泡沫のゆりかご 三部 ~獣王の溺愛~

丹砂 (あかさ)

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本編

第16話 積もる言葉、溜まる熱 4※

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 求める気持ちが、いまだに羞恥心をしのぐ事ができないのか。時間が経てば経つほどに、どうしていいのか分からない、と戸惑う気配が濃厚になる。

(素直に求めれば良いものを……タイムリミットだな……)
 
 ギガイが見切って動き出したのは、ちょうど、何かを決心した様子で、レフラが見上げてきたタイミングだった。だが。

(少しばかり、遅かったな)

 一応の猶予は与えてやったと、意地悪く考えながら、開いたレフラの唇に軽く何度かキスをする。それは奪うようなキスではなく、ただ優しく触れるだけのキスだった。

「だいぶ疲れているようだ、もう今日はこのまま眠れ」

 有無を言わさず抱え込み、ギガイが脇机のランプに手を伸ばした。途端にフッと暗くなる寝室に「あっ、あの、ギガイ様、あの……」と、焦ったレフラの声が響く。

 こんな熱を抱えたまま、放りだされてしまうのか。そんな不安があるのだろう。レフラの声音は揺れていた。

 いつもなら、レフラが言葉にしない内に、感情を汲み取ったギガイが手を差し出していた。その分だけ、日頃と違う状況にどうして……と戸惑う気持ちもあるのかもしれない。

「話しは明日ゆっくり聞こう。今日はもう、大人しく眠れ」

 だが、レフラの様子に気が付きつつ、ギガイはそう言って寝かし付けのキスを頭に落としてしまう。そしてギガイが目を閉じてしまえば、レフラは何も言えなくなったようだった。熱く震える吐息を零しながら、ギガイの服をギュッと強く握っていた。

 御饌として、黒族長へ捧げられる身体だと教え込まれたレフラは、こんな時でも自分で慰めたりはしない。だが、自由な腕を意志の力だけで押し留めるのは辛いのだろう。

 服を握る手が、もどかしそうに動いている。身動きもろくに取れない程に抱きしめられ、密着した所から得る刺激や熱にも感じるのか。どうにかギガイの腕の中で身動いでは、身体を小さく震わせていた。

 甘く酩酊しそうな花の香が立ち上がり、寝室の中を満たしていく。

 ギガイは暗闇の中で口角を上げて笑いながら、そのまま意識を沈めてしまう。どのような状況下でも、身体を休める訓練はしている。眠りとは違う状態だが、レフラには見分けはつかないはずだ。

「ギガイ、さま?」

 案の定、本当に寝てしまったのか、と小さな声が、もう一度ギガイの名前を読んでくる。そこで返ってこない答えに諦めたのか、レフラが身動ぐ事を止めて大人しくなる。

 それでも身体に当たる、熱い吐息だけが、寝れないまま、ひたすらに耐えている事を伝えていた。

 そんな状態で30分。下手をすれば1時間近くが経ったのかもしれない。

「ふっ……ぅぅ……っぅう……っふ……」

 時折グズッと鼻をすする音と、弱々しく頭を押し付ける感触が伝わってくる。そして服を掴んでいた指も、カリカリとギガイの身体を引っ掻いていた。

「ギ、ガイさま……おき、て……ふっぅ……ねっ、ギガ、イさま……ギガイさま……おきて……」

 起きてと言いながらも、ギガイを本当に起こしてしまう事を躊躇っているのだろう。眠った者を起こすには、控え目な声と刺激だった。

「……どうした? 眠れないのか?」

 声を掛ければ、ビクッとレフラの身体が、一際大きく跳ね上がった。落ち着かせるように背を撫でて、レフラの顔を上向かせる。夜目がきくギガイには、天蓋を下ろしていない寝台に、差し込む星明かり程度で十分にレフラの表情は見て取れた。

 触れていなかった間にも、溜まった熱は消えなかったのか、見上げた目は情欲に濡れたままだった。その目から、溢れては零れていく涙を拭いながら、ギガイがもう一度「どうした?」と言葉を促した。

「ギガイさま……あつい、です……おねがい……です……さ、さわって……」

 グスッとまた鼻をすすりながら、さんざんギガイへ隠していた股間の膨らみを、ギガイの身体へ押し付ける。

「さわって、ください……おねがい、します……」

 恥ずかしそうにクシャッと顔を崩しながら、ツラいと訴えるレフラの下半身にギガイは手を伸ばした。
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