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第10話 エルネストの思惑②
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「それで、ギリギリ誤魔化してこの屋敷まで足を運んでもらったと。……雇用主なので控えめに言いますが、馬鹿ですか?」
「待てシトリー! どこが控えめだ!?」
「控えてなければ不敬罪で打ち首レベルの発言になるので、充分控えてます」
帰ってきてすぐに侍女長を呼んだ。
といっても、この屋敷で働く人間はわずかに三人。侍女長に料理人に、騎士団で副官を兼任している秘書だけである。料理人は王宮からの出向なのでほぼ顔を合わせることはない。
相談できる相手はシトリーとルーカスだけだった。
訳アリのご令嬢、とまでは伝えられても特殊な力に関してはまだ未確定な部分も多く、伝えるべきではないと判断した。
(精霊の御子……もしも間違いだったら目も当てられない)
精霊の御子は国に保護され、可能な限り全ての望みを叶えられる。当然ながら、それを目的に能力を騙る人間も過去にはいた。
そのため、精霊の御子を騙った人間は死罪となる。
御子だと思ったけど違いました、で済む話ではないのだ。
結果、ソフィアを家に連れ帰ってきた理由を説明することができなかったエルネストは、なんとかでっちあげた。
論理的な思考ではたどり着かず、そして誰にも否定しにくい理由を。
「す、好きになった……一目ぼれだ」
侍女長のシトリーは氷よりも冷たい眼差しを雇用主に向けた。
「どこの世界に一目ぼれした相手を『雇う』なんて言って家に呼ぶ人がいるんですか!? これで口説き始めたら人間性疑われますよ!? それとも特殊性癖ですか!?」
「うっ……!」
「契約を結んでしまえば主従関係ですから、周囲からは『関係を盾にして無理矢理迫った』と取られます! ご本人だってそう受けとってもおかしくありません!」
「……そうならないよう、きちんと相手に気持ちを伝える」
「伝えるのが問題だって言ってるんでしょうがッ! 断りにくい条件を盾に了承させたなんて評判が立てば今度こそ当家は人を雇えなくなりますよ! 私だってもう限界ですからね! いくら10倍の給与を貰っていても、10倍働いたら一日は24時間じゃ足りないんです! 副業も手が回らなくなってきてるんですからね!」
「副業やめろよ……」
「やめるならこっちです! どう考えても割に合わないです!」
シトリーはひとしきり説教をした後に、大きな溜息を吐いた。
「とりあえず仕事の内容を変えますか。侍女と貴族では外聞が悪すぎます。若様が怖い顔と怖い雰囲気で他人を寄せ付けないという事実を利用しましょう」
「……ちょっと気になるが続けてくれ」
「若様が若いご令嬢とお喋りするための訓練相手ってことにします」
「訓練ってお前な」
「分かっています。訓練内容は食事やお茶、それからデートです」
「デート……」
「若い女性をエスコートする練習をさせてくれ、と言えば断りはしないでしょう」
シトリーは未だに怒っているのか、鋭い視線をエルネストに向けた。
「食事やお茶もそうですが、長い時間を一緒に過ごした方がいい関係は築きやすいものです。ほら、騎士団だって入団直後に合宿をしますよね?」
「ああ。それは確かにそうだな」
「そして、しばらくしてから『訓練のつもりが本気になってしまった』と告げてプロポーズするのです。良いですか? 目が開かない仔猫にすら逃げられる若様を怖がらないでいてくれる貴重な令嬢です! 絶対に! 絶っっっ対に逃がしてはいけません!」
シトリーの剣幕に思わずたじろぐが、エルネストとて逃がす気など毛頭なかった。
自分を苛み続けた頭痛を癒し、足の違和感を消したのは、恐らくソフィアだろう。デートに食事、お茶となれば相手の言動を観察する機会も増える。
(精霊の御子、か……)
シトリーを勘違いさせたままにしておくのは気が引けたが、ソフィアが御子なのかを見極めるには都合が良かった。
理性的な部分がそう判断を下すのに対し、感情面もまた彼女を手元に置けと叫んでいる。ソフィアのまっすぐな視線が心地よかったのだ。
「私がうまく話をまとめます。若様も全力でお願いします」
「ああ」
何故だか脳裏によぎったソフィアの笑みを振り払い、エルネストは第二王子として精霊の御子か否かを見極めようと気を引き締めた。
***
「と言うわけで、お嬢様は『殿下の練習相手に雇われた』と本気で思っています」
「食べられません、だもんな。何かの発表会で緊張する子供か俺は」
「似たようなものでしょう。大方、慣れないご令嬢を前に緊張でパニックになったとでも思われているのでは?」
シトリーの言葉にエルネストは頭を抱えた。その横ではルーカスが腹を抱えて笑っていた。
自分でもなんであんなことをしたのか分からない。
(す、隙をつくるためだ。隙を、すきを……好きを……って違うっ!)
