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ブライトさまがおれを残して、王太子宮を出てから数時間。ダンスの特訓中だった。
男性用の女性パート、なんじゃいそりゃあって意味不明な振り付けを習っている。男性同士の同性婚が普通にあるから、パートナーが女性の真似をする必要もないってことか。
「お人形みたいな女性同士もいますし、岩と丸太のような男性同士もいますもの」
マーサさん、それメッチャわかりやすい例え! みんながみんな、ロベルトさんやアルノルドさんみたいな奥様じゃないもんね。
「ハリーさまならドレスも素敵だと思いますが、女性になりたいわけではございませんでしょ?」
「はい」
振袖はもうね、戦闘服とか勝負服だと思うことにした。日本の民族衣装として、第一礼装として、これが着物だって胸を張ってやる。⋯⋯女性ものだってのは声を小さくしちゃうけど。
サロンに繋がる小ホールで、カナリーさんがピアノを弾いて、モーリンさんとトレアくんが踊る。モーリンさんの方が背が高いので、おれのパートはトレアくんの係りだ。
椅子に座ってふたりが踊るのを見ながら、マーサさんの解説を聞く。
「いち、に、さん、回る。ステップ、ステップ、下がる。手を忘れないでーー回るっ」
振袖で夜会の時は踊らずに済むのかな。草履じゃ無理。
「ダンス用のお召し物は、殿下のお下がりではなくて、新しくお仕立てしますから。殿下のものは裾が広がらないので、妃殿下がお召しになるにはお地味です」
公の場ではしょうがない。普段着はたくさん貰ったけど、場に相応しい装いは大事だ。
「では、ハリーさま。踊ってみましょう」
カナリーさんがポロンと軽やかな音を響かせたとき、サロンのテラスから「ピロローー」っと声がした。
「ハヤテの声だね。アルノルドさんから先触れは?」
「聞いておりませんが」
アルノルドさんは陛下とブライトさまの両方から、王太子宮の庭へ騎獣で直接入ることを許可された。魔狼、魔熊の背はもちろん、魔鷲に乗って空から降りてくることも含まれる。
でも先触れも約束も無いなんて。
サロンからテラスに出ると、鞍をつけたハヤテがぐったりと伏していた。
「ハリーさま、矢が!」
トレアくんが叫んで、おれは慌ててハヤテに駆け寄った。胸から腹に数本の矢が刺さって、血の匂いがしている。
「アルノルドさんがいない⋯⋯マーサさん、騎士団の詰所に向かってください。モーリンさんは王妃宮のるぅ姉を。魔力を増やしてあげたら治りが早いかもしれないです」
マーサさんとモーリンさんが音もなくテラスから辞すると、入れ替わりにカリオ侍従長とアントニオさんがやって来た。他にも幾人か侍従さんがいて、テキパキとテラスに敷物を敷いたり、タライにお湯を作ったりしている。
血生臭いのでトレアくんには下がってもらった。子どもが見るものじゃない。
ピルピルとか細い鳴き声で、ハヤテが何か訴える。おれにはどうすることもできなくて、胸の羽毛を撫でさする。ブライトさまに貰った服が、赤黒く血に染まった。
カナリーさんがおれのそばで、励ましてくれる。ブライトさまが不在の今、王太子宮の主人は妃になるおれだ。マーサさんとモーリンさんにお遣いを頼んで、トレアくんを下がらせて、あとは何をすれば良い?
