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事の発端
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では何故同性愛者である健史が、夏海と寝ることになったのか……
-平成元年年12月-
それは、一本の電話からだった。
週末の夜遅くかかってきた電話の主、龍太郎はかなり酔っぱらっていた。どうせ、恋人の夏海と痴話喧嘩でもして、持て余した時間を酒で埋めたのだろうと健史は軽く考えていた。
「休みの日にお前が電話してくるなんてな、どういう風の吹き回しだ?倉本とケンカでもしたのか? 図星だろ」
笑ってそう言うと、
「ケンカなんかじゃないよ」
と、むくれた声が返ってくる。(ほら、やっぱしな)
「どうせまた、お前がわがままばっかり言って彼女を困らせてるんだろうが」
「ああ、そうだよ。僕がわがまま過ぎて、僕たち終わっちゃったよ」
犬も食わないなと思いつつそう言う健史に、龍太郎はつっけんどんな口調のまま、夏海との別れを告げた。さすがに別れたと聞いてびっくりした健史だが、
「終わったってお前……またかなり飲んでるだろ。飲みすぎなんだよ、だから倉本を怒らせるような事になるんだ。あいつにお前が酒で勝てる訳ゃないだろ」
と窘める。彼らは酒でケンカになることが多い。大病した経験があり、酒にあまり強くない龍太郎を夏海は心配しているのだが、言われると龍太郎は反発する。ま、男は概してそうだがと健史が思っていると、
「ねぇ、健史はまだ海が好きなの?」
龍太郎にそう、唐突に聞かれた。
「何だ、藪から棒に。はいはい、今でも好きですよ。いい加減諦めろとでも言いたいか」
龍太郎は、健史が好きな相手は自分ではなく夏海だと思っている。健史もそれをあからさまには否定してこなかった。もしそんなことをして自分の本心が彼に知れてしまえば、このお坊ちゃんは確実に自分から離れていくだろう。健史はそれが怖かった。自分の想いが叶わないのは重々理解している。だが、だからこそ彼の友人としてずっとそばにいたい。そう思うのは贅沢な願いではないはずだ。
すると、健史の言葉を受けた龍太郎は、
「僕の代わりに、海を幸せにしてくれないかな」
と、絞り出すように健史に告げた。これにはさすがに健史も度肝を抜かれた。年も押し迫った頃だというのに、今日はエイプリルフールではないなと、壁のカレンダーを確認したほどだ。
「はぁ?!バカな事、言ってんじゃないよ。何でケンカしたのか知らないが、俺まで巻き込まんでくれよ」
(俺が何が悲しくて、惚れた男の恋人を引き取らなきゃならないんだ)
「僕は本気なんだけどな、僕と別れた後、他の奴に海を取られるのは許せないけど、君になら……だから……ね」
しかし、悲しいかな龍太郎は真剣だった。電話口ででも龍太郎が泣いているのが健史にも分かった。
「お前……」
「僕はどこまでいっても海を幸せになんかできない」
一体何が彼をここまでにさせたのだろう。
「倉本は誰よりお前といるのが一番幸せなんだよ。ホントにまぁ、一体どんなケンカからそんな寝ぼけた事を考えたんだよ。言ってみろよ」
健史は龍太郎にその原因を問うたが、
「……」
龍太郎からの返事はない。
「言わなきゃ分かんないだろうが。理由も言わないで、お前自分のお古を俺に押し付けるつもりか?」
そうだ、言わなければ判らない。自分が必死に悩んでいることでも、他人から見れば大した問題ではなく、言えば案外すんなり解決したりするものだ。
「子供……」
すると、龍太郎からやっと蚊の泣くような声で答えが返ってきた。
「子供? 子供が出来たんなら万々歳なんじゃないのか?」
「違うよ、子供が出来ない」
まるでそれが世界の終わりのように言う龍太郎に、健史は内心胸をなで下ろした。(こいつ、既成事実に焦ってんだな)
「はいはい、何だそういうことか。お前の事だから、社長にぐうの音も出ない状態で倉本との結婚を認めさせようとか思ってイラついてんだろ。
どうせお前には倉本以外にはないんだしさ、良いじゃんか出来るまで待ちゃ。
でも、それじゃ倉本が不安になるのか……それで、ケンカ? バカバカしい、犬も食わねぇってぇの、そういうの」
健史はホッとして笑いが止まらなくなった。だが、
「出来るまで待てって……待っても、出来ない。僕が原因で……」
続く龍太郎の言葉でその笑いが途切れる。
しかも、龍太郎は、
「3年子無きは去れ」
などと前時代的なことまで言い始めた。聞けば、旧華族出の祖母が市井の夏海との結婚を猛反対しているという。
「何だよ、それ」
「僕たちがよしんば周りを押し切って結婚をしたとしても、たとえ僕にその原因があるとしても、海は何かと値踏みされて、挙句の果てには子供が出来ない事を理由に追い出される。これが僕たちの現実だよ」
「僕たちの現実って……お前、一体何時代の話してんだよ。平成になったんだぞ、へ・い・せ・い」
「関わっている役者が代わってないんだから、昭和が平成になろうがそんな事は何も変わりはしないよ」
確かにそうかもしれない。ただ、ネックがその祖母なのなら、孫より長生きする祖母もあまりいないだろうし、ここは待つのも一つの方策なのではないかと健史はそう思い、
「それはそうかもしれないけど……そこまで取り越し苦労する事ないと思うけどな。悪いことはいわないから、今からでも倉本に侘びの電話入れとけ」
と返したが、それで思い出したように、
「電話で思い出したよ、電話番号変えたから。今度の番号は……」
言い始めた。
(……こいつ、本気だ。本気で家のために倉本を切ろうとしている)
「お前……そこまでしたのか?」
(何故だ! 俺が身を裂くようにして諦めた想いは、こいつの家のために無駄になるってぇのか?)
