ヤマトナデシコはじめました。

織緒こん

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 魔女さまに呼び出されて、超絶セクハラされた。否、違うけど。

 るぅ姉とふたり、魔女さまに呼び出されて惑わしの森の邸に向かったのは、まだ夕方の早い時間だった。一昨日から本格的な森の警戒に当たっている騎士たちに守られている。魔女さまがブライトさまとミカエレさまは来るなって伝言を寄越したので、ふたりは薄寒い笑顔で見送ってくれた。⋯⋯ちょっと怖かったのは内緒。

 下僕の騎士さま(ジャコモ卿って言うんだって)と侍女さんトリオは一緒に来たけど、別室で待たされている。

「可愛い子ら、よう参った」

 ゆったりとしたクラシカルなガウン(ドレス)を着た魔女さまは、虹色に煌く乳白色の髪を自然に流し、優雅に長椅子に腰掛けている。まるで絵画から抜け出したような美しさで、向かい側に並んで座る俺たちは、暫し言葉もなく見惚れた。こんだけ美しい人に「母と呼べ」と言われても無理な話だ。女神と呼んだら怒られるだろうか。

「⋯⋯魔女さま、お疲れでは無いですか?」

 気を取り直したるぅ姉が気遣いを見せた。用件も気になるけど、まずは魔女さまの体調だ。まだ森に危害が加えられている様子はないけど、絶えず意識を集中して警戒するのはキツい。

「ルーリィや、ほんに良い子じゃの。さて、その良い子に、わたくしはなんとも酷いことを頼まねばならぬ」

 魔女さまは底の見えない眼差しで、うっそりと宙を見上げている。ここでは無い、未来を見ている時の常なので、恐怖は感じない。

「未来は幾通りもあるものじゃ。ルーリィが幸せになる道もならない道もある。じゃが、どの道に進もうとも、其方自身に選ばせてやりたいと思うておった」

 つまり、るぅ姉は自分で選ぶことができなくなったと言うことだ。今、わざわざ呼び出してまでする頼み事だ。るぅ姉は緊張したように背筋を伸ばした。

 先を促すように小さく頷いて、真っ直ぐに魔女さまを見る。やっぱりるぅ姉は潔くてかっこいい。見た目を裏切って、苛烈で鉄火と評判なだけある。

「ミケーレ坊やとめおうてはくれぬか。其方にミケーレ坊やの子を産んで欲しいのじゃ」

「え?」

「他に想う男が居れば添わせてやりたいと思うておったが、わたくしの後継を考えねばならなくなってしもうたゆえ。まだまだ頼りない坊やにすは気が進まぬとは思う。したが、後生じゃ。どうしても⋯⋯」

「待ってください。ミケさまに他のお嫁さんを迎えるのではダメなんですか?」

 茫然と呟いたるぅ姉は、魔女さまの言葉を遮った自分に気付いて謝罪した。魔女さまは咎めず、返って彼女の方が申し訳なさげに眉を寄せた。いつでも小悪魔的コケティッシュな微笑みを浮かべている魔女さまが、とても珍しいことだ。

「ルーリィが産むと言うのが、重要なのじゃ」

「そうではなくて、わたしが孕める保証が無いのです」

 るぅ姉は、自分の幸せはさて置き、ミカエレさまの幸せは、結構真剣に考えていると思う。中高生時代、数多のストーカーに悩まされた彼女は、男を信用していない。そのるぅ姉がミカエレさまのことだけは、わりと近くにいることを許している。あれだけ好き好き言われてたら、気がない相手ならるぅ姉でなくても距離を置くだろう。

 ジーンスワーク及びシュザネット王国の人々のパーソナルスペースは狭い。テレビで見る欧米人のハグやほっぺスリスリは普通に挨拶だ。だから、ミカエレさまとるぅ姉の距離間は、さして近く思えないかもしれない。けど、おれたち日本人的には、ものすごく気を許した距離なんだ。るぅ姉的には、ミカエレさまに気持ちを悟られないギリギリを測ってるんだと思うよ。

