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婚約破棄感謝します!~え!?なんだか思ってたのと違う~
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「シーナ・カルヴァネル!いや、罪人シーナよ!お前は婚約者である私の愛を取られたことに嫉妬し、ラズベリー・カルヴァネルに度重なる嫌がらせだけでなく暴漢に襲わせた!!この所業は万死に値する!よって王子である私カク・バデズの名において国外追放に処す!!」
「それは、婚約破棄ということでしょうか?カク様」
「当たり前だ!本当はこの手で処刑してやりたいが、ラズがどうか命だけは助けて下さいとお前の助命を求めてきたから国外追放で許してやるのだ。感謝するんだな」
「ごめんなさい…弱いお姉ちゃんを許して……」
そう言いながらも、殿下から見えない角度でにやつきながらこちらに侮蔑の表情を向けてくる我が姉に心底呆れる。
「分かりましたわ…では、失礼します」
「待て!追加だ。お前が自力で手に入れた物以外の持ち出しを禁ずる」
「まあ!」
「……分かりましたわ」
私はさっさとこの場を離れるため、踵を返した。
私は生まれた時から、前世の記憶があった。
前世では、バリバリのキャリアウーマンだった私は、人よりかなり要領がよく所謂勝ち組と呼ばれる人種だったが、元々楽して稼ぐのが夢のめんどくさがりな性格の為、今の自分に矛盾を感じてやけ酒をしてしまったのがいけなかった。
酔っ払った私は道路に飛び出してしまい呆気なく死んだ……らしい。
転生後は今度こそ楽しく生きてやる!!と決意して、神様のくれたハイスペックなスキルを封印して色々な計画をたて、未来の生活を思い描いて暮らしていた。
両親は家に居ないことが多かったが、やさしい姉と使用人達の支えで何事もなく生活出来ていた…姉の5歳の誕生日までは。
5歳の誕生日、姉はまるで人が変わったように傲慢で周りを見下すようになった。
姉は、2歳の私に「ふん、お前が悪役令嬢ね?せいぜいヒロインである私の踏み台になってねぇ?」と言ったあと「ふふふ…まさか乙女ゲームの『君は儚くも美しき華』のヒロインに転生出来るなんてね。やっぱり私は特別なのよ!ふふふ…アハハハハ…アーッハッハッハッハッハッ」と嬉しそうに独り言を呟いていた。
私は乙女ゲームなんてしたことは無く、どうしようかと悩んだが姉曰わく、攻略対象とやらが居るらしいのでその人達と関わらないようにしようと決意した。
しかし、公爵令嬢で婚約者のいなかった私はこの国の王子の婚約者にされてしまう。
当時、同格の公爵家長男と婚約していた姉は妹の代理とうそぶいて王子にアプローチするようになった。
こいつ頭大丈夫かと心配になったが、これはチャンスだと気づいて積極的に2人を後押しした結果、姉の婚約者は愛想を尽かして去って行った。
姉は他の攻略対象にもちょっかいを出そうとしていたみたいだったが、私が手を回し表向きは留学で国外に逃げて貰った。
本当は攻略対象達と関わりたくなかったのだが、私がある商会の社長をしていることがバレ、そこから仲良くなってしまったのだ。
流石に仲の良い人達を破滅させるのは寝覚めが悪いので、危険だったがなんとか助けることが出来た。
この国の王子は既に姉に籠絡されているし、言っちゃ悪いが頭の中がお花畑かつクズなので、見捨てさせてもらった…後悔はしてない(ゝω・)
姉は挙げ句の果てに妹に嫌がらせを受けていると噂を流し、王子に泣きついたらしい。
勿論、その時私はアリバイがあったのだが。
まあ、そんな生活もようやく終わり、やっと自由に楽しく生きられると気分良く出口に向かっていたのだが、突然目の前に男性が現れ私に跪いた。
「え?」
困惑する私をよそに、男性は私の手をとり手の甲にキスをした。
「ふふふ。やっとあなたの本当の顔を見ることが出来ました。どうか僕の妻になっては頂けないでしょうか?」
「え?えーーーー!」
ツマ?妻!?脳がやっと男性の言葉を処理して顔が熱くなり、思わず叫んでしまった。
