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本編
第19話 素直さへの甘露 2※
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「この程度ならすぐに治まる。私の事は気にせず寝ていろ」
言葉の後に、そのまま立ち上がりかけたギガイの腕を、レフラが体重をかけるように引っ張った。その反動で膝立ちになったレフラは、逃さないように、ギガイの首へギュッとしがみ付く。
「……どうして、そんな事を言うんですか?」
不安げな声と共に、レフラが内股を擦り合わせる。その身体をギガイが抱え直せば、レフラはますます身体を擦り付けるようにしがみ付いた。
嫁いだ頃、無垢だったレフラは、いまでは前だけでイカせれば、奥にギガイの熱を求めて切なげに啼く事が多かった。そうなるように、身体に教え込んだのはギガイだった。身体に初めて触れたその日から、何度も刺激や快感を与えて。少しずつ、そうなるようにギガイが育てた身体だった。
先日もゆっくりと後ろを解しながら、乳首や茎へ快感を与え続けた時。レフラは『前だけでイきたくない、入れて欲しい』と、何度も啼き声を上げていた。
それなのに、今日はずっと我慢をした後も、前だけしか触ってもらえなかったのだ。中途半端な快感のせいで、ますます奥の疼きは酷くなっているのだろう。
「お願い、です……ギガイ様、いつものようにして下さい……」
首筋に顔を埋めたレフラは、吐息がかなり熱かった。羞恥と戸惑いに揺れながらも、擦り寄った首筋に何度も唇を押し当ててくる。言えない言葉の代わりに、レフラなりに精一杯、仕草でギガイを誘っていた。
「要らないんじゃなかったのか?」
どうしても緩みかける口元に、改めて力を込め直して、ギガイが何気ない風を貫き通す。意地を張った分だけ、はぐらかすのは、レフラの全てを得たいギガイが見せる、せめての妥協としての意地悪でしかない。だが、当のレフラはそんな風には思えなかったのだろう。首筋から上げられたレフラの顔が、みるみると強ばっていく。
『お前が言った事だ』
苦手なその言葉を、思い出したのかもしれない。
「……ぁ」
レフラが不安そうな表情を浮かべながら、唇から小さく言葉を漏らした。微かに開かれたままの唇が、その先を紡がないまま、何度も開閉を繰り返していた。
言葉を探している、というよりは、言っても良いか、戸惑っているように見えている。
「咎めるつもりで言った訳じゃない」
このままでは本格的に怯えかねない様子に、ギガイはついに装っていた態度を崩して、レフラを膝に抱え直した。そしてようやく、素知らぬふりをし続けていた、レフラの不安を宥めるように、優しくキスを落としていく。
「意地を張る姿も愛らしくはあるが、素直なお前が一番愛らしいぞ」
それに、と言ってギガイは言葉を一旦切った。
「常々言っているが、お前の全てを独占したいからな。お前の事で隠し事があれば、どんな些細な事でも気に喰わん」
それなのに、組紐の件は、レフラの気持ちを考慮して、ギガイのそんな想いは飲み込んだのだから。せめて、腕の中ぐらいは、素直に甘えて欲しいと思うのは、ギガイにとっては当然だった。
「分かったか?」
膝の上で抱えた身体を揺らして、レフラへ答えを促した。
組紐の件が伝わっている事を知らないレフラは、今回の意地悪が、恥ずかしさのあまり、要らない、というような事を言ってしまったせいだと、思っているだろう。
(まぁ、それはそれで構わないが……)
でも、やっぱり。日々ギガイなりに耐えているアレコレも思えば、その代償として、もう少し意地悪もしたくなる。
怖がらせないよう。傷付けないよう。
腕の中でギガイを求めて啼くように。
そんな事を思うギガイの口角が上がる。
「……はい……頑張ります……」
だけど小さな声で返事をして、頭にキスを受けるレフラは、少しもそんなギガイには気付いた様子はなかった。
「で、何を、どうして、欲しいんだ?」
「いつもみたいに……抱いて、欲しい、です……」
ギガイの胸元を意味もなく、レフラの両手が手繰り寄せている。俯いているため表情は見えないが、白金の髪から除く耳は、ハッキリ分かるぐらいに紅かった。
「もう、いつものように抱いているだろう?」
言葉と一緒にもう1度、ギガイがレフラの身体を抱え直した。もちろん、本当は。恥ずかしがりながらレフラが言った『抱いて欲しい』という言葉が、こんな事じゃない事は分かっている。
「……どうして、まだ意地悪をするんですか?」
レフラにすれば、さっきのキスでお終いだと思っていたのだろう。思い掛けず続いていた意地悪に、レフラが情けないほど眉尻を下げていた。
「お前が希望した事を叶えてやると言ってるのだから、別に意地悪ではないだろう」
クスクスと笑いながら、頬をなぞる。顔をしっかり固定して、伏せる事ができなくした後に、ギガイはおもむろに口を開いた。
「だから、今日はハッキリと言ってみろ。どこに、何を入れて欲しい?」
1音ずつ、区切った質問は、ずいぶん明け透けな内容だった。ギガイが何を言わせようとしているのか、気が付いたレフラの顔が、一気に真っ赤になっていく。かなり動揺しているのか。ハクハクと開閉するだけの唇が可愛らしい。
ククッと楽しげに笑って軽くキスをすれば、チュッとリップ音がイヤらしく響いた。