 おれはるぅ姉に比べたら、ヒトの心の機微には疎いと思うけど、るぅ姉だって自分のことは見えていない。おれ、自分がブライトさま以外に触られるのが嫌だから、るぅ姉とミカエレさまの距離に気づけたんだけどね。

「魔女さま⋯⋯あの、男のぼくが言うことでは無いかもしれないんですが、ぼくたち姉弟はこの世界で子孫を残せるのかわからないのです」

 まっすぐに魔女さまを見ているけど、青白くなったるぅ姉の顔色を見て、おれは思わず割って入った。

「⋯⋯ハリーはそうであろうよ。其方は愛された体じゃ。今更女の胎に子種を撒けるとも思えぬゆえ」

 オンナノハラニコダネヲ⋯⋯わあぁぁ、それって女の人ともにゃもにゃするってこと⁈ ムリムリムリ! 魔女さま、いきなりセクハラぶっ込まないで!

「そうではなくて、はーちゃんが言っているのは、体の構造の話です。異世界から来たわたしたちは、見た目こそ似ていますが、遺伝子⋯⋯体の深いところでは相容れないのでは無いかと。雪割七星草と七星粉雪草はとてもよく似ていますが、交配できずに枯れてしまいます。そう言うことを言いたいのです」

 るぅ姉が言った植物は、ジーンスワークではポピュラーな薬草とただの草花だ。どっちも雄株と雌株があって交配して増えるけど、それぞれは決して交わらない。

 おれはるぅ姉を思って胸が痛くなった。

「ですから、わたしはこの世界の誰とも、結婚はしません」

 それって、ミカエレさま以外は嫌だってことだよね。でも跡取りが必要なご領主さまの継嗣だから。

「子は出来るぞえ」

「そんな、見て来たみたいにおっしゃらないでください」

『しおざわはなか、ろくさいです。さくらようちえんのねんちょうさんです。ままにあいたいです。おまわりさんのところにつれていってください』

 え?

「意味はわからぬ。音の羅列が記録されておるだけじゃが、わたくしの母が森で保護された時に言うておった言葉じゃ」
 
 魔女さまのお母さん? 

わたくしの母は、幼き頃、この森で保護された異国の孤児であったのじゃ。繰り返す言葉も意味がわからず、韻のみを書き綴ったものが残っておる。母は大きゅうなるにつれてシュザネットの言葉を覚え、それと同時に元の言葉を忘れていったのじゃ」

 魔女さまは本棚から一冊の書物と薄い木箱をを取り出して戻ってきた。書物を開くと、手書きの日記のような日誌のような、あるいはその両方の目的で書かれた文章があり、その中に枠で囲われた発音記号の固まりがあった。一年前から、散々勉強したシュザネット公用語の発音記号で、幼い少女の言葉が書き記されていた。

「シオザワという家に生まれた、ハナカという名前です。六歳。『幼稚園』うーん、幼年学校⋯⋯の下の準備学校の最上級生だったみたいですね。はぐれたお母さんに会いたくて、街の警邏隊に助けを求めています」

 ずいぶんしっかりした子だな。ひとりで怖かったろうに。

 薄い木箱を開けると、光沢のある絹が入っていて、魔女さまが開いたそこにあったのは、可愛い名札だった。ピンク色で桜の花を象ったビニールの名札は、真ん中が透明になっていて、マジックで『しおざわ はなか』と書いてあった。母親がデコったのか、名前の横に小さな花のシールが貼ってある。

「母は幼なすぎたのじゃ。異世界よりの落とし子などと、誰ひとり思わなんだ。孤児として子のない夫婦に引き取られ、長じてわたくしの父にし、妾を設けた」

 稀代の魔女を。

「異世界より落ちて来た、妾の愛しい子ら。初めて会うたとき、其方らの血脈の向こうに、妾の末裔すえを視た。ハリーがレオン坊やと出会わずに、妻と子に囲まれる未来もあったのじゃ。したが、現実にはハリーに子ができることは二度とあるまい」

