俺をおもちゃにするなって!

丹砂 (あかさ)

文字の大きさ
上 下
12 / 23
3.逃走防止の鎖なの!?

しおりを挟む

「ちょ、やめて、くだ…っふぁ…ふ…っ」

キスに邪魔をされて言葉が全然出てこない。
しかもこんな暴虐無人なくせに、何でこんなに上手いんだ。
掠めるような舌の愛撫も、強弱を付けた甘噛みも、気持ちよくて仕方がない。
それに俺が思わず身体を震わせた所だって目聡く拾って攻めてくる。

イケメンでキスが上手いってどういう事だ。
って、そういう事なんだろう。

大魔法使いで顔が良ければ、性格なんて二の次だったって訳か。
神様の不公平っぷりを思えば、俺は正直面白くなかった。

それだけ上手くなれるぐらいお相手には事欠かないなら、わざわざ男の弟子を玩具にしなくても良いだろう。
俺をさっさと解放して欲しかった。

その顔で迫れば何だって許してくれる人は、男女共にいるはずだ。
今からでもその人達を当たってこいと叫びたい。

その為にも、俺は取りあえずキスから逃れようと、顔を左右に振ってみた。

「イッ、ーー!!」

ジンジンとした痛みがして、鉄の味が口の中を広がっていく。

「ほらな、だからお前は学習能力のないバカなんだ」

人の唇を噛み切っといて、何を言ってんだと突っ込みたい。
だけど、シレッと冷たい目を向けてくる師匠に、これ以上逆らうのはマズイと俺の本能が告げていた。

なんでますます不機嫌になってるんだ。
さっきと同じ台詞なのに、こんな声を出す時の師匠はかなりヤバい時だ。

蛇に睨まれた蛙のように、師匠の腕の中で俺の身体が硬直する。
そんな俺の唇に滲んだ血を師匠の指が塗りつけていた。

まるで女の人が口紅でも塗っている時みたいだ。
この人も誰かにこうやって塗ってあげる事もあるんだろうか。

そんなどうでも良いことを考えて現実逃避を図ってみる。

「そんなんだから、なおさらなんだよ」

そんなんだから、ってどれの事だ?
なおさらって、俺が嫌がっている昨日の続きの事だよな?

何を言っているのか全く分かんない。
でも、俺が地雷を踏み抜いているって事だよな。
だってメチャクチャ不機嫌だし。

「って言っても、お前全然分かってないだろ」

ヤバい、それさえもバレていた。

「そ、そんな事はーーー」

「あるだろう」

もはや断定ですか。
俺には言い逃れの余地も無しですか。

「まぁ、いいさ」

何でそこで笑うんだ。
いや、その顔は『いい』なんて思ってない。
黒い笑みとしか言えないそれに俺の喉がヒクリッと鳴った。

塗りつけた血を舐め取るようにもう一度舌を這わされながら、ピリピリとした傷を癒やされていく。

「お前は身体で分かっていけばいいさ」

そして、俺が何か言う前に唇はまた塞がれていた。
しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

青少年病棟

BL
性に関する診察・治療を行う病院。 小学生から高校生まで、性に関する悩みを抱えた様々な青少年に対して、外来での診察・治療及び、入院での治療を行なっています。 ※性的描写あり。 ※患者・医師ともに全員男性です。 ※主人公の患者は中学一年生設定。 ※結末未定。できるだけリクエスト等には対応してい期待と考えているため、ぜひコメントお願いします。

アルバイトで実験台

夏向りん
BL
給料いいバイトあるよ、と教えてもらったバイト先は大人用玩具実験台だった! ローター、オナホ、フェラ、玩具責め、放置、等々の要素有り

平凡なSubの俺はスパダリDomに愛されて幸せです

おもち
BL
スパダリDom(いつもの)× 平凡Sub(いつもの) BDSM要素はほぼ無し。 甘やかすのが好きなDomが好きなので、安定にイチャイチャ溺愛しています。 順次スケベパートも追加していきます

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

皇帝陛下の精子検査

雲丹はち
BL
弱冠25歳にして帝国全土の統一を果たした若き皇帝マクシミリアン。 しかし彼は政務に追われ、いまだ妃すら迎えられていなかった。 このままでは世継ぎが産まれるかどうかも分からない。 焦れた官僚たちに迫られ、マクシミリアンは世にも屈辱的な『検査』を受けさせられることに――!?

ある少年の体調不良について

雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。 BLもしくはブロマンス小説。 体調不良描写があります。

カテーテルの使い方

真城詩
BL
短編読みきりです。

処理中です...