くしゃりと頭を掻きむしる。傍目から見れば好きな女性に無理なアプローチをかけ、歯牙にも掛けられなかったことを悩んでいるようにしか見えなかった。
「何を間違えた……?」
ボソリと呟いたそれは自らが何故あんな言動をしたのかという自問だが、エルネストが恋煩いをしていると思っているシトリーは言動に対して駄目だしを行う。
「まず攻めすぎです。初対面にも近い状態でクッキーを手ずから食べさせ、御髪に口付けするなど、騎士団に通報されても文句は言えませんよ」
「保護した迷子はだいたいああすれば泣き止むんだよ……」
「ソフィア様は迷子ではありません」
思わず反論するが、自分でも自分の行いに疑問を持っているだけあって語気は弱い。
シトリーもルーカスも、基本的にエルネストに対して優しくない。
きちんとエルネストを見て本音で接してくれるからこその厳しさだと理解しているが、今はその真っ直ぐさがエルネストの心に突き刺さる。
「やることが極端なんですよ! あんな真似ができるなら初対面で告白すれば良かったじゃないですか!」
「腹痛ェ……! 敵どころか団員にまで『魔王』って言われまくってるエルがお嬢さん一人に……ぷぷぷっ!」
違う、と叫びたかったがまさか精霊の御子なのか疑っているから、とも言えない。
仕方なく別方向から攻めることにした。
「ルーカス。お前だって碌に女性を口説いたり交際した経験などないだろう。挨拶に来たこともなかったはずだ」
苦し紛れの反論に、ルーカスは眉を跳ね上げた。
「騎士団の野郎どもが独り身ばっかなのはだいたいエルのせいだろ。『彼女が出来たら団長に挨拶』って習わしがハードル高すぎるんだよ!」
ルーカスの言葉にシトリーは頷くが、エルネストは興味がないのか鼻で笑った。
「知らん。それはカップルの問題だ」
団長のエルネストに挨拶に行くと、破局する。
そんなジンクスが団員に囁かれる程、エルネストへの挨拶はハードルが高かった。ジンクスというにはあまりにも流れ作業的な破局だが、結果的に破滅を招いているのは間違いない。
まず、容姿端麗なエルネストを見て女性は見惚れる。うっとりしたり挙動不審になったり、彼氏である騎士団員にすら見せたことのない一面が顔を覗かせることで、騎士団員はショックを受けることになる。
続いて声を掛けてみれば、女性が震えだすほどに不機嫌全開だ。魔王の二つ名が伊達ではないと思わせるほどの恐怖に、女性はショックを受けて彼氏へと縋りつく。
そこで大半の騎士団員は思うのだ。
『さっきまで自分を放置してうっとりしてたくせに、何だコイツ』と。
ましてやエルネストは自らの団長だ。どれほど怖くとも長年一緒に行動していれば、エルネストが命を預けるに値するだけの武勇と知略を持ち合わせた人間だと理解できる。
それを、先ほどまで見惚れていたはずの彼女にけなされれば、腹の一つも立とうというものである。
もちろんこの苦難を乗り越えた者もいるし結婚したカップルもいるのだが、エルネストが団長に就任してからの二年間で、七組のカップルが破局したのだからルーカスの言葉ももっともであった。
「とりあえず接し方を練らねばならん。何か案はないか?」
「……シトリー。エルってこんな残念な奴だったか?」
「……ちょっとアレな感じですね……不敬罪になるのでアレの説明は省きますが」
「おい、ごちゃごちゃ言ってないで一緒に考えろ」
頭痛が消えたエルネストは、それでもしかめ面のまま二人に命じた。
「とりあえずお嬢様はうまく言いくるめ……コホン。説得して、『練習相手なのは誰にも秘密』にしました。今のうちに頑張って距離を詰めてください」
「そうだな。まずは贈り物だな。何が良いと思う?」
「言いくるめたってほぼ自白してるシトリーもやばいけど、完全にスルーしてるエルもやべぇな」
ぽつりと呟いたルーカスに、二人の鋭い視線が刺さった。
「ルーカスも真面目に考えろ」
「きちんと案を出してください」
叱られてしょんぼりしながらも、ルーカスは首を捻った。
「これって、おかしいのは俺なのか……?」
「待てシトリー! どこが控えめだ!?」
「控えてなければ不敬罪で打ち首レベルの発言になるので、充分控えてます」
帰ってきてすぐに侍女長を呼んだ。
