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おれのライフはゼロだ。
目の前にいる魔術師団副団長さまは、ブライトさまに負けず劣らずイケメンさまだ。可愛い系美人のアルノルドさんと並んだら、さぞかし眼福だろう。
そのステッラ副団長、人を喰ったような微笑みを浮かべて、おれを眺めて一言。
「ピッカピカだねぇ」
恥ずか死ねる!
「補充しとけとは言ったが、ここまでせんでも良かろうに」
なんか、雑い。魔術師団長さまもだったけど、この人もブライトさまに対する態度が適当と言うか。魔法使いが自由気儘ってこう言うことか。
「それにしても、凄いな。一晩経ってもこれだけ光るのか」
ひ、一晩経ってません⋯⋯朝からやらかしました。て、あれ? 魔力を持った人と仲良くすると、みんな光るんじゃないの?
「普通は朝には放出しきって消えるな。まず、殿下並みの男が居ないし、受け止める器があんたほどない」
えぇ⁈ てことは、俺だけ? いつも光るよ! 自分じゃ見えないけど、みんなが生温く見てるから、そうなんだよね⁈
「俺は殿下に近い魔力のデカさだけどな、ウチのかわい子ちゃんはそんなにピカピカしねぇよ。受け皿がねぇんだ。考えてもみろよ、ヤル度そんなんじゃ女が恥ずかしがって、させて貰えなくなるだろう。人口が減る」
ご説ご最も!
おれはもう、ただ真っ赤になって悶えて、ブライトさまの胸に顔を埋めた。
「⋯⋯ステッラ副団長、そろそろ止めて貰おうか。玻璃が羞恥で発熱しそうだ」
ブライトさまは恥ずかしくないの⁈ って、ブライトさまは光らないんだ!
「ちょっと質問」
「なに?」
「魔力を自分で持っている人は、普段から光ったりしないの?」
ふと不思議に思って聞いてみた。ブライトさまに聞いたつもりだったけど、横から専門家が答えてくれる。
「魔法使いは、自分の体内に魔力を貯めて、蓋してるんだよ。術に乗せて放出するときは光るな。で、お前さんは器はデカイが蓋がない。だからダダ漏れるんだ」
「蓋ができるようになったら、光らない?」
「今のところ、あんまりオススメしねぇな。魔硝石の代わりになりたいか?」
洋燈の充電池みたいに使われるって事だよね。
「殿下、あんたの嫁さん怖がらせて悪いがな、ちゃんと知っておいた方がいいから、言っとくぞ」
「⋯⋯頼む、大事な事だ」
ふたりは深刻そうに言った。ステッラ副団長も、さっきまでの揶揄いを含んだ表情を消している。
北の魔導砲の動力は、魔力だ。北に潜り込ませた間者によると膨大な魔力が必要で、複数の魔法使いが魔硝石に魔力を込めてる。ただ魔硝石ってやつも、大きさや質で込められる魔力の量が違う上に、許容量を超えて魔力が込められると割れてしまうんだ。
それに洋燈に使う程度の魔硝石は安価で手に入りやすいけど、小さくて脆い。とても魔導砲を稼働させるだけの魔力は貯められない。
「その魔硝石の代わりにされるかもって、事でしょう?」
その事なら、シュザネットの王城で言われたよ。
「あんたが奴らの手に落ちたら、間違いなく魔力持ちに犯される。それもひとりやふたりじゃねぇだろう。魔導砲に必要な分量の魔力が溜まるまで、延々ヤられるだろうな」
⋯⋯。
「俺や殿下並みの魔力持ちなら、ひとりで魔導砲に充填できるんだろうが、北にはそんな奴がいるって情報はねえ。んで、俺たちを御するのは至難の業だ。その点あんたは攫いさえすればいい。その細い体で抵抗できるか? 今はまだ、穴の開いた不完全な器だ。蓋が出来るようになったら、限界まで注ぎ込まれるぞ」
絶対イヤだ。
ブライトさまが、ガタガタ震える背中を支えて、こめかみにキスをくれた。何度も宥めるようにキスをして、抱きしめてくれる。
「離さない。大丈夫だ」
「うん」
信じてる。けど、おれも気を引き締めなきゃ。
北に連れて行かれたら、おれがイヤな目に遭うってだけじゃなくて、魔導砲とやらが使用されるって事だ。その前に自殺でもしろって思うだろ? そしたらブライトさまが壊れちゃうって、自惚れじゃなく思う。マーサさんが言ってたじゃん。おれに何かあったら、ブライトさまが国を滅ぼすって。
しばらくブライトさまに縋って、気持ちが落ち着いた。震えが治まったことに気付いて、背中をポンポンしてから、ブライトさまがステッラ副団長に向き直った。大事な話っぽいから、そろそろソファーに下ろしてくれないかな。
「魔導砲についての情報が、かなり正確だな。魔力の必要量など、今まで報告になかったと思うが」
「いや、こっち来てから、北から接触があった。ぶっちゃけ勧誘されたんで、とっ捕まえてウチの団長んところに送っといた」
ニヤリと笑う表情が鬼畜さんだ! イケメンだけにヤバイよ。アルノルドさんと会えない八つ当たりとかしてないよね⁈
「そうか、北が本気で動き出したと言うことか。仮想敵国と言ってきたが、敵国になってしまったな」
ブライトさまがステッラ副団長の鬼畜スマイルをスルーした。凄い胆力だ。それにしても、予想と言うか想像のアレコレ、全部本当になりつつある。
そこへ外務の補佐官さんが、アントニオさんに先導されて入って来た。ふたりとも、ブライトさまの膝の上にいるおれはスルーだ。シュザネットの国民はスルースキルが高いらしい。
「調整が整いました。昼食後、王宮へ乗り込みます」
補佐官さん、乗り込みますって言った? そこ、訪問とか謁見とかじゃない? あ、こっちのが立場が上だし、抗議に行くから謁見じゃダメなのか? 向こうがブライトさまに謁見する立場なのか。
ちとややこしいが、外務の皆さんは朝からしっかりお仕事をしていたらしい。⋯⋯どうしよう、おれって場も弁えずにイチャイチャしてるだけ? いやいや、必要なことだし?