 うん、おれ、ブライトさまに捨てられても、女の人と結婚しないと思う。ていうか、マーサさんの言いようだと、絶対に捨てられないと自惚れてもいいんじゃないかと。

「妾も現状のままなれば、魔硝石の魔力を吸い上げ続ける限り老いはない。したが、此度の騒動ゆえ、何が起こるかわからぬのじゃ」

 魔法使いでも魔術師でもなく、魔女と呼ばれるアレッシア・シュトーレン女伯爵。たったひとりで人々の誕生と死を寿ことほいで。そう、死すらも寿ぎなんだ。甘美な死への誘惑に抗いながら、国を、世界を守るために森に居続ける。

 なぜ、魔女さまなのか。それは代わりがいないからだ。

「ルーリィの子、そしてその先の子。大きな魔力を身のうちに取り込める、大きな器が見える。其方の力は魔力を増加させるものではない。その器を広げるものじゃ」

 それって⋯⋯。

「はーちゃんの器が大きいのは、わたしがそばにいるからですか?」

「て言うか、おれが魔女さまの代わりになれませんか?」

 おれは魔力は生まないけど、器だけはとんでもなく大きい。器が小さくても、無尽蔵に垂れ流せるほどの魔力を絶えず生み出すのが、ブライトさまやステッラ副団長みたいな魔法使い(魔術師)らしい。

 器が大きくても魔力を少量しか生み出せない人は、大きな魔法を使う時は時間をかけて貯めるんだそうだ。魔力を貯める器が大きくなれば、世界の生命の営みで育まれる魔力を取り込むこともできる。

 おれ、器だけは大きいし、蓋もないから取り込んでガス抜き出来るんじゃないか?

「それでも良いが、次代は必要じゃ。妾の子も孫もすでに土の下。血脈は、時代を越えて薄まり、魔力の量は多いが器が小さい。そして同性で番うたゆえ、これ以上の子孫さきはない。ハリーとて、子はせぬよ」

 そうか、おれが継いでもその先がないのか。

「ルーリィや、其方が想う男と自然に出会ってしていくのを待っておった。したが其方、子が産めぬと悩んでおったのか?」

「⋯⋯はい」

 魔女さまは長椅子を立ってこっちに来ると、俯くるぅ姉の肩に腕を回した。

「大丈夫、産めるよ。妾が証じゃ。もしや其方、好いた男に遠慮しておったのかや?」

 るぅ姉は返事をしなかったけれど、涙がポタポタとスカートに丸い滴を落としていた。

「そうか、好いた相手がおるのじゃな。ではミケーレ坊やとめおうてくれと言うたは忘れてくりゃれ。その男⋯⋯まさかおなごであるまいな」

 うわぁ、この世界、女同士もありだもんね! てか、さっくりミカエレさまが候補から外れてる!
 るぅ姉がこっくり頷いたのを見て、相手が女の人じゃないのを確認して、魔女さまはほっと表情を緩めていた。

「いい子じゃな、ルーリィは」

 そう言って魔女さまは、るぅ姉が落ち着くまで寄り添ってくれた。その後侍女さんトリオが呼ばれてるぅ姉をお化粧直しに連れ出して、部屋は魔女さまとおれのふたりきりになった。

「さて、ハリーや。其方の無駄に大きい魔力の器じゃが、そろそろ空っぽじゃの。レオン坊やに注いでもろうておいた方がよいよ」

「魔女さま、何言ってるんですか!」

「ほほほほ、真っ赤になって、かわゆいの」

 セクハラだ! すっごいセクハラだ! 訴えてやる! ⋯⋯どこへ?

