公爵令嬢アリシアは思い通りになどなりません~獣人王に嫁ぐことになりましたがお馬鹿な妹や王子が馬鹿すぎるのですぐさまわからせてあげます~

吉武 止少

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最終話

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「いやぁ、朝晩のアニマルテラピーは効きますね。もうお肌の調子が全然違います」

 アリシアの部屋。
 アリシアは巨狼から人間の姿へと転じたアルフレッドとともにリリーの淹れた紅茶を飲んでいた。

「お嬢様。ご本人を前にアニマルテラピー扱いはさすがに」
「……それは諦めたからもう良いが」
「が?」
「俺も癒されたいな」

 言いながら、アルフレッドがアリシアの首筋へと顔を寄せた。

「ちょっと。何をなさるんですの?」
「かぐわしい香りで癒されようと思ってな」
「匂いフェチですか?」
「ああそうだ」

 肯定されてしまい、アリシアが言葉に詰まる。

「アリシアの魂の香りは、頭の芯が痺れるほどにかぐわしいからな」
「り、リリー! 止めなさい! 婚姻前の主の危機ですよ!? こんな危険な人物を──!」

 良い笑顔でサムズアップするリリーだが、入口に向かっていく。
 丁度ガチャリと開いたドアからエリスが中を覗こうとして、

「駄目ですよエリス様。アリシア様が食べられてしまいそうなショッキングな場面ですから絶対にお見せできません」
「エッ!? お、お姉様が……ほ、本当に!? 助けなきゃ!」
「いえいえ。アルフレッド閣下はある意味ケダモノですが紳士ですので、命の危険がある食べ方はしません」

 平民たちが口にしそうな下品な比喩表現を使うが、お嬢様育ちのエリスには通じない。
 それが通じるのは大衆小説を読むのが趣味のアリシアである。

「リリー! 余計なことを言わないで!」
「ですからエリス様は私と向こうにいきましょうね」
「で、ですがお姉様が! 私が意地悪をいったばっかりに……!」
「夜には姿を見せてくれるでしょうし大丈夫ですよ。歩けるかは怪しいですけど」
「ま、まさかお姉様は足を食べられちゃうの!?」
「いえいえ。そういう意味では──」
「リリ────────────ッ!」

 アリシアの絶叫を背に、リリーはエリスと退室した。
 残されたのは、魂の香りを堪能している狼と、がっちり捕まって身動きの取れないアリシアだけである。

「気の利く侍女だな」
「気の利かない侍女です!」
「これはもうフローライト家の総意と受け取っても──」
「フンッ」
「痛ッ! 足を踏むな足を! それピンヒールだろう!?」
「ケダモノにはこれくらいで丁度良いです!」

 自由になったアリシアが睨みつければアルフレッドは苦笑いで応じた。

「……まったく思い通りになってくれないな、アリシアは」
「ええ当たり前です」

 舌をちろりと出し、悪戯っぽい笑みを浮かべた。

「そう簡単に、思い通りになどなりませんからね」

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感想 5

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みんなの感想(5件)

いつく
2023.03.24 いつく

ゴードンが!!え、嘘でしょっ!?
ほ、ほんとなんですか馬鹿のふりしてたって
あ、おもしろかったです。

2023.03.24 吉武 止少

さすがに王族ですしね!
……現役で国王やってる父親に「一番似てる」がアッパラパー系じゃなくて悪巧み系だったわけです!

お読みいただきありがとうございました!
楽しんでいただけてなによりです><

解除
ひよ子豆
2023.03.22 ひよ子豆

修正ありがとうございます😊
テンポのいいお話でストレスなく最後まで楽しく読めました!ヒロイン最強www
コレで完結なのが名残惜しいです。
次回作楽しみにしてます( *´꒳`* )

2023.03.22 吉武 止少

読破していただきありがとうございます!
絶対に負けないヒロインが最後の最後まで“思いどおりにならない”姿、楽しんでいただけたようで何よりです!
もともとは息抜きで3000文字くらいのよていだったんですけども、筆がのって10倍弱に膨らみました。
また何か書けましたら投稿しますので、目を通していただけたら幸いです><

では、次回作でお会いしましょう!

解除
夢駆
2023.03.22 夢駆

エリス可愛い(⁠*⁠´⁠ω⁠`⁠*⁠)

2023.03.22 吉武 止少

ありがとうございます!
姉妹仲が悪いのもなんか悲しいので、今回は喧嘩するほど仲が良い、という形にしました!
アリシアも好きすぎていじめちゃうんですよねきっと!

解除

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