グルグルしてたら、向かいからステッラ副団長がニヤニヤして言った。
「おれが殿下にヤっとけって言ったんだから、あんたは気にせず光っとけ」
ひゃーッ。ナニ言ってんですか! 魔力のない補佐官さんには見えてなかったのに、今ので全部バレたでしょうッ! 耳が真っ赤になってるじゃないか!
「ウチのかわい子ちゃんは光らねぇが、今夜連れ帰ったらメロメロにする予定だ。お揃いだから安心しろ」
なにを安心するんですか⁈
「ではッ伯爵ご令息さまッ、早めのご昼食の後、お支度ををを⋯⋯ッ」
補佐官さん、ごめんなさい! おれも居た堪れないけど、とにかく、ごめんなさいッ! あぁあ、そんな走って逃げないでぇッ!
補佐官さんは不敬も顧みず逃げていった。多分、ブライトさまのこと、頭から素っ飛んでるよ。ブライトさまも苦笑している。
実はおれたち、朝ごはんを食べそびれているので、ブランチの支度をお願いする。ステッラ副団長、ニヤニヤしないで!
食事が済んだタイミングで、ロベルトさんがやって来て、おれを支度部屋に連れて行った。
髪の艶がないって叱られた。ブライトさまがお風呂に入れてくれたから、魔法でぺぺっと乾かして貰っちゃったんだ。マーサさんが呼ばれてヘアケアして貰って、着付けに入る。
今日は外務省の管理官を伴った外交の場に行く。この国の王が、異世界の華姫を後宮に納めたと言うデマを覆しに行くんだ。
本物は、シュザネットの王太子のものだ。
衝立の陰で下から、足袋、裾除け、肌襦袢を着ける。鎖骨の下にキスマークを見つけてキュンとなった。大丈夫、着物だから見えない。
長襦袢を羽織って姿見の前に移ると、待ち構えていたカナリーさんとモーリンさんが、前後から着付けを始めた。
今日の振袖は、鳳凰を選んだ。雄の鳳と雌の凰、一対の番は吉祥柄だ。
南国で袷の着物を着るのは正直辛い。けど、ここはおれの勝負だ。金銀を尊ぶ国で、誰よりも華やかに装わなければ。
脇に控えたロベルトさんが、魔法で部屋の温度を下げてくれた。
全体的には赤。上前から後ろ身頃まで絵羽模様に鳳凰が羽ばたき、嘴に花を咥えている。花喰鳥は幸せを運ぶ象徴でもある。帯は金襴緞子の亀甲紋。多分ばあちゃんの若い頃のものだ。昔の帯は厚みがあって重い。けどその分、重厚感があって豪華だ。
帯が分厚くてヒダが沢山取れないので、立て矢に結ぶ。モーリンさんの手元に『娘に着せるキモノスタイルブック』と言う、年季の入ったムック本があった。ばあちゃん家から持って来たんだね。
重ね襟は金、半襟も白と金で花の刺繍がしてある。帯揚げ帯締めは留袖用の白金を選んだ。ブライトさまから贈られた、真珠のブローチを帯留め代わりに飾る。漆塗りに金銀の末広を挿し、髪飾りは真珠に金鎖を下げた。
メイクはいつもと違って、アイラインを朱赤にした。ちょっとキツめな感じ。朱金の草履バッグを揃えたら完成だ。
「いつもの柔らかい雰囲気では、エロじじいをつけ上がらせますからね。宗主国の王太子妃を愚弄した愚か者です。思いっきり蔑んだ目で見下しておやりなさい」
ロベルトさん、まだ婚約者です。
子供の頃のイヤな経験のせいか、ロリショタじじいにめっちゃ厳しい。いや、おれもロリショタは嫌いだけど、ロベルトさんが怖すぎて、ちょっと引く。
「ではハリーさま、わたくしも着替えてまいります」
あ、家令モードになった。程なくして戻って来たロベルトさんは、銀髪をハーフアップにして裾の長い礼装を身につけていた。一緒にシェランディア国王の前に出るんだ。
謁見の間まで行くのは、ロベルトさんのほか、外務省の駐在管理官長と王都から来た補佐官さん、ヴァーリ騎士団長、ステッラ副団長だ。侍女さんトリオは王宮までは行くけど、侍従長さん達と控え室で待機だ。
ブライトさまが部屋まで迎えに来て、エスコートされる。王太子さまに迎えに来させるなんて申し訳ないけど、婚約者が相手だと、そう言うものなんだって。
ブライトさまも正装で、おれとお揃いのブローチを着けている。
「とても綺麗だけど、赤は色っぽすぎないかい?」
指が眦を辿って、ほっぺたを包むように添えられた。アイラインがいつもと違うのに気づいてくれたのはうれしいけど、色っぽいってなんだ?
