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考察

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1.物語の序盤から、夏には枯れてるはずの花〝なずな〟が咲いていた事

 について

 これはつまり、最初からifの世界にいる事を暗示しています

 これだけだと、ifの世界、リトバスの夢空間でループするみたいな示唆にしかなりませんが

2.なずなの父親がもしも玉を持っていた事

 と繋げる事によって、大きく意味が変わります

 若干こじつけっぽく感じるかもしれませんが、まぁ考察なんて9割はこじつけなのであしからず。

 先ず、なずなの父親が何でもしも玉を持っていたのか?

 これの答えが、もしも玉を使ったから以外の理由の場合は、チェーホフの銃ではありませんが、あまりにも無意味な伏線を張った事になるので、十中八九使ったからと考えていいでしょう

 ではもしも玉を使ってなずなの父親は何を願ったのか?

 ヒント:もしも玉、駆け落ち

 って答え言っちゃってますね

 つまり、なずなの父親は人妻だったなずなの母親を、もしも玉で略奪した

 これ以外に適当な答えはありませんね

 つまり、このお話の中の世界は、なずなの父親が作り出したifで出来ていたという訳です

 そして、肝心のなずなの父親の死因ですが

 普通に考えて、サーファーがもしも玉を持ったまま溺死は有り得ません、溺死というのは結果であって、過程は含まれてないんですね

 考えられるのは以下の通り

 1.もしも玉を使用した際の反動で心神喪失した状態で、海に入ってしまった

 2.もしも玉の代償として、世界線移動する前の肉体は死亡する

 1はシュタゲ、2はリゼロって感じのループの仕方でしょうか

 もしも玉のループがどういう仕組みなのかは全く示されていませんが

 肝心なのはなずなの父親がもしも玉を使っていた事一点のみなので問題ありません

 これによって一つの結論が導かれる事になります



「なずなはなずなの父親が作ったifの世界でのみ存在する」


 と

 リトバスで例えるなら朱鷺戸沙耶みたいな感じでしょうか


 ifの世界の存在だからこそ、祐介や他の男友達ともデートの可能性が存在する訳なんですね
 これは君と彼女と彼女の恋のアオイを彷彿とさせられました
 ifの世界の存在だからこそ、色んなifを持つという事でしょうか

 だからこそとても切ないお話なんですね

 そしてここからが僕の想像と創造、もとい、考察と推測を交えた補完のパートになります



 先ず初めに、もしも玉の世界は不可逆なループ構造なのか、それともいつかは夢が覚めるように全部無かった事になるのか、それすらも作中では明かされていません

 もしも玉のタイムトラベルについて分かっている事は

1.使用者のみ記憶が保持される

2.使用を繰り返す度に世界が歪む

3.使用者にはなんらかの副作用がある

 これだけです

 ふと思ったのですが、3回目のループで典道の目が死んだ魚みたいになっていたのは、直前に海中にもしも玉を投げて溺死したからとも考えられますね
 仮に、もしも玉を投げる前の肉体が既に消滅、死亡していた場合にどうなるのか、その辺もちょっと気になりますね

 まぁそういう訳なんで、世界の構造として、もしかしたら世界の全てがifで出来ていて、無限に世界線移動出来るかもしれないし、きちんと現実が存在していて、最後はそこに帰るかもしれない、二通りの世界の仕組みが考えられる訳です