空からピピッと軽やかな鳥の声がして、鮮やかな青と赤の翼を持った魔鳥が飛び込んできた。新幹線ちゃんの⋯⋯この色はノゾミだったかな。るぅ姉の先触れだ。
「ママ、クル。ママ、スグクル」
テラスを囲う垣根にとまりチュンチュン鳴いた。程なくしてマーサさんの先導で現れたるぅ姉は、ワンピースドレスが汚れるのも構わずに、ハヤテに抱きついた。
「ハヤテよく頑張ったわ」
潤んだ瞳で羽毛を撫でている。
「ねぇ、この矢、抜いちゃダメかな?」
「⋯⋯血が出過ぎちゃわない?」
漫画とかで、お腹に刺さったナイフ抜かないってやつか。
「矢尻の返しがありますから、騎士団の獣医が来るまで待ちましょう」
カナリーさんに言われてるぅ姉は頷くと、止まっていた手の動きを再開させた。
「ルーリィさま、ハヤテの魔力が増えて来ています。このまま撫ででやってください」
おれたちには見ることができないのに、カナリーさんには見えている。もどかしく感じながら、おれもハヤテの羽を撫でた。おれが撫でてもるぅ姉と違って変化はない。それでも、そうしないではいられなかった。
ガツガツと蹄の音がして、騎馬が数頭、庭に駆け込んできた。先頭はブライトさまだ。王太子宮の庭に緊急時とは言え、こんな無礼が許されるのは本人が先導しているからだろう。美しく整えられた芝生が蹄に抉られて、無残な姿を晒している。
「玻璃!」
飛ぶように下馬して、ブライトさまが駆けつける。後ろから数人の騎士さまと、騎士団の制服に似た服を着た人がやって来る。
「君が無事でよかった。馬や獣魔の専門家だ。ここは彼に任せよう」
紹介された男性が獣医さんなのか。獣医さんは熊みたいな風貌で、馬の背から下ろして来たトランクを広げて、中から刃物を取り出した。テレビで見る医療用メスとは違い、小さいだけで普通のナイフだ。
「玻璃、ルーリィ嬢、一旦離れよう。邪魔になる」
「はい」
心配だけど、そう言われたら離れるしかない。
「総団長、妃殿下は奥に引っ込んでくださっても良いですが、ルーリィ嬢は近くで待機してもらっても良いですか? これから血と一緒に魔力が流れるんで。声をかけるまで、体を温めて待機しててください」
「ではサロンにいるとしよう。ふたりとも真っ青だ」
ハヤテが心配だけど、これ以上は本当に邪魔になる。素直に離れて、るぅ姉とふたりどちらからともなく手を伸ばし、ギュッと抱き合った。
ハヤテの血がお互いをさらに汚す。
ブライトさまに促されて、サロンに移動する。美しいカーペットを汚すことに気付いて入室を躊躇うと、ブライトさまに抱き上げられた。
「ルーリィ嬢も湯を使って着替えを」
「ありがとうございます。でもすぐに汚れますわ」
「騎士団から防水布性のマントを持って来させる。血に汚れたままでは病を貰う」
「⋯⋯『感染症』ですね」
「ニホンにもある病なのか。理解が早くて助かる」
るぅ姉は大きなマントに包まれて、警護の騎士さまが抱き上げた。王妃宮から付いて来た侍女さんがそばに控え、マーサさんが客間へ案内して行った。
それを見送って、自分たちも王太子の私室に向かうと、浴室で降ろされておでこにキスを受けた。
「ひとりで出来る?」
「子供じゃありませんよ」
心配そうに言われて苦笑する。
「そうじゃなくて、動揺していない?」
動揺なんて、もちろんしてるさ。けど、ブライトさまが来てくれたから、おれは大丈夫だ。
「キスしてくれたら、大丈夫。そしたらサロンに戻ってください」
仕事に行く旦那さまを引き止める、イタイ彼女にはなりません。それよりもアルノルドさんだよ。騎士団の皆さんと一緒に来なかったってことは、何かあったんだ。
ブライトさまに小鳥のキスを貰って、背中を見送る。気は急くけど、るぅ姉が言ったように感染症の危険があるから、全身を綺麗に洗う。ブライトさまも着替えだけはしてるだろうな。
浴室から出ると、カナリーさんが「緊急時ですから」と無念そうに魔法で髪を乾かしてくれた。脱衣所の引き出しに常備してある寝間着を着ていたので、新しい服を出してもらう。
心得たカナリーさんはすぐに部屋を出て行って、着替えが終わった頃合いに再び現れた。
サロンに戻ると新幹線ちゃんたちがピルピル鳴きながら、パタパタと忙しなく飛んでいる。
「ママ、ママ」
「はーてノ、ママ、オチタ」
「イタイノ、アト、はーてノママ、オチタ」
ソファーに腰掛けてヴァーリ団長と話していたブライトさまが、新幹線ちゃんたちの声に顔を上げた。
「ママ、はルーリィ嬢のことか。落ちた⋯⋯はーて⋯⋯」
もしかして。
「ブライトさま。はーて、はハヤテのことかも。ハヤテのママ、アルノルドさん。ねぇ、アルノルドさんはどこですか? 可愛いハヤテがこんな目に遭っていて、そばにいないなんてあり得ません」
わずかな沈黙の後、ブライトさまは言った。
「ステッラは飛行訓練に出たまま行方不明になっている」
やっぱり。
「昨日の夕刻の帰投予定時刻を過ぎても帰らなかったが、昨日は風が強かった。獣舎ではハヤテをどこかで休ませていると考えていたので、報告が上がったのは今朝だ」
今朝って、執事さんがプライベート空間までやって来たやつか。でも、騎士がひとり帰らないって、わざわざ報告に来る?
