プリンセスになりたかった

浅月ちせ

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第2章

予期せぬタイミング

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変態なギンガは脛を蹴ることで撃退し、わたしは辺りを見渡した。
『いてーいてー』と涙目で訴えてくるけど知るもんか。
とりあえずバッグからウェットティッシュを取り出して投げつける。
『おまえいい奴だな』と感動していた。

単純か。


店から外へと闇雲に走ったと思っていたが、どうやらアヌビスの森に入ってしまっているようだ。どの辺りまで来ているのかはわからないが。

「ねぇ、ここって…盗賊団がアジトにしてるっていう森の中よね?」
「おお、そうだぜー。今日はもう帰った方が良さそうだからな。街フラついてまたあいつらに掴まってもめんどくせーし誰かしらに迷惑かけちまうからよ。」


話を聞くと、あいつらはやはり『孤独の卵』を狙ってアヌビスにやってきた賊らしく、ギンガが代表で追い払ってから目の敵にされているようだ。今ではギンガを負かすために尽力しているのでまったく宝石を盗りには来ていないらしい。

今日のように過去返討ちにしてやった輩の報復は後を絶たず。

街の方々に被害が及ぶのは本意ではないが、かと言ってディタ盗賊団のみんなを外出禁止にはできないから、頭領が街に被害補償金を支払っているそうだ。


「だから、とりあえずさっきのカフェも壊れたものは直してやれるからいいけどよ…とはいえ気持ちの良いものではないし申し訳ねーよな…」

そう言うと木の幹の上に座り込んだ。


ニコニコしてたり、急に鋭い顔をしてみたり、今は少し寂しそうな目をしている。短時間しか一緒にいないが、ギンガの素直で優しい性格はとても好感がもてる。

ついサルドナにしてやったように頭を撫でてしまう。


「……そんでな。おまえ俺の女だと思われてるからよ、置いていけねーんだわ。」

子犬のような目で見上げられると何でも聞いてあげたくなるよね。
ほんと、この属性ずるいわ。


ギンガの頭を撫で繰り回す。


頭に乗せたわたしの手をすっと取り、握りしめると彼は力強く立ち上がった。


「アジト連れて行くから、頭領に挨拶する準備しとけよ。」


にっと笑ってまた走り出す。


え?



え?


えええ???


まだ何も考え終わってないのにもうアジトに潜入できちゃうの?!


っていうか暗号のことばっかり考えてたから、そこから先は何にも作戦決まってないよ!!!


えええええ!
やばーーーーーーーーーーい!!!!
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