「な!?あなたはオスカー様!なんであなたがシーナなんかに告白してんのよ!告白するならヒロインのこのわたしにでしょ!!」
おいおい姉よ、素が出てるぞ素が。
「はて?何故僕が君に告白しなければならないんだい?」
「何故って、あんたは攻略対象でしょ!なら無条件に私の物なんだから当たり前でしょうが!!」
シーン
あーあ…みんな固まっちゃってるよ?どうすんのコレ、完全にカオスだよ。
「まったく…持っているスキルと同じで随分と傲慢なやつだね?」
「っ!?な、なんであんたが私のスキルを知ってるのよ!」
「そりゃ、僕のスキル『鑑定』で見たからさ。いやー、びっくりしたよ…まさか《神の怒りを買いし者》なんて称号を持っているなんてね」
「う、嘘よ!なんでこの私が神様の怒りを買わなくちゃいけないのよ!デタラメ言うんじゃ無いわ!!」
「ふーん…心当たり無いんだぁ。理由は多分、君の持つ『強奪』ってスキルだと思うんだけどな?」
「おい!どういうことだラズ!!コイツの言っていることは本当なのか?」
「うるっさいわね!!あんたは黙ってなさいよ!!」
「ヒッ………」
あーあ、遂にこの国の王子にまで噛みついちゃった。
「こうなったら……」
「ふふふ」
「あれ?なんで!なんでなんでなんで!!なんで奪えないの?」
「……知らなかったようだね。君の強奪のスキルには回数制限が設けられていたのさ」
「なっ!」
姉は呆然として、その場にへたり込んでしまった。
「さて、では僕の国に行こうかシーナ」
はい、やっぱりそうなるんですね…あ、なんで2人のやり取りの間に逃げなかったのかって?そりゃこの男性の護衛?みたいな人達に囲まれて居たからです。
逃がす気無いなこの人(゜Д゜;)。
「えっと…なんで私?」
「君に一目惚れしたのと、君の経営してる商会に興味があったから。それと、僕はオスカー。一応隣国の王子やってる」
そう言ってオスカー様は私をお姫様抱っこして外にとめてあった馬車に乗せると、自分達も乗り込んで隣国へと出発してしまった。
その後、なんだかんだで私はオスカー様に籠絡されてしまい、王妃になって幸せに暮らしたのだった。
ちなみに、カク王子と姉のラズベリーは国交を乱した罪で責任を取らされ平民にされたらしい。
「それは、婚約破棄ということでしょうか?カク様」
「当たり前だ!本当はこの手で処刑してやりたいが、ラズがどうか命だけは助けて下さいとお前の助命を求めてきたから国外追放で許してやるのだ。感謝するんだな」
「ごめんなさい…弱いお姉ちゃんを許して……」
そう言いながらも、殿下から見えない角度でにやつきながらこちらに侮蔑の表情を向けてくる我が姉に心底呆れる。
「分かりましたわ…では、失礼します」
「待て!追加だ。お前が自力で手に入れた物以外の持ち出しを禁ずる」
「まあ!」
「……分かりましたわ」
私はさっさとこの場を離れるため、踵を返した。
私は生まれた時から、前世の記憶があった。
前世では、バリバリのキャリアウーマンだった私は、人よりかなり要領がよく所謂勝ち組と呼ばれる人種だったが、元々楽して稼ぐのが夢のめんどくさがりな性格の為、今の自分に矛盾を感じてやけ酒をしてしまったのがいけなかった。
酔っ払った私は道路に飛び出してしまい呆気なく死んだ……らしい。
転生後は今度こそ楽しく生きてやる!!と決意して、神様のくれたハイスペックなスキルを封印して色々な計画をたて、未来の生活を思い描いて暮らしていた。
両親は家に居ないことが多かったが、やさしい姉と使用人達の支えで何事もなく生活出来ていた…姉の5歳の誕生日までは。
5歳の誕生日、姉はまるで人が変わったように傲慢で周りを見下すようになった。
姉は、2歳の私に「ふん、お前が悪役令嬢ね?せいぜいヒロインである私の踏み台になってねぇ?」と言ったあと「ふふふ…まさか乙女ゲームの『君は儚くも美しき華』のヒロインに転生出来るなんてね。やっぱり私は特別なのよ!ふふふ…アハハハハ…アーッハッハッハッハッハッ」と嬉しそうに独り言を呟いていた。