「同時にシェランディア王国の新大使が消えた」
新大使、おれ会ったことないけど。ついこの間大使館に入ったばかりの、エルメル・ダビの後釜。
「アルノルドさんの飛行訓練は、どっちに飛んだのですか?」
「⋯⋯南だ」
ですよねー。アルノルドさんの行方不明事件に、シェランディア大使の話をぶっ込んでくるとか、それ以外ないもん。
着替えたるぅ姉も合流して、サロンは騎士団の詰所のように物々しい空気に包まれた。ハヤテが騎士団の獣舎ではなく、こちらに来てしまったからだろう。
「そうだ、るぅ姉。新幹線ちゃんたちの言葉って、鸚鵡返し? それとも意思表示?」
教え込まれた言葉を音として真似しているだけなのか、ひとの言葉を理解するほど知能があるのか。
「あと、ほかの獣と意思疎通できる?」
一度に聞いてごめんね。でも気になった。
「微妙。何か言ってた? おいで、ヒカリ」
るぅ姉が、手を差し伸べると一話の魔鳥が降りて来た。ピルピルっと甘えた声を出す。
「おはなし、して」
幼児に喋りかけるように言うと、ヒカリはキロキロと目を動かした。顔の形は十姉妹に似ていて体の大きさは鸚鵡くらいある。結構重そうだ。
「はーて、ママ、オチタ」
「ハヤテからハヤテのママが、落ちた?」
「オチタ、オチタ」
「ヒカリが見た?」
「はーてガ、ミタ!」
「ハヤテをいじめた人は、見た?」
「ハネ、ハネ、キラキラ、ハネ」
るぅ姉すごい。微妙とか言いながら、会話を成立させている。卵を孵した時のレスポンス、偶然じゃなかったんだ。
「ありがとう、ヒカリ」
宙に放つと他の子たちがとまっている棚に飛んで行った。
「魔鳥の言葉がどれほど信用できるか。それから、どう解釈するか。騎士団の見解はいかがですか? 言葉を覚え始めた赤ちゃんと一緒ですから」
日本でも、子供の証言は証拠にならない場合があるからね。その上、獣魔だけど鳥だし。
羽をつけたキラキラした人間がハヤテを虐めた(攻撃した)のでアルノルドさんが転落した。
こう言う風にしか聞こえないんだけど。
南に行ったアルノルドさん、キナ臭いシェランディア王国、消えた新大使、羽と金(?)で飾った襲撃者。
「飛行路を陸路から辿らせています」
「陸路ですか。森の上とか突っ切ってたら追いきれませんね」
「魔術師団が出てきましたよ。当然ですね」
魔術師は国に誓いを立てた魔法使いの総称だって習った。魔術師と名乗れるのは、国家組織の魔術師団に所属している魔法使いだけだ。カナリーさんたちは魔術師団員じゃないから、魔法使いだ。
お妃教育のおかげで、なんとか話についていける。
「ステッラ副団長が、人殺しみたいな顔して騎士団に襲撃してきましたよ」
「ステッラさん? アルノルドさんの縁者の方?」
「旦那さんよ。魔力を辿りに行くのね」
ヴァーリ団長が疲れたように言う。るぅ姉はほっと息をついた。おれもちょっと安心してきた。ブライトさまがおれのなかの魔力を辿れるように、アルノルドさんの旦那さまもアルノルドさんを辿れるんだ。
「⋯⋯アルノルドさんに怪我がないと良いんだけど」
ハヤテのお腹にあれだけ矢が刺さっていたんだ。心配で胸が苦しい。
おれが誘拐されたとき、皆んなはこんな気持ちだったんだ。情報がないってこんなに辛いんだね。
「ハヤテは大丈夫かな」
るぅ姉も気にして、時たまテラスに視線を向けている。獣医さんからのお呼びはかからなかったけど、おれはブライトさまに断ってからソファーをはなれ、窓越しにハヤテの様子を見た。覗かれてハヤテが興奮しないように、こっそりとだ。
「ピルルーー」
あ、バレた。獣魔のサーチレーダー、侮ったらダメだった。こっち向いてピルピル鳴いて、獣医さんがちょっと困ってる。
「すみませんが、妃殿下はお隠れいただいて、ルーリィ嬢に来てもらえませんか」
テラスから獣医さんが言った。おれはすごすごとブライトさまのそばに戻り、るぅ姉が苦笑しながら立ち上がった。すぐにブカブカのマントが着せかけられて、フードもすっぽり被らされていた。直接血に触れないように重装備だ。
窓を開けるとるぅ姉にくっついて、新幹線ちゃんたちも外に出た。ペットのインコや鸚鵡は外に出しちゃダメだけど、この子たちはどっか行って、野生化することはなさそうだ。
ハヤテの甘えた声を聞きながら、ブライトさまの隣に腰掛ける。
「ヴァーリ団長、聞きたいのですが良いですか?」
「おや、わたしで良いのですか?」
ヴァーリ団長はブライトさまをチラリと見た。騎士団の総団長はブライトさまだから、差し置いて良いのかと言うことだね。
「客観的な意見が欲しいのです。ぼくとるぅ姉は騎士団の所属じゃありません。ぼくたちとアルノルドさんは個人的な友達にもなりましたが、仕事中に事件に巻き込まれていて、それも大きな国際問題になりそうです。いくら友達でも、いえ、家族でさえないぼくたちが、ここに居るのはおかしくないですか?」
例えば日本で誘拐事件があったとしよう。被害者の友人が警察署の対策本部に入れるわけがない。署長の奥さんなんて、もっと入れない、いや、入らない。
友達の一大事、もっと知りたいし、不安で仕方がない。でも、おれがここに居るのはおかしくないか?