チュッと小鳥のキス。
移った口紅を親指で拭う。その仕草の方がよっぽど色っぽい。恥ずかしくなって顔を背けると、生温い笑顔のロベルトさんと目があった。
ぎゃっ、見られた!
⋯⋯今更だけど。
気を取り直して、背筋を伸ばす。まだ顔が熱いけど。
馬車は管理庁舎のものに、王太子の紋を付けた。乗って来た馬車は大きすぎて、城に向かうのには向いていない。迎えを遣して来たそうだけど、それは追い返したんだって。なにか仕込まれたら困るからね。
御者はジーンスワークの従僕頭、マリクさんが務める。おれたちが城にいる間、騎士さまと一緒に馬車の見張りをする予定だ。
馬溜まりでマリクさんたちと別れて、おれ達はシェランディア王宮に入った。南方の建物は平たくて壁が少ない。柱の間を風が通り抜けて、涼が取れるようになっていた。
ヴァーリ騎士団長を先頭に、殿をステッラ副団長が務める。謁見の間に入る身分のない侍従長さんたちは、控室に案内されて行った。
長い廊下で、おれを目にした人々がぽかんと口を開けている。通り過ぎたら背後から、華姫だ、いや蝶々姫だ、と騒めきが聞こえる。
どうだ、この平たい顔を見ろよ。アンタたちが拐ったのは人違いだ。本物の華姫は、宗主国の王太子の隣にいるんだ。
謁見の間には、既に人々がひしめいていた。薄い長衣を重ね着して、首と名のつくところ全てに金銀の環を掛けている。頭に挿した羽が天井に向かって立っている。決まりでもあるのか、みんな黄色とかオレンジ色の薄物を重ねていた。
異文化に興味はあったけど、じっくり観察するのは後回しだ。おれは人々をぐるりと見渡してから、淡く微笑んだ。ロベルトさんに褒めて貰った、胡散臭いジャパニーズスマイルだ。
一瞬謁見の間が静まり、それから人々がヒソヒソと言葉を交わし合う。広間の左右に整然と並ぶシェランディアの陪臣の真ん中を通り抜けて、真っ直ぐ歩く。
臣下の席のいちばん上座に、痩せた初老の男がいた。重ねた黄色とオレンジ色の薄物が、他の人より長い。沢山の金銀の環がシャラシャラと音を立てている。
顔色が悪く、目がギョロリとしている。痩せこけて長い髭を蓄えた姿は、アラビアンな悪役みたいだ。多分この人がシェランディア国王だ。
国王はふらふらと歩み出て、おれに向かって手を伸ばす。気持ち悪いってば! ブライトさまにエスコートされていた手が強張ると、そっと握り返された。ちょっと落ち着く。今日のおれは権高く振る舞わなきゃいけない。怖いからって、ブライトさまにしがみ付くわけにはいかないんだ。
先頭を行くヴァーリ騎士団長が腰の剣に手を掛け、おれの後ろに侍っていたロベルトさんがサッと前に出た。氷の花が舞う。
家臣と思しき男が、引きつった顔で国王を引き戻した。
「なにをする、この無礼者が!」
「ご無礼は陛下にございます!」
ピシリと音がして、家臣の額から血が滴った。鳥の羽が舞う。
なにが起きたんだ?
国王の手にあるの、バイオリンの弓? 違う、鞭だ。女王様が持ってるイメージのヤツじゃなくて、競馬の騎手さんが持ってるみたいなの。え、あれで人間の顔、打ったの?