「だから、最初から僕、本気だって……だから、僕の事はもう気にしないで今でも好きなら海のことを……あ、ただ、彼女にこの事は言ってないんだ。僕がいろんな子をつまみ食いしてるように言ってある。本当のことがばれないようにしてくれれば、君が……」
「龍太郎!お前ホントに倉本にそんなこと言ったのか!?
お前……それが倉本にとってどんだけ失礼で残酷な事なのか解っててやったのか!!」
(そして、この俺にくれてやるだって!? バカにするな!!)健史の声は怒りに震えていた。
「俺がYUUKIの社員で、お前との関わりがある以上、俺との付き合いにはお前の影が付きまとう。そんな俺の許であいつが本当に幸せになれるだなんて思うのか? じゃぁ、何か、お前は俺に仕事も辞めてあいつを取ってくれてって言うのか!?」
お互い好きでもない相手と? 冗談じゃない!!
「ごめん……健史には一緒にいて欲しいよ」
すると、健史の剣幕に怯えたのか、龍太郎は小さな声でそう返した。
「じゃぁ、別れるのは龍太郎、お前の勝手だ。でもな、俺にまで妙な事を振ってくるのは迷惑だ。止めてくれ!!」
怒りの治まらない健史はそう叫ぶと、激しく受話器を電話に叩きつけた。
-平成元年年12月-
それは、一本の電話からだった。
週末の夜遅くかかってきた電話の主、龍太郎はかなり酔っぱらっていた。どうせ、恋人の夏海と痴話喧嘩でもして、持て余した時間を酒で埋めたのだろうと健史は軽く考えていた。
「休みの日にお前が電話してくるなんてな、どういう風の吹き回しだ?倉本とケンカでもしたのか? 図星だろ」
笑ってそう言うと、
「ケンカなんかじゃないよ」
と、むくれた声が返ってくる。(ほら、やっぱしな)
「どうせまた、お前がわがままばっかり言って彼女を困らせてるんだろうが」
「ああ、そうだよ。僕がわがまま過ぎて、僕たち終わっちゃったよ」
犬も食わないなと思いつつそう言う健史に、龍太郎はつっけんどんな口調のまま、夏海との別れを告げた。さすがに別れたと聞いてびっくりした健史だが、
「終わったってお前……またかなり飲んでるだろ。飲みすぎなんだよ、だから倉本を怒らせるような事になるんだ。あいつにお前が酒で勝てる訳ゃないだろ」
と窘める。彼らは酒でケンカになることが多い。大病した経験があり、酒にあまり強くない龍太郎を夏海は心配しているのだが、言われると龍太郎は反発する。ま、男は概してそうだがと健史が思っていると、
「ねぇ、健史はまだ海が好きなの?」
龍太郎にそう、唐突に聞かれた。
「何だ、藪から棒に。はいはい、今でも好きですよ。いい加減諦めろとでも言いたいか」
龍太郎は、健史が好きな相手は自分ではなく夏海だと思っている。健史もそれをあからさまには否定してこなかった。もしそんなことをして自分の本心が彼に知れてしまえば、このお坊ちゃんは確実に自分から離れていくだろう。健史はそれが怖かった。自分の想いが叶わないのは重々理解している。だが、だからこそ彼の友人としてずっとそばにいたい。そう思うのは贅沢な願いではないはずだ。
すると、健史の言葉を受けた龍太郎は、
「僕の代わりに、海を幸せにしてくれないかな」
と、絞り出すように健史に告げた。これにはさすがに健史も度肝を抜かれた。年も押し迫った頃だというのに、今日はエイプリルフールではないなと、壁のカレンダーを確認したほどだ。
「はぁ?!バカな事、言ってんじゃないよ。何でケンカしたのか知らないが、俺まで巻き込まんでくれよ」
(俺が何が悲しくて、惚れた男の恋人を引き取らなきゃならないんだ)
「僕は本気なんだけどな、僕と別れた後、他の奴に海を取られるのは許せないけど、君になら……だから……ね」
しかし、悲しいかな龍太郎は真剣だった。電話口ででも龍太郎が泣いているのが健史にも分かった。
「お前……」
「僕はどこまでいっても海を幸せになんかできない」
一体何が彼をここまでにさせたのだろう。