「殿下ではなく、わたしに聞きますか」
「はい、客観的に、と言いましたよ」
「それは殿下がハリーさまの好奇心を満たすために、規則を破っていないかと言うことですか?」
「そこまで言いませんが、ぼくやるぅ姉が知らなくて良いことや、知ってはいけない事もあるんじゃないかと。ほら、捜査上の秘密とかもあるでしょう?」
ドラマとかで見てた。相方が代替わりしていくインテリ眼鏡の刑事ドラマ、母さんが今の相方役のファンでさ。主人公は『余計な首つっこむな』って、ボケ担当の役者さんに突っ込まれてた。刑事なのに。おれは刑事でもない。
「一般人への『情報漏洩』⋯⋯秘密を漏らす? になりませんか? 部外者は引っ込んでろ、みたいな」
「殿下、ハリーさまに愛想など尽かされないでくださいよ。素晴らしい王妃になられる方だ。ニホン国でお妃教育でもされて来たのでしょうか? なんと思慮深い方だ。お可愛らしさに隠れて、こんな理知的なお考えをお持ちだ」
ヴァーリ団長、もっとゆっくり言ってくれ。褒められている気はするけど、早口過ぎて聞き取れない。
「お前が玻璃を語るな。それに、愛想を尽かされるわけないだろう」
「わかりませんよ。夜がしつこすぎてお褥滑りでも申し出られたらどうしますか。あれだけ輝くなんて、相当しつこくなさってると思いますがね」
ちょっと待て! オシトネスベリがなんだか知らないけど、話がダメな方向に進んでいる! このチョイ悪イケオジ、なに言ってるの⁈
「話がズレてます! とにかく、ぼくとるぅ姉はここにいても問題はないのですか?」
「結論から言いますと、いてください。我々の目の届く範囲にいていただきたい。そして、情報を手に入れておいてください」
「それは何故?」
「標的が異世界の対人形だからです」
まだ仮想だが、と前置いてブライトさまが話しを引き継いだ。
「シェランディア王国を仮想敵国として進めていく。かの国の建国の物語では、最初の王妃は神の娘だったと言う」
金銀に輝く神の娘を得た男は、神の加護を受けて国を平らかにし、王となった。男の冒険は現実的なものから荒唐無稽なものまであるが、最終的に王になるのはどの絵本でも同じ。
シェランディア人が金銀で飾るのは、神の加護を表し、神への崇拝を示している。⋯⋯成金趣味で品がないと思ってた、ごめん。
で、この神の娘と言われる王妃さま、実際には豪商か盗賊の娘と思われるとか。とにかく金持ちの奥さんの、持参金だか実家の援助だかを資金源に兵を挙げ、国を平定した訳だ。
三代目か四代目の王が国史を編纂したときに、建国の物語を作ったらしい。未来に於いての真実になるように、歴史を作ったんだ。成金の王家だと言われないよう、お金持ちの王妃を神格化して。
で、現在。
国は帝国の属国に甘んじ、王は神の娘に擬えた美姫を侍らせ、国力は落ちた。
そこに現れたのが異世界から落ちてきた、金銀で装った年頃の娘たち。王妃として迎えれば、現王の地盤は盤石であり、別の誰かであれば、王の器ありと示すことができる。
「他力本願も甚だしいですわね」
不機嫌そうなるぅ姉の声。血で汚れたマントを脱がせて貰いながら、帰ってくる。青白かったほっぺたが少し赤い。少し元気になった様子から、ハヤテは大丈夫だと知れる。様子を見に行きたいけど、今は我慢だ。
「その他力本願の阿呆が、何をしてくるのかわかりません。おふたりには最新の情報をお持ちいただいて、絶えず自衛に徹していただきたい」