諫めた家臣を宗主国の王太子の前で辱めるなんて、この王さま、阿呆なの?
ヴァーリ騎士団長がその場に残り、殿のステッラ副団長が前に出た。彼の視線は射るようだ。それもそうか、奥さん拐った張本人だもん。
おれたちはヴァーリ騎士団長を残し、玉座のある高座に上がった。ブライトさまがおれを伴って真ん中に立ち、駐在管理官とステッラ副団長が左、ロベルトさんが右にそれぞれ控えた。
ブライトさまがおれをまず座らせて、自分も腰を下ろした。徹底してるなぁ。偉い人から座るものだと思うのに。
遅れてヴァーリ騎士団長が上がって来て、ロベルトさんの隣に立つ。手には国王から取り上げた鞭があった。
王都では何の役職にもついていないロベルトさんまで、高座に居る。シュザネットがシェランディアを国とみなさなくなった事の表れだった。それに気づいたシェランディアの家臣は幾人いるだろう。鞭で打たれた男の人は、無念げに肩を落としている。⋯⋯目に見える限りでは、ひとりきりだ。
「陛下、そちらに居られるのは、我が花嫁の姉君かな? 蝶々姫と言われたか? 黒髪に黄金が映えて美しゅうございますなぁ」
ジジイ空気読めや!
管理官さんが不快げに咳払いして、厳かに口を開いた。
「こちらに座すは、シュザネット王太子レオンブライト殿下とご婚約者ハリー・ハナヤァギ・シュトーレン伯爵子息である。ハリーさまはシュザネットにて華姫と讃えられるお方ぞ。おふた方お揃いにて、その方が発した不愉快な宣言を糾弾しに参られた。まずは人違いにて囚われた、哀れな花をここに連れて参れ」
「人違い? では、本物の花嫁を連れて来てくださったので?」
ホンモノの阿呆だ。あの忠臣さん以外も流石に状況が解ってきたのか、みんな蒼白になっている。その中で国王ひとりだけ、デレッとした顔でおれを見ている。
「そう言われてみれば、先の者は可愛い顔をして犬猫畜生を呼び込んで、薄気味悪うございましたなぁ。褥に侍らそうも、犬に吠えかかられて、酷い目に遭いましたわい。宜しい、お返しします。ホレホレ、華姫殿、そなたの良人はここぞ」
ホントに空気読め!
両手を広げておれを迎え入れるアピールしてくるけど、誰が行くか。忠臣さん、頭抱えてるよ。そりゃそうだ。宗主国の王太子が伴った婚約者になに言ってるんだ。
「外務を担う者はいないか。話しの通じるものと話がしたい」
管理官さんは、誰かと問いながら忠臣さんしか見ていない。忠臣さんは恭しく頭を垂れて進み出た。
「ええい、お前はさっきから出しゃばりおって!」
アンタが阿呆だからだよ。これ、マジで外交の場なの? 男子高校生のおれでも、もうちょっと空気読むよ。せめて黙っとけよ。んで、いちいちおれを見るな。視線が粘っこいんだよ。
「わたしが王だ。よって、いちばん話が分かるのもわたしだ」
ダメだ、話が通じない。ちらりとブライトさまを見ると、すっごい無表情だった。
どうしよう、気持ち悪すぎて、怖いの通り越しちゃったよ。そろそろロベルトさんがキレそうだな、と思ったら、ステッラ副団長が先だった。
「おい、クソジジイ。ウチの管理官は最初になんつった? 人違いで連れ来た花を連れてこいっつったよな、あぁん?」
「無礼な! なんたる口のききようだ。このような不成者を侍らせては、殿下の品位が下がりますぞ!」
「⋯⋯シェランディアでは、妻を奪われた男は相手の男を殺す権利が認められているよな」
ステッラ副団長が忠臣さんに尋ねた。ステッラ副団長に睨まれて、忠臣さんの顔色は青黒くなった。蒼白通り越すと、あんなになるんだな。拐かした人物に、夫がいる可能性に気づいたんだろう。
「お前たちが拐ったのは、俺の妻だ。クソジジイ、ヒトの嫁さん捕まえて、薄気味悪いとはよく言ったな。俺の獣王姫を侮辱しやがって、よっぽど死にたいようだな」
ステッラ副団長の掲げた手のひらに、眩い炎が揺らめいて、忠臣さんが呻くように言った。
「⋯⋯名高き魔術師団副団長、ジョエーレ・ステッラ侯爵とお見受けいたします。それでは後宮に納められし方は、侯爵夫人でいらっしゃるのですね」
すごいぶっ込んできたな!
アルノルドさん、まさかの侯爵夫人!
