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第19話 宝物
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(可愛い、なんて言ったら失礼かしら)
馬車の中、ソフィアはエルネストの話をニコニコと聞いていた。喧嘩を諫める時は別人かのように厳しい雰囲気を醸していたが、今は少年のような表情になっていた。
「――で、まぁその時は良かったんだが、ルーカスが――」
騎士団員に向けられているのは信頼、そして友情だ。
仲のいい遊び友達を自慢するかのような姿に笑みを深め、相槌を打つ。どれほどそうしていただろうか。
ソフィアとしては生き生きとした様子のエルネストを一日中でも眺めていたかったが、横にいたシトリーから冷たい言葉が飛んだ。
「若様。いつまでご自分の話をされるおつもりで?」
「……と、済まなかった。ついアツくなった」
「そんなことありません。とても楽しかったです」
ソフィアは慌てて否定したものの、シトリーの毒舌は止まらなかった。
「だいたい、剣で部下を叩きのめすなどと野蛮な行為をソフィア様に見せて……ご気分を悪くされたらどうするおつもりだったのですか?」
「ソフィア、本当にすまなかった……お詫びに、何か贈り物をしたいんだが」
「贈り物なんて! もう充分すぎるほどにいただいています!」
黒曜石のような瞳に悲しみと後悔が滲む。ソフィアとしてはすでにドレスやら宝飾品を嫌というほど渡されており、これ以上何かが必要だとは思えなかった。
もちろん貸与、という形ではあるが、それでもソフィアには充分すぎるものだ。
(もう。本当に大丈夫なのに)
とはいえ、ここで断れば本格的にエルネストを傷つけることにもなりかねない。やや思案して、あるものを思いつく。
ソフィアの言葉に、エルネストもシトリーも目を丸くした。
「……種に苗、ですか」
「ええ。お屋敷が少し寂しいので、エルネスト様がお仕事から帰られたときに綺麗な花があればきっと心が落ち着くんじゃないかと思って」
貴族邸宅ともなれば大抵は立派な庭に庭師がおり、手入れされた植物を楽しむことも少なくはない。
とはいえ、仮とはいえ婚約者のご機嫌取りを兼ねたプレゼントの提案にそれを頼むことなど聞いたことがなかった。
「では、庭師を――」
「いえ。自分で育てますよ?」
(実家ではメアリの趣味で植えられたものだけだったもの。どうせなら、私が好きな花を育てさせてもらおう)
密かに企むソフィアの膝元で、トトも興味津々である。
『ソフィア、何か良い感じの実をつける植物を選びなさい! アタシは甘酸っぱい系が良いわ!』
応答の代わりにとんとんと背中を揺らせば、トトは満足げに頷いた。
「自分で庭いじりを……?」
「はい、面白そうです」
「ソフィアがそう言うなら、苗や種を見に行こうか」
御者台と中を隔てるカーテンを開けてルーカスに指示を飛ばすエルネストを見て、ソフィアはにっこり微笑んだ。
(今日は何て素敵な日なんだろう)
自分のための買い物デートをしてもらったのは初めての経験でドキドキした。
エルネストの勇壮な姿も見られたし、団員の誰もがエルネストを慕っていることを知り、何だかとても誇らしく感じた。
エルネスト自身も団員達に信頼を置いており、少年のようにそれを語る姿は年上にも関わらず可愛らしかった。
さらには、草木の苗や種が欲しいなんてわがままを言ったのに、快く応じてくれた。
思い返して微笑むソフィア。
「ソフィア? 何か面白いことでもあったのか?」
「はい。何だか、素敵な日だなって」
「そんなに喜んでくれるならば、デートもプレゼントも、毎日でも構わないぞ」
冗談とも本気とも取れぬ物言いのエルネストに見つめられ、ソフィアのこころが大きく弾む。プレゼントが欲しかったわけではない。
大切にしてもらえる。
自分を見てもらえる。
そのことが、無性に嬉しかったのだ。
(毎日……)
まるでソフィアを大切な相手のように扱ってくれるエルネストを想像すると、頬がアツくなってくる。
同時に考えるのは、自分が練習相手であることだ。
(……エルネスト様に好きな人が出来たら、きっとそれも終わってしまう)
脳裏に浮かぶのは、自分をないがしろにしてメアリばかりを気に掛ける父の姿だった。
さっきまでの楽しかった気持ちが一気にしぼむ。