ヴァーリ団長が言って、ブライトさまが頷いた。なるほど、警護される側の意識がちゃんとしてないと、守れるはずのものも守れないんだ。危険を理解して、大人しくしとけってことだ。
アルノルドさんが心配だ。ハヤテの怪我も酷かった。獣舎で待ってるユーリャちゃんたちも心細いだろう。
それでもおれは、なによりも自分を守らないといけない。ブライトさまがおれの心の揺れを感じたのか、そっと肩を抱いてくれた。
⋯⋯安心は、ここにある。
男性用の女性パート、なんじゃいそりゃあって意味不明な振り付けを習っている。男性同士の同性婚が普通にあるから、パートナーが女性の真似をする必要もないってことか。
「お人形みたいな女性同士もいますし、岩と丸太のような男性同士もいますもの」
マーサさん、それメッチャわかりやすい例え! みんながみんな、ロベルトさんやアルノルドさんみたいな奥様じゃないもんね。
「ハリーさまならドレスも素敵だと思いますが、女性になりたいわけではございませんでしょ?」
「はい」
振袖はもうね、戦闘服とか勝負服だと思うことにした。日本の民族衣装として、第一礼装として、これが着物だって胸を張ってやる。⋯⋯女性ものだってのは声を小さくしちゃうけど。
サロンに繋がる小ホールで、カナリーさんがピアノを弾いて、モーリンさんとトレアくんが踊る。モーリンさんの方が背が高いので、おれのパートはトレアくんの係りだ。
椅子に座ってふたりが踊るのを見ながら、マーサさんの解説を聞く。
「いち、に、さん、回る。ステップ、ステップ、下がる。手を忘れないでーー回るっ」
振袖で夜会の時は踊らずに済むのかな。草履じゃ無理。
「ダンス用のお召し物は、殿下のお下がりではなくて、新しくお仕立てしますから。殿下のものは裾が広がらないので、妃殿下がお召しになるにはお地味です」
公の場ではしょうがない。普段着はたくさん貰ったけど、場に相応しい装いは大事だ。
「では、ハリーさま。踊ってみましょう」
カナリーさんがポロンと軽やかな音を響かせたとき、サロンのテラスから「ピロローー」っと声がした。
「ハヤテの声だね。アルノルドさんから先触れは?」
「聞いておりませんが」
アルノルドさんは陛下とブライトさまの両方から、王太子宮の庭へ騎獣で直接入ることを許可された。魔狼、魔熊の背はもちろん、魔鷲に乗って空から降りてくることも含まれる。
でも先触れも約束も無いなんて。
サロンからテラスに出ると、鞍をつけたハヤテがぐったりと伏していた。
「ハリーさま、矢が!」
トレアくんが叫んで、おれは慌ててハヤテに駆け寄った。胸から腹に数本の矢が刺さって、血の匂いがしている。
「アルノルドさんがいない⋯⋯マーサさん、騎士団の詰所に向かってください。モーリンさんは王妃宮のるぅ姉を。魔力を増やしてあげたら治りが早いかもしれないです」
マーサさんとモーリンさんが音もなくテラスから辞すると、入れ替わりにカリオ侍従長とアントニオさんがやって来た。他にも幾人か侍従さんがいて、テキパキとテラスに敷物を敷いたり、タライにお湯を作ったりしている。
血生臭いのでトレアくんには下がってもらった。子どもが見るものじゃない。
ピルピルとか細い鳴き声で、ハヤテが何か訴える。おれにはどうすることもできなくて、胸の羽毛を撫でさする。ブライトさまに貰った服が、赤黒く血に染まった。
カナリーさんがおれのそばで、励ましてくれる。ブライトさまが不在の今、王太子宮の主人は妃になるおれだ。マーサさんとモーリンさんにお遣いを頼んで、トレアくんを下がらせて、あとは何をすれば良い?