宗主国の高位貴族の妻を拐って、ただで済むわけないよね。単なる人違いでは終われない、高度に外交的な話になって来て、おれは途方に暮れたのだった。
目の前にいる魔術師団副団長さまは、ブライトさまに負けず劣らずイケメンさまだ。可愛い系美人のアルノルドさんと並んだら、さぞかし眼福だろう。
そのステッラ副団長、人を喰ったような微笑みを浮かべて、おれを眺めて一言。
「ピッカピカだねぇ」
恥ずか死ねる!
「補充しとけとは言ったが、ここまでせんでも良かろうに」
なんか、雑い。魔術師団長さまもだったけど、この人もブライトさまに対する態度が適当と言うか。魔法使いが自由気儘ってこう言うことか。
「それにしても、凄いな。一晩経ってもこれだけ光るのか」
ひ、一晩経ってません⋯⋯朝からやらかしました。て、あれ? 魔力を持った人と仲良くすると、みんな光るんじゃないの?
「普通は朝には放出しきって消えるな。まず、殿下並みの男が居ないし、受け止める器があんたほどない」
えぇ⁈ てことは、俺だけ? いつも光るよ! 自分じゃ見えないけど、みんなが生温く見てるから、そうなんだよね⁈
「俺は殿下に近い魔力のデカさだけどな、ウチのかわい子ちゃんはそんなにピカピカしねぇよ。受け皿がねぇんだ。考えてもみろよ、ヤル度そんなんじゃ女が恥ずかしがって、させて貰えなくなるだろう。人口が減る」
ご説ご最も!
おれはもう、ただ真っ赤になって悶えて、ブライトさまの胸に顔を埋めた。
「⋯⋯ステッラ副団長、そろそろ止めて貰おうか。玻璃が羞恥で発熱しそうだ」
ブライトさまは恥ずかしくないの⁈ って、ブライトさまは光らないんだ!
「ちょっと質問」
「なに?」
「魔力を自分で持っている人は、普段から光ったりしないの?」
ふと不思議に思って聞いてみた。ブライトさまに聞いたつもりだったけど、横から専門家が答えてくれる。
「魔法使いは、自分の体内に魔力を貯めて、蓋してるんだよ。術に乗せて放出するときは光るな。で、お前さんは器はデカイが蓋がない。だからダダ漏れるんだ」
「蓋ができるようになったら、光らない?」
「今のところ、あんまりオススメしねぇな。魔硝石の代わりになりたいか?」
洋燈の充電池みたいに使われるって事だよね。
「殿下、あんたの嫁さん怖がらせて悪いがな、ちゃんと知っておいた方がいいから、言っとくぞ」
「⋯⋯頼む、大事な事だ」
ふたりは深刻そうに言った。ステッラ副団長も、さっきまでの揶揄いを含んだ表情を消している。
北の魔導砲の動力は、魔力だ。北に潜り込ませた間者によると膨大な魔力が必要で、複数の魔法使いが魔硝石に魔力を込めてる。ただ魔硝石ってやつも、大きさや質で込められる魔力の量が違う上に、許容量を超えて魔力が込められると割れてしまうんだ。
それに洋燈に使う程度の魔硝石は安価で手に入りやすいけど、小さくて脆い。とても魔導砲を稼働させるだけの魔力は貯められない。
「その魔硝石の代わりにされるかもって、事でしょう?」
その事なら、シュザネットの王城で言われたよ。
「あんたが奴らの手に落ちたら、間違いなく魔力持ちに犯される。それもひとりやふたりじゃねぇだろう。魔導砲に必要な分量の魔力が溜まるまで、延々ヤられるだろうな」
⋯⋯。
「俺や殿下並みの魔力持ちなら、ひとりで魔導砲に充填できるんだろうが、北にはそんな奴がいるって情報はねえ。んで、俺たちを御するのは至難の業だ。その点あんたは攫いさえすればいい。その細い体で抵抗できるか? 今はまだ、穴の開いた不完全な器だ。蓋が出来るようになったら、限界まで注ぎ込まれるぞ」
絶対イヤだ。
ブライトさまが、ガタガタ震える背中を支えて、こめかみにキスをくれた。何度も宥めるようにキスをして、抱きしめてくれる。
「離さない。大丈夫だ」
「うん」
信じてる。けど、おれも気を引き締めなきゃ。
北に連れて行かれたら、おれがイヤな目に遭うってだけじゃなくて、魔導砲とやらが使用されるって事だ。その前に自殺でもしろって思うだろ? そしたらブライトさまが壊れちゃうって、自惚れじゃなく思う。マーサさんが言ってたじゃん。おれに何かあったら、ブライトさまが国を滅ぼすって。
しばらくブライトさまに縋って、気持ちが落ち着いた。震えが治まったことに気付いて、背中をポンポンしてから、ブライトさまがステッラ副団長に向き直った。大事な話っぽいから、そろそろソファーに下ろしてくれないかな。
「魔導砲についての情報が、かなり正確だな。魔力の必要量など、今まで報告になかったと思うが」
「いや、こっち来てから、北から接触があった。ぶっちゃけ勧誘されたんで、とっ捕まえてウチの団長んところに送っといた」
ニヤリと笑う表情が鬼畜さんだ! イケメンだけにヤバイよ。アルノルドさんと会えない八つ当たりとかしてないよね⁈
「そうか、北が本気で動き出したと言うことか。仮想敵国と言ってきたが、敵国になってしまったな」
ブライトさまがステッラ副団長の鬼畜スマイルをスルーした。凄い胆力だ。それにしても、予想と言うか想像のアレコレ、全部本当になりつつある。
そこへ外務の補佐官さんが、アントニオさんに先導されて入って来た。ふたりとも、ブライトさまの膝の上にいるおれはスルーだ。シュザネットの国民はスルースキルが高いらしい。
「調整が整いました。昼食後、王宮へ乗り込みます」
補佐官さん、乗り込みますって言った? そこ、訪問とか謁見とかじゃない? あ、こっちのが立場が上だし、抗議に行くから謁見じゃダメなのか? 向こうがブライトさまに謁見する立場なのか。
ちとややこしいが、外務の皆さんは朝からしっかりお仕事をしていたらしい。⋯⋯どうしよう、おれって場も弁えずにイチャイチャしてるだけ? いやいや、必要なことだし?