ちくりと痛み始めたこころを誤魔化すように、ソフィアは笑みを作った。
「……そうだ。最後にちょっと寄り道をしていかないか?」
「構いませんよ」
エルネストがルーカスに指示したのは、王都と周辺部を分ける城壁だ。
城下町をぐるりと囲んだ城壁は騎士団の管轄になっているらしく、エルネストを見るなり敬礼して素通ししてくれた。
(何があるんだろう)
ドキドキしながらエルネストの後に続けば城壁最上部の見張り台へと案内された。
爽やかな風が吹き抜け、はしばみ色の髪を散らす。
「わっ」
思わず目を細め、そして視界に飛び込んできたのは下に広がる街並みだった。
陽光を浴びて煌めく屋根に、小さくも活気を感じさせる人々の流れ。
「きれい」
「何かあると、俺はここに来るんだ」
自分の宝物を自慢するかのような幼さを感じさせるエルネスト。
「『この街並みを守っているんだ』と思うと、辛いことも耐えられるし、綺麗な街並みや行きかう人々から、元気を貰える気がする」
そこで言葉を切っって、ソフィアの顔を覗き込んだ。先ほどまでとは別人のような大人びた表情。端正な顔立ちに、ソフィアの胸が高鳴る。
「なんか元気がなかったみたいだから、ソフィアを元気づけようと思ってな」
「……気付いてたんですか」
実家では顧みられることのなかったソフィアの感情。
ソフィア自身ですら見ないふりをしていたそれに気付いたエルネストは、元気づけようと連れてきたようだ。
「何か困ったことがあるなら話を聞くぞ」
「……ごめんなさい」
「いや、良い。無理に聞き出して嫌な思いをするようじゃ意味がない」
エルネストはあっさりと引き下がったが、これはソフィアの悩みが精霊の御子に関連したことだと勘違いしたからだ。
申し訳なさそうな顔をしたソフィアを励まそうと、エルネストは務めて明るい声を出す。
「無理はしなくて良いが、これだけは覚えておいてほしい。俺はソフィアの味方だ」
「はい、ありがとうございます」
自らの心の変化に気付いてくれた。
そのことでソフィアの胸は一杯だった。
「ここは風が強いし、冷えるといけない。そろそろ下がろう」
「もう少しだけ眺めていても良いですか?」
「気に入ってくれたなら」
エルネストはそう言いながら自らの外套を脱ぎ、ソフィアの肩に掛けた。
じんわりと染みるような温かさがソフィアを包む。体だけでなく、胸の奥までがぽかぽかするような気がした。
馬車の中、ソフィアはエルネストの話をニコニコと聞いていた。喧嘩を諫める時は別人かのように厳しい雰囲気を醸していたが、今は少年のような表情になっていた。
「――で、まぁその時は良かったんだが、ルーカスが――」
騎士団員に向けられているのは信頼、そして友情だ。
仲のいい遊び友達を自慢するかのような姿に笑みを深め、相槌を打つ。どれほどそうしていただろうか。
ソフィアとしては生き生きとした様子のエルネストを一日中でも眺めていたかったが、横にいたシトリーから冷たい言葉が飛んだ。
「若様。いつまでご自分の話をされるおつもりで?」
「……と、済まなかった。ついアツくなった」
「そんなことありません。とても楽しかったです」
ソフィアは慌てて否定したものの、シトリーの毒舌は止まらなかった。
「だいたい、剣で部下を叩きのめすなどと野蛮な行為をソフィア様に見せて……ご気分を悪くされたらどうするおつもりだったのですか?」
「ソフィア、本当にすまなかった……お詫びに、何か贈り物をしたいんだが」
「贈り物なんて! もう充分すぎるほどにいただいています!」
黒曜石のような瞳に悲しみと後悔が滲む。ソフィアとしてはすでにドレスやら宝飾品を嫌というほど渡されており、これ以上何かが必要だとは思えなかった。
もちろん貸与、という形ではあるが、それでもソフィアには充分すぎるものだ。
(もう。本当に大丈夫なのに)
とはいえ、ここで断れば本格的にエルネストを傷つけることにもなりかねない。やや思案して、あるものを思いつく。
ソフィアの言葉に、エルネストもシトリーも目を丸くした。
「……種に苗、ですか」
「ええ。お屋敷が少し寂しいので、エルネスト様がお仕事から帰られたときに綺麗な花があればきっと心が落ち着くんじゃないかと思って」
貴族邸宅ともなれば大抵は立派な庭に庭師がおり、手入れされた植物を楽しむことも少なくはない。
とはいえ、仮とはいえ婚約者のご機嫌取りを兼ねたプレゼントの提案にそれを頼むことなど聞いたことがなかった。
「では、庭師を――」