「倉本は誰よりお前といるのが一番幸せなんだよ。ホントにまぁ、一体どんなケンカからそんな寝ぼけた事を考えたんだよ。言ってみろよ」
健史は龍太郎にその原因を問うたが、
「……」
龍太郎からの返事はない。
「言わなきゃ分かんないだろうが。理由も言わないで、お前自分のお古を俺に押し付けるつもりか?」
そうだ、言わなければ判らない。自分が必死に悩んでいることでも、他人から見れば大した問題ではなく、言えば案外すんなり解決したりするものだ。
「子供……」
すると、龍太郎からやっと蚊の泣くような声で答えが返ってきた。
「子供? 子供が出来たんなら万々歳なんじゃないのか?」
「違うよ、子供が出来ない」
まるでそれが世界の終わりのように言う龍太郎に、健史は内心胸をなで下ろした。(こいつ、既成事実に焦ってんだな)
「はいはい、何だそういうことか。お前の事だから、社長にぐうの音も出ない状態で倉本との結婚を認めさせようとか思ってイラついてんだろ。
どうせお前には倉本以外にはないんだしさ、良いじゃんか出来るまで待ちゃ。
でも、それじゃ倉本が不安になるのか……それで、ケンカ? バカバカしい、犬も食わねぇってぇの、そういうの」
健史はホッとして笑いが止まらなくなった。だが、
「出来るまで待てって……待っても、出来ない。僕が原因で……」
続く龍太郎の言葉でその笑いが途切れる。
しかも、龍太郎は、
「3年子無きは去れ」
などと前時代的なことまで言い始めた。聞けば、旧華族出の祖母が市井の夏海との結婚を猛反対しているという。
「何だよ、それ」
「僕たちがよしんば周りを押し切って結婚をしたとしても、たとえ僕にその原因があるとしても、海は何かと値踏みされて、挙句の果てには子供が出来ない事を理由に追い出される。これが僕たちの現実だよ」
「僕たちの現実って……お前、一体何時代の話してんだよ。平成になったんだぞ、へ・い・せ・い」
「関わっている役者が代わってないんだから、昭和が平成になろうがそんな事は何も変わりはしないよ」
確かにそうかもしれない。ただ、ネックがその祖母なのなら、孫より長生きする祖母もあまりいないだろうし、ここは待つのも一つの方策なのではないかと健史はそう思い、
「それはそうかもしれないけど……そこまで取り越し苦労する事ないと思うけどな。悪いことはいわないから、今からでも倉本に侘びの電話入れとけ」
と返したが、それで思い出したように、
「電話で思い出したよ、電話番号変えたから。今度の番号は……」
言い始めた。
(……こいつ、本気だ。本気で家のために倉本を切ろうとしている)
「お前……そこまでしたのか?」
(何故だ! 俺が身を裂くようにして諦めた想いは、こいつの家のために無駄になるってぇのか?)
「だから、最初から僕、本気だって……だから、僕の事はもう気にしないで今でも好きなら海のことを……あ、ただ、彼女にこの事は言ってないんだ。僕がいろんな子をつまみ食いしてるように言ってある。本当のことがばれないようにしてくれれば、君が……」
「龍太郎!お前ホントに倉本にそんなこと言ったのか!?
お前……それが倉本にとってどんだけ失礼で残酷な事なのか解っててやったのか!!」
(そして、この俺にくれてやるだって!? バカにするな!!)健史の声は怒りに震えていた。
「俺がYUUKIの社員で、お前との関わりがある以上、俺との付き合いにはお前の影が付きまとう。そんな俺の許であいつが本当に幸せになれるだなんて思うのか? じゃぁ、何か、お前は俺に仕事も辞めてあいつを取ってくれてって言うのか!?」
お互い好きでもない相手と? 冗談じゃない!!
「ごめん……健史には一緒にいて欲しいよ」
すると、健史の剣幕に怯えたのか、龍太郎は小さな声でそう返した。
「じゃぁ、別れるのは龍太郎、お前の勝手だ。でもな、俺にまで妙な事を振ってくるのは迷惑だ。止めてくれ!!」
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