泡沫のゆりかご 三部 ~獣王の溺愛~

丹砂 (あかさ)

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本編

第17話 積もる言葉、溜まる熱 5※

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「っあ……ああぁ、ぁっ……」

 服の上からゆっくりと形をなぞっただけで、上がった嬌声に、ギガイはフッと息を漏らして笑った。それだけで、レフラの羞恥はさらに煽られたのか。ギガイの胸元に頭を押し付けて、ますます身体を小さくする。

「だいぶ熱が溜まっているようだが、今日は抱かれたかったのか?」

 クスクスと笑いながら首筋を撫でて、そのまま顎先へ回した指で顔を上げさせれば、レフラがいやいやと首を振って、その指から逃れようとした。

「こら、顔を隠すな」

 だけど、ギガイがそう言ってしまえば、さっきまでのように顔をギガイの胸元に埋める事もできなくなり。レフラは視線を彷徨わせた後に、キュッと固く目を瞑った。

 羞恥に浮かんでいた涙が、押し出されて、眦からこぼれ落ちていく。

「泣くことはない。抱かれたかったのなら、そう素直に言えば良い」

 ギガイはそう言いながら、涙を親指の腹で優しく拭い取った。

 切っ掛けを作って、こうなるように仕向けたのはギガイではある。性に疎く、羞恥に弱いレフラの事だ。展開はすでに読めていて、もともと素直になるまでは、と泣かせるつもりだった事は否定しない。

 だが、かつての淫虐のように、追い詰め躾けようとした訳ではない。途中でレフラが素直に強請っていれば、ギガイももちろん応じるつもりではあったのだ。

「ちがうん、です!」

 だが、レフラは明け透けな言葉に、首を振って否定した。
 これも予想していたとはいえ、「抱かれたかった訳じゃない」とハッキリと言ってしまったようなものなのだ。

 呆れと、少しばかりの苛立ちを飲み込みながら、ギガイは意外そうな声を作り出した。
 
「溜まった熱がツラそうだが、違うのか? 吐き出さなくて良いのか?」

 ゆっくりと刺激していた指を、それなら、とレフラの茎から離していく。耐えて耐えて、ようやく得られた刺激が無くなるのだ。

「やっ、やだっ! イきたい、です!」

 目を開いたレフラが、怯えた目で、慌ててギガイへ縋り付いてきた。

「うん? 熱はやっぱり吐き出したいのか?」
「……は、い……」

 グスッと鼻をすすりつつ、小さな声で返事をした、レフラが身体を震わせる。真っ赤に染まったままの肌と表情が、恥ずかしくてたまらない、と語っていた。

「じゃあ、吐き出させてやろう」

 ギガイがクルッと、レフラの身体の向きを変える。背中から包み込むように、腕の中に閉じ込めて、レフラの下履きを取り除いた。

「あぁぁ、あっ……やぁ……あぁぁッ、あぁぁッ!!」

 茎はずっと固くなったまま、濡れていた。敏感な先端の孔は、数回クルクルと弄っただけで、潤滑に使うのに十分なぐらいの蜜をコポッと溢れ出す。ギガイはその茎を緩く握り、一気に上下に扱いてやる。

 触れ合うのではなく、吐き出させる事を目的とした手だ。刺激をするのは、的確にレフラが感じる場所だけだった。急激に与えられた快感に、ギガイの腕の中で、あっという間に、ぐずぐずに溶かされ、レフラが逃れるように身悶える。

「やぁ、いっちゃ、うッ!! やだぁッ! いっちゃ、うからぁっ!」

 その身体を、ギガイがまた後ろから抱き込んだ。

「あぁ、今日はこのまま吐き出してしまえ」

 まさかこんなに早くイかされるとは思わなかったのか。焦ってギガイの手を止めようとしたレフラの手さえも、ギガイの手に纏めて握り込まれる。

「まって、やだっ、ぎがい、さま、まってぇぇッ!」

 手も身体も、押さえ込まれてしまっているのだ。唯一自由になるのは、首だけだった。ヤダヤダと、大きく振って訴えている。だが、扱いていた手で先端をグリッと抉れば、それが決定打となったのだろう。

 腕の中で、身体を逸らす事さえできないまま、レフラは堪えていた熱を吐き出した。
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