

 エルネストの言葉に、ソフィアはこくりと頷いた。
 差し伸べられた手を取れば。ソフィアの手はすぐさま握り返され、優しく、しかし力強く引かれる。
 バランスを崩したソフィアが飛び込むのは、立ち上がったエルネストの胸の中である。
 『魔王』と呼ぶにはあまりにも優しい温もりに包まれる。

「嫌だと言っても、もう絶対に離さないからな」
「はい。よろしくお願いします」

 二人の顔がゆっくりと近づき、そしてひとつに重なる。

 ホール内を、大歓声が満たした。

しおりを挟む
ツギクルバナー
感想 16

あなたにおすすめの小説

【完結済】隣国でひっそりと子育てしている私のことを、執着心むき出しの初恋が追いかけてきます

鳴宮野々花@書籍2冊発売中
恋愛
 一夜の過ちだなんて思いたくない。私にとって彼とのあの夜は、人生で唯一の、最良の思い出なのだから。彼のおかげで、この子に会えた────  私、この子と生きていきますっ!!  シアーズ男爵家の末娘ティナレインは、男爵が隣国出身のメイドに手をつけてできた娘だった。ティナレインは隣国の一部の者が持つ魔力(治癒術)を微力ながら持っており、そのため男爵夫人に一層疎まれ、男爵家後継ぎの兄と、世渡り上手で気の強い姉の下で、影薄く過ごしていた。  幼いティナレインは、優しい侯爵家の子息セシルと親しくなっていくが、息子がティナレインに入れ込みすぎていることを嫌う侯爵夫人は、シアーズ男爵夫人に苦言を呈す。侯爵夫人の機嫌を損ねることが怖い義母から強く叱られ、ティナレインはセシルとの接触を禁止されてしまう。  時を経て、貴族学園で再会する二人。忘れられなかったティナへの想いが燃え上がるセシルは猛アタックするが、ティナは自分の想いを封じ込めるように、セシルを避ける。  やがてティナレインは、とある商会の成金経営者と婚約させられることとなり、学園を中退。想い合いながらも会うことすら叶わなくなった二人だが、ある夜偶然の再会を果たす。  それから数ヶ月。結婚を目前に控えたティナレインは、隣国へと逃げる決意をした。自分のお腹に宿っていることに気付いた、大切な我が子を守るために。  けれど、名を偽り可愛い我が子の子育てをしながら懸命に生きていたティナレインと、彼女を諦めきれないセシルは、ある日運命的な再会を果たし────  生まれ育った屋敷で冷遇され続けた挙げ句、最低な成金ジジイと結婚させられそうになったヒロインが、我が子を守るために全てを捨てて新しい人生を切り拓いていこうと奮闘する物語です。 ※いつもの完全オリジナルファンタジー世界の物語です。全てがファンタジーです。 ※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。

ハズレ嫁は最強の天才公爵様と再婚しました。

光子
恋愛
ーーー両親の愛情は、全て、可愛い妹の物だった。 昔から、私のモノは、妹が欲しがれば、全て妹のモノになった。お菓子も、玩具も、友人も、恋人も、何もかも。 逆らえば、頬を叩かれ、食事を取り上げられ、何日も部屋に閉じ込められる。 でも、私は不幸じゃなかった。 私には、幼馴染である、カインがいたから。同じ伯爵爵位を持つ、私の大好きな幼馴染、《カイン=マルクス》。彼だけは、いつも私の傍にいてくれた。 彼からのプロポーズを受けた時は、本当に嬉しかった。私を、あの家から救い出してくれたと思った。 私は貴方と結婚出来て、本当に幸せだったーーー 例え、私に子供が出来ず、義母からハズレ嫁と罵られようとも、義父から、マルクス伯爵家の事業全般を丸投げされようとも、私は、貴方さえいてくれれば、それで幸せだったのにーーー。 「《ルエル》お姉様、ごめんなさぁい。私、カイン様との子供を授かったんです」 「すまない、ルエル。君の事は愛しているんだ……でも、僕はマルクス伯爵家の跡取りとして、どうしても世継ぎが必要なんだ!だから、君と離婚し、僕の子供を宿してくれた《エレノア》と、再婚する!」 夫と妹から告げられたのは、地獄に叩き落とされるような、残酷な言葉だった。 カインも結局、私を裏切るのね。 エレノアは、結局、私から全てを奪うのね。 それなら、もういいわ。全部、要らない。 絶対に許さないわ。 私が味わった苦しみを、悲しみを、怒りを、全部返さないと気がすまないーー! 覚悟していてね? 私は、絶対に貴方達を許さないから。 「私、貴方と離婚出来て、幸せよ。 私、あんな男の子供を産まなくて、幸せよ。 ざまぁみろ」 不定期更新。 この世界は私の考えた世界の話です。設定ゆるゆるです。よろしくお願いします。

愛されない花嫁は初夜を一人で過ごす

リオール
恋愛
「俺はお前を妻と思わないし愛する事もない」  夫となったバジルはそう言って部屋を出て行った。妻となったアルビナは、初夜を一人で過ごすこととなる。  後に夫から聞かされた衝撃の事実。  アルビナは夫への復讐に、静かに心を燃やすのだった。 ※シリアスです。 ※ざまあが行き過ぎ・過剰だといったご意見を頂戴しております。年齢制限は設定しておりませんが、お読みになる場合は自己責任でお願い致します。

「無加護」で孤児な私は追い出されたのでのんびりスローライフ生活!…のはずが精霊王に甘く溺愛されてます!?

