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本編
第13話 積もる言葉、溜まる熱 1
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「ギガイ様は何色がお好きですか?」
他愛ない会話に紛れて、何気ない風を装った質問だった。
「色?」
ギガイは身体の上のレフラの髪を梳きながら、その質問を繰り返した。
「はい。やっぱり黒や藍ですか?」
「そうだな。だが、お前の髪の色も気に入ってるぞ」
梳いていた指に髪を絡めて、ギガイが軽くキスをする。たったこれだけでも照れたのか。わずかに染まったレフラの頬を、ギガイは眦を緩めながら、揶揄うように指先で擦った。
「だが、突然どうした?」
質問の意図を知りながらも、ギガイはあえて聞いてみる。
事情は知らない事になっているのだから、至って普通の反応だろうが、ギガイは当然それだけのつもりじゃなかった。
「あっ、いえ、特に深い意味はなくて……」
「だが、気になる切っ掛けがあったんじゃないのか?」
素直に告げる事ができないレフラが、なんと言って誤魔化そうとするのか。拙いながら精一杯取り繕う姿に、庇護欲と嗜虐心を擽られる。
何とも言えない気持ちで緩みそうになった口元を、ギガイは添えた指で隠しながら、途端にしどろもどろになるレフラに「ん?」と答えを促した。
「あっ、あの……新しい、服を買おうかと思って……」
「ほう、お前が自分から何かを買うのは珍しいな」
あまりにレフラらしくない言葉に、ギガイはククッと零れそうになる笑いを抑えて、楽しそうな声で返事をした。
「はい……」
贅沢に慣れていないせいで、レフラは自分の為にお金を使うことが、いまだに苦手なようだった。そんなレフラが自分の為に、お金を使うと告げたのだ。それが嘘であったとしても、後ろめたさが募るのか、視線が狼狽えるように彷徨っていた。
「だが、それなら私の好みの色よりは、お前に合う色が良いだろう」
気まずそうな表情に、気付いていないフリをして、ギガイはレフラの頬に手を添える。そのまま眦を何度かなぞり、耳殻を意地悪く掠めていく。
「例えば、お前の目の青灰色でも良いし、重みのある赤でも、差し色やここを飾る石ならば、ちょうど良く映えるだろう」
表面だけは穏やかに、普通の会話を続けながら、煽るように指で耳の縁を辿っていく。その間、ピクピクと身体を震わせる姿が愛らしい。ギガイはほくそ笑みながら、辿り着いた指先で、触れた耳たぶを摘まんで、優しく揉み込んだ。
「今回は服だけの予定なのか?」
「……っあ……は、い……」
「そうなれば、濃い色でも映えそうだが……」
そこからまた指を滑らせ、首筋から唇へと肌をゆっくりなぞっていく。その間も絶え間なく、レフラの感じる所を掠めていけば、少しずつレフラは体温を上げていった。
「黒の方が、お前の白い肌と赤い唇には映えるだろうな」
唇をなぞり、摘まんでしばらくその感触を楽しみつつ、時折、湿っぽい吐息を漏らす隙間に、指先を宛がう。その度に、そのまま口腔内へ伸ばされる指を想像するのか、横たわるギガイの上で、レフラの身体が小さく跳ねた。
同時に反対の手で、レフラの背中をさわりとなぞる。こそばゆさが、快感へと置き換わるように。掌ではなく、あえて指先だけで触れていく。それだけで感度を増したレフラの身体は、ついにはギガイが指を少し動かすだけで、力が籠もるのが伝わった。
「その時には、大きく背中の開いた服であれば、白い肌がよりいっそう引き立てられると思うが……お前のそんな姿を見た他の奴がいれば殺したくなるな……」
ツッと背筋を辿って、腰の窪みを五指の指先で、外から内へと愛撫する。ギガイの指先の意図を知らないレフラにすれば、会話の中で触れられるだけで、たやすく上がってしまった熱に戸惑っているのだろう。
「…………っ!」
窪みから少し下がった指先が、臀部の上部。割れ目の縁に伸びた瞬間、レフラは鋭く息を吸い込んだ。そして、羞恥心で顔を真っ赤に染めながら「あっ、あの……」と、動揺した声を上げる。
「あぁ、すまん。擽ったかったか?」
「いえ、あの、大丈夫、です……」
ギガイが意図した通り、情欲を煽られたレフラが、熱っぽい目をギガイへ向けていた。それに気が付きながらも、サラッと謝罪の言葉と共に、レフラへ触れていた両手を組んで、その背中へ置き直す。
「あっ……」
背中に感じる両手の重みから、ギガイが性的な意味で触れていた訳ではなく、いまはそういう気が無いと判断したようだった。