グルグルしてたら、向かいからステッラ副団長がニヤニヤして言った。
「おれが殿下にヤっとけって言ったんだから、あんたは気にせず光っとけ」
ひゃーッ。ナニ言ってんですか! 魔力のない補佐官さんには見えてなかったのに、今ので全部バレたでしょうッ! 耳が真っ赤になってるじゃないか!
「ウチのかわい子ちゃんは光らねぇが、今夜連れ帰ったらメロメロにする予定だ。お揃いだから安心しろ」
なにを安心するんですか⁈
「ではッ伯爵ご令息さまッ、早めのご昼食の後、お支度ををを⋯⋯ッ」
補佐官さん、ごめんなさい! おれも居た堪れないけど、とにかく、ごめんなさいッ! あぁあ、そんな走って逃げないでぇッ!
補佐官さんは不敬も顧みず逃げていった。多分、ブライトさまのこと、頭から素っ飛んでるよ。ブライトさまも苦笑している。
実はおれたち、朝ごはんを食べそびれているので、ブランチの支度をお願いする。ステッラ副団長、ニヤニヤしないで!
食事が済んだタイミングで、ロベルトさんがやって来て、おれを支度部屋に連れて行った。
髪の艶がないって叱られた。ブライトさまがお風呂に入れてくれたから、魔法でぺぺっと乾かして貰っちゃったんだ。マーサさんが呼ばれてヘアケアして貰って、着付けに入る。
今日は外務省の管理官を伴った外交の場に行く。この国の王が、異世界の華姫を後宮に納めたと言うデマを覆しに行くんだ。
本物は、シュザネットの王太子のものだ。
衝立の陰で下から、足袋、裾除け、肌襦袢を着ける。鎖骨の下にキスマークを見つけてキュンとなった。大丈夫、着物だから見えない。
長襦袢を羽織って姿見の前に移ると、待ち構えていたカナリーさんとモーリンさんが、前後から着付けを始めた。
今日の振袖は、鳳凰を選んだ。雄の鳳と雌の凰、一対の番は吉祥柄だ。
南国で袷の着物を着るのは正直辛い。けど、ここはおれの勝負だ。金銀を尊ぶ国で、誰よりも華やかに装わなければ。
脇に控えたロベルトさんが、魔法で部屋の温度を下げてくれた。
全体的には赤。上前から後ろ身頃まで絵羽模様に鳳凰が羽ばたき、嘴に花を咥えている。花喰鳥は幸せを運ぶ象徴でもある。帯は金襴緞子の亀甲紋。多分ばあちゃんの若い頃のものだ。昔の帯は厚みがあって重い。けどその分、重厚感があって豪華だ。
帯が分厚くてヒダが沢山取れないので、立て矢に結ぶ。モーリンさんの手元に『娘に着せるキモノスタイルブック』と言う、年季の入ったムック本があった。ばあちゃん家から持って来たんだね。
重ね襟は金、半襟も白と金で花の刺繍がしてある。帯揚げ帯締めは留袖用の白金を選んだ。ブライトさまから贈られた、真珠のブローチを帯留め代わりに飾る。漆塗りに金銀の末広を挿し、髪飾りは真珠に金鎖を下げた。
メイクはいつもと違って、アイラインを朱赤にした。ちょっとキツめな感じ。朱金の草履バッグを揃えたら完成だ。
「いつもの柔らかい雰囲気では、エロじじいをつけ上がらせますからね。宗主国の王太子妃を愚弄した愚か者です。思いっきり蔑んだ目で見下しておやりなさい」
ロベルトさん、まだ婚約者です。
子供の頃のイヤな経験のせいか、ロリショタじじいにめっちゃ厳しい。いや、おれもロリショタは嫌いだけど、ロベルトさんが怖すぎて、ちょっと引く。
「ではハリーさま、わたくしも着替えてまいります」
あ、家令モードになった。程なくして戻って来たロベルトさんは、銀髪をハーフアップにして裾の長い礼装を身につけていた。一緒にシェランディア国王の前に出るんだ。
謁見の間まで行くのは、ロベルトさんのほか、外務省の駐在管理官長と王都から来た補佐官さん、ヴァーリ騎士団長、ステッラ副団長だ。侍女さんトリオは王宮までは行くけど、侍従長さん達と控え室で待機だ。
ブライトさまが部屋まで迎えに来て、エスコートされる。王太子さまに迎えに来させるなんて申し訳ないけど、婚約者が相手だと、そう言うものなんだって。
ブライトさまも正装で、おれとお揃いのブローチを着けている。
「とても綺麗だけど、赤は色っぽすぎないかい?」
指が眦を辿って、ほっぺたを包むように添えられた。アイラインがいつもと違うのに気づいてくれたのはうれしいけど、色っぽいってなんだ?