 で、す、が

 ななんと、この作品に関しては、そのどちらでも、作品の考察に於いては問題になりません

 なぜなら

「物語の最後にもなずなの花が咲いていたから」です

 つまり劇中世界は、ずっとifの世界で出来ていたという訳なんですね

 ifの世界から分岐したifの世界のお話って、ものすごくややこしいですけど

 でもそのおかげで、なずなの存在が現実じゃない事の根拠として、大きく寄与する事になると思うんです

 まぁ僕がこういった妄想非実在系?ヒロインの設定が好きっていうのもありますが

 最初から仮想現実の中で繰り返されていた物語だった

 と考えると、なずなの存在は現実じゃ無い方が物語の締まりがいいですよね

 カスカベボーイズのつばきちゃんみたいな感じ、〝ヒロイン〟役だからこそ、幕引きは綺麗に退場して欲しい、みたいな

 なので、僕は、誰になんと言われても、なずな、非実在系ヒロイン説を推すことにします

 ちょっと脱線しましたが、本指に入る前のジャブとして

 自分が色々調べた上での所見を言わせてもらいます



 先ず最初に、この映画が、20年前のドラマの二次創作作品だったと知った時に、だとするならば、もしも玉を使わない世界はそっちのドラマなんじゃないかな?
 なんて思ったんですが
 アニメは劇中の全てがifで出来ているので、どう足掻いてもアニメとドラマは繋がらないなという事で、この可能性は没にしました
 劇中でドラマのワンシーンとか回想され無い限りは、ドラマと〝直接的に〟お話が繋がる可能性は低いと思います
 小学生と中学生だったり、設定の差異もあるので

 あと当初は、典道となずなが声優では無く俳優起用だったのは君の名は。の踏襲だって分かるんですけど、なずな母も俳優だったのは、何かしらの意味があるのでは無いかと

 例えば、なずなはなずなの母親みたいに駆け落ちデキ婚して、その娘がまた駆け落ちする、みたいな物語をループしているのでは無いか

 みたいな事も考えたけど、流石に飛躍し過ぎているので没に

 ただ、世界のループが何を軸にしているのか

 これは結構いい着眼だと思ったので考えてみました

 その上で世界の構造の考察

 ifの世界上にifの世界が成り立っている以上、なずなが消えることも無いし、また、ループを逆行出来るかも不明です

 なので考察する上ではとても不利な条件と言わざるを得ません

 ただ、その上でラストのシーンの解釈

 あれを

「夏休みの終わりに典道が来なかったから、駆け落ちか心中した」

 みたいな結論で済ませている人が多いかと思いますが

 僕は敢えて逆張りで

 ループの軸を「打ち上げ花火下から見るか横から見るかの物語」

 に置く事によって

「本当は物語冒頭の登校日で、世界は決められた物語を軸にループする構造になっていたけど、典道がなずなのいない世界を拒んで、もしも玉でなずなのいる世界へ飛んだから典道は消えた」

 という事にさせて頂きます

 なぜなずなが消えたかというと

 物語終盤、尺玉サイズのもしも玉の打ち上げによって、天井が割れましたね(結構トンデモ展開)

 しかも、その破片は全部なずなのものです

 これは世界がなずなを軸に出来ていた、もしくはなずなに纏わる何かで構成されていたと考察出来ます

 だから世界にあるなずなの記憶だけが、人々から忘れ去られたのです

 これはCLANNADの風子ルートみたいな感じでしょうか

 それで世界でたった一人だけなずなの事を覚えている典道は、なずなに会うためにもしも玉を使い、その代償として元の世界では死ぬ

 これが妥当な結末じゃないでしょうか

 まぁ駆け落ちも心中も否定するつもりはありませんが

 なずなの最後のセリフ

 悲しそうな顔で

「次はどんな世界で会えるかな、楽しみだね」

 との親和性、関連性を考えるならば、駆け落ちや心中では不十分だと僕は思いますし

 駆け落ちする気があるなら、なずなはキスした後に去っていく必要がありません

 だからなずなはあの時点で「消失」して

 それを典道は探しに行く

 結末としては未来日記が一番近い感じでしょうか

 とにかく、僕は敢えて逆張りで

 なずなも典道も消えた説で、考察を打ち切ろうと思います

 まぁ結論を言わせて貰うと

 何周もするのは疲れるのでオススメしないので

 自分なりの解釈が出来たなら

 考察せずに満足するのが一番いいと思います


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