白井
恋愛
誰もが精霊の加護を受ける国で、リリアは何の精霊の加護も持たない『無加護』として生まれる。 「魂の罪人め、呪われた悪魔め!」 精霊に嫌われ、人に石を投げられ泥まみれ孤児院ではこき使われてきた。 それでも生きるしかないリリアは決心する。 誰にも迷惑をかけないように、森でスローライフをしよう! それなのに―…… 「麗しき私の乙女よ」 すっごい美形…。えっ精霊王!? どうして無加護の私が精霊王に溺愛されてるの!? 森で出会った精霊王に愛され、リリアの運命は変わっていく。

「白い結婚最高!」と喜んでいたのに、花の香りを纏った美形旦那様がなぜか私を溺愛してくる【完結】

清澄 セイ
恋愛
フィリア・マグシフォンは子爵令嬢らしからぬのんびりやの自由人。自然の中でぐうたらすることと、美味しいものを食べることが大好きな恋を知らないお子様。 そんな彼女も18歳となり、強烈な母親に婚約相手を選べと毎日のようにせっつかれるが、選び方など分からない。 「どちらにしようかな、天の神様の言う通り。はい、決めた!」 こんな具合に決めた相手が、なんと偶然にもフィリアより先に結婚の申し込みをしてきたのだ。相手は王都から遠く離れた場所に膨大な領地を有する辺境伯の一人息子で、顔を合わせる前からフィリアに「これは白い結婚だ」と失礼な手紙を送りつけてくる癖者。 けれど、彼女にとってはこの上ない条件の相手だった。 「白い結婚?王都から離れた田舎?全部全部、最高だわ!」 夫となるオズベルトにはある秘密があり、それゆえ女性不信で態度も酷い。しかも彼は「結婚相手はサイコロで適当に決めただけ」と、面と向かってフィリアに言い放つが。 「まぁ、偶然!私も、そんな感じで選びました!」 彼女には、まったく通用しなかった。 「なぁ、フィリア。僕は君をもっと知りたいと……」 「好きなお肉の種類ですか?やっぱり牛でしょうか!」 「い、いや。そうではなく……」 呆気なくフィリアに初恋(?)をしてしまった拗らせ男は、鈍感な妻に不器用ながらも愛を伝えるが、彼女はそんなことは夢にも思わず。 ──旦那様が真実の愛を見つけたらさくっと離婚すればいい。それまでは田舎ライフをエンジョイするのよ! と、呑気に蟻の巣をつついて暮らしているのだった。 ※他サイトにも掲載中。

幸せを知らない令嬢は、やたらと甘い神様に溺愛される

ちゃっぷ
恋愛
家族から産まれたことも生きていることも全否定され、少しは役に立てと言われて政略結婚する予定だった婚約者すらも妹に奪われた男爵令嬢/アルサイーダ・ムシバ。 さらにお前は産まれてこなかったことにすると、家を追い出される。 行き場を失ってたまに訪れていた教会に来た令嬢は、そこで「産まれてきてごめんなさい」と懺悔する。 すると光り輝く美しい神/イラホンが現れて「何も謝ることはない。俺が君を幸せにするから、俺の妻になってくれ」と言われる。 さらに神は令嬢を強く抱きしめ、病めるときも健やかなるときも永遠に愛することを誓うと、おでこにキス。 突然のことに赤面する令嬢をよそに、やたらと甘い神様の溺愛が始まる――。

寵愛のいる旦那様との結婚生活が終わる。もし、次があるのなら緩やかに、優しい人と恋がしたい。

にのまえ
恋愛
リルガルド国。公爵令嬢リイーヤ・ロイアルは令嬢ながら、剣に明け暮れていた。 父に頼まれて参加をした王女のデビュタントの舞踏会で、伯爵家コール・デトロイトと知り合い恋に落ちる。 恋に浮かれて、剣を捨た。 コールと結婚をして初夜を迎えた。 リイーヤはナイトドレスを身に付け、鼓動を高鳴らせて旦那様を待っていた。しかし寝室に訪れた旦那から出た言葉は「私は君を抱くことはない」「私には心から愛する人がいる」だった。 ショックを受けて、旦那には愛してもられないと知る。しかし離縁したくてもリルガルド国では離縁は許されない。しかしリイーヤは二年待ち子供がいなければ離縁できると知る。 結婚二周年の食事の席で、旦那は義理両親にリイーヤに子供ができたと言い出した。それに反論して自分は生娘だと医師の診断書を見せる。 混乱した食堂を後にして、リイーヤは馬に乗り伯爵家から出て行き国境を越え違う国へと向かう。 もし、次があるのなら優しい人と恋がしたいと…… お読みいただき、ありがとうございます。 エブリスタで四月に『完結』した話に差し替えいたいと思っております。内容はさほど、変わっておりません。 それにあたり、栞を挟んでいただいている方、すみません。

【完結】愛しき冷血宰相へ別れの挨拶を

川上桃園
恋愛
「どうかもう私のことはお忘れください。閣下の幸せを、遠くから見守っております」  とある国で、宰相閣下が結婚するという新聞記事が出た。  これを見た地方官吏のコーデリアは突如、王都へ旅立った。亡き兄の友人であり、年上の想い人でもある「彼」に別れを告げるために。  だが目当ての宰相邸では使用人に追い返されて途方に暮れる。そこに出くわしたのは、彼と結婚するという噂の美しき令嬢の姿だった――。  これは、冷血宰相と呼ばれた彼の結婚を巡る、恋のから騒ぎ。最後はハッピーエンドで終わるめでたしめでたしのお話です。 第22回書き出し祭り参加作品 2025.1.26 女性向けホトラン1位ありがとうございます 2025.2.14 後日談を投稿しました

処理中です...