空からピピッと軽やかな鳥の声がして、鮮やかな青と赤の翼を持った魔鳥が飛び込んできた。新幹線ちゃんの⋯⋯この色はノゾミだったかな。るぅ姉の先触れだ。
「ママ、クル。ママ、スグクル」
テラスを囲う垣根にとまりチュンチュン鳴いた。程なくしてマーサさんの先導で現れたるぅ姉は、ワンピースドレスが汚れるのも構わずに、ハヤテに抱きついた。
「ハヤテよく頑張ったわ」
潤んだ瞳で羽毛を撫でている。
「ねぇ、この矢、抜いちゃダメかな?」
「⋯⋯血が出過ぎちゃわない?」
漫画とかで、お腹に刺さったナイフ抜かないってやつか。
「矢尻の返しがありますから、騎士団の獣医が来るまで待ちましょう」
カナリーさんに言われてるぅ姉は頷くと、止まっていた手の動きを再開させた。
「ルーリィさま、ハヤテの魔力が増えて来ています。このまま撫ででやってください」
おれたちには見ることができないのに、カナリーさんには見えている。もどかしく感じながら、おれもハヤテの羽を撫でた。おれが撫でてもるぅ姉と違って変化はない。それでも、そうしないではいられなかった。
ガツガツと蹄の音がして、騎馬が数頭、庭に駆け込んできた。先頭はブライトさまだ。王太子宮の庭に緊急時とは言え、こんな無礼が許されるのは本人が先導しているからだろう。美しく整えられた芝生が蹄に抉られて、無残な姿を晒している。
「玻璃!」
飛ぶように下馬して、ブライトさまが駆けつける。後ろから数人の騎士さまと、騎士団の制服に似た服を着た人がやって来る。
「君が無事でよかった。馬や獣魔の専門家だ。ここは彼に任せよう」
紹介された男性が獣医さんなのか。獣医さんは熊みたいな風貌で、馬の背から下ろして来たトランクを広げて、中から刃物を取り出した。テレビで見る医療用メスとは違い、小さいだけで普通のナイフだ。
「玻璃、ルーリィ嬢、一旦離れよう。邪魔になる」
「はい」
心配だけど、そう言われたら離れるしかない。
「総団長、妃殿下は奥に引っ込んでくださっても良いですが、ルーリィ嬢は近くで待機してもらっても良いですか? これから血と一緒に魔力が流れるんで。声をかけるまで、体を温めて待機しててください」
「ではサロンにいるとしよう。ふたりとも真っ青だ」
ハヤテが心配だけど、これ以上は本当に邪魔になる。素直に離れて、るぅ姉とふたりどちらからともなく手を伸ばし、ギュッと抱き合った。
ハヤテの血がお互いをさらに汚す。
ブライトさまに促されて、サロンに移動する。美しいカーペットを汚すことに気付いて入室を躊躇うと、ブライトさまに抱き上げられた。
「ルーリィ嬢も湯を使って着替えを」
「ありがとうございます。でもすぐに汚れますわ」
「騎士団から防水布性のマントを持って来させる。血に汚れたままでは病を貰う」
「⋯⋯『感染症』ですね」
「ニホンにもある病なのか。理解が早くて助かる」
るぅ姉は大きなマントに包まれて、警護の騎士さまが抱き上げた。王妃宮から付いて来た侍女さんがそばに控え、マーサさんが客間へ案内して行った。
それを見送って、自分たちも王太子の私室に向かうと、浴室で降ろされておでこにキスを受けた。
「ひとりで出来る?」
「子供じゃありませんよ」
心配そうに言われて苦笑する。
「そうじゃなくて、動揺していない?」
動揺なんて、もちろんしてるさ。けど、ブライトさまが来てくれたから、おれは大丈夫だ。
「キスしてくれたら、大丈夫。そしたらサロンに戻ってください」
仕事に行く旦那さまを引き止める、イタイ彼女にはなりません。それよりもアルノルドさんだよ。騎士団の皆さんと一緒に来なかったってことは、何かあったんだ。
ブライトさまに小鳥のキスを貰って、背中を見送る。気は急くけど、るぅ姉が言ったように感染症の危険があるから、全身を綺麗に洗う。ブライトさまも着替えだけはしてるだろうな。
浴室から出ると、カナリーさんが「緊急時ですから」と無念そうに魔法で髪を乾かしてくれた。脱衣所の引き出しに常備してある寝間着を着ていたので、新しい服を出してもらう。
心得たカナリーさんはすぐに部屋を出て行って、着替えが終わった頃合いに再び現れた。
サロンに戻ると新幹線ちゃんたちがピルピル鳴きながら、パタパタと忙しなく飛んでいる。
「ママ、ママ」
「はーてノ、ママ、オチタ」
「イタイノ、アト、はーてノママ、オチタ」
ソファーに腰掛けてヴァーリ団長と話していたブライトさまが、新幹線ちゃんたちの声に顔を上げた。
「ママ、はルーリィ嬢のことか。落ちた⋯⋯はーて⋯⋯」
もしかして。
「ブライトさま。はーて、はハヤテのことかも。ハヤテのママ、アルノルドさん。ねぇ、アルノルドさんはどこですか? 可愛いハヤテがこんな目に遭っていて、そばにいないなんてあり得ません」
わずかな沈黙の後、ブライトさまは言った。
「ステッラは飛行訓練に出たまま行方不明になっている」
やっぱり。
「昨日の夕刻の帰投予定時刻を過ぎても帰らなかったが、昨日は風が強かった。獣舎ではハヤテをどこかで休ませていると考えていたので、報告が上がったのは今朝だ」
今朝って、執事さんがプライベート空間までやって来たやつか。でも、騎士がひとり帰らないって、わざわざ報告に来る?