チュッと小鳥のキス。
移った口紅を親指で拭う。その仕草の方がよっぽど色っぽい。恥ずかしくなって顔を背けると、生温い笑顔のロベルトさんと目があった。
ぎゃっ、見られた!
⋯⋯今更だけど。
気を取り直して、背筋を伸ばす。まだ顔が熱いけど。
馬車は管理庁舎のものに、王太子の紋を付けた。乗って来た馬車は大きすぎて、城に向かうのには向いていない。迎えを遣して来たそうだけど、それは追い返したんだって。なにか仕込まれたら困るからね。
御者はジーンスワークの従僕頭、マリクさんが務める。おれたちが城にいる間、騎士さまと一緒に馬車の見張りをする予定だ。
馬溜まりでマリクさんたちと別れて、おれ達はシェランディア王宮に入った。南方の建物は平たくて壁が少ない。柱の間を風が通り抜けて、涼が取れるようになっていた。
ヴァーリ騎士団長を先頭に、殿をステッラ副団長が務める。謁見の間に入る身分のない侍従長さんたちは、控室に案内されて行った。
長い廊下で、おれを目にした人々がぽかんと口を開けている。通り過ぎたら背後から、華姫だ、いや蝶々姫だ、と騒めきが聞こえる。
どうだ、この平たい顔を見ろよ。アンタたちが拐ったのは人違いだ。本物の華姫は、宗主国の王太子の隣にいるんだ。
謁見の間には、既に人々がひしめいていた。薄い長衣を重ね着して、首と名のつくところ全てに金銀の環を掛けている。頭に挿した羽が天井に向かって立っている。決まりでもあるのか、みんな黄色とかオレンジ色の薄物を重ねていた。
異文化に興味はあったけど、じっくり観察するのは後回しだ。おれは人々をぐるりと見渡してから、淡く微笑んだ。ロベルトさんに褒めて貰った、胡散臭いジャパニーズスマイルだ。
一瞬謁見の間が静まり、それから人々がヒソヒソと言葉を交わし合う。広間の左右に整然と並ぶシェランディアの陪臣の真ん中を通り抜けて、真っ直ぐ歩く。
臣下の席のいちばん上座に、痩せた初老の男がいた。重ねた黄色とオレンジ色の薄物が、他の人より長い。沢山の金銀の環がシャラシャラと音を立てている。
顔色が悪く、目がギョロリとしている。痩せこけて長い髭を蓄えた姿は、アラビアンな悪役みたいだ。多分この人がシェランディア国王だ。
国王はふらふらと歩み出て、おれに向かって手を伸ばす。気持ち悪いってば! ブライトさまにエスコートされていた手が強張ると、そっと握り返された。ちょっと落ち着く。今日のおれは権高く振る舞わなきゃいけない。怖いからって、ブライトさまにしがみ付くわけにはいかないんだ。
先頭を行くヴァーリ騎士団長が腰の剣に手を掛け、おれの後ろに侍っていたロベルトさんがサッと前に出た。氷の花が舞う。
家臣と思しき男が、引きつった顔で国王を引き戻した。
「なにをする、この無礼者が!」
「ご無礼は陛下にございます!」
ピシリと音がして、家臣の額から血が滴った。鳥の羽が舞う。
なにが起きたんだ?
国王の手にあるの、バイオリンの弓? 違う、鞭だ。女王様が持ってるイメージのヤツじゃなくて、競馬の騎手さんが持ってるみたいなの。え、あれで人間の顔、打ったの?