「いえ。自分で育てますよ?」
(実家ではメアリの趣味で植えられたものだけだったもの。どうせなら、私が好きな花を育てさせてもらおう)
密かに企むソフィアの膝元で、トトも興味津々である。
『ソフィア、何か良い感じの実をつける植物を選びなさい! アタシは甘酸っぱい系が良いわ!』
応答の代わりにとんとんと背中を揺らせば、トトは満足げに頷いた。
「自分で庭いじりを……?」
「はい、面白そうです」
「ソフィアがそう言うなら、苗や種を見に行こうか」
御者台と中を隔てるカーテンを開けてルーカスに指示を飛ばすエルネストを見て、ソフィアはにっこり微笑んだ。
(今日は何て素敵な日なんだろう)
自分のための買い物デートをしてもらったのは初めての経験でドキドキした。
エルネストの勇壮な姿も見られたし、団員の誰もがエルネストを慕っていることを知り、何だかとても誇らしく感じた。
エルネスト自身も団員達に信頼を置いており、少年のようにそれを語る姿は年上にも関わらず可愛らしかった。
さらには、草木の苗や種が欲しいなんてわがままを言ったのに、快く応じてくれた。
思い返して微笑むソフィア。
「ソフィア? 何か面白いことでもあったのか?」
「はい。何だか、素敵な日だなって」
「そんなに喜んでくれるならば、デートもプレゼントも、毎日でも構わないぞ」
冗談とも本気とも取れぬ物言いのエルネストに見つめられ、ソフィアのこころが大きく弾む。プレゼントが欲しかったわけではない。
大切にしてもらえる。
自分を見てもらえる。
そのことが、無性に嬉しかったのだ。
(毎日……)
まるでソフィアを大切な相手のように扱ってくれるエルネストを想像すると、頬がアツくなってくる。
同時に考えるのは、自分が練習相手であることだ。
(……エルネスト様に好きな人が出来たら、きっとそれも終わってしまう)
脳裏に浮かぶのは、自分をないがしろにしてメアリばかりを気に掛ける父の姿だった。
さっきまでの楽しかった気持ちが一気にしぼむ。
ちくりと痛み始めたこころを誤魔化すように、ソフィアは笑みを作った。
「……そうだ。最後にちょっと寄り道をしていかないか?」
「構いませんよ」
エルネストがルーカスに指示したのは、王都と周辺部を分ける城壁だ。
城下町をぐるりと囲んだ城壁は騎士団の管轄になっているらしく、エルネストを見るなり敬礼して素通ししてくれた。
(何があるんだろう)
ドキドキしながらエルネストの後に続けば城壁最上部の見張り台へと案内された。
爽やかな風が吹き抜け、はしばみ色の髪を散らす。
「わっ」
思わず目を細め、そして視界に飛び込んできたのは下に広がる街並みだった。
陽光を浴びて煌めく屋根に、小さくも活気を感じさせる人々の流れ。
「きれい」
「何かあると、俺はここに来るんだ」
自分の宝物を自慢するかのような幼さを感じさせるエルネスト。
「『この街並みを守っているんだ』と思うと、辛いことも耐えられるし、綺麗な街並みや行きかう人々から、元気を貰える気がする」
そこで言葉を切っって、ソフィアの顔を覗き込んだ。先ほどまでとは別人のような大人びた表情。端正な顔立ちに、ソフィアの胸が高鳴る。
「なんか元気がなかったみたいだから、ソフィアを元気づけようと思ってな」
「……気付いてたんですか」
実家では顧みられることのなかったソフィアの感情。
ソフィア自身ですら見ないふりをしていたそれに気付いたエルネストは、元気づけようと連れてきたようだ。
「何か困ったことがあるなら話を聞くぞ」
「……ごめんなさい」
「いや、良い。無理に聞き出して嫌な思いをするようじゃ意味がない」
エルネストはあっさりと引き下がったが、これはソフィアの悩みが精霊の御子に関連したことだと勘違いしたからだ。
申し訳なさそうな顔をしたソフィアを励まそうと、エルネストは務めて明るい声を出す。
「無理はしなくて良いが、これだけは覚えておいてほしい。俺はソフィアの味方だ」
「はい、ありがとうございます」
自らの心の変化に気付いてくれた。
そのことでソフィアの胸は一杯だった。
「ここは風が強いし、冷えるといけない。そろそろ下がろう」
「もう少しだけ眺めていても良いですか?」
「気に入ってくれたなら」
エルネストはそう言いながら自らの外套を脱ぎ、ソフィアの肩に掛けた。
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