「同時にシェランディア王国の新大使が消えた」
新大使、おれ会ったことないけど。ついこの間大使館に入ったばかりの、エルメル・ダビの後釜。
「アルノルドさんの飛行訓練は、どっちに飛んだのですか?」
「⋯⋯南だ」
ですよねー。アルノルドさんの行方不明事件に、シェランディア大使の話をぶっ込んでくるとか、それ以外ないもん。
着替えたるぅ姉も合流して、サロンは騎士団の詰所のように物々しい空気に包まれた。ハヤテが騎士団の獣舎ではなく、こちらに来てしまったからだろう。
「そうだ、るぅ姉。新幹線ちゃんたちの言葉って、鸚鵡返し? それとも意思表示?」
教え込まれた言葉を音として真似しているだけなのか、ひとの言葉を理解するほど知能があるのか。
「あと、ほかの獣と意思疎通できる?」
一度に聞いてごめんね。でも気になった。
「微妙。何か言ってた? おいで、ヒカリ」
るぅ姉が、手を差し伸べると一話の魔鳥が降りて来た。ピルピルっと甘えた声を出す。
「おはなし、して」
幼児に喋りかけるように言うと、ヒカリはキロキロと目を動かした。顔の形は十姉妹に似ていて体の大きさは鸚鵡くらいある。結構重そうだ。
「はーて、ママ、オチタ」
「ハヤテからハヤテのママが、落ちた?」
「オチタ、オチタ」
「ヒカリが見た?」
「はーてガ、ミタ!」
「ハヤテをいじめた人は、見た?」
「ハネ、ハネ、キラキラ、ハネ」
るぅ姉すごい。微妙とか言いながら、会話を成立させている。卵を孵した時のレスポンス、偶然じゃなかったんだ。
「ありがとう、ヒカリ」
宙に放つと他の子たちがとまっている棚に飛んで行った。
「魔鳥の言葉がどれほど信用できるか。それから、どう解釈するか。騎士団の見解はいかがですか? 言葉を覚え始めた赤ちゃんと一緒ですから」
日本でも、子供の証言は証拠にならない場合があるからね。その上、獣魔だけど鳥だし。
羽をつけたキラキラした人間がハヤテを虐めた(攻撃した)のでアルノルドさんが転落した。
こう言う風にしか聞こえないんだけど。
南に行ったアルノルドさん、キナ臭いシェランディア王国、消えた新大使、羽と金(?)で飾った襲撃者。
「飛行路を陸路から辿らせています」
「陸路ですか。森の上とか突っ切ってたら追いきれませんね」
「魔術師団が出てきましたよ。当然ですね」
魔術師は国に誓いを立てた魔法使いの総称だって習った。魔術師と名乗れるのは、国家組織の魔術師団に所属している魔法使いだけだ。カナリーさんたちは魔術師団員じゃないから、魔法使いだ。
お妃教育のおかげで、なんとか話についていける。
「ステッラ副団長が、人殺しみたいな顔して騎士団に襲撃してきましたよ」
「ステッラさん? アルノルドさんの縁者の方?」
「旦那さんよ。魔力を辿りに行くのね」
ヴァーリ団長が疲れたように言う。るぅ姉はほっと息をついた。おれもちょっと安心してきた。ブライトさまがおれのなかの魔力を辿れるように、アルノルドさんの旦那さまもアルノルドさんを辿れるんだ。
「⋯⋯アルノルドさんに怪我がないと良いんだけど」
ハヤテのお腹にあれだけ矢が刺さっていたんだ。心配で胸が苦しい。
おれが誘拐されたとき、皆んなはこんな気持ちだったんだ。情報がないってこんなに辛いんだね。
「ハヤテは大丈夫かな」
るぅ姉も気にして、時たまテラスに視線を向けている。獣医さんからのお呼びはかからなかったけど、おれはブライトさまに断ってからソファーをはなれ、窓越しにハヤテの様子を見た。覗かれてハヤテが興奮しないように、こっそりとだ。
「ピルルーー」
あ、バレた。獣魔のサーチレーダー、侮ったらダメだった。こっち向いてピルピル鳴いて、獣医さんがちょっと困ってる。
「すみませんが、妃殿下はお隠れいただいて、ルーリィ嬢に来てもらえませんか」
テラスから獣医さんが言った。おれはすごすごとブライトさまのそばに戻り、るぅ姉が苦笑しながら立ち上がった。すぐにブカブカのマントが着せかけられて、フードもすっぽり被らされていた。直接血に触れないように重装備だ。
窓を開けるとるぅ姉にくっついて、新幹線ちゃんたちも外に出た。ペットのインコや鸚鵡は外に出しちゃダメだけど、この子たちはどっか行って、野生化することはなさそうだ。
ハヤテの甘えた声を聞きながら、ブライトさまの隣に腰掛ける。
「ヴァーリ団長、聞きたいのですが良いですか?」
「おや、わたしで良いのですか?」
ヴァーリ団長はブライトさまをチラリと見た。騎士団の総団長はブライトさまだから、差し置いて良いのかと言うことだね。
「客観的な意見が欲しいのです。ぼくとるぅ姉は騎士団の所属じゃありません。ぼくたちとアルノルドさんは個人的な友達にもなりましたが、仕事中に事件に巻き込まれていて、それも大きな国際問題になりそうです。いくら友達でも、いえ、家族でさえないぼくたちが、ここに居るのはおかしくないですか?」
例えば日本で誘拐事件があったとしよう。被害者の友人が警察署の対策本部に入れるわけがない。署長の奥さんなんて、もっと入れない、いや、入らない。
友達の一大事、もっと知りたいし、不安で仕方がない。でも、おれがここに居るのはおかしくないか?
