上 下
28 / 71
2章 少年期

6話 掘り出し物

しおりを挟む
    ━━━武器屋━━━



 武器屋の前まで来た3人。


(見つけた時から思ってたけど…やっぱりボロい…)

「えっと…確認なんだが…本当にここで買うつもりかい?」

「…なんて言うかボロ…レトロな店ですね」


 見た目は営業しているのか謎な店だが、カイトの直感がここに業物があるはずと言っていた。


(小説の定番だし!)

「入って見ましょうよ!」

「うん。まあカイト君が良いなら良いんだけど」


 入店してみると、鋭そうな槍やバランスのおかしいハンマー、宝石のはまったガントレットなど様々な物が所狭しと置いてあるが、肝心の剣が見当たらない。


「不思議な店ですね。こんなに様々な武器があるのに剣が一本も置いてない…」

「きっと売り切れたのですわ!」

「どうする?カイト君」


 困ったようにカイトに訊くポトス。


「と、とりあえず…店主に話を」

「分かった決めるのはその後にしよう。…すまない!誰か居るかい?」


 バタンッ ガシャンッ


 ポトスが店の奥に声をかけると何かが倒れたり落ちたような音がして、髭面の男が現れた。


「…なんだ?何か売りに来たのか?」

「いえ、武器を買いに」

「なら、さっさと選んで持って来い。……全くせっかく気持ち良く寝てたってのによぉ」


 機嫌が悪いらしく、ぶっきらぼうな接客をする店主。


「あのぉ、剣が欲しいんですが…」


 ピクッ


「ああ?…剣だぁ?うちにあるのがアレだって知って言ってんのかぁ?」

「あ、アレ?」

「店主。アレとは?」

「なんだ?知らずに来たのか…まあせっかくだし見せてやるよ。ちょっと待ってな…」


 そう言って店主は店の奥に戻り、ガサゴソと何かを探して持ってきた。


「ほら、コイツだよ」


 店主が持ってきたのは1m程の剣だった。


(何だろう…吸い込まれるような感じがする……)

「店主。これが?」

「ああ。2年前ぐらいに冒険者がダンジョンの宝箱から見つけたって売りに来た物だ!」

「これをお譲りしてもらうことは?」

「別に構わねえよ??」

(テンプレ来たー!)


 小説などで読んだことのある展開に内心テンションの上がるカイト。


「試してみて良いですか?」

「良いが、コイツは魔力が多くないと扱えないぜ?」

「大丈夫です!魔力には自身あるので!」


 カイトはそう言って剣の柄を持って鞘から抜刀した。


 ガクンッ 


(あれ?…ステータス!)



 名前   カイト・ドライ・アーク
 年齢   5歳
 種族   人間
 適性属性 なし
 加護   なし
 称号   なし

 HP 70  MP 200/1100
 STR 70  VIT 60
 DEX 60  INT 750
 AGI 78  LUK 100





(っ!?魔力が殆ど吸い取られた!?)

「だ、大丈夫かい?」

「ほう…膝をついただけで済んだか…」


 そんな声も聞こえないほどカイトは考えていた。


(流石にフィクションとは違うなぁ!こういうことがあると、改めて異世界に来たって感じがするよ!!)


「─!…─い!…おい!…やっと気づいたか。ったく…魔剣を握ったままニヤニヤしやがって」

「あ、ご、ごめんなさい!考え事してて…」


 店主の声で現実に戻って来たカイトは顔が赤くなるのを感じた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

大切”だった”仲間に裏切られたので、皆殺しにしようと思います

騙道みりあ
ファンタジー
 魔王を討伐し、世界に平和をもたらした”勇者パーティー”。  その一員であり、”人類最強”と呼ばれる少年ユウキは、何故か仲間たちに裏切られてしまう。  仲間への信頼、恋人への愛。それら全てが作られたものだと知り、ユウキは怒りを覚えた。  なので、全員殺すことにした。  1話完結ですが、続編も考えています。

【完結】そして、誰もいなくなった

杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」 愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。 「触るな!」 だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。 「突き飛ばしたぞ」 「彼が手を上げた」 「誰か衛兵を呼べ!」 騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。 そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。 そして誰もいなくなった。 彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。 これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。 ◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。 3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。 3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました! 4/1、完結しました。全14話。

ハズレスキル【収納】のせいで実家を追放されたが、全てを収納できるチートスキルでした。今更土下座してももう遅い

平山和人
ファンタジー
侯爵家の三男であるカイトが成人の儀で授けられたスキルは【収納】であった。アイテムボックスの下位互換だと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 ダンジョンをさまよい、魔物に襲われ死ぬと思われた時、カイトは【収納】の真の力に気づく。【収納】は魔物や魔法を吸収し、さらには異世界の飲食物を取り寄せることができるチートスキルであったのだ。 かくして自由になったカイトは世界中を自由気ままに旅することになった。一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトに戻ってくるように土下座してくるがもう遅い。

ああ、もういらないのね

志位斗 茂家波
ファンタジー
……ある国で起きた、婚約破棄。 それは重要性を理解していなかったがゆえに起きた悲劇の始まりでもあった。 だけど、もうその事を理解しても遅い…‥‥ たまにやりたくなる短編。興味があればぜひどうぞ。

英雄一家は国を去る【一話完結】

青緑
ファンタジー
婚約者との舞踏会中、火急の知らせにより領地へ帰り、3年かけて魔物大発生を収めたテレジア。3年振りに王都へ戻ったが、国の一大事から護った一家へ言い渡されたのは、テレジアの婚約破棄だった。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

敷かれたレールのその先

龍春
ファンタジー
■あらすじ■ 学園の卒業パーティーで、婚約者から婚約破棄を受けた。 誰も彼女の言葉を聞く者はおらず、彼女もまた、誰かに言葉を届けることを諦めていた。 そうして周囲の人間に悪として断罪された彼女は、やっと誰にも信じて貰えない孤独から解放されると悦んだ。 ■作品について■ 多分、きっと、よくある設定とかよくあるシチュとかn番煎じなアレだと思いますが、思いついたのを書き出しました。 完全に突発でプロット、何それ美味しいの? で書いてますので、山もオチもたぶんないです。 しっかり作り込んだらもうちょっと長く描けるかもですが、尻切れトンボだと感じても見逃せる方の閲覧を推奨しております。 タイトル思い浮かばなかったです、あらすじもまとめるの苦手で内容と相違してたらごめんなさい|||orz カテゴリーとタグに自信がないので間違っていたりしたらお手数ですが感想欄にてご指摘ください。直します。 思いついたら続きのような物等を書くかもですが、とりあえず完結表示 ----- ::2021.03.24:: 気の向くままに続きと言うより、主人公の記憶を辿っている回想を増やしました。 それに伴い、完結から連載中に変更になっています。 たぶん、もう少し気の向くままにあちこち書くかと思います。お付き合いいただけると幸い。 ■修正点■ 2021.03.24:1話としていたタイトルを変更しました。「1話」→「一つの婚約破棄」 2021.03.25:1話と2話で相違があったので直しました。  修正点「王太子殿下」→「第二王子殿下」/「国母」→「貴族」 ■予定■ 色々考えてきちんとした書き直しを予定しております。 こちらの投稿に追加するか、こちらを残し連載版として新規投稿するか、こちらを消して新規投稿するかは現在迷い中です。 投稿目途が立つまではこちらを完結表示で残しておきます。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

処理中です...