私は乙女ゲームなんてしたことは無く、どうしようかと悩んだが姉曰わく、攻略対象とやらが居るらしいのでその人達と関わらないようにしようと決意した。
しかし、公爵令嬢で婚約者のいなかった私はこの国の王子の婚約者にされてしまう。
当時、同格の公爵家長男と婚約していた姉は妹の代理とうそぶいて王子にアプローチするようになった。
こいつ頭大丈夫かと心配になったが、これはチャンスだと気づいて積極的に2人を後押しした結果、姉の婚約者は愛想を尽かして去って行った。
姉は他の攻略対象にもちょっかいを出そうとしていたみたいだったが、私が手を回し表向きは留学で国外に逃げて貰った。
本当は攻略対象達と関わりたくなかったのだが、私がある商会の社長をしていることがバレ、そこから仲良くなってしまったのだ。
流石に仲の良い人達を破滅させるのは寝覚めが悪いので、危険だったがなんとか助けることが出来た。
この国の王子は既に姉に籠絡されているし、言っちゃ悪いが頭の中がお花畑かつクズなので、見捨てさせてもらった…後悔はしてない(ゝω・)
姉は挙げ句の果てに妹に嫌がらせを受けていると噂を流し、王子に泣きついたらしい。
勿論、その時私はアリバイがあったのだが。
まあ、そんな生活もようやく終わり、やっと自由に楽しく生きられると気分良く出口に向かっていたのだが、突然目の前に男性が現れ私に跪いた。
「え?」
困惑する私をよそに、男性は私の手をとり手の甲にキスをした。
「ふふふ。やっとあなたの本当の顔を見ることが出来ました。どうか僕の妻になっては頂けないでしょうか?」
「え?えーーーー!」
ツマ?妻!?脳がやっと男性の言葉を処理して顔が熱くなり、思わず叫んでしまった。
「な!?あなたはオスカー様!なんであなたがシーナなんかに告白してんのよ!告白するならヒロインのこのわたしにでしょ!!」
おいおい姉よ、素が出てるぞ素が。
「はて?何故僕が君に告白しなければならないんだい?」
「何故って、あんたは攻略対象でしょ!なら無条件に私の物なんだから当たり前でしょうが!!」
シーン
あーあ…みんな固まっちゃってるよ?どうすんのコレ、完全にカオスだよ。
「まったく…持っているスキルと同じで随分と傲慢なやつだね?」
「っ!?な、なんであんたが私のスキルを知ってるのよ!」
「そりゃ、僕のスキル『鑑定』で見たからさ。いやー、びっくりしたよ…まさか《神の怒りを買いし者》なんて称号を持っているなんてね」
「う、嘘よ!なんでこの私が神様の怒りを買わなくちゃいけないのよ!デタラメ言うんじゃ無いわ!!」
「ふーん…心当たり無いんだぁ。理由は多分、君の持つ『強奪』ってスキルだと思うんだけどな?」
「おい!どういうことだラズ!!コイツの言っていることは本当なのか?」
「うるっさいわね!!あんたは黙ってなさいよ!!」
「ヒッ………」
あーあ、遂にこの国の王子にまで噛みついちゃった。
「こうなったら……」
「ふふふ」
「あれ?なんで!なんでなんでなんで!!なんで奪えないの?」
「……知らなかったようだね。君の強奪のスキルには回数制限が設けられていたのさ」
「なっ!」
姉は呆然として、その場にへたり込んでしまった。
「さて、では僕の国に行こうかシーナ」
はい、やっぱりそうなるんですね…あ、なんで2人のやり取りの間に逃げなかったのかって?そりゃこの男性の護衛?みたいな人達に囲まれて居たからです。
逃がす気無いなこの人(゜Д゜;)。
「えっと…なんで私?」
「君に一目惚れしたのと、君の経営してる商会に興味があったから。それと、僕はオスカー。一応隣国の王子やってる」
そう言ってオスカー様は私をお姫様抱っこして外にとめてあった馬車に乗せると、自分達も乗り込んで隣国へと出発してしまった。
その後、なんだかんだで私はオスカー様に籠絡されてしまい、王妃になって幸せに暮らしたのだった。
ちなみに、カク王子と姉のラズベリーは国交を乱した罪で責任を取らされ平民にされたらしい。
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