 岩城に戻って夕食を終え、お風呂も済ませたら、充てがわれた客間で束の間のリラックスタイムだ。岩城総出で警戒にあたってるけど、さすがに交代制だ。今日は騎士団はヴァーリ団長が夜間責任者だそうだ。非戦闘員のおれは、ちゃんと夜寝て朝起きる生活をしている。

 夜は少しずつ冷えてくるようになった。暖炉に薪をくべるほどではないので、暖炉の中に火鉢を置いて炭を入れている。眠る前にはちゃんと消して、一度換気しないといけないけどね。

 暖炉の前に分厚いラグを敷いて床に座る。おれはブライトさまが胡座を組んだ真ん中にいるので、まるで座椅子でくつろいでいるようだ。周りはクッション盛り盛りになっている。ロベルトさんが模様替えしたらしい。⋯⋯シェランディア王宮での話、覚えてたんだね。

「て、お話しのために、呼び出されたんです」

「そうか、ルーリィ嬢の選択肢が広がってよかった」

 ブライトさまは穏やかに微笑んだ。

「ところで玻璃、君は自分の子供が欲しくなったりしないのかい?」

「ブライトさまは王さまになるんでしょう? 国民は子供じゃない? ぼくたち、ものすごい子沢山になるよ。それに、るぅ姉が結婚したら、甥っ子や姪っ子が生まれてくるし、副王さまのところの王子さまも、とってもいい子だよ」

 副王さまのお子さまを、養子に迎えることになっている。書類上はそうなるけど、実のご両親から離すつもりはない。副王妃さまのお腹にも赤ちゃんがいるけれど、お兄ちゃんの資質も申し分ないとのことで、すでに教育が始まっている。

 だからおれは、どこかの女の人に赤ちゃんを産んでもらうことはしない。

 ブライトさまの体温でポカポカして、だんだん眠くなって来た。おやすみのキスが欲しくて見上げると、心得たように唇を重ねてくれる。後ろを振り向くように上向くのはちょっと首が痛い。チュッチュッと小鳥のキスをして離れる。寝室に行こうと立ち上がりかけたら、ブライトさまにくるっと体をひっくり返された。

 バランスを崩してブライトさまの腰をまたぎ越してしまう。抱っこちゃん人形かしがみつくコアラのようだ。

「ごめんなさいっ」

 結構な勢いだったけど、ブライトさまどこか痛くしてないかな。胸に埋まってた顔を上げたら、上からキスが降って来た。

「んむっ⋯⋯は⋯⋯んっ」

 ヤバイ、これエッチなキス!

 おれはすぐに腰が抜けて、ぐんにゃりと体重を預けた。

「ルーリィ嬢の子も叔父上の子も、大事に可愛がろう。玻璃、玻璃、可愛い。愛しい。わたしを選んでくれて、ありがとう」

 キスの合間に切ない声が降ってきて、ブライトさまの不安に気付いた。魔女さまが異世界人の血を引いているかもしれなくて、おれも血を残せるかもしれなくて⋯⋯そのためには女性と繋がらなくちゃいけなくて。

 無理じゃんねぇ。何にも知らなかったおれに、こんな幸せで気持ちいいこと教え込んで、今更女の人とどうすりゃいいの。

「愛してるよ、玻璃」

「ぼくも愛してる」

 日本語じゃ、絶対言えない。

 ブライトさまはおれの検査着みたいな寝間着の紐を解いた。スルリと温かい手が脇腹を撫でる。

「⋯⋯待って」

 小さく言うと、すぐに止めてくれた。でも手のひらは脇腹に留まったままだ。touchタッチはOK、moveムーブはNGってヤツだね。いや、満員電車の痴漢ボーダーじゃないけど。

「皆さん、仕事してるんじゃ⋯⋯」

 動きは何にもないけど、非常事態の真っ最中じゃないんだろうか。一緒に眠るのはともかく、これ以上は不味くないかな?

「アレッシア殿とステッラ⋯⋯良人おっとの方だな、それからヴァーリにマリク、結構な人数から玻璃の魔力が薄いと叱られて⋯⋯」

 叱られるって、なに⁈

「万一の時に辿るためだけでなくて、魔力が飽和していれば、新たに注がれる危険を回避できると」

 みんな心配してくれて、ありがとう! でもマジ居た堪れない! なんでそう、オープンなのさ!