「殿下ではなく、わたしに聞きますか」
「はい、客観的に、と言いましたよ」
「それは殿下がハリーさまの好奇心を満たすために、規則を破っていないかと言うことですか?」
「そこまで言いませんが、ぼくやるぅ姉が知らなくて良いことや、知ってはいけない事もあるんじゃないかと。ほら、捜査上の秘密とかもあるでしょう?」
ドラマとかで見てた。相方が代替わりしていくインテリ眼鏡の刑事ドラマ、母さんが今の相方役のファンでさ。主人公は『余計な首つっこむな』って、ボケ担当の役者さんに突っ込まれてた。刑事なのに。おれは刑事でもない。
「一般人への『情報漏洩』⋯⋯秘密を漏らす? になりませんか? 部外者は引っ込んでろ、みたいな」
「殿下、ハリーさまに愛想など尽かされないでくださいよ。素晴らしい王妃になられる方だ。ニホン国でお妃教育でもされて来たのでしょうか? なんと思慮深い方だ。お可愛らしさに隠れて、こんな理知的なお考えをお持ちだ」
ヴァーリ団長、もっとゆっくり言ってくれ。褒められている気はするけど、早口過ぎて聞き取れない。
「お前が玻璃を語るな。それに、愛想を尽かされるわけないだろう」
「わかりませんよ。夜がしつこすぎてお褥滑りでも申し出られたらどうしますか。あれだけ輝くなんて、相当しつこくなさってると思いますがね」
ちょっと待て! オシトネスベリがなんだか知らないけど、話がダメな方向に進んでいる! このチョイ悪イケオジ、なに言ってるの⁈
「話がズレてます! とにかく、ぼくとるぅ姉はここにいても問題はないのですか?」
「結論から言いますと、いてください。我々の目の届く範囲にいていただきたい。そして、情報を手に入れておいてください」
「それは何故?」
「標的が異世界の対人形だからです」
まだ仮想だが、と前置いてブライトさまが話しを引き継いだ。
「シェランディア王国を仮想敵国として進めていく。かの国の建国の物語では、最初の王妃は神の娘だったと言う」
金銀に輝く神の娘を得た男は、神の加護を受けて国を平らかにし、王となった。男の冒険は現実的なものから荒唐無稽なものまであるが、最終的に王になるのはどの絵本でも同じ。
シェランディア人が金銀で飾るのは、神の加護を表し、神への崇拝を示している。⋯⋯成金趣味で品がないと思ってた、ごめん。
で、この神の娘と言われる王妃さま、実際には豪商か盗賊の娘と思われるとか。とにかく金持ちの奥さんの、持参金だか実家の援助だかを資金源に兵を挙げ、国を平定した訳だ。
三代目か四代目の王が国史を編纂したときに、建国の物語を作ったらしい。未来に於いての真実になるように、歴史を作ったんだ。成金の王家だと言われないよう、お金持ちの王妃を神格化して。
で、現在。
国は帝国の属国に甘んじ、王は神の娘に擬えた美姫を侍らせ、国力は落ちた。
そこに現れたのが異世界から落ちてきた、金銀で装った年頃の娘たち。王妃として迎えれば、現王の地盤は盤石であり、別の誰かであれば、王の器ありと示すことができる。
「他力本願も甚だしいですわね」
不機嫌そうなるぅ姉の声。血で汚れたマントを脱がせて貰いながら、帰ってくる。青白かったほっぺたが少し赤い。少し元気になった様子から、ハヤテは大丈夫だと知れる。様子を見に行きたいけど、今は我慢だ。
「その他力本願の阿呆が、何をしてくるのかわかりません。おふたりには最新の情報をお持ちいただいて、絶えず自衛に徹していただきたい」
ヴァーリ団長が言って、ブライトさまが頷いた。なるほど、警護される側の意識がちゃんとしてないと、守れるはずのものも守れないんだ。危険を理解して、大人しくしとけってことだ。
アルノルドさんが心配だ。ハヤテの怪我も酷かった。獣舎で待ってるユーリャちゃんたちも心細いだろう。
それでもおれは、なによりも自分を守らないといけない。ブライトさまがおれの心の揺れを感じたのか、そっと肩を抱いてくれた。
⋯⋯安心は、ここにある。
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