諫めた家臣を宗主国の王太子の前で辱めるなんて、この王さま、阿呆なの?
ヴァーリ騎士団長がその場に残り、殿のステッラ副団長が前に出た。彼の視線は射るようだ。それもそうか、奥さん拐った張本人だもん。
おれたちはヴァーリ騎士団長を残し、玉座のある高座に上がった。ブライトさまがおれを伴って真ん中に立ち、駐在管理官とステッラ副団長が左、ロベルトさんが右にそれぞれ控えた。
ブライトさまがおれをまず座らせて、自分も腰を下ろした。徹底してるなぁ。偉い人から座るものだと思うのに。
遅れてヴァーリ騎士団長が上がって来て、ロベルトさんの隣に立つ。手には国王から取り上げた鞭があった。
王都では何の役職にもついていないロベルトさんまで、高座に居る。シュザネットがシェランディアを国とみなさなくなった事の表れだった。それに気づいたシェランディアの家臣は幾人いるだろう。鞭で打たれた男の人は、無念げに肩を落としている。⋯⋯目に見える限りでは、ひとりきりだ。
「陛下、そちらに居られるのは、我が花嫁の姉君かな? 蝶々姫と言われたか? 黒髪に黄金が映えて美しゅうございますなぁ」
ジジイ空気読めや!
管理官さんが不快げに咳払いして、厳かに口を開いた。
「こちらに座すは、シュザネット王太子レオンブライト殿下とご婚約者ハリー・ハナヤァギ・シュトーレン伯爵子息である。ハリーさまはシュザネットにて華姫と讃えられるお方ぞ。おふた方お揃いにて、その方が発した不愉快な宣言を糾弾しに参られた。まずは人違いにて囚われた、哀れな花をここに連れて参れ」
「人違い? では、本物の花嫁を連れて来てくださったので?」
ホンモノの阿呆だ。あの忠臣さん以外も流石に状況が解ってきたのか、みんな蒼白になっている。その中で国王ひとりだけ、デレッとした顔でおれを見ている。
「そう言われてみれば、先の者は可愛い顔をして犬猫畜生を呼び込んで、薄気味悪うございましたなぁ。褥に侍らそうも、犬に吠えかかられて、酷い目に遭いましたわい。宜しい、お返しします。ホレホレ、華姫殿、そなたの良人はここぞ」
ホントに空気読め!
両手を広げておれを迎え入れるアピールしてくるけど、誰が行くか。忠臣さん、頭抱えてるよ。そりゃそうだ。宗主国の王太子が伴った婚約者になに言ってるんだ。
「外務を担う者はいないか。話しの通じるものと話がしたい」
管理官さんは、誰かと問いながら忠臣さんしか見ていない。忠臣さんは恭しく頭を垂れて進み出た。
「ええい、お前はさっきから出しゃばりおって!」
アンタが阿呆だからだよ。これ、マジで外交の場なの? 男子高校生のおれでも、もうちょっと空気読むよ。せめて黙っとけよ。んで、いちいちおれを見るな。視線が粘っこいんだよ。
「わたしが王だ。よって、いちばん話が分かるのもわたしだ」
ダメだ、話が通じない。ちらりとブライトさまを見ると、すっごい無表情だった。
どうしよう、気持ち悪すぎて、怖いの通り越しちゃったよ。そろそろロベルトさんがキレそうだな、と思ったら、ステッラ副団長が先だった。
「おい、クソジジイ。ウチの管理官は最初になんつった? 人違いで連れ来た花を連れてこいっつったよな、あぁん?」
「無礼な! なんたる口のききようだ。このような不成者を侍らせては、殿下の品位が下がりますぞ!」
「⋯⋯シェランディアでは、妻を奪われた男は相手の男を殺す権利が認められているよな」
ステッラ副団長が忠臣さんに尋ねた。ステッラ副団長に睨まれて、忠臣さんの顔色は青黒くなった。蒼白通り越すと、あんなになるんだな。拐かした人物に、夫がいる可能性に気づいたんだろう。
「お前たちが拐ったのは、俺の妻だ。クソジジイ、ヒトの嫁さん捕まえて、薄気味悪いとはよく言ったな。俺の獣王姫を侮辱しやがって、よっぽど死にたいようだな」
ステッラ副団長の掲げた手のひらに、眩い炎が揺らめいて、忠臣さんが呻くように言った。
「⋯⋯名高き魔術師団副団長、ジョエーレ・ステッラ侯爵とお見受けいたします。それでは後宮に納められし方は、侯爵夫人でいらっしゃるのですね」
すごいぶっ込んできたな!
アルノルドさん、まさかの侯爵夫人!
宗主国の高位貴族の妻を拐って、ただで済むわけないよね。単なる人違いでは終われない、高度に外交的な話になって来て、おれは途方に暮れたのだった。
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