戸惑ったような小さな声が、レフラの口から零れ出た。1人だけ感じ始めていた自分がよほど恥ずかしかったのか、ギガイの上で身動いだレフラの顔は、ますます赤くなっていた。
他愛ない会話に紛れて、何気ない風を装った質問だった。
「色?」
ギガイは身体の上のレフラの髪を梳きながら、その質問を繰り返した。
「はい。やっぱり黒や藍ですか?」
「そうだな。だが、お前の髪の色も気に入ってるぞ」
梳いていた指に髪を絡めて、ギガイが軽くキスをする。たったこれだけでも照れたのか。わずかに染まったレフラの頬を、ギガイは眦を緩めながら、揶揄うように指先で擦った。
「だが、突然どうした?」
質問の意図を知りながらも、ギガイはあえて聞いてみる。
事情は知らない事になっているのだから、至って普通の反応だろうが、ギガイは当然それだけのつもりじゃなかった。
「あっ、いえ、特に深い意味はなくて……」
「だが、気になる切っ掛けがあったんじゃないのか?」
素直に告げる事ができないレフラが、なんと言って誤魔化そうとするのか。拙いながら精一杯取り繕う姿に、庇護欲と嗜虐心を擽られる。
何とも言えない気持ちで緩みそうになった口元を、ギガイは添えた指で隠しながら、途端にしどろもどろになるレフラに「ん?」と答えを促した。
「あっ、あの……新しい、服を買おうかと思って……」
「ほう、お前が自分から何かを買うのは珍しいな」
あまりにレフラらしくない言葉に、ギガイはククッと零れそうになる笑いを抑えて、楽しそうな声で返事をした。
「はい……」
贅沢に慣れていないせいで、レフラは自分の為にお金を使うことが、いまだに苦手なようだった。そんなレフラが自分の為に、お金を使うと告げたのだ。それが嘘であったとしても、後ろめたさが募るのか、視線が狼狽えるように彷徨っていた。
「だが、それなら私の好みの色よりは、お前に合う色が良いだろう」
気まずそうな表情に、気付いていないフリをして、ギガイはレフラの頬に手を添える。そのまま眦を何度かなぞり、耳殻を意地悪く掠めていく。
「例えば、お前の目の青灰色でも良いし、重みのある赤でも、差し色やここを飾る石ならば、ちょうど良く映えるだろう」
表面だけは穏やかに、普通の会話を続けながら、煽るように指で耳の縁を辿っていく。その間、ピクピクと身体を震わせる姿が愛らしい。ギガイはほくそ笑みながら、辿り着いた指先で、触れた耳たぶを摘まんで、優しく揉み込んだ。
「今回は服だけの予定なのか?」
「……っあ……は、い……」
「そうなれば、濃い色でも映えそうだが……」
そこからまた指を滑らせ、首筋から唇へと肌をゆっくりなぞっていく。その間も絶え間なく、レフラの感じる所を掠めていけば、少しずつレフラは体温を上げていった。
「黒の方が、お前の白い肌と赤い唇には映えるだろうな」
唇をなぞり、摘まんでしばらくその感触を楽しみつつ、時折、湿っぽい吐息を漏らす隙間に、指先を宛がう。その度に、そのまま口腔内へ伸ばされる指を想像するのか、横たわるギガイの上で、レフラの身体が小さく跳ねた。
同時に反対の手で、レフラの背中をさわりとなぞる。こそばゆさが、快感へと置き換わるように。掌ではなく、あえて指先だけで触れていく。それだけで感度を増したレフラの身体は、ついにはギガイが指を少し動かすだけで、力が籠もるのが伝わった。
「その時には、大きく背中の開いた服であれば、白い肌がよりいっそう引き立てられると思うが……お前のそんな姿を見た他の奴がいれば殺したくなるな……」
ツッと背筋を辿って、腰の窪みを五指の指先で、外から内へと愛撫する。ギガイの指先の意図を知らないレフラにすれば、会話の中で触れられるだけで、たやすく上がってしまった熱に戸惑っているのだろう。
「…………っ!」
窪みから少し下がった指先が、臀部の上部。割れ目の縁に伸びた瞬間、レフラは鋭く息を吸い込んだ。そして、羞恥心で顔を真っ赤に染めながら「あっ、あの……」と、動揺した声を上げる。
「あぁ、すまん。擽ったかったか?」
「いえ、あの、大丈夫、です……」
ギガイが意図した通り、情欲を煽られたレフラが、熱っぽい目をギガイへ向けていた。それに気が付きながらも、サラッと謝罪の言葉と共に、レフラへ触れていた両手を組んで、その背中へ置き直す。
「あっ……」
背中に感じる両手の重みから、ギガイが性的な意味で触れていた訳ではなく、いまはそういう気が無いと判断したようだった。
戸惑ったような小さな声が、レフラの口から零れ出た。1人だけ感じ始めていた自分がよほど恥ずかしかったのか、ギガイの上で身動いだレフラの顔は、ますます赤くなっていた。
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