といっても、この屋敷で働く人間はわずかに三人。侍女長に料理人に、騎士団で副官を兼任している秘書だけである。料理人は王宮からの出向なのでほぼ顔を合わせることはない。
相談できる相手はシトリーとルーカスだけだった。
訳アリのご令嬢、とまでは伝えられても特殊な力に関してはまだ未確定な部分も多く、伝えるべきではないと判断した。
(精霊の御子……もしも間違いだったら目も当てられない)
精霊の御子は国に保護され、可能な限り全ての望みを叶えられる。当然ながら、それを目的に能力を騙る人間も過去にはいた。
そのため、精霊の御子を騙った人間は死罪となる。
御子だと思ったけど違いました、で済む話ではないのだ。
結果、ソフィアを家に連れ帰ってきた理由を説明することができなかったエルネストは、なんとかでっちあげた。
論理的な思考ではたどり着かず、そして誰にも否定しにくい理由を。
「す、好きになった……一目ぼれだ」
侍女長のシトリーは氷よりも冷たい眼差しを雇用主に向けた。
「どこの世界に一目ぼれした相手を『雇う』なんて言って家に呼ぶ人がいるんですか!? これで口説き始めたら人間性疑われますよ!? それとも特殊性癖ですか!?」
「うっ……!」
「契約を結んでしまえば主従関係ですから、周囲からは『関係を盾にして無理矢理迫った』と取られます! ご本人だってそう受けとってもおかしくありません!」
「……そうならないよう、きちんと相手に気持ちを伝える」
「伝えるのが問題だって言ってるんでしょうがッ! 断りにくい条件を盾に了承させたなんて評判が立てば今度こそ当家は人を雇えなくなりますよ! 私だってもう限界ですからね! いくら10倍の給与を貰っていても、10倍働いたら一日は24時間じゃ足りないんです! 副業も手が回らなくなってきてるんですからね!」
「副業やめろよ……」
「やめるならこっちです! どう考えても割に合わないです!」
シトリーはひとしきり説教をした後に、大きな溜息を吐いた。
「とりあえず仕事の内容を変えますか。侍女と貴族では外聞が悪すぎます。若様が怖い顔と怖い雰囲気で他人を寄せ付けないという事実を利用しましょう」
「……ちょっと気になるが続けてくれ」
「若様が若いご令嬢とお喋りするための訓練相手ってことにします」
「訓練ってお前な」
「分かっています。訓練内容は食事やお茶、それからデートです」
「デート……」
「若い女性をエスコートする練習をさせてくれ、と言えば断りはしないでしょう」
シトリーは未だに怒っているのか、鋭い視線をエルネストに向けた。
「食事やお茶もそうですが、長い時間を一緒に過ごした方がいい関係は築きやすいものです。ほら、騎士団だって入団直後に合宿をしますよね?」
「ああ。それは確かにそうだな」
「そして、しばらくしてから『訓練のつもりが本気になってしまった』と告げてプロポーズするのです。良いですか? 目が開かない仔猫にすら逃げられる若様を怖がらないでいてくれる貴重な令嬢です! 絶対に! 絶っっっ対に逃がしてはいけません!」
シトリーの剣幕に思わずたじろぐが、エルネストとて逃がす気など毛頭なかった。
自分を苛み続けた頭痛を癒し、足の違和感を消したのは、恐らくソフィアだろう。デートに食事、お茶となれば相手の言動を観察する機会も増える。
(精霊の御子、か……)
シトリーを勘違いさせたままにしておくのは気が引けたが、ソフィアが御子なのかを見極めるには都合が良かった。
理性的な部分がそう判断を下すのに対し、感情面もまた彼女を手元に置けと叫んでいる。ソフィアのまっすぐな視線が心地よかったのだ。
「私がうまく話をまとめます。若様も全力でお願いします」
「ああ」
何故だか脳裏によぎったソフィアの笑みを振り払い、エルネストは第二王子として精霊の御子か否かを見極めようと気を引き締めた。
***
「と言うわけで、お嬢様は『殿下の練習相手に雇われた』と本気で思っています」
「食べられません、だもんな。何かの発表会で緊張する子供か俺は」
「似たようなものでしょう。大方、慣れないご令嬢を前に緊張でパニックになったとでも思われているのでは?」
シトリーの言葉にエルネストは頭を抱えた。その横ではルーカスが腹を抱えて笑っていた。
自分でもなんであんなことをしたのか分からない。
(す、隙をつくるためだ。隙を、すきを……好きを……って違うっ!)
