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本編
第24話 素直さへの甘露 7※
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(まさかこんな状態になるとは、失敗した……)
黒族長としては、失敗も後悔も、あり得ない。それなのに、レフラを前にすれば、ただの男に成り下がって、みっともなくそんな事を思いながら、途方に暮れてしまうのだ。
だが、そんなギガイの思いに反して、求め続けたレフラはやっぱり納得できなかったのか。
「いや、ですっ! なんで、そんないじわるを、いうんで、すかっ?」
痛みで小さく震えながらも、また涙がブワッと溢れた目でギガイを睨み付けてきた。その上、よりにもよって、ギガイのモノを含んだまま、腰を無理やり引き下げようとしてしまう。
「っくッ、あッぁ、ぁぁ……ッ!」
「こらっ! 動かすな!」
突然のレフラの暴挙に柄にもなく慌てて、ギガイがレフラの腰を引き上げた。そのまま後孔からギガイが屹立を引き抜けば、レフラがまた腕の中で暴れ出す。
「意地悪ではなく、お前の身体の状態では、今日は難しいと言っている」
「やっ、やです。やれます、やだ、ちゃんと、したい……して、くれる、って、いいまし、た……」
ずっと我慢をさせられて、それだけでも限界ギリギリだった所を、さらに羞恥で追い詰めたのだ。もともと羞恥に弱いレフラが、ああやって強請るのに、かなり努力をしたことは、日々レフラを見ているギガイにも、十分過ぎるほど分かっている。
そう、分かってはいるのだ。だが、続けきれる状態でない事だって、明らかなのだから、どうしよもない。
「確かにそう言ったが、いまのお前は、上手く身体をコントロールできていない……」
ギガイは困り果てながら「だから、今日は……」と、もう1度レフラの説得を試みる。
「だ、って……ギガイさまが、いじわるを、したから……だか、ら、ほし、くて……あれ、から、わたしも、がんばった、のに……」
グズるレフラの身体を抱き寄せれば、レフラがまたギガイの肩や首筋に噛みついてくる。そのまま、口腔内で「う~」と響く振動から、漏れる泣き声を圧し殺しているのが伝わった。
「あ~~~」
暴れたいようにさせながら、ギガイが唸るような声のあと「それなら……」と渋い声で、言いにくそうに言葉を続ける。そんな珍しいギガイの姿に、何を言うつもりかと、口を離したレフラが、濡れた目を向けた。
「薬を使うか?」
「……くす、り……?」
「あぁ。弛緩薬が入った媚薬を使えば、傷付く事はないからな」
ギガイの媚薬という言葉に、薬を使った時のツラさを思い出したのか、レフラの表情がハッキリと強ばった。
「くすり、は……いや、です……」
「だが、薬も無しとなると、やはり難しいだろう」
「そんな……ほかに、は……?」
「薬以外で強引に弛緩させる方法となると、お前にだいぶ負担がかかるぞ」
「だ、だいじょうぶです……! だから、くすりじゃなくて、そっちにして、ください……」
「だが……」
「ギガイ様は、わたしと、もう、したくないですか?」
「そんな訳がないだろう」
なら、と身をすり寄せるレフラに、ギガイが逡巡する。許されるならば、据え膳状態のレフラに、このまま手を出してしまいたい。だが、薬を使うよりは、とレフラは言うが、どちらがマシか、ギガイには正直分からなかった。
(どちらとしても、酷く泣かれてしまいそうだが……)
だからと言って、止めると言っても泣かれてしまうのだ。
(進退窮まるとは、こういう事か……?)
これまで数多の戦況や政況を経験しながらも、こんな風に困ったことは1度もない。いつだって、ギガイの心を乱すのは、この小さな御饌だけだった。
黒族長としては、失敗も後悔も、あり得ない。それなのに、レフラを前にすれば、ただの男に成り下がって、みっともなくそんな事を思いながら、途方に暮れてしまうのだ。
だが、そんなギガイの思いに反して、求め続けたレフラはやっぱり納得できなかったのか。
「いや、ですっ! なんで、そんないじわるを、いうんで、すかっ?」
痛みで小さく震えながらも、また涙がブワッと溢れた目でギガイを睨み付けてきた。その上、よりにもよって、ギガイのモノを含んだまま、腰を無理やり引き下げようとしてしまう。
「っくッ、あッぁ、ぁぁ……ッ!」
「こらっ! 動かすな!」
突然のレフラの暴挙に柄にもなく慌てて、ギガイがレフラの腰を引き上げた。そのまま後孔からギガイが屹立を引き抜けば、レフラがまた腕の中で暴れ出す。
「意地悪ではなく、お前の身体の状態では、今日は難しいと言っている」
「やっ、やです。やれます、やだ、ちゃんと、したい……して、くれる、って、いいまし、た……」
ずっと我慢をさせられて、それだけでも限界ギリギリだった所を、さらに羞恥で追い詰めたのだ。もともと羞恥に弱いレフラが、ああやって強請るのに、かなり努力をしたことは、日々レフラを見ているギガイにも、十分過ぎるほど分かっている。
そう、分かってはいるのだ。だが、続けきれる状態でない事だって、明らかなのだから、どうしよもない。
「確かにそう言ったが、いまのお前は、上手く身体をコントロールできていない……」
ギガイは困り果てながら「だから、今日は……」と、もう1度レフラの説得を試みる。
「だ、って……ギガイさまが、いじわるを、したから……だか、ら、ほし、くて……あれ、から、わたしも、がんばった、のに……」
グズるレフラの身体を抱き寄せれば、レフラがまたギガイの肩や首筋に噛みついてくる。そのまま、口腔内で「う~」と響く振動から、漏れる泣き声を圧し殺しているのが伝わった。
「あ~~~」
暴れたいようにさせながら、ギガイが唸るような声のあと「それなら……」と渋い声で、言いにくそうに言葉を続ける。そんな珍しいギガイの姿に、何を言うつもりかと、口を離したレフラが、濡れた目を向けた。
「薬を使うか?」
「……くす、り……?」
「あぁ。弛緩薬が入った媚薬を使えば、傷付く事はないからな」
ギガイの媚薬という言葉に、薬を使った時のツラさを思い出したのか、レフラの表情がハッキリと強ばった。
「くすり、は……いや、です……」
「だが、薬も無しとなると、やはり難しいだろう」
「そんな……ほかに、は……?」
「薬以外で強引に弛緩させる方法となると、お前にだいぶ負担がかかるぞ」
「だ、だいじょうぶです……! だから、くすりじゃなくて、そっちにして、ください……」
「だが……」
「ギガイ様は、わたしと、もう、したくないですか?」
「そんな訳がないだろう」
なら、と身をすり寄せるレフラに、ギガイが逡巡する。許されるならば、据え膳状態のレフラに、このまま手を出してしまいたい。だが、薬を使うよりは、とレフラは言うが、どちらがマシか、ギガイには正直分からなかった。
(どちらとしても、酷く泣かれてしまいそうだが……)
だからと言って、止めると言っても泣かれてしまうのだ。
(進退窮まるとは、こういう事か……?)
これまで数多の戦況や政況を経験しながらも、こんな風に困ったことは1度もない。いつだって、ギガイの心を乱すのは、この小さな御饌だけだった。
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