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謎のイケメン外人
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完全に授業が始まった後、私はようやくのろのろと校門を離れた。ここにいたって何も良くはならないだろうし、それにお腹空いた。朝ご飯とか、そういうどころじゃなかったもんね。
私は学校近くのコンビニに入ると、そのコンビニオリジナルのベーグルサンドとペットの紅茶を買って、それを公園のベンチで広げた。
でも、これからどうしよう。とりあえず、ネッカフェに泊まるとしても会員証がなければオープンスペースにしか入れてもらえないしなぁ。それに、この夏はバイトしてたから、お財布の中はそんなに少なくないけど、それだっていつまで続くか分かんない。そうだ、さっきのコンビニ、アルバイト募集してなかった? 行ってみる価値はあるかも。
だけど、そんなことを考えながら私がベーグルを食べようと口を開けたその時、
「……一子様田中一子様!」
と、叫びながら走ってきた男の人がいて、ビックリ。諦めかけていた私を知ってる人がいたっていうのももちろんビックリなんだけど、もっとビックリなのがその男の人の容姿。二十歳位の金髪碧眼で、ルネサンス時代の彫刻に出てくるような格好をしていたからだ。顔はもちろん、超ド級のイケメン。
「ハァ……ハァ、田中一子様ですよね」
男の人は息を切らせながらそう念を押した。。
「そうだけど」
で、私は仕方なく口に入れかけていたベーグルを膝に置いてそう返事した。
「ああ、良かったぁ! やっと見つけました。
さぁ、一刻も早くお家に戻りましょう」
すると、その人は大喜びで私の腕を掴んでそう言った。私は膝から落ちそうになったベーグルを慌ててがしっとガードしてそのイケメン外人を睨む。チビガキじゃないんだから、落として3秒ルールなんて悲しいことしたくないし。そして、私は掴まれた手を振り払って、
「いきなり何よ! それに、家ったって、どこに帰んのさ」
と聞く。イケメン外人はしれっと、
「もちろん、あなたのご自宅ですが?」
と、返した。
「名前を知ってるくらいなら私が今、どんな状態なのかも知ってんでしょ」
朝、私はその自宅から追い出されてきたんだからね。
「いいえ、全然。わたくしは今朝、ご自宅にあなたをお迎えに行っただけですので。
そうしたら、いらっしゃるはずのあなたがおられなくてビックリして、ここまで来たしだいです」
それに対して、イケメン外人は首を振ってそう答えた。それにしても、お迎えって……
「一体、どこに連れて行くつもり?」
と聞いた私に、
「えっ、天国ですが?」
イケメン外人は、真顔でさらっとそう答えた。
「田中一子さん、あなたは今朝、午前6時32分に亡くなっておられるんですよ」
ウソ、私……死んでるの??
私は学校近くのコンビニに入ると、そのコンビニオリジナルのベーグルサンドとペットの紅茶を買って、それを公園のベンチで広げた。
でも、これからどうしよう。とりあえず、ネッカフェに泊まるとしても会員証がなければオープンスペースにしか入れてもらえないしなぁ。それに、この夏はバイトしてたから、お財布の中はそんなに少なくないけど、それだっていつまで続くか分かんない。そうだ、さっきのコンビニ、アルバイト募集してなかった? 行ってみる価値はあるかも。
だけど、そんなことを考えながら私がベーグルを食べようと口を開けたその時、
「……一子様田中一子様!」
と、叫びながら走ってきた男の人がいて、ビックリ。諦めかけていた私を知ってる人がいたっていうのももちろんビックリなんだけど、もっとビックリなのがその男の人の容姿。二十歳位の金髪碧眼で、ルネサンス時代の彫刻に出てくるような格好をしていたからだ。顔はもちろん、超ド級のイケメン。
「ハァ……ハァ、田中一子様ですよね」
男の人は息を切らせながらそう念を押した。。
「そうだけど」
で、私は仕方なく口に入れかけていたベーグルを膝に置いてそう返事した。
「ああ、良かったぁ! やっと見つけました。
さぁ、一刻も早くお家に戻りましょう」
すると、その人は大喜びで私の腕を掴んでそう言った。私は膝から落ちそうになったベーグルを慌ててがしっとガードしてそのイケメン外人を睨む。チビガキじゃないんだから、落として3秒ルールなんて悲しいことしたくないし。そして、私は掴まれた手を振り払って、
「いきなり何よ! それに、家ったって、どこに帰んのさ」
と聞く。イケメン外人はしれっと、
「もちろん、あなたのご自宅ですが?」
と、返した。
「名前を知ってるくらいなら私が今、どんな状態なのかも知ってんでしょ」
朝、私はその自宅から追い出されてきたんだからね。
「いいえ、全然。わたくしは今朝、ご自宅にあなたをお迎えに行っただけですので。
そうしたら、いらっしゃるはずのあなたがおられなくてビックリして、ここまで来たしだいです」
それに対して、イケメン外人は首を振ってそう答えた。それにしても、お迎えって……
「一体、どこに連れて行くつもり?」
と聞いた私に、
「えっ、天国ですが?」
イケメン外人は、真顔でさらっとそう答えた。
「田中一子さん、あなたは今朝、午前6時32分に亡くなっておられるんですよ」
ウソ、私……死んでるの??
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