「危険回避の手段としての行為はしたくないんだが、君からわたしの魔力が消えていくのも寂しいものだね」

「⋯⋯ぼくも、こんな時なのに、お腹が切なかった」

 王都を発ってから、キスしかしてない。そりゃ夜営中とかそんなマネ出来ないし、夜に魘されるマウリーノさんとか、夜の森で巡回してる騎士さまやアルノルドさんのこと考えたら、閨事ねやごとに溺れる(難しい言葉、覚えたよ)って、アウトじゃないかと思ってた。

 チュッチュッと小鳥のキスを繰り返す。止まっていた手の動きが再開されて、背中を這い上ってきたエッチな震えに思わず声を漏らすと、待ち兼ねたように舌が割り入ってきた。

 くちゅくちゅといやらしい水音がして、息が乱れる。

「ちょっとごめんね」

 ぐんにゃりしたおれを盛り盛りクッションに沈めて、ブライトさまはキャビネットの引き出しをあさった。そばに戻ってきたときには見たことのある薬壜を手にしていた。

 待って、なんで客室の居間のキャビネットにあるの? 百歩譲って寝室はわかるよ。ねぇなんで居間?

「お待たせ」

 待ってない! ⋯⋯嘘、待ってた。

「ねぇ、口付け。もっと欲しいです」

「口付けだけ?」

「ううん、最後まで、全部、欲しい⋯⋯」

 ブライトさまはクッションに埋もれたおれにのし掛かって、ぐっちゃんぐっちゃんなキスをしてくれた。いつもよりちょっと乱暴で、でも必死で苛烈なキス。酸素が足りなくて朦朧とする意識の中、いもしないおれのお嫁さん候補に嫉妬してるのかも、と思ったら愛しさが増した。

 開いた膝の間にブライトさまの体を招き入れ、力の入らない腕を首に絡げる。

「可愛い、玻璃。玻璃、可愛い」

 キスが唇を離れて顎を辿り、首を舐めて胸の尖りに辿り着く。はふはふと浅い呼吸を繰り返して、足りない酸素を補給する。寝間着はすっかり肌蹴られて、ついに下履の紐が解かれた。もう諦めた。紐パンだよ、紐パン。

「あんっ、恥ずかしい」

 おれの大事なところが萌しているのがわかる。でもそこは触ってくれない。指で後ろの入り口をふくふくと馴染ませ、一本二本と数が増やされる。香油も惜しみなく注ぎ込まれて、おれは体の中から水音が響くのを感じた。

 これ以上ないほど後ろが緩められて、おれはなにをされても悶えた。

「今日は後ろだけでイこうね」

「ーーーーあ⁈」

 グチュン。

「あぁああぁぁッ‼︎」

 イッた! なんの前触れもなく熱くて太くて長いものが突き込まれて、ピュルンと前から何かが出た。

「え? え?」

 ワケが分からなくてガクガク腰がわなないて、泣きながらブライトさまにしがみついた。

「後ろだけで上手にイけたね。可愛い」

「今の。なに? ⋯⋯あん、んふっ⋯⋯ぁぁあん」

 あとはもう、ひたすらブライトさまに翻弄された。ひんひん泣いて、お腹が寂しいって駄々をこねた。盛り盛りクッションにしがみついて腰だけ高く上げて、後ろから突き上げられる。

「ちょうだい⋯⋯このまま、熱いの⋯⋯お腹の中、満たして⋯⋯⋯⋯ああぁああっ」

 広がる熱。

 もっと欲しい。溢れるほど注いで。

「まだ慣れない? 酔っちゃったね。可愛い」

「ぐちゅぐちゅしてぇ⋯⋯もっとなのぉ」

 腰が揺れる。吐き出したばかりのブライトさまも、逞しいままだ。そう言えば、アルノルドさんが言っていた。感じたままを言えばいいって。

「きもちいいの⋯⋯すきすき、ぶらいとさますきィ」

 ブライトさまを身のうちに納めたまま、小さく前後に腰をゆする。

「可愛い、玻璃」

 ゆっくり突き込まれて、おれはその度昇りつめた。

 あとは、覚えていない。⋯⋯翌朝、ピカピカだったので察してくれたまえ。恥。
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