くしゃりと頭を掻きむしる。傍目から見れば好きな女性に無理なアプローチをかけ、歯牙にも掛けられなかったことを悩んでいるようにしか見えなかった。
「何を間違えた……?」
ボソリと呟いたそれは自らが何故あんな言動をしたのかという自問だが、エルネストが恋煩いをしていると思っているシトリーは言動に対して駄目だしを行う。
「まず攻めすぎです。初対面にも近い状態でクッキーを手ずから食べさせ、御髪に口付けするなど、騎士団に通報されても文句は言えませんよ」
「保護した迷子はだいたいああすれば泣き止むんだよ……」
「ソフィア様は迷子ではありません」
思わず反論するが、自分でも自分の行いに疑問を持っているだけあって語気は弱い。
シトリーもルーカスも、基本的にエルネストに対して優しくない。
きちんとエルネストを見て本音で接してくれるからこその厳しさだと理解しているが、今はその真っ直ぐさがエルネストの心に突き刺さる。
「やることが極端なんですよ! あんな真似ができるなら初対面で告白すれば良かったじゃないですか!」
「腹痛ェ……! 敵どころか団員にまで『魔王』って言われまくってるエルがお嬢さん一人に……ぷぷぷっ!」
違う、と叫びたかったがまさか精霊の御子なのか疑っているから、とも言えない。
仕方なく別方向から攻めることにした。
「ルーカス。お前だって碌に女性を口説いたり交際した経験などないだろう。挨拶に来たこともなかったはずだ」
苦し紛れの反論に、ルーカスは眉を跳ね上げた。
「騎士団の野郎どもが独り身ばっかなのはだいたいエルのせいだろ。『彼女が出来たら団長に挨拶』って習わしがハードル高すぎるんだよ!」
ルーカスの言葉にシトリーは頷くが、エルネストは興味がないのか鼻で笑った。
「知らん。それはカップルの問題だ」
団長のエルネストに挨拶に行くと、破局する。
そんなジンクスが団員に囁かれる程、エルネストへの挨拶はハードルが高かった。ジンクスというにはあまりにも流れ作業的な破局だが、結果的に破滅を招いているのは間違いない。
まず、容姿端麗なエルネストを見て女性は見惚れる。うっとりしたり挙動不審になったり、彼氏である騎士団員にすら見せたことのない一面が顔を覗かせることで、騎士団員はショックを受けることになる。
続いて声を掛けてみれば、女性が震えだすほどに不機嫌全開だ。魔王の二つ名が伊達ではないと思わせるほどの恐怖に、女性はショックを受けて彼氏へと縋りつく。
そこで大半の騎士団員は思うのだ。
『さっきまで自分を放置してうっとりしてたくせに、何だコイツ』と。
ましてやエルネストは自らの団長だ。どれほど怖くとも長年一緒に行動していれば、エルネストが命を預けるに値するだけの武勇と知略を持ち合わせた人間だと理解できる。
それを、先ほどまで見惚れていたはずの彼女にけなされれば、腹の一つも立とうというものである。
もちろんこの苦難を乗り越えた者もいるし結婚したカップルもいるのだが、エルネストが団長に就任してからの二年間で、七組のカップルが破局したのだからルーカスの言葉ももっともであった。
「とりあえず接し方を練らねばならん。何か案はないか?」
「……シトリー。エルってこんな残念な奴だったか?」
「……ちょっとアレな感じですね……不敬罪になるのでアレの説明は省きますが」
「おい、ごちゃごちゃ言ってないで一緒に考えろ」
頭痛が消えたエルネストは、それでもしかめ面のまま二人に命じた。
「とりあえずお嬢様はうまく言いくるめ……コホン。説得して、『練習相手なのは誰にも秘密』にしました。今のうちに頑張って距離を詰めてください」
「そうだな。まずは贈り物だな。何が良いと思う?」
「言いくるめたってほぼ自白してるシトリーもやばいけど、完全にスルーしてるエルもやべぇな」
ぽつりと呟いたルーカスに、二人の鋭い視線が刺さった。
「ルーカスも真面目に考えろ」
「きちんと案を出してください」
叱られてしょんぼりしながらも、ルーカスは首を捻った。
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