「ほら、素直に言ってみろ」
その顔を信じられない、とレフラが見ていた。
言葉の後に、そのまま立ち上がりかけたギガイの腕を、レフラが体重をかけるように引っ張った。その反動で膝立ちになったレフラは、逃さないように、ギガイの首へギュッとしがみ付く。
「……どうして、そんな事を言うんですか?」
不安げな声と共に、レフラが内股を擦り合わせる。その身体をギガイが抱え直せば、レフラはますます身体を擦り付けるようにしがみ付いた。
嫁いだ頃、無垢だったレフラは、いまでは前だけでイカせれば、奥にギガイの熱を求めて切なげに啼く事が多かった。そうなるように、身体に教え込んだのはギガイだった。身体に初めて触れたその日から、何度も刺激や快感を与えて。少しずつ、そうなるようにギガイが育てた身体だった。
先日もゆっくりと後ろを解しながら、乳首や茎へ快感を与え続けた時。レフラは『前だけでイきたくない、入れて欲しい』と、何度も啼き声を上げていた。
それなのに、今日はずっと我慢をした後も、前だけしか触ってもらえなかったのだ。中途半端な快感のせいで、ますます奥の疼きは酷くなっているのだろう。
「お願い、です……ギガイ様、いつものようにして下さい……」
首筋に顔を埋めたレフラは、吐息がかなり熱かった。羞恥と戸惑いに揺れながらも、擦り寄った首筋に何度も唇を押し当ててくる。言えない言葉の代わりに、レフラなりに精一杯、仕草でギガイを誘っていた。
「要らないんじゃなかったのか?」
どうしても緩みかける口元に、改めて力を込め直して、ギガイが何気ない風を貫き通す。意地を張った分だけ、はぐらかすのは、レフラの全てを得たいギガイが見せる、せめての妥協としての意地悪でしかない。だが、当のレフラはそんな風には思えなかったのだろう。首筋から上げられたレフラの顔が、みるみると強ばっていく。
『お前が言った事だ』
苦手なその言葉を、思い出したのかもしれない。
「……ぁ」
レフラが不安そうな表情を浮かべながら、唇から小さく言葉を漏らした。微かに開かれたままの唇が、その先を紡がないまま、何度も開閉を繰り返していた。
言葉を探している、というよりは、言っても良いか、戸惑っているように見えている。
「咎めるつもりで言った訳じゃない」
このままでは本格的に怯えかねない様子に、ギガイはついに装っていた態度を崩して、レフラを膝に抱え直した。そしてようやく、素知らぬふりをし続けていた、レフラの不安を宥めるように、優しくキスを落としていく。
「意地を張る姿も愛らしくはあるが、素直なお前が一番愛らしいぞ」
それに、と言ってギガイは言葉を一旦切った。
「常々言っているが、お前の全てを独占したいからな。お前の事で隠し事があれば、どんな些細な事でも気に喰わん」
それなのに、組紐の件は、レフラの気持ちを考慮して、ギガイのそんな想いは飲み込んだのだから。せめて、腕の中ぐらいは、素直に甘えて欲しいと思うのは、ギガイにとっては当然だった。
「分かったか?」
膝の上で抱えた身体を揺らして、レフラへ答えを促した。
組紐の件が伝わっている事を知らないレフラは、今回の意地悪が、恥ずかしさのあまり、要らない、というような事を言ってしまったせいだと、思っているだろう。
(まぁ、それはそれで構わないが……)
でも、やっぱり。日々ギガイなりに耐えているアレコレも思えば、その代償として、もう少し意地悪もしたくなる。
怖がらせないよう。傷付けないよう。
腕の中でギガイを求めて啼くように。
そんな事を思うギガイの口角が上がる。
「……はい……頑張ります……」
だけど小さな声で返事をして、頭にキスを受けるレフラは、少しもそんなギガイには気付いた様子はなかった。
「で、何を、どうして、欲しいんだ?」
「いつもみたいに……抱いて、欲しい、です……」
ギガイの胸元を意味もなく、レフラの両手が手繰り寄せている。俯いているため表情は見えないが、白金の髪から除く耳は、ハッキリ分かるぐらいに紅かった。
「もう、いつものように抱いているだろう?」
言葉と一緒にもう1度、ギガイがレフラの身体を抱え直した。もちろん、本当は。恥ずかしがりながらレフラが言った『抱いて欲しい』という言葉が、こんな事じゃない事は分かっている。
「……どうして、まだ意地悪をするんですか?」
レフラにすれば、さっきのキスでお終いだと思っていたのだろう。思い掛けず続いていた意地悪に、レフラが情けないほど眉尻を下げていた。
「お前が希望した事を叶えてやると言ってるのだから、別に意地悪ではないだろう」
クスクスと笑いながら、頬をなぞる。顔をしっかり固定して、伏せる事ができなくした後に、ギガイはおもむろに口を開いた。
「だから、今日はハッキリと言ってみろ。どこに、何を入れて欲しい?」
1音ずつ、区切った質問は、ずいぶん明け透けな内容だった。ギガイが何を言わせようとしているのか、気が付いたレフラの顔が、一気に真っ赤になっていく。かなり動揺しているのか。ハクハクと開閉するだけの唇が可愛らしい。
ククッと楽しげに笑って軽くキスをすれば、チュッとリップ音がイヤらしく響いた。
「ほら、素直に言ってみろ」
その顔を信じられない、とレフラが見ていた。
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